仮面座談会第2弾。1回目では「出会いはどこにある?」というテーマで4人の院生にお話しいただきました。そこで出てきたのは、「出会いのチャンスは研究室内にもある」ということです。
しかし、同じ研究室で恋愛すると色々問題も起こりえます。そこで、今回は研究室内恋愛のメリット・デメリットを考えてみました。
材料・物質さん(女性) 博士課程1年
人文科学修士さん(女性) 修士課程2年
経済さん(女性) 修士課程1年
人文社会科学博士さん(男性) 博士課程3年
(人文社会科学博士さんは社会人になったばかり)
アカリク司会(女性) 生命科学系博士号取得者
研究室で恋が生まれる瞬間とは?
アカリク:今回ご参加の4名のうち2人は研究室内恋愛ですよね。人文社会科学博士さんの話のように、合宿で遺跡発掘をするというような非日常でカップルが生まれるというのはありそうですが、普段の研究室の中ではどういう風に恋愛が生まれるのでしょうか?
材料・物質さん:前回の話に出ましたが、みんなでご飯を食べに行ったり、飲み会に行ったりなど同じ行動をする中で意識し合うということはありますよね。
アカリク:材料・物質さんは研究室の先輩とおつきあいされている訳ですが、どちらからつきあおうという話になったのでしょうか?
材料・物質さん:向こうからですね。前の彼も同じ研究室で、つきあって3年経っていたんですが、その彼と別れたことがきっかけで今の彼と話したり、出掛けたりするようになって恋人になった、という感じです。
人文社会科学博士さん:分からないことを教え合う、というのもポイントが高いかもしれません。私の友人とその彼女は同じ分野の研究をしていたのですが、その子が友人に、日本学術振興会特別研究員(DC)の申請書類を読んで、書いて、添削しということをひたすらやり続けたことがあったそうです。友人の方が1つ下で、彼女が「図面がおかしいから私、図面を作るわ」と言ってくれたりしたそうです。
アカリク:そういうの、ありますね。私が研究に煮詰まって、「ああーもうできない!どうして?もうイヤだ」とか口に出して騒いでいたときに、日頃誰とも全く口も聞かないクールな先輩がツカツカとやってきて、サッと作業をしてくれたことがありました。 2日後には結果が出ていて、私を見ながら「(やりたかったのは)これでしょ?」なんて、私が求めていた結果を出してくれて。ちょっとドキッとしましたね。
人文社会科学博士さん:そうそう、発掘でも実験でも、作業に没頭していると、その姿を誰かが見ていたりするんですよ。
研究室内恋愛のリアル
アカリク:とはいっても、研究室内で恋愛することって、結構大変な面もありますよね?まず、オープンにできるかどうか。材料・物質さん、経済さん、いかがですか?
材料・物質さん:オープンにはしていません。
経済さん:彼は、今は別の研究室ですが、私の研究室出身で知っている人も多いので、私もオープンにはしていません。教授にももちろん。
人文社会科学博士さん:私がいた研究室は「研究室内恋愛禁止」という張り紙がありましたよ。基本、どこでも建前上は禁止なんではないでしょうか。とはいえ、実際は守られてもいないですが(笑)
人文科学修士さん:私の研究室は、女性ばかりなのでお互いの恋愛話で盛り上がったりしていますね。「最近どうなってるの?」と言うような話も良くします。
経済さん:それは、研究室内恋愛ですか?それとも別のところで知り合った人?
人文科学修士さん:ほとんどが研究室とも研究とも関係ないおつきあいが多いですね。私の研究室では、私を含めて、5人が婚約中なんです。中には、一回り以上年上の、別の大学の教授と結婚予定という人もいます。
アカリク:5人が婚約中?!一回り以上年上!?それはすごい研究室ですね!それだったら研究室で恋愛を隠す必要はないですよね。でも、研究室内の恋愛だと、色々と苦労がありますよね。
人文社会科学博士さん:研究室内だと、隠していてもなぜか結構ばれてるんですよね。ほかの院生や、もしかしたら教授にもばれているかもしれません。
材料・物質さん:私は同じ研究室ではなく、隣の研究室で噂になりました。「あの2人、仲良すぎるんじゃない?」と言われていたみたいです(笑)
しかも、地方ですから、遅くまで研究して大学から帰っても、開いている店なんてないんですね。だから、2人で部屋でご飯を食べるんですが、24時間スーパーでその買い物をしているときに、目撃されたりしちゃうんです。
人文科学修士さん:スーパーがデートコースなんですね。
材料・物質さん:開いているカフェも何もないですから、デートコースの定番です。
経済さん:研究室内恋愛は、まず、周囲が気を遣いますね。 私の研究室では、隣の机同士の2人が仲良くなって、オープンにしているわけではないけれど、もうあからさまに2人でばかり話していて、周囲にはうすうす分かっていたんです。でも、1ヶ月ぐらいですぐ別れてしまったみたいで…。もちろん、席は隣同士ですが全く口をきかなくなりました。周囲は気まずいですよ!
アカリク:出会いの場の定番ではあるけれど、気を遣う場面も多いのが研究室内恋愛という感じですね。
研究室内恋愛のメリット、デメリット
人文科学修士さん:恋人と同じ研究室であることって、いい面もありますが、ケンカになることも多くないですか?たとえば研究のこととか。
経済さん:私の場合は相手の知識レベルが高すぎて差があるので、ケンカになるよりも研究について教えてもらうことの方が多いです。材料・物質さんはケンカになりますか?
材料・物質さん:なりますね。研究内容だと、彼が「設計図を作って」と頼んできたので、3時間ぐらいかけてがんばって作ったんですね。私は細かく「ここは3ミリ、ここは5.8ミリ……」など、きちんと数字を入れて作成したんですよ。 そうしたら彼は「んーー、ここ、もうちょっと薄く。ここはもう少し分厚く」と抽象的な指摘をしたので、頭にきて「研究者なら具体的な数字で言って!」とケンカになりました(笑)
アカリク:わかります!しかし、逆に同じ研究室・研究者であることがメリットに感じることもありませんか?
経済さん:ありますね。私の彼は本当に研究好きです。スキーに行くバスの中でも難しい論文を読んでいるような人で、研究に対して本当にストイックなんですね。その姿勢は、私にものすごい刺激を与えてくれます。 人からは「オタク研究者みたい!」と思われるかもしれませんが、彼の研究への姿勢が、研究者としての私を育ててくれていると思っています。
材料・物質さん:私と彼はいつもケンカばかりしていて、空気みたいな関係ですよ。
人文科学修士さん:それは、もういるかいないか分からないって言う意味ですか?
材料・物質さん:違います!いなければ生きていけないという意味です。
アカリク:すばらしい!同じ分野の研究に携わることでの大変さがありつつも、メリットも大きいというお話が聞けました。
続いて次回は、ちょっと人には聞きにくい、みんな気にしている「お金」にまつわる話です。
恋人がいる院生たち、研究に励めばバイトもできず、お金には苦労していることも多いのではないでしょうか。そんな中で交際費はどのくらい使っているのか等、実体験をお話しいただきます。