Cloud LaTeXを語る ―リニューアル開発秘話―(2)

インタビュー

ー 今はどのようなお仕事をされているのでしょうか

 大学院修了後、DeNA という会社でアプリ開発をしました。その後、※株式会社LegalForceに1人目のエンジニアとして入りCTOになって4年程になります。最初はLegalForceでもサービス開発をしていたのですが、最近はマネジメントがメインとなりました。60~70名程の開発組織のマネジメントを行っています。

ー 人数の規模が異なりますが、マネジメントする上でもCloud LaTeXの経験は活きているのでしょうか

 Cloud LaTeX のリニューアルもそうですが、エンジニアは「一から作る」という結論を下しがちです。しかし、そういった判断は慎重にすべきだと考えます。Cloud LaTeX は当時ビジネスサイドの要件があまり多くなかったため作り変えができた面があったのですが、LegalForce含め営利企業は「ビジネスとして売れるのか、ユーザに訴求できるのか」などの点を考慮することも重要で、限られた開発リソースを新規開発に充てるのか、改善に充てるのかのトレードオフになります。技術的なことだけを考えて作り変えた方が良いという選択をしても、作り変えている間はどうしても新機能追加などは遅くなったり止まったりするので、どの辺まで許容できるか、というビジネス的な観点が重要であると今は思います。Cloud LaTeXを作り変えてみた経験があったからこそ気づけたことだと思います。

ー ご経験が活きているようで良かったです。LegalForceはどのようなサービスを提供されていらっしゃるのでしょうか

 契約書業務を効率化するサービスを提供しています。いわゆる法務部や弁護士の方といった、普段の仕事で契約書を見ている方々の業務を効率化するというコンセプトで作っています。「契約書を自動的にレビューしてくれる製品」と、「契約書を効率的に管理ができる」サービスの2つを提供しています。

ー 契約書のレビューは、法務の専門知識を持った人しかできないことだと思うのですが、レビューサービスによって、人件費が削減できるようになるのでしょうか

 人件費の削減もありますが、法務の方々が仕事をもっと効率的に片付けて、人間しかできないような高度な仕事と言いますか、クリエイティビティがある仕事に時間を使えるようにしたいと考えています。たとえば秘密保持や業務委託の契約は数多く発生するのですが、それらのレビューは会社ごとにパターン化されており単調作業になりがちです。そのような仕事を効率化し短い時間で終えられるようにして、もっと本質的な仕事に集中できる、というのが提供できる価値ではないでしょうか。

ー ありがとうございます。CTOの話に戻りますが、今はマネジメントをメインで行われていらっしゃるのでしょうか

 そうですね。最近までマネジメント専門のメンバーがいなかったので私がやっていました。今年になって専属のメンバーが入ってきてくれましたし、ある程度マネジメントも経験がついてきましたので、今後はもう少し技術的な業務の割合を増やしていきたいと思っています。

ー 今のCloud LaTeXは更にユーザも増え、日々ユーザからの要望がTwitterで寄せられる状況なのですが、今のCloud LaTeXに対して思うことはありますか

 サービスが継続していて、すごいなと思っています。ビジネス的な問題だけではなく、開発自体もメンテナンスできているということなので、作り変えた甲斐があったと言いますか、自分たちの仕事が根付いていることは嬉しいです。今であれば、当時作ったインフラやフロントエンドをもっといい感じに作れそうなので、時間が取れれば是非お手伝いしたいなと思っています。

ー ぜひ、最新の技術をCloud LaTeXにご教示ください。Cloud LaTeXの開発に参加するならこういう方が向いているという点がありましたら教えていただけますか

 自分の好きなようにサービスを開発したい方や、振られたタスクではなく自分からタスクを見つけて開発したい人には良いと思います。また、企業の一般的なインターンであれば、サービスの根幹を触る機会はないと思うのですが、Cloud LaTeXに関しては、学生が主体になっていることもあり、その部分の自由度が比較的高い印象があります。そのため、主体的にサービス開発をしてみたい、インフラも含めて全部触ってみたいという方にはハマるのではないでしょうか。

 私の場合は、「最初からある程度のユーザが使ってくれていて、反応があること」も大きなモチベーションになっていたと思います。1人でサービスを作っても、なかなかユーザがついてくれませんから。

ー サービスを作るのは1人でもできますが、ユーザが常に存在するサービスは限られますからね。使われなければ存在意義がないですし、嬉しい内容やヒヤヒヤする内容も含めて、ユーザから反応があるのは生きたサービスといえますね

※ 株式会社LegalForce
株式会社LegalForceは、2017年に大手法律事務所出身の弁護士2名によって創業されました。独自のAI技術と弁護士の法務知見を組み合わせ、企業法務の質の向上、効率化を実現するソフトウェアを開発・提供しています。京都大学との共同研究をはじめ、各種学会のスポンサーを務める等学術領域へも貢献しています。2019年4月に正式版サービスを提供開始したAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、2021年1月よりAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」の正式版を提供しています。

※ AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」https://legalforce-cloud.com/
「LegalForce」はAIによる契約の「自動レビュー」機能を始め、条文検索、契約書ひな形・書式集などを提供するほか、契約作成に関わるデータを蓄積できるため「ナレッジシェア」にも有効であるなど、契約業務の品質向上と効率化を同時に実現するプロダクトです。
2019年4月に正式版を提供開始し、約2年を経て、現在800社を超える企業・法律事務所に有償契約にてご利用をいただいております。

※ AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」https://legalforce-cloud.com/cabinet
AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」で培った自然言語処理技術と機械学習技術を活用することで、自動で契約データベースを作成し、締結済の契約書の管理を自動化するシステムです。契約書をアップロードするだけで、自動で文字起こし、契約情報(「タイトル」「契約締結日」「契約当事者名」、「契約開始日、終了日」等)の抽出を行い、検索可能なデータベースに組み上げ、契約書の一元管理を実現すると同時に契約リスクを制御可能にします。

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