エンジニアの育成はなぜ難しいのか?理由や重要な理由を紹介

「エンジニアが育たない」

「優秀なエンジニアを採用しても辞めてしまう」

このような悩みはエンジニアを抱える職場で多く見られます。

エンジニアの採用市場は非常に厳しく、なかなか採用にこぎつけません。

エンジニアは職種上雇用の流動性も高いため、対策を取らないとすぐに社外に人材が出て行ってしまいます。

このような事情から、自社でエンジニアを育成しようと考える企業も多いのが現状ですがそれも簡単ではないのが現状です。

今回は、エンジニアの育成についてとその難易度、育成方法や回避策などを紹介します。

優秀なエンジニアを確保したいと考える方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

エンジニアの育成は難しいのか?

エンジニアの育成は難しいとよく言われます。

エンジニアの育成は難しいと言われる理由には、「どのように育成すればよいか分からないから」という人材育成の課題が大きく関係しているのではないでしょうか。

言い換えれば、理由が分かれば理由に沿った適切な対策が打てるはずで、実際にやってみるとそこまで難しくないかもしれません。

まずはなぜ自社がエンジニアの育成が難しいと感じているのかを考えて、必要な施策が何なのかを柔軟に考えてみましょう。

エンジニアの育成が難しい理由

ここでは、一般的によく言われているエンジニアの育成が難しい理由を5つ紹介します。

育成に時間が掛かる

エンジニアの育成には時間が掛かります。

エンジニアには高度な知識が要求されますが、数日や数ヶ月で会得できるものではありません。
特にITエンジニアの場合はIT業界が比較的多忙なため勉強の時間が取れず、更に育成に時間が掛かる傾向にあります。

そんな長い時間待っていられないと考える経営層が多いと、時間の長さから育成を諦めてしまうでしょう。

エンジニアの育成を考えるのであれば、年単位で考えて計画を立てる必要があります。

育成するための人材が職場にいない

エンジニアの育成には、育成するためのスキルを持った人材も必要です。

育成するにはエンジニアに必要な技術力があるだけでは足りず、コミュニケーション能力や目標管理の能力が求められます。

しかしそのようなエンジニア育成に長けた人材が、社内に在籍していないケースも多く見られます。

また、職場にいたとしても上記の能力を満たす人材は多忙なケースも多く、育成に時間を割けないケースも多いでしょう。

エンジニアの育成に長けた人材を逃がさないためにも、普段から働きやすい環境を整備することが重要です。

成長しているかどうかが分かりにくい

育成しているエンジニアがどの程度スキルを得て成長しているかが分からないケースがあります。

特に外部のセミナーを受けさせたり、講師を招いて勉強したりでは、従業員の成長度合いを図りづらいもの。

育成中のエンジニアがどの程度成長しているかを把握するには、適度にOJT研修も実施して社内の上司や研修担当者とコミュニケーションを取ることが重要です。

ただし成長速度はひとそれぞれなので、あまりプレッシャーを与えないようにするよう注意しましょう。

育成した社員が辞めてしまうケースが少なくない

立派なエンジニアに育成しても、社員が辞めてしまうケースが少なくありません。

エンジニアの雇用流動性は比較的高く、高待遇でもない限り何も対策しないと社員がすぐに辞めてしまいます。

にもかかわらず経験者の採用は難しいので、辞められた際の人員確保がすぐにできず残った社員の長時間労働につながります。

たとえば、辞めないためにもフレックスタイム制やテレワークを認めるなど、社員が働きやすい環境を用意していくことが重要です。

エンジニアの育成の前に、辞められないように他社にはない自社の魅力が何なのかなど吟味しておく必要があるでしょう。

中堅社員のモチベーションが低い

中堅社員は若手社員に比べると勉強へのモチベーションが低い傾向にあります。

中堅以上の層は同じ会社に長く勤めようという思いからあまり転職を意識しません。

したがって自分と市場を照らし合わせてどんなスキルが足りないかを確認する機会も少なく、なかなかスキルを高めていこうという発想になりません。

中堅社員は辞職する心配が少ない分、モチベーションさえ上げられれば会社の大きな戦力になるため、知識のアップデートの大切さを分かってもらうように施策を練ることが重要です。

