航空宇宙工学の就職先は三つの層に分かれる|進路の実像と就活の日程

航空宇宙工学の就職先は三つの層に分かれる|進路の実像と就活の日程就活ノウハウ
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航空宇宙工学を専攻していると、「就職先が少ないのではないか」という声を耳にすることがあります。学校基本調査の集計と大学ごとの進路実績を分けて読むと見えてくるのは、民間の航空宇宙分野、JAXAや官庁といった公的セクター、そして航空宇宙以外の工学領域という三つの層です。

この記事では、大学の進路実績に現れる就職先、完成機メーカーの数から採用枠を読み違えないための見方、航空宇宙以外の工学領域へ広がる選択肢について解説します。

  1. 1.航空宇宙工学の進路は三つの層に分かれている
    1. 民間の航空宇宙、公的セクター、航空宇宙以外の工学領域という三つの層
    2. 判断材料になる数字は全国統計と大学個別実績の二種類しかない
  2. 2.学校基本調査の区分名は「航空宇宙工学」ではなく「航空工学」である
    1. 統計上の分類名は「航空工学」に置かれている
    2. 卒業者680人のうち進学213人・就職359人という全国の内訳
    3. 工学のなかでは進学する人の割合が低い側に位置する
    4. 全国値と個別の学科では進学の姿が逆に見える
  3. 3.公的機関は複数の大学の進路実績に実際に現れている
    1. 日本大学と東京都立大学の実績に公的機関が並んでいる
    2. 防衛装備庁の研究職は国家公務員試験の合格者から採用される
    3. JAXAは職員の約70%が技術系で、選考は書類から面接まで複数段階
  4. 4.完成機メーカーの数は採用枠の数を意味しない
    1. 社名の少なさは就職先の少なさではない
    2. 重工メーカーは航空宇宙以外の事業も並行して抱えている
  5. 5.航空宇宙工学の基礎は隣接する産業でも通用する
    1. 流体・構造・制御・推進という科目構成は機械系と重なる
    2. 東京大学の修士修了者は機械・精密を中心に複数の産業へ分かれている
    3. 大阪公立大学では修了者の40%程度が航空宇宙以外の産業へ進んでいる
    4. 航空宇宙以外に進むことは専門を活かせなかったことではない
  6. 6.研究テーマが志望先と一致しなくても説明は組み立てられる
    1. JAXAが挙げる専門能力・提案力・主体性という三要素
    2. 課題設定や解析の進め方を軸に研究経験を説明する
  7. 7.就職・採用活動の日程は広報3月・選考6月・内定10月が原則である
    1. 2027年度卒業・修了予定者の日程ルールは三つの期日で示されている
    2. 実際の動き出しは卒業・修了前年度の夏まで前倒しになっている
    3. 企業側も日程ルールより早く動き、活動期間は長期化している
    4. 授業や研究との重複は制度の側でも認識されている
  8. 8.公的機関の採用日程は民間企業とは別に定められている
    1. JAXAのインターンシップは年度の初めに公募が出る
    2. 航空管制官採用試験は前年度の2月に申込が始まる
    3. 航空管制官採用試験の受験資格には学位段階の区分がない
  9. 9.学校推薦の取扱いは選考解禁と同じ日付に置かれている
    1. 学校推薦の取扱いは卒業・修了年度の6月1日以降と申合せに定められている
    2. 推薦は研究室や専攻の枠で動く
    3. 推薦を得ても選考の準備は省けない
    4. 博士後期課程の院生は申合せの対象に含まれていない
    5. 学科の側が説明会の日程と相談先を公表している例がある
  10. まとめ
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1.航空宇宙工学の進路は三つの層に分かれている

航空宇宙工学を学んだ先の進路は、単一の業界に一本化されているわけではありません。どこに自分を置くかを決める前に、進路がどう分かれているのか、そして判断の材料になる数字が何種類あるのかを先に確定させておきます。

民間の航空宇宙、公的セクター、航空宇宙以外の工学領域という三つの層

航空宇宙工学を学んだ学生の進路は、大きく三つの層に分けて捉えられます。一つ目は三菱重工業や川崎重工業、IHIといった重工メーカーなど、民間の航空宇宙分野です。二つ目はJAXAや国土交通省、防衛装備庁といった公的セクターで、複数の大学の進路実績に実際に名前が現れています。三つ目が、機械や電機、自動車、情報通信など航空宇宙以外の工学領域であり、修士修了者の進路として現れる層はここが最も広くなります。

