- リファラル採用に取り組んでいるが、成果は上がっていないので改善したい
- これから取り組む予定だが、失敗を回避するために事前知識を知りたい
- 成功させる要因はできるだけ知りたい
上記のように感じている担当者は多いでしょう。リファラル採用は強力ながら繊細な扱いが求められる戦略で、失敗する原因と成功するポイントを知らないと、なかなか上手く行きません。
しかし日本で採用方法として定着して間もないので、やり方を学ぶ機会がないのも現状です。そこで今回はリファラル採用の「失敗する7つの原因」と「成功させる7つのポイント」を解説します。
手痛い失敗は避けつつも成功要因はおさえる、つまりローリスクハイリターンなリファラル採用のやり方を学んでいきましょう。
目次
リファラル採用が失敗してしまう7つの原因
リファラル採用が失敗する原因は大きく分けて7つ挙げられます。
- 採用したい人物像が曖昧
- 運用体制の構築が不十分
- 社員への制度の周知が不十分
- 短期的に実施する
- 他の採用チャネルを利用しない
- アピール(ブランディング)が不十分
- 定量的な分析と改善をしない
上記7つのうちひとつでも原因として抱えているなら、リファラル採用は噂されるほど大きな成果を挙げられません。他にも細かい要因はありますが、過去の事例から見ても上記7つは最優先して改善が必要です。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
採用したい人物像が曖昧
リファラル採用したい人物像が曖昧だと、多くの場合失敗に終わります。なぜならそもそも希望する人材が集まりづらいからです。人物像がぼやけていると、紹介者もどのような人を連れてくればよいかわかりません。
紹介した後で、「なぜこんな人材を紹介したんだ?」と言われるくらいなら、社員はアクションを起こさないことを選びます。またリファラル採用の対象になるか判断できず、声をかけないことも多くなるでしょう。
仮に誰かを紹介したとしても求めるイメージは一致しないことが大半です。したがって欲しい人物像が曖昧だと、リファラル採用は失敗します。
運用体制の構築が不十分
運用体制の構築が不十分だと、当然ながらリファラル採用はうまくいきません。自社に以下のような問題はないでしょうか?
- 紹介者へのインセンティブが不足している
- 採用にかかる予算が組まれていない
- 不採用だった場合の紹介者・本人へのフォロー不足
- 採用基準が明確でない
- 担当者不在で属人化されていない
リファラル採用を十分に活用するには運用体制の構築が重要です。しかしまだセオリーもよく知られていない中でこれを整備するのは簡単ではなく、失敗するケースが多々あります。
またリファラル採用を「お手軽に縁故採用できる仕組み」と誤解しているケースもあるでしょう。そうすると運用体制をそもそも突き詰める間もなく、効果が上がらずに終わります。
社員への制度の周知が不十分
リファラル採用では、社員への制度の周知が不十分で失敗することもあります。なぜなら、紹介自体がまともに行われないからです。
リファラル採用は、社員が誰かを紹介して初めて成立します。しかし制度を十分に周知できていないなら、まとまった候補者数を集められません。
そもそもリファラル採用の存在すら知られていない、ということもあります。知っていたとして、自身へのリターンや必要性を感じていないなら、これもまた周知が不十分です。そうすると採用に値する人材にほとんどリーチできず、リファラル採用は失敗に終わるでしょう。
短期的に実施する
短期的に実施されるリファラル採用は失敗します。なぜならそもそも成果が出るまである程度時間がかかる中長期的な戦略だからです。リファラル採用が活発に活用されるまで、以下のようなステップが求められます。
- 制度自体を十分に周知する
- リファラル採用の重要性を社員に理解させ、自ら積極的に紹介できるような風土を形成する
- わずかではあるが紹介が発生する
- リファラル採用が定着し、活発に活用される
1からスタートして、数日、数週間で4まで到達するわけではありません。実際にまとまった候補者数を確保できるには、数ヶ月単位の期間が必要になるでしょう。つまりリファラル採用は中長期的な戦略であり、それを圧縮して短期的に回してもどこかでひずみが生じます。
また人材不足を急いで解決しようとしていると、リファラル採用による選考フローが不適切になることも。本来は、カジュアル面接や会食などの手段も含めて、ゆっくりと候補者との関係性を進めていくものです。
