今回は「大学院進学を考えている方」に向けた記事になります。
この記事では「大学院進学を後悔した理由」と「大学院進学を後悔しないために確認するべきポイント」を紹介します。
すでに大学院進学を決心された方も、この記事で最終確認を行っていただければ幸いです。
大学院に進学したい理由から大学院修了後のキャリアまで、みなさんが確認するべきポイントをまとめましたので、最後までご覧ください。
大学院進学をして後悔する人の特徴とは?
せっかく大学院に進学したにも関わらず、後からそれを後悔している人がいるのも事実です。
そのような人たちはなぜ大学院進学を後悔しているのでしょうか?
まずはその理由を紹介していきます。
研究を好きになれなかった
大学院生活は講義よりも研究活動がメインになります。
そのため、研究を好きになれないと大学院進学を後悔してしまうかもしれません。
研究を好きになれなかった理由として、例えば以下の3つが考えられます。
- 研究テーマを自分で選ぶことができず、その結果好きになれなかった
- あまりよい研究結果が得られず、研究に対する気持ちが離れていった
- 研究というよりも勉強が好きだった
以下、順番に解説いたします。
研究テーマを自分で選ぶことができず、その結果好きになれなかった
1つ目は、研究テーマを自分で決められなかった場合です。
私自身も経験があるのですが「やらされ感」があると、どんなこともつまらなく感じます。
物事を楽しむためには「自分で考えて主体的に行動する」ことが大切です。
しかし、研究室の事情によっては研究テーマを自分で決められないこともあります。
あらかじめ、大学院進学をする前に研究室の指導教員に相談しておくとよいでしょう。
あまりよい研究結果が得られず、研究に対する気持ちが離れていった
2つ目は、よい結果が得られず、研究に対する気持ちが離れてしまった場合です。
研究テーマにもよるのですが、まったく前進している感覚を得られず「こんなに先が見えないことをずっとやるのは嫌だ」と感じてしまうこともあります。
研究に必要な根気という部分で気持ちが離れてしまうこともあるようです。
研究というよりも勉強が好きだった
3つ目は、研究というよりも勉強が好きだったと気づいた場合です。
勉強には「正解」がありますが、研究には「正解」がありません。
「正解」があることに対しては頑張れる人というのは思いのほか多いと思います。
クイズが好きな人などはこれに当てはまると思います。
しかし、研究には「正解」がないので、自分でゴールを設定して、そこにたどり着く手段も自分で考えないといけません。
自分でも「これでいいのかな」という不安を常にもっていなければならないのです。
その勉強と研究の違いを押さえていないと大学院進学を後悔してしまう可能性があります。
やりたいことを見つけるために大学院進学した
大学院生活を送ってもやりたいことが見つからずに終わってしまう可能性があります。
なぜなら、大学院生活は非常に多忙になる可能性があるからです。
大学院生がやることとして以下のようなことがあります。
- 講義
- 研究活動
- 学会発表
- 学術雑誌への投稿
- 就職活動
また、全国大学生活協同組合連合会の調査によると、以下のことが分かっています。
- 大学院生の登校日数は週平均5.1日
- コアタイムの平均時間は1日7.8時間
- コアタイムがない大学院生の平均研究時間は1日8.8時間
※コアタイムとは、1日のうちで必ず研究をしなれければならない時間のこと
上記の数字に加えて、就職活動を行う場合は、さらに時間がないことが分かります。
このようなタイトなスケジュールの中で新たにやりたいことを見つけることは可能でしょうか?
研究活動をしている中でやりたいことが見つかればよいのですが、実際には文献調査やPDCAのサイクルを回すことで手一杯になってしまう可能性があります。
そのため、やりたいことを見つけるために大学院進学した方は後悔してしまう可能性があります。
参考:全国大学生活協同組合連合会「院生の1日」
就職で有利になるために大学院進学した
「理工系の場合、大学院卒の方が就職に有利になる」と決めつけるのは早いかもしれません。
場合によっては、大学院進学を後悔する原因になる可能性があります。
その理由として、以下の2つのことが挙げられます。
- 基本的に専門知識は、現在の研究分野でのみ評価される
- 目的意識のない大学院進学が就職で不利になる可能性がある
基本的に専門知識は、現在の研究分野でのみ評価される
1つ目は、専門分野に関する問題です。
大学院進学して専門的な知識を身につけた場合、その知識が活かせるのは基本的にはその分野の事業を行っている企業になります。
もちろん、近年では学際領域というものが注目されており、たとえば情報系の学生であれば、DX推進の観点からバイオ系から機械系の企業まで様々な企業に就職できるチャンスがあるかもしれません。
しかし、そのような場合においても自分自身は情報技術に関する仕事をする人間として雇われることになります。
大学院進学したからといって、無条件にどの企業のどの職種に対しても有利になるわけではありません。
そのため、大学院生が専門分野以外の就職をしようとしたときに、大学院生としてのアドバンテージを活かすことができず、大学院進学を後悔することがあります。
目的意識のない大学院進学が就職で不利になる可能性がある
2つ目は、目的意識のない大学院進学が就職で不利になる可能性があるという問題です。
その理由として以下の2つが考えられます。
- 高い専門性を期待される
- 初任給が高いため採用のハードルが上がる
1つ目の理由は、大学院生を即戦力として期待している可能性があるということです。
目的意識がない状態で大学院進学をしても、あまりスキルは身につきません。
