大学院生が就活で差をつける方法とは?内定獲得のための準備ポイント

就活ノウハウ

大学院生の就活では、研究との両立や専門性の伝え方など、学部生とは違った悩みを抱える方も少なくありません。しかし、早めに準備を始めて行動を起こせば、研究経験を強みに変えて就活を有利に進められます。

この記事では、大学院生や研究者の就職支援に特化したサービスを提供しているアカリクがこれまでの支援実績で得た知見をもとに、自己分析の方法や研究経験のアピール、情報収集のコツ、陥りやすい落とし穴とその対策、そして今から実践できる行動ポイントを整理しました。大学院生はもちろん、学部生にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。

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大学院生が就活で差をつけるステップ

就活はやるべきことが多岐にわたります。そのため、すべてを同時に進めようとすると負担が大きく、思うように成果につながらないケースも少なくありません。

内定を獲得するためには、大学院生ならではの研究経験や強みを整理しながら、段階的に準備を進めていくことが大切なポイントです。

ここでは、自己分析から企業理解、研究経験のアピール方法まで、就活で一歩先を行くためのステップを紹介します。

コア能力を手がかりに自己分析する

大学院生は専門性や研究内容に注目しがちですが、実はその基礎となっているコア能力は汎用性が高く、企業で活躍する社会人が身につけているものです。

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大学院生の持つコア能力を詳解していくと、知的職務の遂行能力、相互的な情報共有能力、管理計画能力、個人的な資質、実務的な職能開発といった分類ができ、次のようなリストが出来上がります。

◆知的職務の遂行能力(研究者の基本的な能力)
・知識と専門性:高度で専門的な知識体系を有する
・問題解決:問題を発見し解決する能力を有する
・研究手法:適切な方法で研究を遂行する能力を有する
・研究倫理:規範を遵守し信頼できる倫理観を有する
・越境活動:産官学連携や学際的な活動を行う観点を有する

◆相互的な情報共有能力(コミュニケーション能力)
・情報リテラシー:情報を収集し取捨選択する能力を有する
・論文作成:学術論文を執筆し刊行する能力を有する
・情報発信:相手に合わせて情報発信する技術を有する
・社会への参与:実社会の問題を認識し社会貢献の観点を有する
・社交性と関係構築:専門家として人間関係を構築する能力を有する

◆管理計画能力(マネジメントスキル)
・自己管理:自己の活動を管理する能力を有する
・人員と資源:人員や資源などの管理能力を有する
・進捗管理:プロジェクトの進捗を管理する能力を有する
・キャリア設計:キャリア形成を長期的に管理する能力を有する
・危機管理:未然に危機を防ぐ対策を講じる能力を有する

◆個人的資質(人間的な魅力)
・創造性と革新性:創造性と革新性を発揮する能力を有する
・共同作業:他者とともに共同作業の能力を有する
・熱意と誠実:課題に対して意欲的に取り組む姿勢を有する
・リーダーシップ:周囲を適切に先導する技術を有する
・多様性と公平性:多様性と公平性の観点を有する

◆実務的な職能開発(高度な社会人スキル)
・国際的影響力:国際的に影響力のある実績を有する
・競争的資金と受賞:競争的資金の獲得や受賞などの実績を有する
・交渉力:高度専門職業人としての交渉力を有する
・実務的訓練:実務的訓練や実地研修などの経験を有する
・指導と監督:他者に対して実務的に補助する能力を有する

大学生の場合は能力や実績が足りずアピールできない項目が多々ありますが、大学院生であれば程度の差はあるとしても自分自身の経験について語ることができるのではないでしょうか。

このなかから自分をアピールするのに適した項目をいくつか選び、その根拠となるエピソードや実績を可能な限り洗い出してみましょう。エントリーシートや面接での自己PRでは、最終的にこれらの情報を「ストーリー」として理解できる形に仕上げることが肝心です。

自己PRの内容が適切かどうかについては、専門分野について知らない家族や友人に協力してもらうのが最も効果的です。相手に理解してもらうことがコミュニケーションにおいて大切なことであり、自分が言いたいことを言うだけなのはただのスピーチです。目安として理想的には頭の良い中学生が理解できる程度の内容でまとまっていると良いでしょう。