エンジニアの育成を重要視すべき理由

ここでは、エンジニアの育成を重要視すべき理由を紹介します。

経験者を採用しにくいから

現状エンジニアの採用は難しく、特に経験者の採用は困難を極めます。

IT業界の成長速度に人材育成が追いついておらず、経験者の人数は限られています。

優秀なエンジニアを確保するには経験者を採用するか自社で育成するかしかありませんが、前者が難しいとなると後者を選ばざるを得ません。

今後もエンジニアの採用難は続くと予想されるため、早急に自社で育成できる環境を整える必要があります。

自社の理念や方針を浸透させることができるため

自社の理念や文化、風土や方針を浸透させられる点も自社で育成するメリットです。

組織で仕事を協力しながら進めるには、単純に能力が高ければ良いという訳ではありません。

たとえ秀逸なスキルを持った経験者を採用できたとしても、自社の価値観や風土に合わなければ辞めてしまうか、業務効率が悪くなります。

特に若手社員はどこの色にも染まっておらず自社の理念や方針が浸透しやすいので、新卒社員を雇い育成するノウハウは非常に重要です。

自社の育成スキルも同時に向上させることができるから

エンジニア育成を実施することで、指導者も大きく成長します。

指導者は比較的社内での役職も高くなり教育を受ける機会が少ない傾向にあります。

ですが、人に指導するためには自分がより指導する分野においてスペシャリストになる必要があるため貴重な成長のチャンスが得られるでしょう。

また、実務スキル以外にも人に教えるにはコミュニケーション能力も要求されます。

育成のタスクは、当人に大きな成長の機会を与えるでしょう。

エンジニアに求められる能力

ここでは、エンジニアに求められる能力を6つ紹介します。

専門分野に関する知識

エンジニアとしてこなす実務で必要になる知識は欠かせません。

未経験の方はかなり苦労する分野になりますが、根気よく勉強を続ける必要があります。

たとえばサーバーサイドエンジニアであればWindowsやlinuxの知識、プログラマーであればpythonなどのコーディングの知識が必要です。

基本的な知識は身につけている人材を優先して育成していくのも、効率化のために良い策と言えます。

論理的思考力

エンジニアには論理的思考力が求められます。

エンジニアの仕事中には突発的な問題が多々発生しますが、都度論理的思考を基に解決することが求められます。

たとえばシステムが正常に動作しないという場合、状況に応じてOSの問題なのかもしくはハードディスクが壊れているのか等仮説を立てて迅速に施策を実行することが必要です。

論理的思考力はセンスもあるため、無暗に育成を進めるよりもセンスのある人を見極めることの方が重要かもしれません。

最低限のコミュニケーション能力

エンジニアは一人で黙々と作業することの多い職種ではありますが、営業との連携やクライアントの意図をくみ取る必要はあります。

また他のエンジニアと協力してプロジェクトを進めていくことも多々あるので、最低限のコミュニケーション能力は必須でしょう。

エンジニアはスキルが重要と考え、経歴が凄いからという理由だけであまり面接せずに入社させてしまうと、後々大変なことになるかもしれません。

コミュニケーション能力に問題がある社員は、外部のヒューマンスキル養成研修なども利用しながら最低限のコミュニケーションは取れるように育成しましょう。

想像力や理解力

想像力や理解力も重要です。

クライアントや営業からの要望や常に具体的な言葉や文字であるとは限りません。

想像力や理解力が足りないと、お互いに考えている解釈がずれて違う成果物を作成してしまう可能性があります。
結果手戻りが多く発生してしまい、非効率な仕事の進め方をしてしまうでしょう。

文章や言葉の意図を想像できないと、良いシステムを作り上げることは難しいと言えます。

語学力

語学、特に英語力は大切です。

特にIT業界では新しい技術が海外を起点に生まれており、最新の技術にアクセスするには英文を理解できる必要があります。

問題が発生した場合のエラーログなども英文がほとんどなため、英語が読めないと何が問題なのかすら把握できないでしょう。
海外企業との取引も活発になっていくことが予想されるため、英語でやり取りする機会もあるでしょう。