この場合、学部生として就職活動をした方が、即戦力として扱われないという点から、就職活動が上手くいくと考えられます。
そのため、就職活動において、大学院生と学部生の違いを押さえておかなければ、目的意識のない大学院進学を後悔する原因になります。
2つ目の理由は、初任給の高さに関する問題です。
大学院卒は、学部卒よりも高い給与が支払われるため、採用の目もより厳しくなります。
こちらも同様に、目的意識がない状態で大学院進学をしても、あまりスキルが身につかないため、就職活動が不利になる可能性があります。
目的意識のない大学院進学は、就職活動のときに後悔する可能性があるので、注意してください。
周りに流されて大学院進学した
前述の「やりたいことを見つけるために大学院進学した」で説明した通り、大学院生は非常に多忙な毎日を送っています。
大学院に行くための明確な目的がないと、心が折れてしまうかもしれません。
大学院に進学してから「自分は何のために大学院進学したんだろう?」とならないようにしなければ、大学院進学を後悔することになってしまいます。
金銭面で苦労した
大学院の学費は決して安くありません。
初年度にかかる費用は以下のようになっています。
- 国立大学大学院:82万円
- 公立大学大学院:70~100万円
- 私立大学大学院(文系):80~180万円
- 私立大学大学院(理系):100~180万円
- 私立専門職大学院(法科大学院を除く):70~260万円
- 私立法科大学院:90~200万円
- 通信制大学院:60~100万円
参考:大学院進学ガイド _ 大学院へ行こう! 大学院進学情報サイト「学び続けられる環境づくり(お金編)」
奨学金を使うにしても返済はすぐに終わるものではありません。
また、前述の「やりたいことを見つけるために大学院進学した」で説明した通り、非常に多忙な大学生活を送る中で、アルバイトをする時間を確保することも難しくなります。
そのような金銭面での負担があっても大学院で研究がしたいという高いモチベーションがなければ、大学院進学を後悔する可能性があります。
大学院進学を後悔しないための準備
ここからは「大学院進学を後悔しないための準備」について説明します。
しっかりと準備していれば、安心して大学院生活を送ることができます。
大学院進学を後悔しないためには「3つのチェックポイント」を確認する必要があります。
自分に当てはめながら順番に確認していってください。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
なぜ大学院に進学したいのか改めて考えてみる
あなたが大学院に進学したい理由は何でしょうか?
下記の理由は、大学院進学したい理由の一例になります。
以下の例を参考に、自分が大学院進学したい理由を考えてみてください。
- 興味を深めたいから
- 専門知識を身につけたいから
- 資格を取りたいから
- 就職に有利になるから
- 周りの人が進学したから
- 家族に勧められたから
- 友人に勧められたから
- 教員に勧められたから
- 高い学歴が欲しいから
- 進学が当たり前だと思うから
- モラトリアムを延長したいから
- 就職先がなかったから
どのような理由でもよいと思いますが、肝心なことはその理由が多忙な大学院生活を送るときのモチベーションになるかということです。
前述の「就職で有利になるために大学院進学した」では「目的意識のない大学院進学が就職で不利になる可能性がある」ということを説明しました。
大学院進学する前に、しっかりと自分が大学院に進学する目的を明らかにしてください。
大学院進学する目的が自己分析しても分からない場合は、身近な先輩などに聞いてみるとよいでしょう。
参考:全国大学生活協同組合連合会(2014年)「第8回全国院生生活実態調査」
大学院修了後の進路についても事前に考えておく
大学院修了後の進路についても事前に考えておくことが大切です。
漠然としたイメージでもよいので、やりたい仕事のイメージをもっておくとよいと思います。
そうすることで、研究テーマを考えるときにも進路を意識したテーマにすることができて、モチベーションが上がります。
また事前に調べておくことで、就職を考えている業界の業界本などを読もうと思えるかもしれません。
もし資格などを取る時間が捻出できるのであれば、資格取得にも挑戦するとよいでしょう
進学したい大学院・研究室について調べる
もし外部進学で大学院に進学する場合は、進学先の大学院や志望する研究室について事前に調べておくとよいでしょう。
後悔しないための準備としてこれは非常に大切なことです。
外部進学による大学院進学には以下のようなリスクがあります。
- 希望した研究室に入ることができなかった
- やりたかった研究が面白くなかった
- 教授との相性が悪かった
- 人間関係で悩みを抱えてしまった
- 講義が忙しくて研究や就活と両立ができなかった
上記のリスクに直面しないためにも、あらかじめチェックしておく必要があります。
インターネットで調べられない情報は、研究室訪問を通じて得るようにしましょう。
研究室訪問で聞くべき質問については以下の記事を参考にしてください。
まとめ
最後にこの記事の内容を要約します。
大学院進学して後悔する人の特徴とは?
- 「研究」を好きになれなかった
- やりたいことを見つけられなかった
- 就職で有利にならなかった
- 周りに流されて大学院進学したためモチベーションがなかった
- 金銭面で苦労した
大学院進学を後悔しないための準備
- 大学院進学したい理由について考える
- 大学院修了後の進路について考える
- 進学したい大学院・研究室について調べる
大学院進学を後悔しないためにも、今からしっかりと準備をしておくことが大切です。
今できることを考え、後悔のない大学院進学をしましょう。