研究経験を内定につながるアピールポイントを考える

大学院生にとって最大の強みは、これまで積み重ねてきた研究経験にあります。

しかし、面接やエントリーシートで「研究テーマ」の内容をそのまま言葉でまとめても、企業の採用担当者には伝わりにくいことがあります。重要なのは、研究内容そのものではなく、その過程で培った能力をアピールに変えることです。

たとえば、仮説を立てて実験計画を練り、試行錯誤を繰り返して結果を得た経験は、課題発見力や問題解決力を伝えるポイントとなるでしょう。また、膨大なデータの整理や統計解析を行った経験は、ビジネスに直結する分析力として評価されます。さらに、論文執筆や学会発表の経験は、専門知識を分かりやすく伝える力や協働力をアピールできます。

研究内容を専門外の人にも分かる言葉に置き換え、自分の強みを社会での行動や成果につながる形で整理してください。そうすることで、研究経験がそのまま内定につながるアピールポイントとなるでしょう。

業種・職種・企業の理解を深める

自己分析が進むことで、自分に合っているかもしれない仕事が垣間見えてきます。そのイメージを持ちながら四季報や就職情報サイトを利用すると、業種や職種への理解が深まり、企業ごとの違いについて気付くことができるようになります。そして理解が深まることによって志望動機が出来上がってきます。

就職情報サイトにも相性というものがあり、業種や職種によって使い分けていくことが重要です。例えば、大手就職情報サイトには30,000社ほどの求人情報が掲載されていますが、すべての企業や団体の情報が掲載されているわけではありません。特に、ニッチな分野で活躍する研究開発型ベンチャー企業、コンサルティング事務所、シンクタンクは大規模なナビサイトでは情報が埋もれてしまいがちです。さらに、研究員や大学教員の募集などの情報は一般的な企業の求人募集とは別の探し方をする必要があります。

総合タイプの就職情報サイトを利用する場合は、検索する条件や目星をつける基準を先に考えておかないと、膨大な情報に圧倒されて時間を浪費してしまいます。例えば、修士課程の大学院生であっても、「博士の採用を明言している」あるいは「修士と博士で待遇に差をつけている」ような企業を探すと概ね良い結果を得られます。博士という存在を採用対象として認識している企業は、修士のことも学部生とは別格として扱う傾向にあるためです。

特化タイプの就職情報サイトを利用する場合は、掲載社数が少ない傾向にあるため、検索条件は広めに設定し、該当する全てに目を通して比較検討するのが定石です。化学メーカーの求人でも機械工学を専門とする方を最優先で採用しているケースや、プログラミングよりも物理や数学に精通していることを重視するIT企業も存在するため、全てを確認すべきなのです。

特化タイプの例
JREC-IN
・科学技術振興機構が運営するキャリア支援ポータルサイト
・大学をはじめとする公的機関の研究系公募求人が大多数を占める
・一部だが民間企業の研究開発職の公募求人も掲載されている

アカリクWEB
・大学院生(博士・修士)ポスドク専用の就職情報サイト
・高度な基礎能力や、特定の専門能力を求める企業の求人を探しやすい
・関連サービスの「就職エージェント」では非公開求人を取り扱っている

業種や職種、そして個別に企業について理解を深めていくなかで、改めて自己分析を行うことも有効な手段です。仮説は往々にして誤りであったり、修正が必要となるものですので、何度も繰り返して精度を高めていきましょう。

自分と似た内定者から実体験を聞いて参考にする

もし就活をしていた先輩や内定を持っている同期が周りにいれば、どのように就活を行ったか聞いてみることも大切です。研究分野や志向性などが自分と近い人の実体験は参考になります。ただし、参考にはしても、そのまま自分に当てはめて考えなしに動き出すのは危険です。特に学ぶべきなのは、「どんな考え方で企業を選んだのか」「アピールに困った点は何か」といった項目になるでしょう。

