研究を進めるにあたり、多くの学術論文や資料を読む必要が出てきます。その際に使用すると便利なのがiPadです。実際に、多くの大学院生や研究者が論文の管理にiPadを使用しています。
では、iPadで論文を管理すると、従来の紙での管理と比較してどのような良いことがあるのでしょうか。また、iPadを使った論文管理とは、具体的にどのように行うのでしょうか。
そこで、この記事では、iPadで論文を管理するメリットや管理の方法、おすすめの論文管理アプリについて、実際にiPadを用いて論文管理を行っている筆者の経験談も交えながらご紹介します。
iPadで論文を管理するメリット
iPadで論文を管理するメリットには、
- 紙と比較してかさばらないこと
- 管理・保存・書き込みが可能であること
- PC・スマホとも同期可能であること
といったものが挙げられます。
この章では、その3つのメリットについて、具体的にご紹介していきます。
紙と比較してかさばらない
まず1つ目のメリットは、「紙と比較してかさばらない」という点です。
大学院生は論文を大量に読む必要がありますが、読むべき論文を全て印刷すると、どうしても膨大な量になってしまいます。研究室や自宅の机の上が印刷された論文で散らかってしまう人も珍しくありません。
また、大量の論文を全て印刷し、ファイリングを行ったとしてもいざというときに見つけるのが難しく、再度印刷することにもなりかねません。
実物の紙ではかさばってしまう大量の論文も、PDFファイルのような電子データとして保存すれば、iPad1台で管理することができます。
また、iPad内で検索をかけることができるので、いざというときに見つからないという心配もありません。
また、これまで論文を印刷するのにかかっていた手間やコピー用紙を節約することができるのも、忙しい中大量の論文を読みこなす必要のある大学院生にとって大きなメリットとなります。
管理・保存・書き込みが可能
2つ目にご紹介するメリットは、iPadでの論文管理では「管理・保存・書き込みが可能」という点です。
先ほども少し触れた通り、iPadでは読むべき論文を集めて管理し、読みたいときに検索してすぐに見つけることができます。
これだけでは、「PCでも出来るではないか」と思った方もいるかもしれません。
iPadで管理をするメリットとしては、iPadは画面に直接触れることで操作ができるため、論文を集めて読むだけではなく、論文に書き込みをし、書き込んだ状態で保存をすることがPCと比べて行いやすいです。
つまり、iPadでは、紙より便利に論文の管理が行える上、紙に印刷した論文と同じように書き込みができるのです。
PC・スマートフォンとも同期可能
3つ目のメリットは、「PC・スマートフォンとも同期が可能」という点です。
これまで、紙に論文を印刷していた場合、論文を読むためにはその紙を持ち歩く必要がありました。
しかし、iPadで論文を管理することで、iPad上のデータはPCやスマートフォンとも同期することができるため、いつでもどこでも論文を読むことができるようになります。
PCでの作業中に「あの論文に何と書いてあったかな」と気になったときや、スマートフォンだけ持って外出している場合でも、それぞれのデバイスからiPad上で書き込み・保存をした論文をいつでも参照することができるようになります。
iPadでの論文管理に必要なもの
ここまで、iPadで論文を管理するメリットについて紹介してきました。
それでは、iPadで論文を管理する際、何を準備したらよいのでしょうか。
iPadで論文を管理するには、
- iPad本体
- ケース
- タブレット用タッチペン
- Google DriveやOne Driveなどのオンラインストレージサービス
- 論文管理アプリ・ノートアプリ
を準備する必要があります。この章では、それぞれについて簡単に見ていきます。
iPad本体
iPadでの論文管理には、当然ですが、iPad本体が必要となります。
ひとことでiPadといっても、
- iPadかiPad Airか
- ストレージは何GBか
- Cellularモデル(携帯電話ネットワークを利用するタイプ)か、Wi-Fiモデル(Wi-Fiのみを利用するタイプ)か
等の違いがあります。あなたに合ったものを選びましょう。
ちなみに、筆者はCellularモデルか、Wi-Fiモデルかで迷いましたが、最終的にWi-Fiモデルを選択し、正解だったと感じています。
そもそも大学院での研究活動において、Wi-Fi環境で作業することがほとんどであることと、iPadを利用する際は大抵スマートフォンを携帯しているため、いざとなったらテザリングをして利用することができるためです。
保存した論文を読むことに関してはオフラインで読むことも可能です。
また大学院生の場合、学割を利用することで、1割程度安く購入することができます。
購入の際は必ず学割を適用させることを忘れないようにしましょう。
学割を適用させた場合、2021年12月現在、最も安いものでiPadは税込36,800円、iPad Airは税込63,580円から購入できます。
参考:Apple「学生・教職員向けストア」
ケース
iPadのケースには、背面のみを覆うもの、手帳型のもの、キーボード付きのものなど様々な種類のものがあります。
重さや見た目を考慮し、自分に合ったものを選んでください。
ちなみに、筆者は物理キーボード付きのケースを利用していますが、キーボードを使うよりも手書きで直接書き込む機会のほうが多く、文字の入力が必要な場合もスマートフォンと同様、画面上のキーボードで打ち込むことも可能なため、物理キーボードなしのケースでも良かったなと思っています。
タブレット用タッチペン
iPadを購入する際、タブレット用のタッチペンを合わせて購入するかどうか迷う方も多いと思います。
個人的には、タッチペンでの書き込みがiPadでの論文管理の大きなメリットでもあるため、購入をおすすめします。