判断材料になる数字は全国統計と大学個別実績の二種類しかない

航空宇宙工学の就職を考えるときに参照される数字は、文部科学省の学校基本調査による全国データと、自分が所属する大学・専攻ごとの進路実績の二種類です。この二つは対象とする母集団が異なります。前者は分野全体の規模を知るための数字であり、後者は自分の見通しを立てるための数字です。どちらを見ているのかを取り違えたまま読むと、進路の実像から離れていくので注意しましょう。

2.学校基本調査の区分名は「航空宇宙工学」ではなく「航空工学」である

全国の集計を探すときに最初につまずくのは、学科名と統計上の分類名が一致しないところです。分類の名前と、その分類で公表されている数値の中身を先に押さえておきましょう。

統計上の分類名は「航空工学」に置かれている

文部科学省の学校基本調査には、学科分類として「航空宇宙工学」という名称は存在しません。該当する集計区分の名称は「航空工学」です。大学によっては学科名に「航空宇宙工学」を用いていますが、卒業者数や進学者数はこの「航空工学」という分類で集計されています。全国データを探すときに手がかりになるのは、自分の学科名ではなくこちらの分類名です。

出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 関係学科別状況別卒業者数」

卒業者680人のうち進学213人・就職359人という全国の内訳

令和7年3月卒業の「航空工学」の卒業者は680人です。このうち進学者は213人で、卒業者に対する進学率は31.3%になります。就職者は359人で、卒業者に占める割合は52.8%でした。全国の集計で見ると、この分野は進学する人より就職する人のほうが多い分類にあたります。

出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 関係学科別状況別卒業者数」

工学のなかでは進学する人の割合が低い側に位置する

工学系の他の分類と並べると、航空工学が工学のどのあたりに位置するのかが見えてきます。同じ表から取った数値は次のとおりです。

分類卒業者数進学率卒業者に占める就職者の割合
航空工学680人31.3%52.8%
工学計87,287人40.4%55.2%
大学計584,304人12.0%77.0%
機械工学13,351人44.5%52.0%
電気通信工学23,504人36.2%59.8%
応用化学6,659人59.3%37.5%
船舶工学70人70.0%28.6%
原子力工学82人39.0%57.3%

航空工学の進学率31.3%は、工学計の40.4%や機械工学の44.5%より低く、応用化学の59.3%や船舶工学の70.0%とは大きく離れています。工学のなかでは、学部を出て就職する人の比重が相対的に大きい分類です。

出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 関係学科別状況別卒業者数」

全国値と個別の学科では進学の姿が逆に見える

全国の航空工学卒業者では進学は少数派ですが、個別の学科を見ると様子が変わります。東京大学工学部航空宇宙工学科では、2020年から2024年にかけて学部卒業生の97%が修士課程へ進学し、就職は2%です。大阪公立大学工学部航空宇宙工学科でも、平成24年度から平成28年度の実績で約80%が大学院へ進んでいます。

全国値では進学が少数派に見え、個別の学科では主流に見えるのは、数えている集団そのものが違うためであり、自分の見通しに使えるのは後者の側です。

出典:東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻・工学部航空宇宙工学科「卒業生進路」
出典:大阪公立大学工学部航空宇宙工学科/工学研究科航空宇宙工学分野「卒業後の進路」

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3.公的機関は複数の大学の進路実績に実際に現れている

公的セクターは、進路候補として名前が挙がるだけではありません。JAXAや防衛装備庁、国土交通省は、複数の大学の就職実績に実際の進路先として現れています。ただし採用までの道筋は、民間企業とは違う形で決まっています。

日本大学と東京都立大学の実績に公的機関が並んでいる

日本大学理工学部航空宇宙工学科は、過去3年間の就職実績に「公務員」の区分を設け、そこに国土交通省や防衛省、防衛装備庁を挙げています。東京都立大学システムデザイン学部航空宇宙システム工学科の主な就職先には、2025年度にJAXA、2024年度に防衛装備庁が現れ、2021年度には航空管制官も挙がっています。二つの大学のいずれにも公的機関が並ぶ以上、この層は例外的な進路ではありません。

出典:日本大学理工学部航空宇宙工学科「就職・キャリア」
出典:東京都立大学システムデザイン学部航空宇宙システム工学科「就職・進路」

防衛装備庁の研究職は国家公務員試験の合格者から採用される

防衛装備庁の研究職技官は、人事院が実施する国家公務員採用総合職試験と一般職試験のいずれかに合格した方の中から、「官庁訪問」を通じて採用されます。総合職試験は院卒者試験と大卒程度試験に分かれ、区分には「工学」「化学・生物・薬学」「数理科学・物理・地球科学」などが置かれています。研究職への応募は企業の場合とは形が違い、まず試験の区分を選ぶところから始まる仕組みです。総合職試験を経た採用は2024年が17名、2025年が18名、2026年が24名でした。

