※記事の内容は「院進-k」掲載当時(2017年)のものです。
大学の卒業が近づくにつれ、進路の選択に迷う方も出てくるのではないでしょうか。中には研究を続けたいけれども、就職をしようか迷っている方もいるかと思います。今回インタビューをしたのは、現在博士前期課程1年の天野 優貴さんです。天野さんは一時は就職を考えていたこともありましたが、最終的に大学院へ進学しました。なぜ大学院へ進学したのか、現在進路について迷われている方には参考になる内容です。
天野 優貴さんのご経歴
筑波大学人文・文化学群 人文学類を経て、現在同大学院人文社会科学研究科 国際日本研究専攻博士前期課程に在籍中。
指導教員を変えて大学院進学へ
現在どのような研究をされていますか
学類時代に筑波大学の人文・文化学群人文学類の中で「応用言語学」を専攻していました。応用言語学というのは言語学と他の学問を組み合わせて総合的に研究していくという学問です。大学院(博士前期課程)では言語学とは違った分野の研究をしていて、一言でいうとソーシャルメディアが媒介する個人などのミクロな存在と、社会などのマクロな存在の相互作用について研究しています。
もともと大学院へ進学するつもりでしたか
はい。でも実は進学するまでに様々な問題がありました。今の指導教員は学類時代の先生と違う方です。大学院でも同じ先生の先生にお世話になろうと考えていましたが、昨年(2016年)の5月ぐらいに、先生がまだ研究室を持てないということが明らかになりました。大学4年生の5月にして進路選択を考え直すことになり、就職活動も始めましたが、就活の時期としては完全に過ぎていましたね。
院進学でスキルを身につけ就職活動の選択肢を広げる
大学院進学時に他の教員の研究室は検討しなかったのですか
言語学だけが専門の先生が多く、様々な分野をまたぐ自分の研究したいこととは異なっていました。学類時代の先生が自分の研究したいことについて知識があったので、専攻が変わった今でも思い通りのことはできています。
なぜ現在とは関係のない分野を中心に学ばれていたのですか
大学1年生当時、希望する分野に近いと思い込んで専攻を選択したからです。途中で自分が専攻分野に興味のないことに気づき、授業も自主的に取り組みませんでした。当然成績も芳しいものではなく知識もない状況でした。
大学院へ進学しようと思っていたのに教員が研究室を持っていなかったことで、進学も危うくなってしまったのですね
そうですね。いかに世の中を甘く見ていたというか、自分の人生について真面目に考えていなかったということを思い知らされました。振り返ってみると、大学院に行きたいという考えもかなり抽象的でした。当時の私は大学院で自分が本来やりたかった研究を行えば、就職活動時に武器となるようなスキルが身につくだろうと思っていましたし、そうした点で就職活動の選択肢を広げることが大学院進学の目的のひとつでした。
人生設計を組み立てることで最適な進路選択を見出す
そのような状況からどのようにして自分の意志で大学院の進学を志しましたか
同時期に就職活動も併行していたのですが、まずは大学院に進学して、大学院でしっかりスキルを身につけてから100%の力で就職活動に臨んだ方がいいと考えるようになりました。そこで大学主催の大学院進学希望者のための説明会に参加したところ、それが大学院進学の大きな決め手となりました。説明会にいらしていた先生が、こういう先生がいるよと、自分のやりたい研究の指導をしていただける先生を紹介してくださいました。その先生にお話を伺った際に、研究に対する様々なヒントを頂くことができました。私のやりたいことに合致しているのではないかと言って頂き、そこで大方進路の指針が決まりました。
そこで決断されたんですね
そうですね。大学院に進学するための試験も近づいていましたので。
試験までどれくらいだったのですか
試験が1月末だったのですけど、勉強を開始したのが11月頃ですね。学ぶべき分野が言語学とは異なっていたので焦りました。
時期的に難しそうですがどうされたのですか
メディア理論という分野や、その先生の研究分野は身近な内容なので頭にすっと入ってきました。今まで学んでいた言語学は興味がなかったために無理矢理学んでいた状態でしたが、入試で出題される専門分野(大学院で専攻する予定のメディア理論などの分野)は興味のある内容でしたので理解が早かったです。
そして無事に大学院へ進学されたのですね。大学院へ進学するまでに数多くの困難があったように思います。就職か進学か迷った際にはどのようにして進路を選択すべきでしょうか
私自身は将来についてふわっとした考えでしたが、その中で自分の人生設計において大学院進学が一番プラスになると考え進路を選択しました。当時大学院進学を選択した理由は先ほどお話した通りです。結果的にはこの選択をして良かったと思っています。今進路について悩んでいる方には、人生設計を頭の中で組み立てて、最終的に自分はどうなりたいのか?自分が一番輝くためにはどうしたいのか?それを逆算して、実現するために必要な時間やお金など、様々な背景を掘り下げていくことが最適な進路選択になると思います。
研究の魅力は好きなものを探求できること
研究に対する熱意はどういったところからきますか?
研究者はみな自分にとって楽しく、研究対象が好きであるから研究しているのだと思います。好きなものに関する知識を得られたり、新しい知見を得られるところも研究の魅力です。ただ、自分の視点のみで掘り下げることでドン詰まりになることもあるので第3者に研究を見てもらうことも大事ですね。
最後に天野さんの現在の目標は何ですか?
自分の研究結果を世の中に出したり、研究を通して社会貢献を行っていきたいです。今はそれに向かって、今後の進路決定や研究活動を行いたいと考えています。
後半のインタビューでは天野さんが現在行っている研究や大学院で得た知識などを伺いたいと思います
(「院進-k」記事より転載)