純正のApple Pencilであれば、公式サイトにて2021年12月現在、税込み11880円(税込み)~15980円(税込み)で販売されておりますが、純正製品以外でもiPadで使用できるスタイラスペンも3000円程度で購入できます。値段や機能を考慮し、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
参考:Apple「Apple Pencil」
オンラインストレージサービス
iPadで論文を管理する際には、
- Google Drive
- One Drive
- iCloud
等のオンラインストレージサービスが必要不可欠です。
オンラインストレージとは、インターネット上でファイルの保存や共有ができるサービスです。
PCをお持ちの方であれば、既に利用している方も多いと思いますが、もしまだ利用していないという場合は、新たにアカウント登録をする必要があります。
論文管理アプリ・ノートアプリ
iPadで快適に論文を管理するためには、目的に合ったアプリをインストールする必要があります。
アプリには論文を集めて読むための「論文管理アプリ」と、論文に書き込んだり自分なりにまとめたりするための「ノートアプリ」の2種類があります。
具体的なアプリやそれぞれの機能については、後ほどご紹介します。
iPadでの論文管理方法
ここまで、iPadで論文を管理するメリットと、そのために準備すべきものについてお伝えしてきました。ここでは、実際にiPadで論文を管理する方法についてご紹介します。
iPadで論文を管理する流れは、以下の通りです。
- オンラインストレージに論文ファイルを保存する
先ほどご紹介したGoogle Driveなどのオンラインストレージに、論文をPDF形式などで保存します
- 論文管理アプリでPDF閲覧・書き込みをする
論文管理アプリを使用して、論文を閲覧(・書き込み)します
- ノートアプリでメモを取る・内容をまとめる
ノートアプリで論文を切り取って自分のノートに論文の内容をまとめます。
ここで紹介した流れはあくまで一般的なもので、管理アプリを使用せずノートアプリのみを使用して管理するなど、人によって様々な方法があります。
好みに合わせてカスタマイズしてみてください。
おすすめの論文管理アプリ
ここまでで、iPadでの論文管理方法についてお伝えしました。
それでは、「管理アプリ」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
この章では、iPadで使用できるおすすめの管理アプリとして、「GoodReader」と「EndNote for iOS」の2つについてご紹介していきます。
GoodReader
PDF形式でオンラインストレージに保存した論文を管理するのに使えるのが、GoodReaderです。
このアプリでは、論文への書き込みやマーカーを引くことができ、書いたものは自動でオンラインストレージに保存されます。
また、論文内のリンクにも対応しており、論文中に貼ってあるリンクをタップするとそのリンク先に飛ぶことができます。
GoodReaderのインストールは2021年12月現在、買い切りで730円です。
参考:Good.iWare, Inc.「GoodReader」
EndNote for iOS
EndNote for iOSは、iPad・iPhone上での論文の収集や管理に使えるソフトです。
また、論文の収集や管理機能だけではなく引用機能もあり、Microsoft社のWordで論文を執筆する際にも引用文献を挿入することが簡単に行えます。
EndNote for iOSは、iPad・iPhoneで同一のライブラリを使用することができるため、いつでもどこでも自分に合った端末で作業を続けることができます。
なお、2021年12月現在、EndNote for iOSのインストールは無料です。
参考:ユサコ株式会社「EndNote for iOS」
おすすめのノートアプリ
続いて、この章では、おすすめのノートアプリとして「GoodNotes5」と「OneNote」の特徴について紹介していきます。
GoodNotes5
論文内に書き込みをした後、まとめのノートづくりに使えるのがGoodNotes5をはじめとするノートアプリです。
その中でもGoodNotes5は、非常に人気の高いノートアプリの一つです。
PDF形式の論文を取り込んでノートに追加できるのはもちろん、手書きで書き込んだ文字を検索したり、書いた図形を簡単に移動させたりすることができます。
また、書き込んだ図形を自動で綺麗な形に修正する機能も付いています。
インストールは2021年12月現在、買い切りで980円です。
参考:Time Base Technology Limited「GoodNotes 5」
ノートアプリ2:OneNote
OneNoteは、Microsoft社が提供するノートアプリです。
WindowsOSにもiOSにも対応していることから、WindowsOSのPCとiPadを併用する場合に特におすすめです。
GoodNotes5と同様、PDFを取り込んで書き込みできるほか、PDF内の文字と手書きの文字を合わせて検索することができます。
2021年12月現在、OneNoteのインストールは無料です。
参考:Microsoft「OneNote」
まとめ
この記事では、
- iPadで論文を管理するメリットは複数あること
- iPadで論文を管理するために準備すべきもの
- iPadでの具体的な論文管理方法
- おすすめのアプリ
について紹介しました。
実際の紙資料として印刷して論文管理をする方法と比較し、iPadがどのように便利なのか、お分かりいただけたのではないかと思います。
忙しい研究生活を少しでも効率的に過ごすための工夫として、論文管理にiPadを導入してみるのはいかがでしょうか。