2020年3月7日(土)11時00分からVRイベントプラットフォーム「cluster」にて開催された『IPSJ 先生,質問です!』に参加してきました!
ビデオ会議ではなくアバターによるVR空間での集会で、パネルディスカッションがどのように行われるか体験しました。視聴している環境によって音声が聞き取りにくいなどはあったようですが、参加者もコメントで質問したり、アバターで拍手したりと、インタラクティブな要素があったので「独りで映像を見ている」という感覚は薄かったように思います。
何よりも中身が面白かったので、いくつか抜粋してお伝えします!
Q.AIの発達によって今までなかった職業が増えますか?
皆さんAIに対して過大な期待をしているので、困ってしまうAIが出てくるかもしれない。「AIの心理カウンセラー」がそのうちできるのではないか?
過去の回答では「ロボット訓練士」や「サイボーグ技工士」といった話もありました。今まで出来なかったことができるようになって職種が増えていくのではないでしょうか。
「AIを育てる」というのが流行るかも? ペット産業のようなもの。
AIの活躍の現場は、娯楽の方向ならいくらでも増えて問題ないですね。仕事を奪われるという不安もあるかと思うけど、ルーティン的な作業はAIに任せたほうがいいんじゃないかな。
Q.エンジニアになりたいなら大学の勉強は何の役に立つの?
勉強の仕方を学ぶということが一番大切になる。専門科目を学べば良い時代は終わり、一生学び続ける必要がある。世界最先端をどこで誰から学べば良いかをメタ学習する。
海外の大学では学び直しで来る社会人が多く、8割9割が社会人というところもある。今後は日本でも社会に出てから大学や大学院に進学する社会人が増えてくると思います。
今回の件があってオンラインで大学の授業を受けることは可能なのか確認が進んでいます。実験などはオフラインが必要だが、実は情報系でも実際に集まって会話するということが重要なのではないかと毎日議論しているところです。
Q.技術発展の不安はどう取り除く?
どのような時に不安を感じるのだろうか?それは予想ができない、仕組みがわからない、理由がわからない、というのが一番だと思います。技術への不安を解消する一番良い方法は、技術を学ぶことだと私は思います。それによって段々と不安が取り除かれていくのだと思います。
不安を抱えるのは正しいことで、正しく恐れるのは必要です。関心を持って学ぶことが必要です。学びながらどうしたらよいか、じっくり考えていくのが良いと思います。
AIやVRとかに限らず自動運転とかも、何ができて何ができないのか曖昧なのが影響している。そこを見極めて、知識を得ていくことが必要だと思います。
テスラとか見ると事故の比率はかなり少ない。法整備は国民感情に則って進められていくものだと思うので、技術的な納得感を持ってくれる人が重要。技術以外の部分でも安心感をあたえられる説明も求められているのかなと思います。
Q.情報技術で未来の食事はどうなりますか?
情報と食の関係は国際会議でもとても注目されている分野です。意外と難しいです。大会をオンライン開催しましたが、懇親会のように味覚や嗅覚は難しい。視覚や音声や触覚は提供できるが嗅覚などは難しい。3Dプリンタを使ったクッキングや培養肉という技術によって変わっていくかもしれません。
NAISTの中野さんのそうめんを食べているのにラーメンを食べているように感じられるHMD使った研究や、倒したモンスターの肉を味わえるような可能性があります。
デジタルファブリケーションで食べ物をインジェクションすることを考えてる人いるが、考えれば考えるほど奥が深い。噛んでるほどに美味しいとかパリッと感とか、優先順位をつけるのが難しくなってくる。
Q.情報技術によって学会・会議はどう変わっていくか?
総務省の5Gの動画にもありますが、これからネットが高速化していくと、バーチャルでやっていることやアバターと会話するというのが可能となるので、学校という空間もバーチャルでできるようになるし、バーチャルとリアルの境目がなくなって、相互にフィードバックされていく、空間の概念が変わっていくと思います。孤独なときでも一緒に学習するために学校へ行く必要がなくなる。おとぎ話の世界のようにとなりに天使がいるような世界もできるという研究者もいます。
テレイグジスタンスが一般化していくのだと思います。
Q.情報空間と物質空間の関わりはどうなりますか?
床とかがダイナミックに変化できるようになれば、VR空間で椅子に座るとかも体感できるようになる。実空間からVRで実現するのと、ある要素・機能をどう使えるかという二つのアプローチがある。
あと30年くらいしたら物質と情報の空間の関係が大きく変わるんじゃないかなと思います。
「君の名は。」メソッドがありうるのではないかと。お互いのアバターや立場をオンライン空間で体験する。相手が周りとどう関係性を築いているのか、ということが体験できるのでは?変身コミュニケーションという新しいものがありえるかと思います。
Q.学会のワイワイ感や突発的な出会いをどうしたらVRで作れますか?
会場の人たちとスムースにインタラクションできると、もっとワイワイ感が出るのかなと思います。
ビックリマークやジャンプで発言するのは可視化されていて良いですね。
最後は集合写真を記念撮影
参加してみた感想
企業説明会や採用選考のオンライン化が急速に進んだ今、学会のオンライン対応も世界中で当たり前のように広まっていくと考えられます。その中でVRでの学会開催は、もしかすると日本が旗振り役となるかもしれませんね。
今後も情報処理学会や各学術団体の取り組みに注目していきたいと思います!
(文責・吉野)