しかし「紹介なのだから、深く検討しなくても問題ないだろう」と早合点し、入社後に双方がギャップを感じるケースも少なくありません。
他の採用チャネルを利用しない
リファラル以外の採用チャネルを利用しないのもありがちな失敗です。人材募集サイトや転職エージェントからの選考を閉ざしまうと、まとまった数の人材を確保できません。
転職・就活市場にいる有望な人材との接点を自ら断ち切るようなもので、リファラルどころか会社の採用活動自体が頓挫します。
リファラル採用は数ある選考フローのひとつにしかすぎず、十分に人材確保するなら他の採用チャネルも機能させる必要があります。
会社からの情報発信や魅力のアピール(ブランディング)が不十分
リファラル採用がうまく行かないなら会社からの情報発信が不足しているかもしれません。たとえば社員が誰かに「ウチに来ないか」と声かけしたとしましょう。
しかし会社から外部への情報発信やアピールが不足していると、「彼は誘ってくれたが、会社自体には魅力を感じない」と判断されます。
そうなると、紹介を受けた本人は「せっかくの申し出だが、今回は見送らせてもらう」と回答するでしょう。また情報発信が不足していれば、社員は「声をかけるとして、どのようにアピールすればよいかわからない」と感じてしまう可能性もあります。そのような状態では、そもそも紹介自体が行われないでしょう。
会社からの情報発信や魅力のアピールが不足するのは、リファラル採用を失敗させる大きな要因となります。社員が紹介してもよい、むしろ積極的に声をかけたいと思うようなブランディングを進めていたいところです。
面談実施数などの把握をせず、定量的な分析と改善をしない
定量的な分析がないなら、リファラル採用は失敗に終わるでしょう。なぜならPDCAの回しようがないからです。
たとえば月間の面談回数や採用率など中間的な指標がわかっていれば、どのように対策するべきか見えてきます。採用率が低いなら、社員に求める人材や人物像が伝わっていないのかもしれません。
だとすれば、インフォメーションの在り方を変えようとか、いろいろ動きようはあります。
しかし定量的に分析できていなければ、何が施策として必要かわからず、リファラル採用は失敗へ向かうわけです。
しかも厄介なのが、リファラル採用を定量化するマーケティングや分析の汎用的な理論がさほど強固には確立されていないこと。だから、「定量化が必要だと分かっていてもやりようがない」と、手詰まり状態に陥ることもあります。
リファラル採用に成功するための施策
リファラル採用を成功させるには、以下7つの施策が必要です。おそらく上記すべてを実践できている企業はそう多くありません。クリアできていない部分は改善し、リファラル採用を成功へと導きましょう。
多くの企業がリファラル採用を使いこなせない中、自社が適切に運用できれば、新卒採用および転職市場で差別化して、かなり優位なポジションを確立することが可能です。
リファラル採用を行う目的や方向性確認
そもそもなぜリファラル採用を行うのか確認する必要があります。わざわざマイナーなこの手法を採択したなら、何かしらの理由があるはずです。リファラル採用について以下の点を見直してみましょう。
- リファラル採用を開始した最終的な目的
- いつまでに人材を確保する必要があるか
- どの部門に配置するのか
- どのような人材が欲しいのか
- 何人必要なのか
- 会社・紹介者・応募者にそれぞれ何のメリットがあるのか
上記が定まっていれば、適切な手段や改善策を打ち出せます。また、社員もどのような人材を紹介すべきかわかるので、フィットする人材を見つけやすくなるはずです。リファラル採用で失敗しないためには、まず目的を確認しましょう。
運用体制の構築
リファラル採用を失敗させたくないなら運営体制の構築を見直しましょう。安定して機能させるためには、以下のようなポイントをおさえる必要があります。
- 社員が納得する金額・内容のインセンティブを用意する
- 一方でインセンティブを節操もなく求める紹介は控えさせる
- 採用基準を明らかにして不公平感をなくす
- 会食や面談にかかる予算を洗い出す
- リファラル採用の担当者を決める
- どのように周知するのか考える
上記はリファラル採用を運用するうえで必要な構築です。特に適切なインセンティブは、この手法の成否を分ける重要なポイント。社員が納得でき、一方でインセンティブだけに執着した不要な紹介が生じないようにコントロールしましょう。
社員への周知
社員への周知は、リファラル採用を成功させるうえでかならず必要です。しかしメインの業務ではないので、社員もさほど注視しません。導入時には大々的にアピールする必要があるし、定期的なリマインドも求められます。以下の点を社内で広く知らせましょう。
