採用戦略とは?戦略の立て方や効果、成功事例を紹介!

「コストをかけているのに、思うように人材が採用できない」

「採用コストがかかりすぎている」

このような採用に関する悩みを抱えている企業は少なくありません。

特に昨今はさまざまな業界で人手不足が進んでおり、採用の難易度も高まっています。

このような状況下で採用を成功させるには、戦略をきちんと練ることが大切です。

ここでは、採用戦略の立て方と効果、成功事例について紹介します。

採用担当者の方、代表者の方などはぜひ参考にしてみてください。

採用戦略とは?

採用戦略とは、自社が求めている人材を必要な時期に、必要な人数採用するために立てる戦略です。

組織の長期的な繁栄には、人材の採用が欠かせません。

たとえば、人材を集めたいからと、求人広告の掲載や採用広報などの施策を、無計画に実施しているケースは多くみられます。

戦略のない施策では採用率が低下する傾向にあり、たとえ成果が出ても一過性の結果しか得られません。

まずは採用戦略を立てて、PDCAを回しながら有効な施策に絞りあげて、採用活動を展開しましょう。

長期的には、自社にとって効率的な採用活動ができるようになります。

採用戦略を策定するメリット

採用戦略を策定するメリットを7つ紹介します。

目標がぶれない

採用の成功には、目標に向かって継続して努力を続けることが必須です。

採用戦略を策定しておくことで、組織全員の目標がぶれることなく採用活動が進みます。

たとえば、人事部では新卒採用に力を入れているのに、現場の面接担当官はスキルを持った中途を重点的に採用しようとしていては、効果的な採用活動を展開できないでしょう。

皆が共通認識を持って目標に突き進むには、採用戦略の策定が欠かせません。

社内からの理解が得られる

採用は人事部だけが取り組んでも上手くいかず、会社全体で取り組む必要があります。

採用戦略をまとめて会社で公表することで、他部署にも採用方針が伝わり、人事部への理解が得られます。

社内からの理解があれば、社内でどういう人物が必要なのかの情報も人事部に上がってきやすくなります。

会社全体を巻き込んだ採用活動が展開できるように心がけてみましょう。

入社後のミスマッチを低減できる

採用戦略を策定することで、自社が採用する基準をきちんと決めるためミスマッチが起きにくくなります。

また、自社のことを理解した上で応募してくる求職者の比率が高まることもミスマッチが少なくなる要因の1つです。

たとえば、思っていた企業と違ったという理由で、若手社員の離職が多くなっていませんか?

採用戦略を策定し、その通り進めれば比較的ミスマッチも減り、現場の混乱も少なくなるでしょう。

自社への応募が増える

採用戦略を策定することで、応募の増加が期待できます。

理由は、自社の魅力と今の採用市場を踏まえ、効率的に伝えていけるためです。

たとえば採用戦略の一環で、求人媒体で応募をかければ、自社への認知につながるため、応募者が増えますよね。

採用は応募がないことには始まらないので、そもそも応募が来ないという企業は、応募が来るように採用戦略を練りましょう。

応募者の質が上がる

採用戦略を適切に実施することで、応募が増えるだけでなく質も向上します。

自社が欲する人材に達していない求職者に応募されても、対応の手間が増え無駄なコストがかかります。

一方、過去の採用実績からスポーツマンが比較的採用後も活躍しているということが分かれば、部活動で実績を残している人に絞って自社をアピールすることで、応募者の質が高まります。

