修士で就職は有利?学部卒・大学院卒での就職の違い

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現在学生の皆さんは、学部卒で就職するか、大学院で専門的な研究などしてから就職するか迷っているかもしれませんね。就職のタイミングは、その後のキャリアを左右する大きな選択です。

学部卒・大学院卒それぞれのメリット・デメリットを知っておけば、どちらを選ぶべきか決断できるようになりますよ。本記事では、学部卒と院卒の比較と、修士で就職するリスクをまとめました。学部卒で就職か院に進むか悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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迷ったらどっちがいい?学部卒・大学院卒での就職の違い

学部卒と院卒のどっちにするべきか迷うときは、それぞれの違いを比べてみましょう。たとえば年収や待遇、仕事をするうえで求められることが違います。各項目を詳しく見てみましょう。

年収の違いや待遇の違い

まず、学部卒と大学院卒では年収や待遇が違います。厚生労働省の調査によると、学部卒の平均初任給は約21万円、院卒の平均初任給は約24万円です。したがって、新卒の時点で月収約3万円、年収にすると約36万円のひらきがあります。長い目で見ても、院卒のほうが年収は高いといえるでしょう。

参考:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給

また、院卒のほうが学部卒より待遇が良い可能性があります。

これは、院卒のほうが専門性が高く、さらに実績がある場合、基本給に加えて能力給が追加されるためです。そのため年収や待遇という面で考えると、院に進んだほうが有利と考えられます。

求められることの違い

働く上で院卒は主に専門性、学部卒は成長性が求められます。

院卒の場合は、特定の分野において専門的な知識を有しており、課題を見つけたり、仮説を立てたりといった実験に必要な手順も理解しています。そのため、院卒は企業に即戦力として採用される傾向にあるのです。

一方で学部卒はそこまでの経験はないため「企業に入社してから育てていく」という考えで採用されます。若手社員だからこそできる柔軟な考え方や、成長する可能性を見られているといえるでしょう。

学部卒で就職するメリット・デメリット

学部卒で就職すると、年齢の若さが強みになります。一方で、専門的なスキルがなく、一部の職種には受かりづらいというデメリットも。ここからは、学部卒で就職するメリットとデメリットを詳しく解説します。

院卒より2年早く実務経験ができる

学部卒で就職すれば、大学院卒に比べて2年早く実務経験が積めます。ビジネスにおける基本的な知識や仕事において必要なことは、実務をしながら学ぶのが一番です。院に行きながらビジネスの勉強をするよりも、会社に務める経験のほうが自分の身にもなりやすいでしょう。

また、年齢が若いうちに実務経験を積むことで、会社や仕事との相性を見極められます。合わないと感じたら早期に転職することもできるため、学部卒の就職は年齢が若いのが大きなメリットです。

若さやポテンシャルを求める企業が多い

学部卒は成長性を重視されるため、専門的な知識や研究実績がなくても問題ありません。会社に勤める中で課題を解決したり、売上に貢献したりすれば高い評価を得られます。

また若いうちは考え方が柔軟なため、研究を続けてきた院卒よりも学部卒を優先的に採用する企業もあります。企業は社会の変化に合わせて日々変わっていく必要があるため、大手企業では大量に若手社員を採用するところも多いのです。

院進学するときの学費がかからない

学部卒で就職すれば、院に進学する学費がかからずに済みます。大学院の学費はおおまかに国公立の場合2年間で約135万、私立の場合は約180万かかります。決して小さな金額ではないですよね。

一方、学部卒で就職すれば毎月21万円ほどの給料が入り、ボーナスももらえることがあります。一般的な民間企業であれば、年収300万円以上稼げるでしょう。院に進学することで自分自身や親への負担をかけたくないのであれば、学部卒の就職をおすすめします。

高い専門性やスキルでは院卒就職の方が有利

高い専門性が求められる職種を希望する場合は、残念ながら学部卒は不利になってしまいます。大学院に進み研究を積んできた院卒のほうが有利ですし、外資系コンサルなど高い思考力が求められる仕事も同様です。