日本でエンジニアをしているから英語は関係ないとは言えない時代になっているのです。

エンジニアの育成方法は大きく自社育成と外注育成に分けられる

エンジニアの育成は主に「自社育成」と「外注育成」に分かれます。

自社育成は業務のみならず自社の風土やカルチャーにも慣れ親しんだ人材を育成できます。

ただし、教育できる人材が社内にいないと難しいでしょう。

外注育成は自社に十分なノウハウがなくても高度なスキルを教えられます。

しかし、育成に費用がかかるのと、会社が思い描いている人材とかいりが生じる可能性があります。

それぞれの特徴があるため、自分の会社に合った育成方法を選びましょう。

エンジニアの育成方法

ここでは、具体的なエンジニアの育成方法を紹介します。

OJT研修を実施する

OJT研修とは「On the Job Training」の略語で、現場で実際に仕事をしながらの教育を指します。

実際の仕事をしながら学んでいくので、人によっては成長も早くなります。

また、社内でのコミュニケーションが活性化し信頼関係も構築されるでしょう。

ただし実際の業務を経験のない人に任せるので、任せすぎると業務に大きな影響が出る可能性が否めません。

任せる範囲には制限を加えながら、柔軟に仕事を任せていく能力が育成者には求められます。

社内勉強会を開く

社内勉強会も、エンジニア育成には有用な手段です。

研修費や交通費がかからず、比較的安上がりなのが特徴です。
また、社員同士のコミュニケーションが進み会社の連帯感が深まる効果も見込めるでしょう。

たとえば、本社に育成したエンジニアを集めて勉強会を開き、終了後飲み会を開くことでコミュニケーションが促進されます。

ただし、勉強会で登壇し上手に教えるスキルを持った社員が必要になります。

スキルマップを活用する

エンジニアの育成にはスキルマップを活用しましょう。

育成中のエンジニアがどれくらいスキルを習得できているのか見える化することで、随時個々の習熟度に沿った育成プランを組めます。
また、エンジニア自身が自分のレベルを把握できるため、今後のキャリアプランを思い描きやすいでしょう。

指導者と育成者の認識が合い、スムーズに育成が進みます。

Off-JT研修を導入する

Off-JTとは、「Off the Job Training」の略語で、エンジニアに必要な技術に精通している外部講師などによりスキルを身に付かせます。
社内のノウハウに囚われない幅広い学習ができるため、社内に新しい技術を取り入れたいときは有用です。

ただし、研修中は社員が通常業務から外れるので仕事に余裕のある時期に実施するよう注意しましょう。

また外部への委託費用が嵩み、社内での育成より高コストとなる傾向にあります。

エンジニア育成で気をつけるべきポイント

ここでは、エンジニアの育成で気を付けるべきポイントを紹介します。

報告をきちんとさせるようにする

育成中のエンジニアにはきちんと報告させるようにしましょう。

エンジニアの育成状況が分からないと、上司はどのようにアドバイスすれば良いか分かりません。
特に外部に育成を委託していると、報告がなければ全く状況が分からなくなります。

またエンジニアからすれば自分のスキル状況が整理できるため、現状把握能力が身に付きます。

日報が難しいという場合は週報や月報からでも良いので、できるペースで報告を日常化していきましょう。

少しレベルの高い業務を任せてみる

育成がある程度進んだ段階で、エンジニアに少しレベルの高い業務を任せてみましょう。

自分のレベルより高い業務の遂行中は考えることが増え、言われたことしかできない人材になることを防げます。
知識として知っていても、実践に活かせなければ会社に貢献できません。

ただし、過度に期待せず必要に応じて上司や指導者からのフォローは必要です。

質問しやすい環境を整えたり、業務に必要な資料をきちんと共有したりしてから任せるようにしましょう。

目標を決めておく

エンジニアの育成では、目標を決めておきましょう。

目標を決めておくことで、育成するエンジニアがモチベーション高く勉強に励めます。

ただし、目標設定は本人とよく話し合って決めましょう。
なぜなら、上司や会社が一方的に目標を決めてしまうと、負担に感じて育成対象の方が勉強に対し嫌気が差してしまいます。
結果、辞めるきっかけにもなりかねません。

学ぶ理由や目的を明確にしてあげると、やらされ感をなくして自発的に取り組んでもらえるでしょう。

どうしてもエンジニア育成が難しい場合の施策

どうしてもエンジニアの育成が難しい場合の施策を以下で説明します。

エンジニア業務の外注

どうしても人材育成が難しい場合、エンジニア業務の外注も検討しましょう。

育成するよりもスピーディーにエンジニア業務を回せます。
また、育成するよりもコストを抑えられるケースもあります。

しかし、外注先とのコミュニケーションコストはかかるため、プロジェクトの円滑な遂行から遠のくかもしれません。

また、社内にノウハウが貯まらないので長期的な会社の成長を考えると有用と言えないケースもあります。

外注する場合は丸投げはせず、業務の内どの部分を任せればうまく仕事が回るのかを吟味しましょう。

フリーランスや派遣人材の活用

フリーランスや派遣人材を活用することで、必要なスキルを持った人材をすぐに得られます。

IT業界はトレンド技術の移り変わりが激しく、社内にいる正規社員が常にその技術を持っているとは限りません。

フリーランスや派遣人材を活用すれば、必要なスキルを持った人をピンポイントで雇えます。

ただしフリーランスや派遣人材は会社への帰属意識は薄いため、プロジェクトの管理は社内の正規社員にしてもらうようにしましょう。

エンジニア育成サービスを提供しているおすすめ企業5選

ここでは、エンジニア育成サービスを提供している企業を5つ紹介します。

株式会社IPイノベーションズ

出典:IPイノベーションズ | 総合スキルアップ育成研修 | 新入社員 | 第二新卒、未経験スタートの中途社員に技術+ビジネススキルの即戦力教育を | 一社1名様から参加可能