応募者の質が向上すれば採用率は上がり、採用担当者の負担軽減も期待できます。

離職率が低下する

採用戦略を策定することで、離職率が低下します。

採用戦略では、採用後に定着して活躍する人材を、ペルソナとして落とし込むこともあります。

また採用戦略実施の過程で、自社についてよく知ってもらった上での応募が増えるので、求職者と自社のミスマッチを低減できるでしょう。

採用戦略を策定することで、入社後に定着し活躍するまでを見越した採用活動が展開できます。

採用コストの削減&採用効率の向上

採用戦略を策定することで、長期的には採用コストが削減されます。

PDCAを繰り返す中で無駄が排除され、最終的には自社にとって最も効率よく潜在候補者へアプローチする方法が確立されるでしょう。

ただし、短期的には採用戦略を練り、実行するためのコストがかかる分、今まで以上にコストがかかることが予測されます。

最初は成果が見えず辛いかもしれませんが、長期的な目線で運用を進めることで、採用戦略は本領を発揮します。

採用戦略の立て方

ここでは、採用戦略の立て方について紹介します。

採用戦略チームを発足する

まずは採用戦略を推進するチームを発足しましょう。

チームメンバーには採用戦略の趣旨をよく理解し、かつ全体のために正確な判断ができる広い視点を持つ人物が妥当です。

たとえば、以下のポイントをもとにメンバーを選出してみましょう。

  • 会社の中長期計画を把握しているか
  • 現場の育成に携わっているか
  • 会社全体の最適化を考えられる人材か
  • 顔が広いか

採用戦略の成功は、戦略を立てる人物のスキルにも依存するため、メンバーは慎重に選ぶべきです。

獲得したい人物像を明確化させる

続いて、自社が採用したい人物像を明確化させます。

長期的に自社にとって貢献してくれる人材がどのような特徴を持っているのか、可能な限り具体化させます。

もし採用する人物像に明確な基準がないと、面接官もなんとなくで応募者を落としたり、通したりしてしまいます。

人物像の明確化には、後に説明するペルソナ設定を利用するとスムーズに進むでしょう。

市場と自社の立ち位置を分析する

次に、採用市場の状況とその中での自社の立ち位置を分析します。

分析することで、獲得したい人物に対して自社のどこをアピールしていけば良いかが分かります。

たとえば、競合他社がアピールしていない訴求ポイントが自社にあれば、他社にはないアピールポイントとして差別化を図れます。

ありきたりなアピールはかえって採用効率を低減させる恐れがあるため、自社と採用市場をくまなく分析しましょう。

具体的な採用計画を決定する

ターゲットやペルソナ、市場の調査が終われば具体的な採用計画を決定します。

採用チャネルには、以下のようなものがあります。

  • 人材紹介
  • 求人広告
  • ダイレクトリクルーティング
  • 自社オウンドメディア
  • リファラル採用

採用チャネルごとに特徴が大きく異なるため、自社の採用戦略に適したものを起用することが大切です。

たとえば、母集団を増やす必要があれば求人広告の出稿を、入社後の定着率を上げたいのであれば自社オウンドメディアやリファラル採用がおすすめです。

課題が振り出しに戻らないよう、今まで分析してきたことを考慮しながら採用計画は決定するよう心がけましょう。

採用計画を実行する

採用計画に沿って実際に行動に移します。

実行時は応募が一定数来るので、面接担当官との連携が重要です。

たとえば、採用方針や基準について今一度共有し、認識のズレが起きないようにしましょう。

また、応募者の情報をいち早く面接担当者に共有することも大切です。

採用戦略の策定に使える6つのフレームワーク

採用戦略を効率的かつ効果的に策定するには、フレームワークの利用がおすすめ。

ここでは、採用戦略の策定に有用な6つのフレームワークを紹介します。

ペルソナ設定

自社の求める人物像を決めるのに、ペルソナを設定する方法が多く採られます。

ペルソナ設定では、ターゲット層の策定より更に具体的な採用したい人材像を明確にします。

たとえば、性別や年齢、居住地、家族構成、学校や前職での経験、趣味、ライフスタイル、価値観など可能な限り細かく設定します。

設計することで慎重な採用活動ができ、入社後のミスマッチを大きく減らせます。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーとは、求職者が自社を認知してから面接を受け、採用に至るまでのプロセスを表したものです。

またカスタマージャーニーマップは、カスタマージャーニーで表されたプロセスを分かりやすく表にまとめたものです。

カスタマージャーニーマップを見ながら、求職者が自社に感じるであろう入社までの障壁を考えることで、より適切な施策が生まれやすくなります。

作成に時間と労力はかかりますが、チーム間のコミュニケーションも生まれ、共有認識が持てるのでおすすめです。

3C分析

3C分析とは、自社と競合、顧客の3つの視点から環境を分析します。

以下の頭文字を取って、3Cと名付けられています。

  • Company=自社
  • Competitor=競合
  • Customer=顧客

マーケティングの世界でしばしば使われる分析方法ですが、採用戦略の策定にも効果的です。

Customer=顧客は、採用においては求職者を意味します。

4C分析

4C分析は、以下4つの視点から自社の立ち位置を分析します。

  • Customer Value=顧客にとっての価値
  • Cost=顧客の負担
  • Convenience=入手の容易性
  • Communication=コミュニケーション

