仮面座談会 Season4 Vol.3 「みんなの知らない研究室の中」

インタビュー

第3回目は、大学院で垣間見た「研究」のリアルな側面について赤裸々に語っていただきます。

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―研究者О氏問題―

アカリク :去年なにかと世間を騒がせた研究者О氏については、皆さんはどのようにお考えですか。

薬学さん:発表の当初から、О氏の発見の信憑性に疑いを持つ研究者は多かったです。実験結果のデータにもおかしい点がありましたし。でも、考え方としては大変ユニークだったので、応援している部分もありましたね。

農学さん:マスコミの報道の中で実験ノートへの落書きが問題視されていましたが、そういうことはО氏に限らず他の研究者も多かれ少なかれやっていると思いますよ。自分のノートを見返してみても、実験結果のデータを貼り付けて整理しているページの端に感想をちょこちょこ書き込んだり、ちょっとした落書きをしたりしています。実験ノートは世間が思っているほど堅苦しいものではないんです。

薬学さん:「実験ノートに落書きをしてはいけない」という規則があるのなら勿論しません。でもそんな規則は無いわけですから、落書きをするのは別に悪いことではありません。騒ぐところはそこではないですよね。一連の騒動の中でマスコミによる的外れな誹謗中傷の仕方が一番気になりました。

医学さん:実験ノートについては、内容ではなく冊数を問題にすべきだったと思います。1冊しかないというのは明らかに不自然です。普通に実験をしていれば、1年で10冊から15冊くらいは溜まるはずです。

-白衣は着ない!?「研究」のイメージとリアルの間-

アカリク :「理系の研究者」というと白衣を着ているイメージが強いですが、皆さんも日常的に白衣を着用されているんですか?

生物学さん:白衣なんて着ませんよ(笑)。

農学さん:私も白衣なしでバリバリ実験していますね(笑)。

薬学さん:たしかにどんな格好でも実験はできます。

アカリク :でも、皆さんも実際に研究の道に入るまでは「理系の研究者は白衣を着ている」というイメージを持っていませんでしたか?

一同:持っていました。

生物学さん:とはいえ、研究室に入ってすぐにそのイメージはなくなりました。

医学さん:私は、白衣に湧いた雑菌が実験に影響を及ぼすこともあるから着ない方が良いとアドバイスを受けました。

生物学さん :危険な薬品を扱う場合はさすがに白衣を着ますけどね。普段はまず着ません。

アカリク :白衣の他に、当初抱いていた「研究」のイメージと現実とのギャップを感じたことはありますか?

薬学さん:ぼくは「研究」というものは「病気を根絶したい」とか「社会の役に立つためにこの問題を突き詰めたい」という動機で行われているのだと思っていたんです。でも実際は、その研究が世の中の役に立つかどうかは二の次で、所属している研究室の先生の個人的な興味に基づいて研究対象が決定されている場合が多い。その点はぼくの研究理念と大きくずれていたので、はじめは違和感が強かったです。今では大学で研究している以上、社会の要請と乖離してしまうのは仕方がないことなのかなと思っていますが…。

生物学さん :国から研究費を支給されている以上、たとえ分かりやすい利益に繋がらないとしても、大学は基礎研究に取り組む義務があります。でも研究をしてみた結果、それがどうやら社会の役に立ちそうだと分かった場合は、企業と連携するなりして研究の成果を世の中にいち早く還元していく必要はあると思いますね。

アカリク :研究は実際どのように進めていますか?研究室で異なるということはありますか?

薬学さん:実は、ぼくは1度研究室を変えているんです。元いた研究室は先生が完全に放任型で「好きな研究をやっていい」と言われるだけだった。先生の方でもう少し方針を示してくれれば、ぼくもやりやすかったのですが…。結局、抗体についてより深く研究したいという気持ちが出てきた段階で他の先生方とも相談して、現在の研究室に拾ってもらうことになりました。この経験から研究室の方針も各先生によって様々なのだと実感しました。

アカリク :修士のお二人は先生の指示で研究することが多いのですか?

医学さん:私は自分のやりたい研究をしろと言われています。でも研究室の理念は「社会貢献を目指す研究」なので、個人的な興味だけで研究をしている雰囲気ではないですね。

農学さん:私の場合はあらかじめいくつかの研究テーマが用意されていて、その中から興味のあるものを選ぶようにいわれました。私の所属する研究室では研究テーマを自力で設定することはないですね。

生物学さん :研究テーマについては、指導する側も院生のタイプによって対応を変えるべきだと思うんです。研究室に入ったけどなにから手をつければいいのか全く分からないという院生には、先生がテーマを与えて方向性を定めてあげた方がいい。自分の研究方針がしっかりと固まっている院生の場合はある程度放任した方がいい。その見極めをしないまま指導者の方針を一律に押し付けてはいけないと思うんですよね。


いかがでしたか。 研究の意義や研究室によって異なる方針など、皆さんにとってもうなずける部分が多かったのではないでしょうか。 第4回目では皆さんの今後のキャリアプランについて語っていただきます。

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