株式会社IPイノベーションズは、長年大手SIer企業の新人研修を実施してきている老舗の人材育成支援業者です。

技術的な知識だけでなく、人間力や自己解決能力など社会人に求められるヒューマンスキルも同時にアップさせる研修が充実しています。

技術面ではネットワークからOS、アプリ開発とさまざまな分野の研修が用意されているため、自社に必要なスキルに合わせて研修が組めます。

言われたことだけやる人材ではなく、得られたスキルや知識を活かせる人材に仕上げられるでしょう。

参考文献:【2022年最新版】おすすめの企業向けエンジニア研修・育成サービスまとめ6選 | コエテコキャンパス

株式会社ラーニングエージェンシー

出典:ITエンジニアの育成サービスなら【IT CAMPUS/IT研修】|人材育成・社員研修|ラーニングエージェンシー

株式会社ラーニングエージェンシーは、人材育成支援者数が13,000社以上、そして研修受講者数350万人以上と導入実績が豊富な人材育成支援業者です。

IT技術の実践的な研修から新人研修、中堅社員研修など幅広い研修を扱っています。

オンライン研修も可能な実績No. 1研修サービスとして注目されています。

料金は以下の通りです。

  • ライブオンライン研修・動画研修:初期費用300,000円〜/月額料金45,000円〜
  • 会場研修:初期費用300,000円〜/月額料金55,000円〜

開催回数も比較的多く、会社の都合に合わせて研修スケジュールが組みやすいでしょう。

出典:ITエンジニアの育成サービスなら【IT CAMPUS/IT研修】|人材育成・社員研修|ラーニングエージェンシー

一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会

出典:Python試験・資格、データ分析試験・資格を運営する一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会のページです。 | Pythonの学習の目安と習熟度チェックに試験・資格はいかがですか?

一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が開催する講座は、Pythonを使ったデータ分析の基礎や応用を学べます。

1回1万円と外部育成の金額としては非常にリーズナブルです。

Pythonを今後、強化していきたいと考えている企業にはうってつけです。

「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」を受けることで「Python3 エンジニア認定データ分析試験合格者」の認定を得られ、周囲へのアピールにもつながります。

参考文献:【2022年最新版】おすすめの企業向けエンジニア研修・育成サービスまとめ6選 | コエテコキャンパス

株式会社フルネス

出典:IT研修・オープン講座・講師派遣なら株式会社フルネス

株式会社フルネスは、IT研修に特化した研修サービスを提供している企業です。

扱っている幅が広く、Webエンジニアからインフラエンジニアの領域まで研修コースが用意されています。

社会人に必要なビジネススキルの研修も用意されているため、経験の浅い人材はヒューマンスキルから学ばせることも可能です。

助成金の申請も支援しているので、活用することで研修費用を抑えることもできるでしょう。

参考文献:エンジニアの研修に強い研修会社11選 | 社員研修・人材育成会社を探すなら「比較ビズ」

カスタマーズ・ファースト株式会社

出典:Customer’s First

カスタマーズ・ファースト株式会社は、実践的なプログラムに強みがある研修を提供しています。

人と企業の価値を高めるため様々な研修メニューを取りそろえています。

たとえばエンジニアとしての好きののみならず高いビジネス能力が得られる研修もあり、ITマネージャーの育成にも向いているでしょう。

IT企業に特化した研修では、単なるエンジニア以上にヒューマンスキルが求められるマネージャーを育成するプログラムや、顧客満足度の高いITエンジニアを養成するプログラムなどがあります。

参考文献:エンジニアの研修に強い研修会社11選 | 社員研修・人材育成会社を探すなら「比較ビズ」

自社で活躍できるエンジニアの育成を進めよう!

本記事のポイントをおさらいしておきましょう

  • エンジニアの育成は難しく感じることが多い
  • 経験者の採用が難しい現在、エンジニアの育成は重要視すべき
  • エンジニアは専門的なスキル以外にもヒューマンスキル全般が求められる
  • エンジニア育成の過程で自社の育成スキルの向上も期待できる
  • エンジニアは自社育成が良いが、難しい場合外注育成も取り入れるべき

エンジニアの育成は難しいですが、育成ノウハウが非常に重要です。

エンジニアの育成ができれば、経験者がなかなか採用できない採用市場で他社を大きくリードできます。

外部の育成サービスも適宜取り入れて、上手に効率よくエンジニアを育てられる組織作りを目指しましょう。