博士課程を卒業後、アカリクのスカウト形式のイベントに参加したのがきっかけで入社された小林敬之さんにお話を伺いました。
―――現在どんな仕事をしていますか?
小林さん:2019年卒採用で入社し、現在は開発本部先端技術開発部クラウドテクノロジー課で自社製のWeb開発プラットフォームを使ったサービスの開発・運用を行っています。
―――学生時代はどんな研究をしていたのですか?
小林さん:大学院では分子シミュレーションを利用した研究に取り組んでいました。精密機械の中の摩擦・潤滑現象を分子レベルで解明する試みです。学部時代にナノメートルスケールの分析・センシング技術に興味を持ち、配属先の研究室を決めました。実験だけでなくシミュレーションというプローチもあることを指導教官に示していただき、プログラミングを独学しながら研究を進めることにしました。
―――研究者ではなく、企業への就職を決めた理由は?
実は、まわりに合わせて修士課程修了後の就職を考えていました。当時は自分の好きなことがわからなくて専門の機械系で就職先を探しましたが、どうも自分に合っているように思えませんでした。
一つのことを突き詰めるのが好きなこともあって博士課程へ進学し、そこでプログラミングに多く取り組むようになって、自分はハードウェアよりもソフトウェアが好きなんだと初めて気づいたんです。そして、ソフトウェアの中でも、バーチャルなシミュレーションの世界より、実際に製品やサービスをつくるほうがやりがいを感じられると思い、博士課程を終えたらIT企業に就職しようと決めました。
―――機械系からITエンジニアになってみて、いかがですか?
小林さん:とても楽しいです!自分の頭で考えたことがダイレクトにサービスになっていくのが面白くて仕方ありません。
アカリクのスカウト形式のイベントでブラウザ事業に強みを持つACCESSと運命の出会い
―――博士で専門とは異なる分野への就職に不安はありませんでしたか?
小林さん:ありました。そもそも情報の集め方もわかりませんでした。学内で情報を集めようとすると、どうしても専門を活かす方向のものになりがちでした。専門以外では、特許業界など、博士の理系文書を作成する能力を活かせる仕事を聞くことが多かったです。ただ、自分は製品やサービスをつくる側の仕事がしたいと思っていました。人づての情報にはしっくりくるものがなく、結局はほぼ一人で就職活動をしていました。
―――アカリクのイベントがACCESSとの出会いだそうですね。アカリクはどうやって知ったのですか?
小林さん:博士採用に関しては情報が少なくて、ネットで検索してもなかなか欲しい情報が得られませんでした。そこで、修士のときの就職活動を振り返って、そういえば誰かがアカリクを使っていたなと思い出して調べたところ、博士・ポスドク対象のITエンジニア志望者向けイベントがあると知り、参加しました。
―――イベントに参加してみて、いかがでしたか?
小林さん:スカウト形式のイベントはとても良かったです。学生一名と企業の採用担当者の方数名という組み合わせでたくさん話をするので踏み込んだ仕事の話が聞けますし、良い企業と出会うことができました。畑違いのIT系イベントでしたが、プログラミング言語の経験など参加条件を見たらクリアしていたのでハードルはあまり感じずに参加できました。
他の参加者学生はプログラミング経験が豊富な人が多かったようです。自分でゲームを作っている学生もいて、すごいなと思いました。そういう学生と比較すると、自分の経験は地味だしITとはほとんど関係のないものだったのですが、研究を通じてプログラミングに取り組んできたことを強調し、真面目さをアピールしました。
―――いくつか候補企業があった中で、ACCESSに入社を決めた理由を教えてください。
小林さん:イベントで採用担当者にお会いしたとき、とても穏やかな感じだったのが印象的でした。あまりぎちぎちに縛られない会社を希望していたので、この会社は良さそうだと感じました。そのあとに行われた先輩社員との座談会でも、みなさん私服で和やかな感じで、自分に合う社風の会社だと感じました。実際に入社したあとも、そのイメージはまったく変わっていません。僕の上司がこれまた社風を体現しているようなとても穏やかな人でとても仕事がやりやすいです。
「IT技術に強みを持っている会社で、他社と共同開発する機会も多い」というのもポイントでした。特定のサービスを売りにしている会社ですと、そのサービスを好きでなくなったら仕事をするのが辛くなってしまいます。ですから、一点特化型ではなく、柔軟に幅広いサービスに携われる会社がいいなと。その点で、コアの技術を持ちつつ様々な企業と協業しているACCESSには大きな魅力と可能性を感じました。
専門性だけじゃない、博士だからこそのスキルで活躍
―――機械系分野からのITエンジニアとしての入社ですが、苦労したことはありましたか?
小林さん:入社当初は、ITの専門用語が全然わかりませんでした。同期入社は24名でしたが、情報系出身者が多く、機械系は僕一人だけ。情報系の方なら誰でも知っているような略語などがわからなくて、何が何だかわからないまま、話がどんどん進んでしまうことがよくありました。独学したり、先輩に教えてもらったりしながら、仕事の中で少しずつ身につけていったという感じです。
―――博士課程の経験で、今の業務に役立っていることや、今振り返ってみて重要だったと感じることはありますか?
小林さん:他の社員に比べて、理系の文章を書くのは得意だと思います。論文発表などで理系文章の経験をたくさん積んできましたから、いまの仕事でも記録を取るときなどに、後で他の人が見返しても理解できる文章を書くことができていると思います。研究のおかげで論理的思考力も鍛えられましたし、情報検索能力の高さも博士課程で培われたものだと思います。
―――ACCESSの博士出身者はどんな方が多いですか?
小林さん:個性的でキャラが立っている人が多いです。僕自身はあくまで平凡な人という立ち位置で生きているつもりですが(笑)。質問や受け答えも上手な気がします。研究ではいろいろな人に自分の考えを論理立てて伝えなければいけないので、自然と鍛えられてきているのでしょう。
博士というキャリアをアドバンテージに理想の会社を見つけよう
―――博士出身者が就職活動を成功させる秘訣を教えてください。
小林さん:就職すると決めたらアクションは早めに。研究が忙しいとつい先延ばしにしてしまいがちですが、早めに動いておくに越したことはありません。博士は通年採用が多いと聞くので、常にアンテナを張っておけば出会いも増えて良い就職活動になると思います。
―――これからどんな仕事をしてみたいですか?
小林さん:いま開発基盤を作って運用する仕事をとても楽しくできているので、まずはこれをより良いものにしていきたいです。また、知識・経験ともに増えてきたので、今後は開発リーダーとしてプロジェクトを引っ張っていくことにも挑戦したいです。そしていずれは、ACCESSの強みを活かした新しい基盤的な製品やサービスを作ってみたいです。
―――アカリクに登録している大学院生へメッセージをお願いします。
小林さん:みなさんが思っているより、博士を欲しいと思ってくれている会社はたくさんあります。僕もイベントに参加してみて、博士というキャリアや博士が持つ知見・スキルをアドバンテージだと捉えてくれる会社が多いと感じました。ですから、自分の中に壁を作らず、自信を持ってイベントなどに参加してみてください。自分に合う会社がきっと見つかると思います。