博士・ポスドク 仮面座談会 Vol.4

インタビュー

前回の続きとして、第四回は「今後のキャリア・夢」の話をお届けします!

数学さん 数学系専攻 博士課程

医学さん 医学系専攻 博士課程

芸術さん 芸術学系専攻 博士課程

環境さん 環境系専攻 博士課程

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今後のキャリア・進路について

アカリク:皆さんはこの先どんな進路を考えていますか?

環境さん:私はたまたま知ったベンチャー企業に就職することになりました。研究を通じて抱き続けていた問題意識を共有できる会社で、今はビジネスの立場から世界を変えられるかもしれない!なんて大きなことを考えていますねー。(笑)

アカリク:でも、そこまで順調に研究が進んでいたのになんで就職をしようと?

環境さん:うーん、一番はこのまま研究を進めることへの違和感ですかね。昨年、科学コミュニティで高く評価され、新聞にも取り上げられるような大きな発見をして、これをまとめれば学位は問題なく取れるだろうし、あとは研究者まっしぐらだ!なんて考えていたんです。でも研究とは関係ない昔の知り合いからは「どうすれば減少を防げるの?」とか「その生物がいなくなるとどんな影響があるの?」とか、聞かれるのは実際にどうするか?という実動の部分ばかり。これまで研究者というのは謎を解明し、一般の人達に問題を投げかけるために存在するんだと自分に言い聞かせてきたんですが、実動部分が抜けたままで果たしていいのだろうか…と、モヤモヤとした違和感が残っていたんです。だったらいっそのことビジネスの立場から現実世界を変えていけばいい、理学ではできないことを行い、ビジネスと理学の架け橋になればいいんじゃないかと。ゆくゆくは学会を乗っ取りたいですね。(笑)

数学さん:今は企業に就職しようと考えています。これまではずっと研究者しか考えてこなかったけど、博士に進学してちょっと考えが変わりました。というのも去年先生がサバティカル(編集注:研究休暇。長いと一年に及ぶ場合もある)でゼミが丸一年なく、先生と会えるのも年に4回位だったんです。その間、私はずっと一人ぼっちで研究を進めなければならなかった。もちろん自分でもいろいろとやるのですが、途中で行き詰まってしまって先生からテーマをもらわないと先に進めない事が多くて…「もしかして自分は研究者に向いていない?」初めてそんなことを考えたんです。その時期はすごく悩みましたが、「研究者にこだわらず、企業に就職しながら好きな数学を続ければいいんだ」と考えるようになって気持ちが楽になりました。おそらく就職先によってこれから何をしていくかは大きく変わると思いますが、どんな道に進むにせよ専門を極めていきたいですね。その分野の専門家を目指し、それを次世代に伝えていきたい。あと研究者じゃなくてもいいから、非常勤で学生に講演とかできたらいいな。数学を活かしていく仕事、たとえば金融やリサーチ、ITであれば画像処理に関する開発とかができるところに就職したいですね。

アカリク:韓国で就職しようとは思わないんですか?

数学さん:日本で就職したいです。理由としてはポジティブ・ネガティブ両方あって、ポジティブな理由としては日本が好きだってことですね。暮らしてみたらとても日本の環境が合っていた。研究に行き詰まった時にぶらりとウィンドウショッピングをするとか。(笑)ネガティブな理由としては、韓国はものすごく就職が難しいんです。就職留年なんて当たり前で、大卒者の三人に一人くらいしか正規雇用で就職する人がいない。募集の仕方もかなり特殊で、独自の筆記試験や合宿面接、専門知識を問う追加試験を行うところもある。それにTOEICも800点くらいは必要で、スピーキングの能力も求められるとか…友達は大学に入ってからも塾に入って英語を勉強していたくらいなんですよ。私は研究で英語を使いますが、正直そんなに得意じゃないんです。今から受験勉強をしてまでも韓国で就職したいか?となると、私はやっぱり違うのかなと。

医学さん:私は来春から医薬品業界で働く予定で、臨床開発の仕事に携わります。博士に進学する時には研究か企業かで迷っていたんですけど、次第に薬を世の中に出すステップに関わりたいなと思うようになったんです。実は数年前に頭皮から膝まで身体中が赤い湿疹だらけになってしまったことがあるんです。最初は帯状疱疹の診断結果だったのですが、お薬を飲み続けても湿疹の拡大がおさまらず、あわてて病院に行ったことがあります。最悪の場合は失明してしまう危険性もあって、抗ウィルスの点滴を打つ等の応急処置をしてもらったんです。でも検査の結果わかったのは薬の副作用によるアレルギーだということ。これまでアレルギーなんてくしゃみが出るくらいでそんな大層なこととは考えていなかったんですが、それ以降、薬の安全性についてとても関心を持つようになりました。私の研究では抗がん剤をがん細胞に投与しているんですが、「いくら研究したところで副作用で実際には使えないようなものがたくさんあるんじゃないか?だったら、研究ではなく治験というより患者さんに近いところから薬を見つめ、世の中に出る薬の安全性を追究したい」と考えるようになったんです。
将来の夢としてはサイエンスに興味のある女子中高大生をサポートすることがしたいですね。私が博士まで研究を続けてこられたのも、年長の女性の方から様々なアドバイスを貰って勇気づけられてきたからなので、これからは後に続く年下の子達にサポートをしていきたいなと考えています。あと35歳までに出産したいですね!

環境さん:え、ご結婚されているんですか?

医学さん:ええ、去年結婚しまして。

一同:おー!(パチパチ)

医学さん:ありがとうございます。(笑)でも来年に就職をするので、最低でも二年は仕事したいですね。夫は早く産んで欲しいみたいですけど、自分のこれからのキャリアとかやりたいことを考えると今すぐ出産というのは難しいですね。できることはカラダの管理くらいかな?

芸術さん:やりたいこととキャリアのバランスというのはたしかに重要ですよね。私は今後のキャリアを考える際に、あらためてこれまでの自分を振り返ってみたんです。これまでは自分がやりたい音楽を第一に考え、それ以外の仕事は単に生活費を稼ぐ手段だと割りきってきました。ただそれを突き詰めていくと、どうすれば生活のための仕事を減らし、自分がやりたいことで稼げるようになるかが重要になってくる。つまり音楽を教えたり演奏会を開催したりすることで採算をとるには、拡大していくにはどうすればいいかという考えが強くなっていくわけで…もちろんそれも大事なことだけれども、そうじゃないやり方もあるんじゃないかな?って。たとえば人や社会に恩返しができるような実感が得られる仕事に就いて生活をしっかり安定させることができれば、採算とかをいったん脇に置いて、本当にやりたい教え方だったり、したいと思っているような活動を行うことができるようになるんじゃないかと考えたんです。こうした活動を続けていけば、いつか誰かとご縁があって音楽で何かができるようになるかもしれない。今はとにかく仕事を通じて上の世代の人達に少しでも恩返しをしていきたいと考えています。


今回の参加者の方ですが、将来の進路への考え方や
キャリアプランも様々で多様性が感じられますね。

次回は、「これから博士に進む君たちへ」をお送りします!

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