採用戦略の策定では、4Cを以下のように考えます。

  • Customer Value:自社に入社することでどのようなメリットが得られるか
  • Cost:自社に入社した場合に求職者が何か犠牲になることやデメリットがないか
  • Convenience:候補者にとって日程調整や連絡などコミュニケーションがとりやすいのか
  • Communication:求職者とコミュニケーションをきちんと取れるのか

たとえば、自社に入社して転勤が発生することが求職者にとってデメリットなのであれば、転勤があればその分報酬を大幅に上げるなど対策が練れますよね。

4Cの視点から、自社がネックとなっている部分を探し、克服する施策を考えてみましょう。

SWOT分析

SWOT分析以下4つの観点から要因を分析します。

  • Strength=強み
  • Weakness=弱み
  • Opportunity=機会
  • Threat=脅威

たとえば、「休みが他社と比べ多い」や「残業が少ない」などは強みに当たり、「基本給が少ない」や「成長機会に乏しい」などは弱みに当たります。

強みは活かし、弱みは克服できるような採用戦略を考えましょう。

5A理論

5A理論は、採用活動の一連の流れを把握し適切な施策を組み立てるのに有用です。

5Aは以下の頭文字から取られています。

  • Aware(気付く、認識する)
  • Appeal(印象づける)
  • Ask(尋ねる)
  • Act(行動を起こす)
  • Advocate(周囲に勧める)

採用マーケティングでは、Advocateを入社と考え自社を認知してから入社するまでの流れを追います。

求職者にどのようにして自社を認知してもらい、興味を持ってもらうのか、そしてそこからどうやって入社してもらうのかを考えていきましょう。

採用戦略で起こりがちな3つの失敗

ここでは、採用戦略の策定で起きがちな3つの失敗を紹介します。

母集団が形成されていない

そもそも応募がされず、次の自社の魅力を伝えたり面接したりができないという状況です。

この場合、採用戦略の募集のフェーズに問題があります。

たとえば、採用ホームページの作成やダイレクトリクルーティングなど、リーチの狭い施策ばかりを展開しているケースが見受けられます。

応募がどうしても来ず困っているという場合は、求人広告への掲載や採用イベントへの参画など、広く求職者へアプローチできる手法も検討しましょう。

応募者に自社の魅力を伝えきれていない

接点を持てた求職者に、魅力的な会社だと思われている自信がありますか?

今は求職者も色々な選択肢がある時代なので、説明会などに行ってみて魅力を感じなければ面接を受けようとは思いません。

近年の説明会では、各社が応募者にインパクトを残すため、社長登壇の説明会を開いたり、ゲーム性のあるコンテンツを取り入れたりと工夫を凝らしています。

自社に魅力を最大限訴求するには、十分な自社分析が大切です。

入社後の早期退職が多い

入社人数が増えたものの、退職者も多くなったという悩みをよく見かけます。

この場合、面接から内定出しのフェーズの改善を図りましょう。

自社に合わない人材を面接段階で落とせれば、入社後の早期退職が多すぎるという事態にはなりません。

早期退職が多くなると、かえって会社にとって損失になるので、優先度高く解決するようにしましょう。

採用戦略の実行を成功させるポイント

ここでは、採用戦略を成功させるためのポイントを5つ紹介します。

採用戦略は広く共有しよう

採用戦略を策定後は、広く組織内に公表しましょう。

採用は人事部だけが取り組んでも上手くいかず、会社全体で取り組む必要があります。

採用戦略を広く会社で公表することで、他部署にも採用方針が伝わり人事部への理解が得られます。

社内からの理解があれば、採用の手助けをしようという他部署の動きも活発になり、採用活動がスムーズに進みやすくなるでしょう。

定期的に体制を見直そう

採用活動は組織にとって非常に負荷のかかる業務です。

採用戦略を実行しつつも、状況に応じて体制を見直す必要があります。

例えば、採用戦略を実行してみた所予想以上に応募が来て面接の対応に人員が必要になるかもしれません。

採用戦略をきちんと実行するためにも、定期的な体制の見直しは重要です。

PDCAを回し続けよう

採用戦略は定期的に振り返り、効果検証を欠かさずしましょう。

PDCAを回し続けることで、採用戦略の効果が伸び続けます。

たとえば、応募数は増えているのに採用人数は減っているという場合、定めたターゲットやペルソナから逸れた人の応募ばかりが増えていることが考えられます。

応募数も重要でKPIになりがちですが、応募からの面接来社率や採用率など細かくフェーズをわけて効果検証することが重要です。

採用戦略を活かすためのサービス

自社だけではどうしても採用戦略の策定から実行まで有効に進められないとお思いではありませんか?