出典:防衛装備庁「研究職 採用案内 募集要項」

JAXAは職員の約70%が技術系で、選考は書類から面接まで複数段階

JAXAでは2023年時点で、職員の約70%が技術系に属しています。技術系が携わる領域は、人工衛星やロケットの開発・運用、宇宙環境利用、基盤的な技術研究、地球観測データ利用、民間企業等との協業による新事業創出などです。

採用選考の流れは、エントリーシート、書類選考、適性検査、一次から三次までの面接という段階を踏みます。技術系のキャリアパスは、最初に技術力を磨く部署に配属され、5年程度をかけて研究開発系かマネジメント系に分かれていくと説明されています。

出典:JAXA「JAXAの求める人物像とキャリアパスとは」(ファン!ファン!JAXA!)

4.完成機メーカーの数は採用枠の数を意味しない

「航空宇宙は就職先が少ない」という言説の根拠にされやすいのは、国内で完成機を手がけるメーカーの数です。この数え方では何を見落とすのかをチェックしましょう。

社名の少なさは就職先の少なさではない

航空宇宙分野で完成機を手がける国内メーカーは、他の産業と比べて数が限られています。ただし完成機メーカーの数は、そのまま採用枠の数を意味するわけではありません。機体を構成する部品や機器を供給する企業、研究を担う機関まで含めると、関わる組織の裾野はもっと広がります。知っている社名の数を就職先の数として数えると、選択肢を実際より小さく見積もることになります。

重工メーカーは航空宇宙以外の事業も並行して抱えている

国内の重工メーカーは、航空宇宙関連の事業だけを手がけているわけではありません。エネルギーやプラント、産業機械、防衛関連など、複数の事業領域を並行して抱えています。そのため、重工メーカーに入ったからといって航空宇宙分野の業務に配属されるとは限りません。社名で志望を決めるのではなく、企業全体の事業構成のなかで自分が携わりたい領域がどこにあるのかを確かめる必要があります。

5.航空宇宙工学の基礎は隣接する産業でも通用する

三つ目の層である航空宇宙以外の工学領域が広いのは、学ぶ内容の性質によるものです。専門科目の構成と、修了者が実際に進んだ産業の広がりから、その理由を確かめましょう。

流体・構造・制御・推進という科目構成は機械系と重なる

航空宇宙工学の学びは、流体力学、構造力学、制御工学、推進工学などの組み合わせで構成されています。これらは機械工学と重なる基礎科目の上に成り立っており、飛行機やロケットに限らず幅広い工学分野で応用できる知識です。専門科目の名前だけを見ると航空宇宙に特化した印象を受けますが、内容そのものは機械系の工学に近い性質を持っています。学んだ内容が通用する範囲は、学科の名前が示す範囲より広くなります。

東京大学の修士修了者は機械・精密を中心に複数の産業へ分かれている

東京大学の航空宇宙工学専攻では、修士修了者の進路として、機械・精密、電機、運輸・情報通信、IT・コンサル・金融・商社といった区分が示されています。傾向としては機械・精密に進む割合が最も多く、IT・コンサル・金融・商社と博士課程への進学がこれに続きます。これらは2020年から2024年にかけての実績です。進路は特定の業界に集中しておらず、航空宇宙の外側にも複数の受け皿があることが、この区分の並びから読み取れます。

出典:東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻・工学部航空宇宙工学科「卒業生進路」

大阪公立大学では修了者の40%程度が航空宇宙以外の産業へ進んでいる

大阪公立大学工学部航空宇宙工学科の修了者の就職先では、平成24年度から平成28年度の実績として、航空宇宙関連企業(重工)、エアライン、人工衛星関連企業で60%を占めています。裏を返せば、残りの40%程度は航空宇宙以外の産業に就職した計算です。この数値は特定の大学の特定の年度の実績ですが、東京大学の区分の並びと同じ方向を指しています。航空宇宙以外へ進む人が一定の割合で存在することは、二つの大学の実績から共通して確かめられます。

出典:大阪公立大学工学部航空宇宙工学科/工学研究科航空宇宙工学分野「卒業後の進路」

航空宇宙以外に進むことは専門を活かせなかったことではない

航空宇宙関連以外の産業に就職することは、この分野を学んだ結果として珍しいことではありません。機械や電機、運輸・情報通信など、隣接する産業へ進んだ修了生が二つの大学の実績に現れています。基礎科目が機械系と重なっている以上、隣接産業への進路は専門から外れた選択ではありません。進路の評価を航空宇宙業界に入れたかどうかの一点に置く必要はないといえます。