学部卒は即戦力ではなく、入社してからスキルを高めていく人員として採用されます。

そのため、大手メーカーや外資系企業の就職は院卒のほうが有利なのです。ただ地方にある企業や中小企業なら、学部卒でも採用される可能性はあります。キャリアアップのために中小企業に就職して、経験を積んでいくのも一つの選択肢です。

学校推薦を受けづらい部分がある

専門性が求められる職種では、学校推薦をもらえると選考フローが省略されたり、推薦のみで採用されたりします。しかし高度なスキルがある一部の学生しか推薦状はもらえません。人数枠も少ないため、学部卒よりもスキルや知識のある院卒が優先されます。

ただ、地方にある会社や中小企業なら、学部卒でも学校推薦を受けられる可能性はあります。実際に学部卒で学校推薦を受けた人もいるので、物は試しで申し込んでみると良いでしょう。

院卒で就職するメリット・デメリット

院卒で就職する場合は、賃金の高さや就職のしやすさがメリットとなります。

一方で、学業と両立させながら、就職を進めないといけない大変さもあるでしょう。院卒で就職するメリットとデメリットを詳しく解説します。

比較的学校推薦を受けやすい

院卒であれば学校推薦を受けやすいメリットがあります。一般的な学校推薦は、学科や研究科内の優秀な人が数人選出されます。数年間研究をしており、専門性が高い院卒はその対象になりやすいのです。

うまくいけば書類選考や、一次面接が免除されます。成果が高いとみなされれば、推薦された時点で内定をもらえることもあるようです。推薦を受けられれば就活が短期間で終わり、研究の時間を多く取れる可能性もあります。

学部卒よりも初任給・生涯賃金が高い

前述のとおり、院卒は学部卒よりも初任給と生涯賃金が高くなります。院卒の初任給の平均は24万円で、新卒より3万円ほど高い金額です。

また調査によると、学部卒の男性の生涯賃金は2億9,163万円。一方で院卒の男性の賃金は3億4,009万円となっています。差額は4,846万円と、学歴で生涯賃金にもひらきが出ることがわかります。

参考:内閣府経済社会総合研究所 大学院卒の賃金プレミアム

院に進むと学費はかかりますが、長い目でみると院卒のほうが稼げる可能性は高いということですね。ただ、今後は成果報酬型となる企業が増えていくことが予想されます。どの程度稼げるかは、自分の努力次第で変わることも覚えておきましょう。

専門性が高いため不況時でも就職しやすい

院卒の学生は専門性が高いため、社会経済が不況に陥っても就職しやすいことがメリットです。なぜなら、研究開発を行っている企業は、不景気になっても商品開発を止めることはないからです。

新たな商品を出し続けるために、研究職の採用は不可欠です。不況により採用人数が減る可能性はありますが、それでも他の職種に比べれば影響を受けにくいといえるでしょう。実際にリーマンショックの時も、理系の院卒の就職率は前年とほとんど変わらなかったそうです。

大手企業に採用されやすい

大学院に進むと、大手企業に採用されやすくなります。大学院での研究経験は、社会人になって仕事の忙しさを経験するのと同じくらいの価値があります。学部卒だと社会人生活の忙しさに慣れておらず、途中で心身を壊してしまう人もいます。

しかし長時間の実験や多忙な生活をある程度経験している院卒は、耐性があると重宝されるのです。もちろん、研究を重ねて習得したスキルや知識も高く評価されます。学部卒でも優秀な人材なら採用されるので必ずしも有利ではありませんが、いいイメージを持たれる可能性は高いでしょう。

忙しく就活のスケジュール管理が大変

学部卒で就職するデメリットの一つに、スケジュール管理が大変なことがあげられます。大学院の研究は学部に比べるとスケジュールがタイトなため、学業と並行して就職活動を進めなければいけません。特に忙しい論文の提出時期は、睡眠もまともに取れない日があることも。