採用戦略の策定や実行を手助けるするサービスの以下2つを紹介します。

  • 採用代行
  • 採用コンサルティング

採用代行

採用代行は採用アウトソーシングとも呼ばれ、社内で実施する必要のある採用業務を一部外部に委託できます。

重要な業務のみに自社の社員が集中できるため、自社社員の生産性が高まります。

また、採用の忙しい時期にのみ人員をピンポイントで強化することも可能です。

費用は割高になる場合も多いですが、活用すれば掛けたコスト以上の成果が得られるでしょう。

採用コンサルティング

採用コンサルティングを利用することで、企業の採用における課題や問題を分析し、より良い施策や解決策を提示してもらえます。

価値観や就職活動方法の多様化、労働人口の減少を受け、年々高度な採用活動の展開を要求されるようになってきています。

採用コンサルティングであれば採用活動を実行するのは自社の社員なので、ノウハウはきちんと残ります。

採用戦略の成功事例3つ

ここでは、採用戦略策定の成功事例を3つ紹介します。

KDDI株式会社

出典:KDDI株式会社 採用情報

KDDIでは、従来のメンバーシップ雇用のメリットを活かしながらもいち早くジョブ型採用に取り組みました。

求職者は以前に比べ、「自分の能力やキャリアを活かせる会社に入社したい」と考えるようになってきていました。

また、実際に中途入社の社員も増えてきており、実情に合ったジョブ型の人事制度を整えました。

「プロを創り、育てる制度」というコンセプトの元、採用の達成を目指しています。

参考:採用戦略の成功事例4選【100社取材した編集部が厳選】

面白法人カヤック

出典:面白採用キャンペーン | 面白法人カヤック

面白法人カヤックは、デジタルコンテンツを制作している会社です。

「面白く働けることが自社の価値」と考え、以下のような他社とは変わった採用企画を打ち出しています。

  • いちゲー採用
  • エゴサーチ採用
  • ワンクリック採用
  • エイプリル採用

これらの採用によって、ユニークで才能がある人材の採用に成功しています。

他社とは非常に大きな差別化がされており、売上も右肩上がりで上昇中です。

参考:採用戦略の事例を特徴別に紹介!採用戦略策定のポイントとは。

日本マクドナルド

出典:【公式】アルバイト・パート求人情報 | 日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルドは全国に約2900店舗あり、毎年の採用人数は約7万人ともなる巨大企業です。

一般的な企業より多くの人を採用する必要がありますが、働く人の満足度を高める施策を展開することで十分な人員を確保しています。

勤務評価や永年勤続表彰など、またオウンドメディアで働きやすい環境であることを発信することで採用ブランディングに成功しています。

良いイメージを求職者に持ってもらえれば応募につながり、毎年約7万人という大量採用を人手不足のこの世の中で成し遂げています。

参考:採用ブランディングの成功事例6選を厳選紹介

採用戦略を策定して、自社の採用活動をより効果的に実行しよう!

今回の記事の内容を以下にまとめました。

  • 採用戦略は、必要な人材を必要な時期に採用するために必要
  • 採用戦略を適切に練ることで、採用数の増加や質の向上が期待できる
  • 採用戦略実施中は、常にPDCAを回し続けることを心がけよう
  • 自社で採用戦略の策定が難しい場合は採用代行や採用コンサルティングを検討しよう
  • 採用戦略の策定に成功している企業はたくさんある

採用戦略は、採用を成功させ将来的に企業の売上を伸ばすためにも必要です。

今は特に人材に困っていない企業も、いざ必要な時に効率的な採用活動が展開できるよう、日頃から採用戦略を練ってPDCAを回していくことが大切です。

まずは自社にどういった人材が必要なのか、自社が採用市場においてどのような立ち位置なのかを考えてみましょう。