インパクトファクターとは?意味・計算方法・目安について詳しく解説!

アカリクコラム
この記事は約8分で読めます。

インパクトファクター(impact factor; IF)とは、学術雑誌の質を計測する指標の1つです。

学術雑誌に学術論文を投稿する際に、この「インパクトファクター」という言葉に出会うことがあるかもしれません。

その際に、インパクトファクターの意味や計算方法、目安などを知っておくと、学術雑誌の全体観をつかみやすくなります。

バナーCV-btn

研究で仕事も充実 院生・ポスドクのための就活サイト

インパクトファクターとは

インパクトファクター(別名:ジャーナルインパクトファクター)とは、自然科学や社会科学の学術雑誌が各分野内でもつ相対的な影響力の大きさを計測するための指標の1つです。インパクトファクターは、米国の科学情報研究所(ISI)の創設者であるユージン・ガーフィールド氏によって1970年代に考案されました。

インパクトファクターは、過去2年間において、その学術雑誌に掲載されたすべての学術論文の引用数をその学術雑誌の掲載数で割ることによって計算することができます。

学術雑誌(別名:学術ジャーナル、学術誌、論文誌)とは、研究者の研究成果をまとめたたくさんの学術論文が掲載された刊行物のことです。学術雑誌は、主に学術団体や大学等が刊行し、市民図書館、大学図書館、国立国会図書館などで閲覧することができます。学術雑誌の読者は、それぞれの分野の専門家が中心になるため、一般書店で目にすることはあまりありません。

研究者は学術雑誌に自分の研究の成果を示した論文を掲載します。学術雑誌に論文が掲載されるためにはその研究に詳しい専門家からの査読を受ける必要があります。査読が行われることによって、その研究の質の高さ、結果や研究手続きの信頼性などを担保します。

そのため、学術雑誌に論文を掲載し研究者としての業績を重ねていくことは研究者のキャリアを重ねていくうえで重要な意味をもちます。

学術雑誌の中にはヒエラルキーが存在し、そのヒエラルキーを決めるのがインパクトファクターのような指標です。ヒエラルキーの中で、最も権威のある学術雑誌はトップ・ジャーナルと呼ばれ、トップジャーナルに論文が掲載されることは、研究者にとって大きな名誉になるだけではなく、大学など研究機関の職位や研究費の支援など実用的な評価にも直結します。

インパクトファクターの計算にはJCR(Journal Citation Reports)というClarivate Analytics社のデータベースが用いられます。

参考:Clarivate (2021)「JCR_2021_Reference_Guide

JCRとは

JCR(Journal Citation Reports)とは、Clarivate Analytics社のWeb of Scienceに収録されている論文ごとの引用、被引用情報のデータベースのことです。JCRの引用・被引用数を学術雑誌ごとに整理し直し集計することで、インパクトファクターを計算することができます。

Web of Scienceとは、Clarivate Analytics社が提供しているあらゆる学術雑誌を収録しているオンラインの学術文献データベースのことです。

インパクトファクターを閲覧するには、JCRの有料会員になる必要があります。インパクトファクターを知りたい場合は、近隣の市民図書館、大学図書館などがJCRを契約していることがあるので、一度確認してみると良いでしょう。

参考:Clarivate「Journal Citation Reports (JCR)
参考:Web of Science Group「Journal Impact Factor – Journal Citation Reports – Web of Science Group
参考:Web of Science Group「Trusted publisher-independent citation database – Web of Science Group

インパクトファクターの計算方法

ここからは、インパクトファクターの計算方法を解説します。

インパクトファクターはWeb of Scienceの過去2年分のデータから計算されます。

例えば、Aという学術雑誌の2020年のインパクトファクターを計算するには2019年と2018年のデータが必要です。以下のようなデータがあったと仮定して実際にインパクトファクターを計算してみます。

  • A誌の2019年の学術論文の掲載数:100本・・・(a)
  • A誌の2018年の学術論文の掲載数:120本・・・(b)
  • A誌の2019年の学術論文100本はほかの学術雑誌から合計何回引用されたか:10回・・・(c)
  • A誌の2018年の学術論文120本はほかの学術雑誌から合計何回引用されたか:20回・・・(d)

上記の4つのデータからインパクトファクターは以下のように求められます。

(2020年のインパクトファクター)=(c + d)/(a + b)

(2020年のインパクトファクター)=(10+20)/(100+120)

(2020年のインパクトファクター)= 30 / 220

(2020年のインパクトファクター)= 0.1363636…

上記の計算方法を一般化すると以下のようになります。

ある学術雑誌のX年のインパクトファクターを計算します。

用意するデータは以下の4つです。

  • (X-1)年の学術論文の掲載数:a本
  • (X-2)年の学術論文の掲載数:b本
  • (X-1)年の学術論文a本はほかの学術雑誌から合計何回引用されたか:c回
  • (X-2)年の学術論文b本はほかの学術雑誌から合計何回引用されたか:d回