より多くの内定者の声を聞くためにインターネットを活用するのも有効でしょう。最近では大学院生による就活ブログなどもたくさん開設されているので、そういったところから生の情報を得ることもできます。

アカリクでも「内定者インタビュー」のようなコンテンツを用意していますので、役立てていただければと思います。

自分のキャリア計画案を書き出してみる

最初は理想的なライフプランでも構わないので、5年後と10年後の自分を思い描いてみましょう。そこから現実的な内容へとすり合わせていく過程で、「いま何をすべきか」「1年後までの計画」も少しずつ形となってきます。

また、最初に就いた仕事が一生続くケースは稀で、現在では特に転職が身近になっていることから、同じ会社で一生を終えることも珍しくなっていくでしょう。その前提で「ファーストキャリア」で何を達成して、どのような「セカンドキャリア」で活躍するか、といった考え方をするのが現状では適しているでしょう。

例えば、大学院で物理学を修めたと仮定して、ファーストキャリアで数年間を技術者として製品開発に従事して、ものづくりや市場原理について学びつつ、物理現象への深い知見から製造工程の見直しで力を発揮するとします。その先には色々な可能性があり、セカンドキャリアとして同じ会社で製造部の管理職を目指してより大きな開発や計画に携わったり、あるいはコンサルタントに転職して製造工程の改善を行う仕事に就くかもしれません。

最終的には、自分の価値観に合い、やりがいや社会的意義を感じられるキャリアを目指すことが重要です。5年後や10年後の自分を描くことで、そこに辿り着くために必要な過程を確認して、その差分を埋めるために必要なことを把握することが肝要です。

※大学院生・ポスドクの皆さんへ※
最終年度も実験や論文で忙しいという方は、アカリクが提供している「就職エージェント」をご利用いただき、コンサルタントとともに進路を考えることもご検討ください。各種サービスはクライアント企業からのコンサルティング手数料等で運営しているので料金はかかりません。

大学院生が就活で陥りやすい落とし穴と対策

大学院生は研究や学会に時間を取られる分、就活への意識が遅れたり、専門性の伝え方に悩んだりしがちです。その結果、せっかくの強みを十分に活かせないまま選考に進んでしまうケースも少なくありません。ここでは、大学院生が就活で陥りやすい典型的な失敗例とその対策を詳しくみていきましょう。

研究に集中しすぎて企業研究が不十分になる

研究に没頭しているうちに、論文や実験、発表ばかりに時間を割いてしまい、企業研究や業界研究が疎かになってしまうケースも少なくありません。

企業がどのような事業をしているか、自分の研究がその企業でどう役立つかといった視点が欠けてしまうと、どうしても志望動機が浅く見えがちです。

企業研究が不十分にならないための対策方法は、次のとおりです。

  • 時間を区切って予定を組む
  • 企業説明会や業界セミナーに参加する
  • OB・OG訪問を活用する
  • 企業研究ノートを作る

これらのポイントを意識して企業研究を進めることで、「研究しか語れない人」ではなく、「企業理解や志望理由をしっかりと持った人材」として差別化できるでしょう。

専門用語ばかりで自分の強みが伝わらない

研究内容を語るとき、専門用語や学術的な表現をたくさん盛り込みたくなる人も多いでしょう。しかし、すべての採用担当者があなたの専門分野の知識を持っている訳ではありません。そのため、難しい言葉ばかりを羅列してしまうと、あなたの強みを十分に伝えられなくなるでしょう。

専門用語を使いすぎないためにも、次のような工夫を意識してください。

  • 結論ファーストで伝える
  • 専門用語をかみ砕いて説明する
  • 成果や数値を意識する
  • 聞き手の知識レベルを想定する

このように、ただ専門性をアピールするのではなく、相手にどう伝わるかを意識して話すことで、「研究経験の高さ」とともに「あなた自身の強み」として評価されやすくなります。