6.研究テーマが志望先と一致しなくても説明は組み立てられる

研究テーマと志望先がずれることは、この分野では珍しくありません。そのときに選考の場で何を示せるのかを紹介します。

JAXAが挙げる専門能力・提案力・主体性という三要素

JAXAは技術系職員に求める人物像として、専門能力、提案力、主体性の三つの要素を挙げています。挙げられているのは学んできた領域の知識そのものだけではなく、状況に応じて次の一手を示す力と、指示を待たずに動く姿勢も含まれています。研究テーマがJAXAの業務と直接一致していなくても、この三つはそれぞれ自分の研究経験に照らして説明できるはずです。

出典:JAXA「JAXAの求める人物像とキャリアパスとは」(ファン!ファン!JAXA!)

課題設定や解析の進め方を軸に研究経験を説明する

研究で扱った現象そのものが志望先の業務と重ならない場合は、課題設定や解析の進め方、結果の検証方法といったプロセスを軸に説明する方法があります。流体・構造・制御・推進という基礎は、航空宇宙以外の設計・解析業務にも応用できる範囲が広い領域です。どの現象を扱ったかではなく、どう扱ったかを言葉にできれば、専門性を志望先の業務向けに変換することは可能です。

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7.就職・採用活動の日程は広報3月・選考6月・内定10月が原則である

民間企業の採用日程には、政府が毎年度示す原則があります。ただし学生も企業も、実際にはその原則よりかなり早く動き始めているのが実態です。原則としての日程と、前倒しの実態を順に確認しましょう。

2027年度卒業・修了予定者の日程ルールは三つの期日で示されている

就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議は、2027年度の卒業・修了予定者についても従来どおりの日程ルールを原則としています。広報活動開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動開始は卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降です。

2027年度の卒業・修了予定者とは、2028年3月に卒業・修了する人のことです。実施期間が2週間以上の専門活用型インターンシップに参加した人材については、採用選考活動開始の例外が従前どおり置かれています。なお、この日程が企業の採用活動を法的に拘束するものではない点も、あわせて明記されています。

出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」

実際の動き出しは卒業・修了前年度の夏まで前倒しになっている

実際の動きは、この原則から離れています。内閣府が学部4年生と大学院2年生を対象に実施した調査では、インターンシップ等に学生の約7割が参加し、その参加は卒業・修了前年度の7月から本格化していました。エントリーシートを最初に提出した時期は、卒業・修了前年度の9月以前が約4割で、広報活動が始まる3月の約1割を上回っています。調査の対象に大学院2年生が含まれている点からすると、この前倒しは院生にもそのまま当てはまる話です。

出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」

企業側も日程ルールより早く動き、活動期間は長期化している

前倒しになっているのは学生の側に限りません。文部科学省が企業を対象に実施した調査では、広報活動を2月以前に開始した企業が約6割、採用選考活動を5月以前に開始した企業が約7割で、5月以前に内々定を出した企業も約6割でした。学生アンケートの側では、就職・採用活動に9か月間程度以上を要している学生の割合が、令和2年度の約3割から令和6年度には約5割へ増加しています。原則の日程を待って動き出すと、周囲より遅れた位置から始めることになります。

出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」

授業や研究との重複は制度の側でも認識されている

就職活動と授業や研究の重なりは、制度の側でも把握されています。文部科学省が大学等を対象に実施した調査では、採用面接等と授業・ゼミ・研究活動等との時期的な重複について学生からの相談が増加傾向にあり、約9割の大学等で学生が就職活動により授業等を欠席している状況が窺えるとされました。研究と就職活動の両立が個人の段取りの問題に尽きないことは、この調査結果からも確かめられます。

出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」

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8.公的機関の採用日程は民間企業とは別に定められている

公的セクターを志望する場合、押さえる日付は民間企業の日程ルールとは別に置かれています。JAXAのインターンシップと航空管制官採用試験を例に日程を確認してみましょう。

JAXAのインターンシップは年度の初めに公募が出る

JAXAは、インターンシップについて毎年4月1日頃にホームページで情報を公開する予定だと示しています。2026年度の募集では、応募受付期間が2026年4月1日から4月30日17時までとされていました。民間企業のインターンシップ参加が卒業・修了前年度の7月から本格化するのに対し、こちらは年度が始まった直後に募集が始まります。同じインターンシップという言葉でも、情報が出る時期は主体によってずれています。