このときのX年のインパクトファクターは以下のように計算できます。

(X年のインパクトファクター)=(c + d)/(a + b)

このインパクトファクターの値が高いほど、被引用数の高い論文が多く掲載されている学術雑誌ということができます。

インパクトファクターの調べ方

インパクトファクターを調べる方法は3つあります。

1つ目の方法は、先述のJCRから検索する方法です。

ただし、インパクトファクターを調べることができるのはJCRの有料契約者のみに限られているため注意が必要です。

2つ目の方法は、Web of Scienceから検索する方法です。

Web of Scienceの場合でも、同様にJCRの有料会員がアクセスした場合のみ調べることができます。

3つ目の方法は、各々の学術雑誌を検索してインパクトファクターを調べる方法です。

各々の学術雑誌の公式ページなどにその雑誌のインパクトファクターが記載されていることがあります。

この方法はJCRの会員でなくともインパクトファクターを確認することが可能ですが、学術雑誌によっては、インパクトファクターを公表していないことや数年前の古い情報のままであることもあるため注意が必要です。

参考:トムソン・ロイター株式会社「ImpactFactor_QRC

インパクトファクターの目安は分野によって異なる

インパクトファクターの目安は分野によって異なります。

例えば、医学、分子生物学、自然科学・社会科学・人文科学、物理学の2021年度に発表された2019年から2020年における、著名な学術雑誌のインパクトファクターは以下のようになっており、分野によってインパクトファクターの高さが大きく異なることがわかります。

インパクトファクターについて気を付けるべきこと

インパクトファクターによって、その学術雑誌の被引用数の高さが瞬時に分かるようになった一方で、学術界がインパクトファクター偏重に陥っているという問題もあります。

ここからは、インパクトファクターについて気を付けるべきことについて解説します。

インパクトファクターだけでは、学術雑誌の良し悪しを正しく評価できない

インパクトファクターの値は「過去2年の掲載記事の総引用数÷過去2年の掲載論文数」で求めることができます。インパクトファクターは、ほかの学術雑誌からの引用回数が多ければ多いほど、その値が高くなる仕組みです。しかし、それらの引用がどのような文脈で行われたものであるかはインパクトファクターの値からは分かりません。

例えば、総説論文(別名:レビュー論文)と呼ばれる、あるテーマにおける現行の理解の状態を要約した論文からの被引用数が増えるだけでも、インパクトファクターは上がります。

そのため、インパクトファクターの値が高い(被引用回数が多い)学術雑誌だからと言って一概に「質の高い」雑誌であると言えるわけではありません。

インパクトファクター信仰がもたらす問題

インパクトファクターの高い学術雑誌に掲載されることは研究者にとって、大きな名誉になるだけではなく、大学など研究機関の職位や研究費の支援など実用的な評価にも直結します。

そのため、世界的に著名な学術雑誌に掲載されやすい研究ばかりが行われるようになったという批判もあります。

研究者自身の興味関心が置き去りにされることは、学術界を画一的なものにしてしまう可能性が高まります。

まとめ

インパクトファクターとは、自然科学や社会科学の学術雑誌が各分野内でもつ相対的な影響力の大きさを計測するための指標の1つです。このインパクトファクターを調査することで、その学術雑誌の被引用数の高さや権威を知ることができます。

基本的には、インパクトファクターを調査するためには、Clarivate Analytics社が提供するJCRまたはWeb of Scienceの有料サービスを利用しなければなりませんが、個別の学術雑誌を検索すると、そのインパクトファクターが掲載されていることがあります。

また、近隣の市民図書館、大学図書館等がJCRを契約していることがあるので、一度確認してみると良いでしょう。

インパクトファクターの目安は分野によって異なるので注意しましょう。

最後に、インパクトファクターの気を付けるべきことについて解説しました。

  • インパクトファクターだけでは、学術雑誌の良し悪しを正しく評価できない
  • インパクトファクター信仰がもたらす問題

上記の点について注意したうえでインパクトファクターという指標を利用すると良いでしょう。

アカリクを利用するメリット

17万人以上の大学院生・理系学生の就活をサポート
してきたアカリクならではのサポートが充実!

  • 理系・院生特化のスカウト

    研究内容の登録だけでスカウトが届くため、忙しい研究の中でも効率的に就活を進められます。あなたに魅力を感じた思いがけない企業との出会いも!

  • 分野別の特別イベント

    メーカー、IT、コンサル業界を中心に、大学院生を求める優良企業と出会えるイベントを多数開催!オンライン開催のため、忙しい研究のスキマ時間にも気軽に参加できます。

  • プロに就活相談

    大学院出身のアドバイザーがあなたの就活を徹底サポート!マッチする企業や、推薦応募可能な企業をご紹介。個別のES添削や面接対策も行っており、選考対策もバッチリ!

著者プロフィール

アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

アカリク リポーターズをフォローする
アカリクコラム
お役立ちコンテンツ|アカリク
タイトルとURLをコピーしました