昨今、わが国では産学連携拡大化の動きが活発になってきています。
文部科学省と経済産業省は、アカデミア(大学や公的研究機関)と企業の組織的な連携体制の構築を目指して、2016年11月に「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(以下、「2016ガイドライン」とする」を策定しました。この動きの背景には、「日本を取り巻くイノベーションの環境変化に対応するために、アカデミアと企業が連携するオープンイノベーションの推進が重要である」との、政府の意向があります。
2016 ガイドライン策定後、アカデミアにおいて様々な改革が行われ、産学連携は新たなステージに突入しようとしています。例えば、アカデミアにおける民間企業との大型(1,000 万円以上)共同研究は、2014 年から の4年間で倍増し、その研究額も約2倍となりました。「2025年度までには金額を 2014年度の3倍にする」という目標が掲げられています。
文部科学省科学技術・学術政策局『 平成30年度 大学等における産学連携等実施状況について』を参考にアカリク作成
2019 年には「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」が施行され、アカデミアが組織的な産学官連携を推進するために体制を整備し、仕組みを構築することなどが努力義務化されました。
2020年6月には、「科学技術基本等の一部を改正する法律」が成立・公布され、「イノベーションの創出」について「科学的な発見又や発明などを通じて、経済社会の変化を創出すること」と新たに定義されました。時を同じくして、2016ガイドラインの追補版が作成され、併せて発表された産学官連携活動をまとめた「大学ファクトブック2020」では、民間企業からの研究資金等受入額において、昨年まで1位だった東京大学の金額を大阪大学が上回ったとのトピックがあったり、様々な動きがみられます。
このようなことから、昨今、産学連携の動きが活発になっており、大きな渦となるであろう事が伺えます。これらの事は、今後研究者のキャリアへも大きく影響し、産官学の垣根を越えた働き方が主流になる時代がやってくるかもしれません。産官学連携の動きを把握しつつ、柔軟に対応することが求められるでしょう。
(文責・高谷翔太)
参考文献
■文部科学省・経済産業省(2016)『産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン』
■文部科学省科学技術・学術政策局『平成30年度 大学等における産学連携等実施状況について』
■内閣府『科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律』
■内閣府『科学技術基本等の一部を改正する法律』
■文部科学省、経済産業省(2020)『産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン 追補版』
■経済産業省『大学ファクトブック2020』
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