出典:JAXA「インターンシップ」

航空管制官採用試験は前年度の2月に申込が始まる

2026年度の航空管制官採用試験では、受験申込受付期間が2026年2月19日から3月23日まででした。第1次試験日は5月24日、第2次試験日は7月1日、第3次試験日は8月20日から21日のうち指定する日という日程です。採用予定者数は約120名とされ、変動することがあると注記されています。採用は2027年4月、8月、12月に分けておこなう予定とされており、合格から入職までの時間の流れも民間企業とは形が違います。

出典:国土交通省 航空保安大学校「航空管制官採用試験」

航空管制官採用試験の受験資格には学位段階の区分がない

2026年度の航空管制官採用試験の受験資格は、生年月日の条件、または大学もしくは短期大学・高等専門学校の卒業(見込みを含む)という条件で書かれています。ここに修士課程や博士課程という区分は置かれていません。防衛装備庁の研究職技官が院卒者試験と大卒程度試験に分かれる総合職試験を経るのに対し、こちらは学位段階で受験の区分が分かれていない試験です。公的機関を一括りにせず、志望先ごとに応募の条件を確かめる必要があります。

出典:国土交通省 航空保安大学校「航空管制官採用試験」

9.学校推薦の取扱いは選考解禁と同じ日付に置かれている

学科の推薦は、民間企業の選考より早く動く近道ではありません。取扱いの時期がどこに定められていて、運用として何が決まっているのかについて解説します。

学校推薦の取扱いは卒業・修了年度の6月1日以降と申合せに定められている

就職問題懇談会の申合せは、令和9年度の卒業・修了予定者について、学校推薦の取扱いを卒業・修了年度の6月1日以降としています。これは採用選考活動の開始時期と同じ日付であり、推薦を使えば選考が早く始まるという仕組みにはなっていません。推薦を検討している場合も、6月までに志望先の候補を絞り込んでおく必要が生じます。近道として使えるものではないという前提で、準備の時期を組み立てることになります。

出典:就職問題懇談会「令和9年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」

推薦は研究室や専攻の枠で動く

工学および自然科学系の分野では、推薦は原則として研究室(専攻)単位で動きます。京都大学キャリアサポートセンターの説明では、1社何名までという枠があり、内部で調整のうえ推薦を出してもらう形です。企業によってはこの推薦がないと応募できない場合があり、推薦の時期も学科や専攻によって違うので注意しましょう。

出典:京都大学キャリアサポートセンター「スケジュール」

推薦を得ても選考の準備は省けない

推薦は、内内定や内定を約束するものではありません。同センターも、エントリーシートや面接の準備を怠らないよう促しています。推薦によって変わるのは応募の経路であって、選考そのものが免除されるわけではありません。準備の量は自由応募と同じだけ必要になると考えておくほうが確実です。

出典:京都大学キャリアサポートセンター「スケジュール」

博士後期課程の院生は申合せの対象に含まれていない

この申合せは、大学院博士後期課程の学生を対象としていません。つまり博士後期課程に在籍している場合、6月1日という選考解禁の日付をそのまま自分の予定表に写すことはできません。学科ごとに推薦の時期を確認するよう促されているのも、この差があるためです。博士後期課程の学生は、日程の前提を所属先で確かめるところから始める必要があります。

学科の側が説明会の日程と相談先を公表している例がある

日本大学理工学部航空宇宙工学科では、就職希望者に対する就職説明会と進学希望者に対する大学院進学説明会が3年生の10月から11月に開かれ、12月から3月には多くの企業を招いて個別の会社説明会がおこなわれます。東京都立大学システムデザイン学部航空宇宙システム工学科の場合は、学科の就職担当教員と就職事務担当の連絡先が学科のページ上に置かれています。いずれも一つの学科の運用ですが、学内に日程と相談先が用意されている場合があるという点は共通です。まずは自分の学科のページに同じ情報が出ていないかを確認しましょう。

出典:日本大学理工学部航空宇宙工学科「就職・キャリア」
出典:東京都立大学システムデザイン学部航空宇宙システム工学科「就職・進路」

まとめ

航空宇宙工学の進路は、完成機メーカーに入れるかどうかだけではありません。まず自分の学科の進路実績を確認し、民間の航空宇宙・公的機関・航空宇宙以外の工学領域のどこに重心を置くかを決めましょう。重心が決まれば、動き出す日程も絞れます。民間なら卒業・修了前年度の夏、公的機関なら年度の変わり目が起点となるでしょう。

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