志望先を絞り込みすぎて選択肢を失う

大学院生のなかには「大学院での研究内容に近い」「自分の専門が活かせそう」という基準だけで志望先を狭めてしまう人も少なくありません。

しかし、特定の業界や職種を志望先を狭めすぎてしまうと、就活を始める時期や景気の変動などによっては、内定を獲得できなくなる恐れが高まるでしょう。

このような事態を避けるためにできる対策は、次のとおりです。

  • 第一志望と似た企業を複数リストアップしておく
  • 複数業界をリサーチして、興味や強み、将来性から業界を絞り込む
  • 譲れない条件をあらかじめ定め、軸をぶらさずに就活を進める

このような意識を持ちながら就活を進めることで、志望先の幅を広げながらも、自分のキャリアに一貫性を持って活動できます。結果として、思わぬ業界や企業との出会いがチャンスにつながるでしょう。

就活スケジュールを軽視して準備不足に陥る

就活スケジュールを甘く見ていると、研究や授業、発表との兼ね合いで多忙を極め、就活の準備が疎かになる恐れがあります。特に修士1年の春から夏の時期、そして学会発表・論文投稿の締切が近づく時期は忙しくなりやすいため、注意が必要です。

準備不足に陥らないためにできる対策は、次のとおりです。

  • 大学院でのスケジュールをあらかじめ把握し、就活のタスクを前倒しで進めておく
  • 「自己分析・業界研究・書類準備・模擬面接」とタスクを細かく分けて準備をする
  • 指導教員・ゼミ仲間・キャリアセンターなど、周囲のサポートを活用する

これらを意識して動けば、準備が整っていないことによる「見落とし」や「手詰まり」を防げます。余裕を持って対策を進めることで、自分の強みをきちんと発揮しながら就活を進められるでしょう。

院卒は有利と過信してしまう

大学院を修了していることは確かに大きな強みではあるものの、院卒というだけで選考で有利になる訳ではありません。これは、企業が期待するのは学歴だけでなく、研究内容・スキル・伝え方・適応力など、多面的な要素であるためです。たとえ専門的な研究をしていても、それが企業のニーズとマッチしなければ、アピール材料として十分ではないケースも少なくありません。

院生がより有利に就活を進めるポイントは、次のとおりです。

  • 自分の研究について具体的に語れるように準備をする
  • 仕事内容・必要スキルが自分の専門と合っているかを見定める
  • 企業研究、業界理解、面接練習などの準備を怠らない
  • 専門性・研究実績以外の強み(論理的思考、コミュニケーション能力、問題発見・解決力など)をアピールする

院卒であることは、あくまでスタート地点にすぎないと捉え、内定獲得に向けた準備を徹底していきましょう。

大学院生が内定獲得に向けて実践したいポイント

大学院生が就活で成果を出すためには、早めの行動と準備が欠かせません。

特に次のポイントを意識すると、内定獲得に向けた準備を着実に進められるでしょう。

OB・OG訪問やキャリアイベントで情報を集める
エントリーシートや履歴書を早めに練習する
模擬面接で伝え方をブラッシュアップする
キャリア支援サービスやエージェントを活用する

特に「どのように研究経験を企業にアピールするか」や「自分に合う業界・企業が分からない」といった悩みは、専門的なサポートを受けることで効率的な解決につながります。

アカリクの就職エージェントでは、大学院生やポスドクに特化したキャリア支援を行っており、非公開求人の紹介や個別面談を通じて、一人ひとりの強みを最大限に活かせる就活をサポートしています。誰でも無料で利用できるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

大学院生の就活は、自己分析や研究経験の言語化・企業理解など、さまざまな準備が必要です。しかし、一人ですべてを完璧に進めるのはとても難しく、行き詰まってしまうこともあるでしょう。

そんなときには、大学院生のキャリア支援に15年以上携わってきたアカリクの就職エージェントを活用しましょう。専門コンサルタントとの面談や非公開求人の紹介を通じて、自分の強みを最大限に活かして、納得のいくキャリアを築きましょう。

アカリクを利用するメリット

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著者プロフィール
アカリクお役立ちコンテンツ編集部

株式会社アカリクの15年以上にわたる大学院生・ポスドク・研究者のキャリア支援活動の中で得た知見やデータをもとに、編集部員が記事を執筆しています。

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