理工系学生の就活で気になるものとして、学校推薦や教授推薦があります。推薦してもらえば必ず合格するのか、メリットやデメリットにはどんなものがあるのか、内定後に辞退してもいいのかなど、さまざまな疑問があることでしょう。
今回は、この教授推薦について、詳しく解説します。就活は自分の生き方に大きく影響する大切な問題です。納得のいく就活となるよう、慎重に考えていきましょう。
教授推薦とは?
就職活動をする際の応募方法には、大きく分けて2種類があります。
自分で企業に応募する「自由応募」と、大学や研究室からの推薦による「推薦応募」です。高校や大学などの入試に「一般入試」と「推薦入試」があるのと同じように考えておくとよいでしょう。
推薦応募は工学系や化学系のメーカーが研究開発職や技術職で多く採用しているため、特に工学系の学部・大学院や研究室に推薦枠があることが多く、同じ理系でも生物系や薬学系などでは少ないようです。
推薦応募のうち、研究室の教授に推薦状を書いてもらって応募するものを「教授推薦」といいます。この中には、大学として研究室ごとに推薦枠がある場合や、教授個人が特別に企業とのつながりを持っていて推薦枠がある場合、また自由応募後に研究室の教授の推薦状を求められる場合などがあります。自由応募後の推薦状については、学生の内定辞退を防ぐ目的のケースがあり、慎重に対応する必要がありそうです。
学校推薦と教授推薦の違い
学校推薦(または大学推薦)は、大学が専門領域の知識を持つ学生の就職を企業に推薦する仕組みです。企業にとってのメリットは、専門的な知識や技術がある優秀な人材を確保できること、学生にとってのメリットは、就活にあまり時間を割くことなく研究に打ち込め、身につけた専門知識を活かせる職種につけること、また、大学にとってのメリットは、卒業生の進路を確保できること、などになります。
このような学校推薦の仕組みは、大学と大手企業との信頼関係にもとづいて形作られてきたものです。学校推薦で応募する場合は、大学のキャリアセンターや就職課、担当教授などを通じて行います。
大学ではなく教授自身に企業との強いコネクションがあり、推薦枠を持っている場合もあります。また、学校推薦のうち、研究室ごとに推薦枠がある場合にも、教授に推薦状を書いてもらうようになります。これらが教授推薦です。
教授推薦のメリットとデメリット
推薦入試と同様、教授推薦にもメリットとデメリットがあります。その両方をしっかりと把握したうえで、教授推薦を利用するかどうかを判断するようにしましょう。
教授推薦のメリット
教授推薦には3つの大きなメリットがあります。
1つめは、企業が求めている専門性を持った人材をマッチングさせる仕組みであるため、自由応募に比べて合格率が高いことです。
2つめには、選考過程のうち、書類選考や一次面接などが免除され、短期間で就活が終わることが挙げられます。研究に多くの時間を割く必要がある理工系学生にとって、就活にも時間をかけなければならないのは大きな負担です。特に地方の学生にとっては、対面での面接がある場合は就活にかかる交通費や宿泊費もかなりのものとなりますが、就活の期間が短縮すれば、時間的にも金銭的にも負担が軽減されます。
3つめは、入社後に自分の専門性を活かした研究開発職や技術職など希望する部署へ配属される可能性が高いということです。
また、教授のコネクションによっては、自由応募にはない魅力的な求人があるケースも。教授推薦にはさまざまなメリットがあるのですね。
教授推薦のデメリット
メリットがある反面、教授推薦にもデメリットがあります。
まず、挙げられるのは、応募できる企業が限定されることです。教授推薦で応募できるのは、当然大学や教授に求人がきた企業に限られます。教授推薦しか検討しない場合には、企業選択の幅が狭くなってしまいます。入社したい企業がある場合には、自由応募も視野に入れておくほうがよいでしょう。
もう1つ重要なのは、内定後の辞退あるいは就職してすぐの退職が心情的に難しいことです。教授推薦や学校推薦は、研究室と企業の信頼関係によって成り立っています。内定をもらったのに辞退する、入ったのにすぐ辞めてしまうとなると、これまで培われてきた信頼関係が損なわれ、その後の学生の推薦に影響が出ることもあります。
推薦状をもらっても、落ちることもある
また、教授推薦を利用して応募すれば必ず合格する訳ではない、という点にも注意しておいてください。前述のように合格率は自由応募と比べて高いものの100%ではありません。
企業や大学、研究室によって、教授推薦の合格率は異なっているのが現状です。推薦をもらえれば合格できると過信せずに、キャリアセンターや担当教授に過去の合格率や合格した先輩の事例などの情報を問い合わせ、入念に準備して採用試験本番に臨みましょう。
面接対策をしていなかった場合
教授推薦では一部の選考プロセスが免除されるとはいえ、エントリーシートや面接が課される場合も少なくありません。
特に面接は、企業が学生の人となりを判断する重要なプロセスです。プレゼン能力があるか、またその会社の事業内容を理解しているかなど、専門性だけではなく社会人としての姿勢を問われます。きちんと受け答えができない場合には、就職の意欲や適性がないと判断され、不合格となることもありますので、十分な面接対策をしておきましょう。
大学の成績が悪かった場合
教授推薦を利用するためには、一定の成績基準を満たしている必要があります。推薦を希望する学生が多い場合には、研究室内で選考して、推薦する学生を絞りこむこともあるでしょう。そのようなケースでは、学部や大学院での成績のよい学生ほど選ばれやすくなります。
何とか教授推薦をもらえた場合でも、企業から大学の成績が不十分であるとして書類選考で落とされることもあります。
つまり、推薦入試と同じように、推薦で就職したいと思っている人は、学部生のときから真面目に勉強してよい成績をおさめておく必要があるのです。
教授推薦をもらった場合、内定辞退はできる?
教授推薦をもらった場合、基本的に選考辞退や内定辞退、就職後の早期退職はできないと覚悟しておいてください。
企業と教授との信頼関係に基づいて行われているのが教授推薦です。教授は忙しい時間を割いてその学生のために推薦状を書いていますし、企業は学生の採用のために、多くの時間と費用、人材を使っています。内定後の辞退や早々の退職は、これらを無にする行為となってしまうのです。その後の教授推薦にも大きな影響を及ぼしたり、単位取り消しや留年といった教授とのトラブルに発展したりすることもあります。
推薦状をもらうことは、教授と企業に対して、合格すればその企業に必ず入るという意思表示をしていることになります。教授推薦を利用するかどうか、十分に検討し、慎重に行動しましょう。
まとめ
・企業への応募方法には自由応募と推薦応募がある
・推薦応募のうち、大学に推薦枠があるのが学校推薦、教授に推薦枠があるのが教授推薦
・教授推薦のメリットは「合格率が高い」「就活期間が短い」「希望する部署への配属の可能性が高い」
・教授推薦のデメリットは「企業が限定される」「辞退できない」「必ず合格する訳ではない」
・内定辞退は教授と学生とのトラブル、企業と教授とのトラブルになりかねないため、推薦状をもらう前にしっかりと検討する必要がある
就職は人生の大きな決断のひとつです。自分の適性や専門性、その企業で働く意味などを慎重に考えて、教授推薦を利用するかどうかを決めてくださいね。