理系は比較的就職がしやすいと言われています。一方、理系に属するにも関わらず、生物系の学生は、就職事情が厳しいという話を聞くことが多いのも事実です。
今回のコラムでは、まず生物系の学生が就職しやすい業界(製薬・食品・化粧品・公務員)を紹介していきます。
一方で、これらの業界は一般的に難易度が高いと言われています。そのため、生物系の就職においては、時に理系分野のみに拘らず、幅広い分野での就職活動を行うことも大切であると言われます。
そこで、生物系の学生が活躍が期待できる、専門分野外の業界群についても紹介していきます。
生物系の学生は就職が厳しい?
一般に、生物系の学生は就職が厳しいと言われるのは事実です。理由は主に以下の2つです。
- 生物分野の求人が少ない
- 研究内容を活かしにくい
理系は、専門知識があり、就職しやすいというイメージがあるかもしれません。しかしこのような話は、多くの求人がある工学を中心とした分野における話です。
一方、同じ理系に分類されるとは言っても、生物学の分野では企業における求人が、工学分野に比べ圧倒的に少ないのです。この原因としては、生物学分野の研究テーマがそのまま活かせる企業が非常に少ないためであると考えられています。
基礎研究は、科学技術の礎となる重要な研究ですが、その多くが大学などの研究機関で行われています。また民間企業における基礎研究は、製品化へいたる道のりが長いため、優先度が下がりがちであるため、求人数も限定されます。
また生物系の学科では、研究内容が生物や植物に関することが中心です。生物や植物に関する業界・業種は限られ、求人の多い化学系・機械系の開発職には研究内容を活かしにくくなっています。
そのため推薦枠も少なく、就職活動に苦戦する学生も出てしまう傾向にもあります。
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生物・バイオ系専攻の学生に人気の業界
いくら就職が厳しいといっても、やはり生物系の研究職に就きたい人は多くいます。過去の卒業・修了生は、下記の業界・業種に就職している人が多いようです。
製薬業界
まず、医薬品の研究開発を行う製薬業界が、活躍先として挙げられるでしょう。
どのような時代においても、医薬品の需要は常にあることから、幅広い分野の学生から人気のある業界です。
特に理系の中でも、薬学部出身者や化学系の分野を専攻している学生の場合、学生時代に培ってきた知識が、製薬業界におけるの研究開発職やMR職として活かせるのではないでしょうか。
食品業界
また、生物系を専攻している学生は、食品業界を志望する人も多いです。
この理由として、食品業界は、扱う商品が人間の食・生命に関わる分野であることから、生物系の学生が就職した後の自身の活躍を想像しやすいという点があるのではないでしょうか。
一方、食品業界においては特に、BtoCと呼ばれる企業群では、その会社の製造する製品の知名度が高く、多くの学生に企業名が知られており、比較的倍率が高くなることもあるので注意が必要です。
化粧品業界
次に、化粧品業界に就職する人も多いと言われています。
最近では、在宅勤務の機会が増え、外出の頻度が少なくなるなどの影響などを受けつつも、やはり安定した需要がある化粧品業界は、女性を中心に人気の就職先です。
日頃から使う物であるからこそ安全性が重要であり、生物系の学生が学んできたこれまでの知識や人体の構造・化合物の働きなどの知識を活かすことができる場面も多いかもしれません。
一方、化粧品業界もまた、知名度のあるメーカーが多いことから、就職先として人気が高く、倍率が高くなることもあるので注意が必要です。
公務員
生物系分野への進学者は、地方公務員として就職を目指し、各都道府県の試験場で活躍している方も多くいます。
各都道府県に、農業試験場や水産試験場をはじめとした研究機関が設置されており、このような機関に就職する人も多いと言われています。一方で注意点もあり、公務員試験に合格しなければならないため、一定の準備が必要になってくるところが挙げられるでしょう。
また、準公務員の扱いとはなりますが、国所管の国立研究開発法人などの公募に応募し、就職するのも1つの道といえるのではないでしょうか。
大学教員
生物系の大学院進学者は、大学教員になる比率も比較的高いです。大学教員の良いところはまず、自分自身が行いたい研究を続けていくことができるところではないでしょうか。
しかしながら、大学教員になるためには、博士号の取得が前提条件になっていることが多いとともに、博士号を取得しても、すぐに大学教員になれるケースは少なく、いわゆる「ポスドク問題」と呼ばれるような、不安定な雇用条件で職に就かざるを得ないことも問題となっています。
生物系の学生が専門以外の幅広い分野で就職するのはあり?
生物系の学生の知識を活かせる下記の業界は、どれも生活に身近な業界であることから、企業の知名度も高く競争率が比較的高いという問題があります。
- 製薬業界
- 食品業界
- 化粧品業界
そこで、業界に拘らず、総合職として就職するというのも1つの道です。「どのような能力」が求められ、「どのような業界」で活躍できるのか見ていきましょう。
生物系の学生が他分野で活躍するために
生物系の学生が専門分野以外で活躍している例が多く知られています。
専門分野以外の企業も視野に入れることで、これまでには考えてこなかったものの「入ってみたい」と思う企業に出会うこともできるでしょう。
また、一般に「文系企業」として呼ばれる企業群においても、理系学生のニーズは高まっているのも事実です。
例えば、商社において食品の原材料取引をする際、専門的知識があることが1つのアドバンテージになることがあるでしょう。他にも、シンクタンクなどにおける市場分析を行う研究者なども、その多くが理系出身者で占められているという場合もあります。
一見文系の物事を扱う職種・業界においても、理系学生が得てきた以下は他の業界でも活かせる能力であり、専門分野以外の企業でも活躍が期待されています。
- 専門知識
- 論理的思考能力やデータ解析力
- プレゼンスキル
総合職就職をするのにおすすめの業界
生物系の出身者は幅広い業界に就職しています。一例は以下の通りです。
- コンサルティング業界:研究で培った論理的思考能力、データ解析力を活かした活躍
- 金融業界:データ収集・分析力を活かした活躍
- メーカー・商社:扱う原材料などの専門知識を活かした活躍
- IT業界:ITと生物や農業の新たな組み合わせを目指している企業での活躍
このように、研究で培ってきた能力や専門知識を活かせる業界というのは、意外と多いのではないでしょうか。
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専門分野のみに拘らず幅広い視野を持つことが重要
同じ理系という括りにおいて、生物系分野は工学系分野に比べると就職が厳しいことは事実です。
生物系分野の能力が活かせる業界は、製薬業界や、食品業界、化粧品業界など、どの業界も就職活動においては人気の高い業界です。
そこで、専門分野に拘ることなく、生物系で学んできた専門知識や能力を活かすことが可能な業界に挑戦してみるのもおすすめです。以下の業界などに視野を広げて活動していくというのも重要なのではないでしょうか。
- コンサルティング業界
- 金融業界
- メーカーや商社
- IT業界