- リファラル採用を実施していること
- なぜリファラル採用が重要なのか
- 募集要項と求める人材像
- 紹介者にはインセンティブがあり、それがたいへんすばらしい内容であること
- 紹介された本人のメリット
- リファラル採用にかける情熱や思い
リファラル採用では最初に「社員がある程度精力的に人材を紹介してくる状況」を目指します。
まずは社員に誰かを紹介してもらうことがなければ、この手法は成り立ちません。社内での周知を徹底して、リファラル採用の制度を大いに活用してもらいましょう。
中長期目線での実施
リファラル採用は中長期目線で実施することを念頭に入れましょう。この手法は短期スパンで成果が得られるものではありません。活発に人材が紹介され、安定して獲得できるようになるまで、時間がかかります。
少なくとも数日や数週間では成果は出ません。数ヶ月、長ければ数年単位の中長期的な目線で考える必要があるでしょう。適切なスパンで見積もれば、無理なく合理的なプランが見えてくるはずです。
他の採用チャネルとの併用
リファラル採用だけではなく、他の採用チャネルを併用することも大切です。なぜならリファラル採用だけで必要な人材を確保するのは難しいからです。またリファラル採用に依存してしまうと、いずれ人員は紹介を受けた者ばかり同質化し、多様性が損なわれるおそれもあります。
たとえば転職サイトやエージェント、新卒就活サイトなどのチャネルはある程度の応募が見込めるため、継続的に利用するのが良いでしょう。
企業ブランディングの取り組み
リファラル採用を成功させるなら、企業ブランディングは欠かせません。社員の紹介はあくまでも採用のきっかけづくりにしかすぎません。優秀な候補者を獲得するためには、本人が「転職してでも入社したい」と思わせるだけの企業ブランディングが求められます。
また、社員への「インナーブランディング」も重要です。やはり紹介する側がブランドを感じていなければ、そもそも誰かに声をかけることはありません。一方で社員に対してもブランディングできていれば、候補者へ会社の魅力を積極的に伝えるようになるでしょう。
リファラル採用では、社員と候補者双方にブランドや魅力を感じさせることが大切です。その点を意識して、企業ブランディングを進めていきましょう。
リファラル採用のPDCAサイクル
リファラル採用で失敗したくないなら、PDCAサイクルが回るように工夫しましょう。なぜなら、それができないといつまで経っても状況はよくならないからです。たとえば以下のような中間指標を定量的に評価できるようにしましょう。
- 面接の実施数
- 採用率
- 月間の紹介数
- その後の定着率
- 社員一人当たりの紹介数 など
上記のような中間指標を参照すれば、今何が必要なのか判断することが可能です。たとえば月間の紹介数が伸びていないなら、社員へ制度の周知を再度実施するなどのアクションを実施できます。
ただ、通常業務は定量的に分析しても、リファラル採用にまで手が回らないことも少なくありません。しかし定量的にリファラル採用を見つめることで、手法自体は成功へと近づきます。リファラル採用でも動向を数字として起こし、根拠を持ってPDCAサイクルを回していきましょう。
ただしリファラル採用を定量化する汎用的かつ完成度の高いフレームワークが存在しません。つまり、ある程度は自力で定量を計測するような仕組み作りが必要です。
まとめ:リファラル採用が上手くいかない時は、改善施策を確認
リファラル採用は十分な準備や工夫がなければ失敗に終わります。比較的新しい手法なので、従来は成功のポイントが確立されていませんでした。
だからこそ必要な施策がわからず、リファラル採用が失敗に終わったケースも少なくありません。しかし現在では、以下のようにリファラル採用を成功させる一定のセオリーは確立されています。
- そもそもの目的の確認
- 運用体制の構築
- 制度の存在と魅力を社員へ周知する
- 中長期目線での実施
- 他の採用チャネルとの併用
- 企業ブランディングの取り組みを進める
- リファラル採用のPDCAサイクルを回す
上記を実施していれば、制度の活用から採用に至るまでのロジックは埋まっています。ぜひ本記事を参考にリファラル採用を本格的に運用してみましょう。
ただしリファラル採用はあくまでも数ある採用チャネルのひとつにしかすぎません。過信することなく、別な選考フローも継続してブラッシュアップしましょう。
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