研究スケジュールの繁忙期と重複しないようにしながら、余裕をもって選考を受けたり、書類を出したりする必要があります。SkypeやZoomなどのアプリを使い、オンラインの説明会や面談を受けたり、就職エージェントサービスを活用して就職支援コンサルタントのサポートを受けて、効率化を図りましょう。

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学部卒より仕事を認められなければ辛い

院卒は学部卒よりも「即戦力」としての役割を期待されています。そのため仕事を認められず、学部卒のメンバーがいい結果を出していると辛い思いをすることも。企業の進む方向性と考え方が合わなければ、周りから冷たい目で見られることがあるかもしれません。

学部卒は入社後にスキルを高める方針で採用されますが、中には優秀かつ短期で結果を出せる人材もいます。院卒はスキルを持っているとはいえ、学部卒に遅れを取らないよう日々自己研鑽を重ねる必要があるでしょう。

大学院を出たのに就職できないケースは?

院卒であることは就職活動における強みになりますが、理系大学院に進んでも就職できない人がいるのも事実です。なぜ院卒なのに就職できないのか、具体的な理由を解説していきます。

専門外への就職希望など

一つ目の理由は、理系大学院で学んだ分野以外の仕事を希望することです。研究に疲れて、研究職や技術職以外に挑戦したくなる人もいるでしょう。しかし、研究経験を積んだ大学院生が他の分野に行きたいと思ったら、未経験者と同じ扱いになってしまいます。

企業は院生に対して、理系大学院で学んだ研究の知識や、成果を仕事に活かしてほしいと考えています。そのため、文系の学生が多い職種を選ぶと院生時代の成果は評価されにくいのです。

また専門外の分野へ行くとなると、企業の面接官に「一つのことを続けられないのかも」と思われてしまいます。就活において、分野を変えることはマイナス評価につながることもあると覚えておきましょう。

倍率が高い・募集が少ない

二つ目の理由は、募集枠の倍率が高いことや、そもそもの数が少ないことです。技術職や研究職などの理系の採用枠は、文系に比べると数が少ない傾向にあります。大手企業ではそのポストに何百人もの学生が応募するため、倍率が高くなることが予想できます。

ただ昨今では、ITやDXなどのテクノロジー領域が急速に成長しています。文系に比べると、理系の需要はぐんぐん伸びているのです。そのため成長している専門領域の知見を深められれば、内定をもらえる確率を上げられるでしょう。

大学院にいくか、就職浪人どちらがいい?

なかなか就職先が決まらず、大学院に行くか就職浪人するか、どちらがいいか悩んでいる人もいるかもしれません。就職浪人というと、あまり良いイメージを持たない面接官もいるでしょう。ただその間にスキルアップができて、妥協しない精神を評価してもらえる可能性もあります。

大学院に行くことは就職においてメリットが多いですが、進める道がある程度限られてしまうことも覚悟しておきましょう。大学院と就職浪人、どちらが良いかは働きたい分野や志望する職種にもよります。ただ、職場によっては年齢制限がある場合も。自分の進みたい道に行くためにどちらがいいか、よく考えて選択してくださいね。

自分の研究分野や就職先を軸にどちらにするか考えよう

修士卒で就職するか、学部卒で就職するか迷っている人に向けて、それぞれのメリット・デメリットを紹介しました。大学院に進むと、賃金や待遇の面では条件がよくなり、学校推薦などをもらえるメリットがあります。一方で学部卒なら早期に実務経験ができて、ポテンシャルを評価されやすいのがいいところです。

大学院卒と学部卒のどちらがいいという結論はありません。今後も研究を続けて仕事に活かしたいのであれば、院に進むのも一つの手です。色々な職種を試してみたいのなら、学部卒のほうが向いているかもしれません。どちらがいいか迷うときは、研究したい分野や希望する働き方を軸に考えてみてくださいね。

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著者プロフィール

アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

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