ハッカソン型インターンシップは、就職活動を進める上で一度は参加しておきたい実践的なイベントです。
本記事では、ハッカソン型インターンシップの概要と参加するメリット、成功させるポイントなどをまとめました。
将来、IT業界で活躍したいと考えている理系の学生や転職希望者は、インターンシップ選びの参考にしてみてください。
ハッカソン型インターンシップとは
ハッカソン型インターンシップとは、さまざまな職種を希望する学生と先輩社員がチームを組み、短期間でアプリやシステム開発に挑むプロジェクト形式のインターンです。
ここでは、ハッカソンの名前の由来や種類を詳しく解説します。
ハッカソンとは
ハッカソン型インターンシップの「ハッカソン」とは、Hack(ハック)とMarathon(マラソン)を組み合わせた造語です。
エンジニアやデザイナーがチームを組んで、1日から1週間ほどの短期間でアプリ、システム、技能などの成果物を生み出し競い合うイベントを指します。
優秀な成果物はそのまま新しい事業になることもあり、スピード感を持ってサービスを作ることで新たなアイデアの創出や、チーム間でのノウハウ共有ができる点も大きな魅力です。
ハッカソン自体は、元はアメリカの米国IT企業であるサン・マイクロシステムズ社が提唱したプロジェクトの概念です。インターンシップ以外にもIT企業のコンテストなどで使われ、優勝したチームが賞を獲得することもあります。
ハッカソンの種類
ハッカソンと一言で言っても、その目的や対象者、開催形式はさまざまです。
特に理系の学生にとっては、自分の興味やスキルに合ったタイプのハッカソンを選ぶことが、より実りある体験につながります。
代表的なハッカソンは、次の3つです。
- 一般ハッカソン
- 社内ハッカソン
- 産学連携ハッカソン
それぞれの種類について詳しくみていきましょう。
一般ハッカソン
一般ハッカソンとは、学生や社会人、フリーランスなど幅広い層が自由に参加できるイベントです。
主に、企業や自治体、スタートアップなどが主催し、地域課題の解決から最新技術の活用までさまざまなテーマを取り扱います。
参加者たちは、チームを組んで数日間の集中開発に取り組み、最終日に成果を発表し合うのが一般的な流れです。優れたアイデアや完成度の高い成果物には、表彰や事業化のチャンスが与えられるケースもあります。
理系の学生にとっては、大学では得られない実践的な開発経験を積みながら、企業や他大学の学生とのつながりを広げられる貴重な機会です。
社内ハッカソン
社内ハッカソンとは、企業に所属する社員を対象に実施される開発イベントです。部署や職種の垣根を越えてチームを組み、業務改善や新規サービスのアイデアを短期間で形にしていきます。
既存業務の効率化や新たなサービス提案などを目的としており、組織内のコミュニケーション活性化や技術力の底上げにもつながります。
学生が参加する機会は限られていますが、インターン生を対象にした社内ハッカソンを開催する企業も増えており、実際の開発現場の雰囲気を体験できる貴重なチャンスとなるでしょう。
産学連携ハッカソン
産学連携ハッカソンとは、大学や高専などの教育機関と企業が共同で実施する開発イベントです。
大学側の研究成果や専門知識をもとに、企業が直面している課題に対する具体的な解決策を考えることが主な目的です。
AIや医療、環境、地域活性など幅広いテーマでイベントが開催されており、研究内容や専門分野を活かして実践的な開発に取り組めます。
理系学生にとっては、専門分野の知識を応用しながら、企業の現場感にも触れられる貴重な機会です。参加企業の採用担当者からフィードバックがもらえるケースもあるため、就職活動を見据えた実績づくりにもつながるでしょう。
企業がハッカソン型インターンシップを開く理由
ハッカソン型インターンシップは、学生にとって実践力を試す絶好の機会であると同時に、企業にとっても多くのメリットがあるイベントです。
ここでは、企業がハッカソン型インターンシップを導入する主な理由を詳しくみていきましょう。
実務に近い環境で学生のスキルや適性を見極められる
企業がハッカソン型インターンシップを導入する最大のメリットは、参加者のスキルや適性を実践的な環境で直接評価できることです。
通常、企業は書類選考や面接を通じて学生や転職希望者のスキルや適性を見極めますが、限られた情報や対話だけでは、実践的なスキルや協調性までは正確に把握できません。
しかし、ハッカソン型インターンシップでは、実際の開発業務に近い課題にチームで取り組むため、参加者がどのように考え、動き、周囲と連携してプロジェクトを進行しているかが明確となります。
プログラミングスキルをはじめ、論理的思考力、コミュニケーション能力、リーダーシップなど多面的な力を見極めるのに最適なイベントといえるでしょう。
採用後のミスマッチを減らしやすい
ハッカソン型インターンシップでは、参加者にとって企業の開発環境やチームの雰囲気を実際に体験できる機会です。また、企業側も選考時の面接やSPIでは測れない、学生の価値観や働き方への姿勢、チーム内での関わり方を企業側が把握しやすくなります。
参加を通じて企業と学生が互いの特性や働き方を具体的に知ることで、入社後のミスマッチを防ぐほか、配属後のミスマッチや早期離職のリスク回避にもつながります。
このように、ハッカソン型インターンシップは、採用の質を高め、組織としての定着率向上にもつながる戦略的な採用施策として注目されています。
自社の魅力や技術力を学生に伝える機会になる
ハッカソン型インターンシップは、学生にとって企業の魅力や開発現場のリアルを深く知れる貴重な機会であるとともに、企業にとっては自社の技術力やカルチャーを体験してもらう絶好のイベントです。
ホームページや説明会だけでは伝わりにくい「現場のリアルな姿や魅力」を直接学生に伝えられます。
