内定者インタビュー
明確なビジョンを相手に与えよう
製薬企業研究職 内定
研究分野 生物系
薬学系研究科 薬科学専攻 博士後期課程
T. S. さん
就職活動を始めたのはいつからですか?
9月の終わりから。
同期がインターンのESを書いていると聞き、焦り始めました。製薬企業の博士枠は年々採用募集開始時期が早まっており、この時期から始めたのは正直遅すぎたと感じましたし、実際に募集が締め切り間近の企業もありました。
インターンや本選考に関わらず、まずはどの企業がどのような選考を何時からするか、インターンは本採用に直結するか、どのようにESを書く方が良いのかを調べ、そして自己分析を行い、それらをESにしっかりと反映させるフローを踏むことを考えて動くことが大切だと思いました。そのため夏頃から情報収集や活動は始めておくべきだったと。選考が早かった企業のESや面接では正直準備不足だと痛感した企業もありました。
また、経団連に則らない博士採用の時期は前年と大きくずれるパターンもあるため、先輩から情報を貰う以上に、自分でアンテナを張っておく必要があります。
どのような軸で企業を見ていましたか?
(1)創薬型製薬企業、(2)希望疾患領域、(3)自己成長 の3点で見ていました。
(1)と(2)は私の過去の経験から強い志望動機になっていたため、この2点に当てはまらない企業に対しては基本ESすら出していません。
一方で創薬は難しい仕事であり業界を取り巻く環境も変化が激しいことから、自己成長が必須であり、各社での(3)の指数が高いかは重要視していました。(3)の指数の中で特に考慮した点は海外との技術と創薬提携、チャレンジング文化、社員の人間性、創薬基盤力、持ち前の技術などですが、特に社員方々の人柄と私自身との相性は重視しました。
当たり前ですが、仕事はワンマンショーではなくチーム活動であり、相互尊重なくして成り立たず、私が安心してのびのびと自分らしく仕事が出来る環境でなければ最大限のパフォーマンスは発揮できないと考えているからです。
就職活動と研究の両立はどのようにされましたか?
正直なところ、両立できませんでした。
10月に数か所OB訪問し、11月にESを練り始めて且つTOEICの勉強をし、その後選考が激化する12月からは発表資料作りや面接練習、WEBテストの勉強に時間が割かれたためです。その結果、12月上旬から内定をいただく1月末まで丸2か月一切実験できませんでした。
就職活動に関しては教授が理解のある方でしたし、また私も就活前に2本ファーストで論文を出し、かつ追加で数本論文を出す目途が立つくらいに頑張ってきたことから、実験のお休みの許可をいただくことが幸いにもできました。
9月末から少しずつ活動し始めるとこのようになってしまうので、実験との両立を目指すならもっと前から企業の傾向を調べ、ESの精査を少しずつ始める必要があります。
就職活動の中で、一番努力したことはどんなことがありましたか?
(1)WEBテスト
WEBテストの成績をある程度重視する企業はテストセンターでの受験が要求され、一部は会場での試験を課されるため、しっかりと事前に勉強して対策を練る必要があります。外資証券、金融業界より足切りラインは厳しくはないようですが、実際WEBテストで切られる例も多いので油断は禁物です。
(2)自身の研究の展望
研究に関して次の一手を考えることは院生なら誰もが行っていることですが、論理的に正しいか、斬新か以上に企業では創薬へのアウトプットが求められると感じています。自身の研究の強み弱みをしっかりと把握した上で現在の創薬トレンドを理解し、今後の技術発展に私の経験がどう活かせるかを考えると同時に、それが患者目線かどうか、ビジネス的に可能かどうかまで思考を巡らせました。
どのような内容で企業へ自己アピールをしていましたか?
ESには粘り強さとチームを率いた経験を、口頭では主にチームワークと今後企業で取り組みたいことを伝えていきました。
アカデミアとは異なりチームを組んで仕事をすることが当たり前の企業では、周りの人と常に切磋琢磨していくことが求められていると考えているので、過去のリーダー経験をベースにそこから学んだことや現在実践していること、今後も積極的に人と関わっていきたいことを熱意を込めて話すことを大事にしました。
そして、自分が企業でどのような活躍をするのか、明瞭なイメージを目の前にいる面接官に与えることも重要だと思います。私の場合、大学での研究の強みが今後の創薬トレンドにどう関係していけそうか、会社のどのツールを使えば面白い創薬が出来そうか、事前に興味を持った分野について深く調べて口頭ではアピールをしました。
内定先への決め手は何でしたか?
社員の方の人柄。
同業他社と比べてグローバル志向が強く、多くの提携先の国外企業で最先端の技術を学びながら深い創薬が出来そうだと感じたことが一番強い動機でしたが、企業の方の明朗快活で話しやすい人柄が内定に後押ししてくれました。先述の通り自分は「誰」と仕事をするかを重要視していました。しかし、内定先の企業の面接では余計な緊張感に苦しむことなくありのままの自然体で臨むことが出来きました。面接官の方も素の自分を評価して頂けているような反応だったため、この企業でなら変なストレスを抱えることなく安心して私の考えなどを発信し、周りの人を巻き込んで仕事に打ち込めるだろうと強く思うことが出来た点が決め手でした。
就職活動の中で最も印象的なエピソードを聞かせてください。
(1)締め切り1か月以上前にインターンの席が満席
某製薬企業のインターンは募集開始から3か月後に締め切りを設けていたみたいでしたが、3週間後に確認した時には席が満席になっていたと後から聞きました。幸いなことに締め切り4日前にキャンセルを見つけて滑り込むことが出来ましたが、情報収集の遅さを痛感しました。
(2)内定者のレベルの高さ
別大学の就活生らと交流していると様々な企業の内定者の情報を得られることが少なからずありますが、中には一流雑誌への論文投稿経験や臨床医とのパイプを持つ学生、既に完成された創薬プランを持つ学生など舌を巻かざるを得ない内定者も多かったです。こういった学生には企業も一般採用ルートから外して早期内定を与えたりしていたと聞いています。大手製薬企業は段違いにレベルの高い学生もライバルになることをやはり覚悟した方がよいかと。
就職活動をしている大学院生へのメッセージをお願いします。
就活をしている中で最も強く感じたのは、自分のビジョンを明確に描くことの重要さでした。
大学にいると目の前の研究に没頭しがちになりますが、企業では仕事の社会的インパクトや今後のトレンドを見通す力が必要になり、選考でしっかりとみられるポイントでもあります。
また、自分が絞り込んでいた製薬業界は採用人数を減らしつつあるため、非常に倍率が高くなっています。私は非常に幸運でしたが、本来ならばもっと視野を広く持つべきだったようにも思います。
研究室から少し目を離し、どんな業界でも自分がどの様に活躍できるかをしっかりと考え、日ごろの生活や研究内容と上手にリンクさせることが出来れば、認めてくれる人は必ずいます。頑張ってください!
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