実際にインターンシップに参加して「この企業で働いてみたい」と感じてもらえれば、採用広報や企業ブランディングの観点からも非常に効果的な手段といえるでしょう。
ハッカソン型インターンシップで得られるスキル
ハッカソン型インターンシップで、短期間でチーム開発に取り組むことで、現場に近いスキルを実践的に習得できます。ここでは、ハッカソン型インターンシップに参加してブラッシュアップできるスキルを詳しくみていきましょう。
技術スキル
ハッカソン型インターンシップでは、大学の講義や個人学習だけでは得られない実践的な技術スキルが身につきます。
たとえば、開発の流れを一通り体験し、業務に近い環境でスキルを磨けるなど、実践的な開発経験を積めます。
短期間でアイデアを形にするなかで、技術的な判断力や最後までやり切る実行力も自然と養われるのもうれしいポイントです。
インターンシップ中に完成度の高いアウトプットが生まれれば、ポートフォリオやエントリーシートに記載できる実績として活用でき、就職活動でも強いアピール材料になるでしょう。
ビジネススキル
ハッカソン型インターンシップでは、ただ開発をするだけでなく、課題設定や価値を提案する力も求められます。
実際のビジネスシーンでは、どれだけ高度な技術であっても、ユーザーのニーズと合致していなければ意味がありません。だからこそ、技術とビジネスの視点をつなぐ思考力が不可欠です。
また、限られた時間で成果を出すためには、「論理的思考力」や「判断力」「プレゼンテーション力」も欠かせません。完成したプロダクトを「どのように魅力的にみせるのか」「どのように伝えるのか」と意識する経験は、ビジネス現場で必要とされるユーザー視点を身につけるためにとても有効です。
チームワーク・コミュニケーション能力
ハッカソン型インターンシップでは、数人のチームで1つのサービスやプロダクトを短期間で開発します。そのため、仲間と協力しながら目標に向かって動くためには、チームワークを意識することが大切です。役割分担やタスク管理、進捗報告などを通じて、他者との連携力や情報共有スキルが自然と身につくでしょう。
短期間で成果を出すには、相手の意見を尊重する姿勢や、自分の考えを簡潔に伝えるといったコミュニケーション能力も求められます。
他者と連携する力やコミュニケーション能力は、研究活動や職場でのプロジェクト進行にも直結する実践力となるでしょう。
ハッカソン型インターンシップへの参加方法
ハッカソン型インターンシップに参加する方法は、次のとおりです。
- 人材会社が開催するイベントへ申し込む
- 就活サイトで検索して応募する
とあるメディアを運営している企業では、毎年ハッカソン型インターンシップを開催しており、優秀な人材がいればそのまま内定につながるケースもあります。
また、大手就活サイトの「インターンシップ検索」でもハッカソン型インターンシップを扱う場合があるので、探してみるのがおすすめです。
ハッカソン型インターンシップはそこまで多くありませんが、インターネットで調べてみると意外と見つかるものです。
なるべく幅広くインターンシップを見るために、複数の就活サイトなどを使って探してみましょう。
ハッカソン型インターンシップで成功するコツ
ハッカソン型インターンシップを成功させるためには、事前準備と積極的なアピールが欠かせません。
ここでは、ハッカソン型インターンシップで成功するコツを詳しくみていきましょう。
事前準備をしっかりする
ハッカソン型インターンシップを成功させるためには、入念な事前準備が必要です。
申し込む際には、事前にどのような内容なのか概要がわかるはずですので、成果物を作れるようスキルを磨いておく必要があります。
たとえばWebアプリを開発するのなら、事前にメジャーなプログラミング言語を一通り勉強して、開発の流れを知っておくとよいでしょう。
実際に自分でアプリを開発すれば、どのような手順を踏めばいいかイメージがつきやすくなり、本番でもスムーズに企画を遂行できるはずです。
積極性をアピールする
ハッカソン型インターンシップでは、積極性をアピールすることも大切です。
企業は、インターンシップを選考の一環として学生を評価します。
たとえば、皆で出し合った意見を簡潔にまとめてリストを共有するなど、プロジェクトをスムーズに進めるためのアクションを起こしましょう。
ハッカソン型インターンシップでは、スキル面だけでなく協調性や仕事への意欲、コミュニケーションスキルも見られています。
強みを評価してもらえるよう、自ら積極的に行動してプロジェクトに貢献する姿勢が、内定獲得に直結するケースもあります。
まとめ
今回はハッカソン型インターンシップの概要やメリット、失敗しないためのポイントを紹介しました。
本文の内容をもう一度おさらいしましょう。
- ハッカソン型インターンシップとは、チームを組んでアプリやシステム、技能などを競うイベントのこと
- 企業は就活生が自社に合う人材かどうか見極めたり、自社の技術を知ってもらったりするためにハッカソン型インターンシップを開催する
- ハッカソン型インターンシップに参加すると、楽しみながら成長できて自身のスキルアップになる
- ハッカソン型インターンシップに参加するためには、企業のサイトや就活サイトのインターンを検索するのがおすすめ
- ハッカソン型インターンシップを成功させるためには、事前準備と積極的なアピールが不可欠
ハッカソン型インターンシップは、他では得られない密度の高い実践経験ができる貴重な機会です。
企業との相性を確かめて、自身のスキルを上げるために、ぜひ一度参加してみてください。
なお、インターンシップを選ぶポイントやその他の業界でのインターンシップについてはこちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。





