- 今後はもっとエンジニアが不足すると聞くが実際どうだろう?
- 自社でエンジニアは足りているし、特に問題はなさそうだが…
上記のような悩み、不安を持っている担当者は多いのではないでしょうか?結論から言えばエンジニアが不足しているのは事実です。
本文中で述べるように、それを裏付けるデータも出ており、エンジニアが足りない問題は逃げられない現実と言えるでしょう。そこで本記事では以下を解説します。
- エンジニア不足の現状
- エンジニアが不足して原因
- 深刻な人手不足を解消に近づける方法
まずエンジニア不足が起きている現実、これを詳しく解説するので、まず受け止めましょう。そのあと人手不足になった理由を踏まえ、自社がどのよう技術者を確保するか、できる限りの手段を解説します。
目次
エンジニア不足が嘘ではなくリアルだと認識しよう!現状について解説
エンジニア不足が起こっているのは事実であり、そして現状ではかなり深刻な状態。具体的には以下5つのポイントを理解しておきましょう。
- エンジニア不足は深刻で、”逆”採用倍率は7倍
- 今は足りていても将来的には不足するかもしれない
- 足りないのは最先端のエンジニア
- エンジニア不足に対する経済産業省の取り組みも今ひとつ
- 大手が独占しつつある現状を理解しよう
現在から将来に至るまで人手不足があり、有効な解決策も見えていないのが現状。それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
エンジニア不足は深刻!”逆”採用倍率は7倍
経済産業省のレポートによれば、IT業界では2018年には22万ものエンジニアが不足していたと報告されています。つまり、全く足りていないというわけです。まずはこの厳しい現実を受け入れましょう。
また、DODAの調査を参考にすると、IT・通信における有効求人倍率は6.82倍。つまり現在エンジニア1人に対して7つの求人が出ている状態。
つまり”逆”採用倍率は7倍と、異常な売り手市場です。現状、エンジニアは相当な人手不足であると言えるでしょう。
(参考文献:IT人材需給に関する調査 調査報告書 転職求人倍率レポート2021年7月)
今は足りていても将来的には不足するかもしれない
今でもエンジニア不足は顕著ですが、将来的にはもっと足りなくなるかもしれません。
経済産業省のレポートによれば、2030年、最悪の場合79万人ものエンジニアが不足するかもしれない、とのこと。
いくらSTEM教育により力を入れても、さすがに79万人ものエンジニアが足りない状況を埋め合わせできることはないでしょう。ただでさえ少子高齢化が進むなかで、将来的に誕生するエンジニアの数はかなり限られています。
もしかしたら「自社では今のところエンジニアは足りている」と感じるかもしれません。しかしそれもあと10年もすれば、転じてエンジニア不足に苦しむ可能性もあります。
(参考文献:IT人材需給に関する調査 調査報告書)
特に足りないのは先端的エンジニアリング分野
ただし、すべてのエンジニアが不足しているわけではありません。以下の分野では人材不足が特に著しいと言われています。
- AI・ビッグデータ・エンジニア
- フルスタック・エンジニア
- アプリケーション・エンジニア
- インフラ・エンジニア
要するに希少なスキルを持っているエンジニアは当然ながら不足するわけです。特に活躍できる範囲が広いフルスタック・エンジニアは貴重な存在。
一方、初歩的なシステムエンジニアなどは、人材不足とまでは言えない状況。技術的ハードルが先端的な分野として低いので、どちらかというと飽和しがちです。
といっても今後IT業界が進化していく中で大量のシステムエンジニアが必要になる、ということも考えられるでしょう。
エンジニア不足に対する経済産業省の取り組みも今ひとつ
経済産業省もエンジニア不足に対して動いているものの、成果のほどは今ひとつです。
もっとも大きな取り組みは2020年度から小学校でプログラミングを必修にしたこと。いわゆるSTEM教育の始まりです。
ただし、今目の前にある人材不足を解消するわけではなく、この意味合いを理解するのは10年単位で未来の話。今STEM教育でプログラミングスキルが磨かれたとして、彼らがエンジニアになるのはまだまだ先の話です。
業界そのものに対しては、エンジニアの給与アップや採用年齢の調整などがおこなわれています。つまり、エンジニアの待遇を高め、また高齢でもチャレンジできる環境を作っているわけです。
こういった取組ミニよって多少は改善したものの、もはや当たり前となったIT業界でのエンジニアの不足を根本的に解決するには至っていません。
大手が独占しつつある現状を理解しよう
エンジニア不足の現状でも大手は優秀な人材をきちんと確保しています。やはり大きな企業であれば、待遇や社会的地位、そしてワークライフバランスは安定する傾向があります。
薄給や長時間労働のリスクを感じさせず、エンジニアに対するネガティブイメージが届かない例外です。
さらには最新のテクノロジーに触れられるなどのポイントは海外技術者から人気を集めるポイント。海外国内問わず、大手がエンジニアを独占しています。
自社が中小企業に該当するなら、どのように対抗するのか考えておく必要があるでしょう。
エンジニアが不足する原因と将来への影響
続いて、何がエンジニアを不足させているのか考えてみましょう。
- IT分野の成長・市場発展が早すぎる
- 既存のエンジニアが高齢化している
- IT業界やエンジニアに対するネガティブイメージ(時として真実)
- 戦力になるまで相当な時間がかかる
- 少子高齢化による人材の減少
エンジニア市場を取り巻く環境は複雑です。それぞれが現状、そして将来的にどのような影響を与えるのかおさえておきましょう。
IT分野の成長・市場発展が早すぎる
エンジニアが不足するひとつの原因は、IT分野の成長と市場発展が早すぎること。現在はIoTやビッグデータなどの最先端技術が次々と登場、進化しています。
当然ながらエンジニアに求められるスキルやノウハウは拡大しており、これまでは必要のなかったナレッジが必須になっている部分も。
しかし、新しいスキルやノウハウを都合よくすべて揃える人物転職市場にはそうそういません。エンジニアがいても、今の時代にはまだ追いついていないというのはよくある話です。
市場発展もかなり早く、また縮小する傾向がまったくないことに注意しましょう。2019年までは右肩上がり、2020年は縮小していますがこれはコロナ禍による例外でしかありません。
2021年以降はまた市場拡大へ転ずるし、ビッグデータやIoTの進化具合を考えればこれまで以上に早いペースで成長していくでしょう。
しかし、いかに規模が大きくなっても、それを回す人材が足りなければ意味はありません。
既存のエンジニアが高齢化している
IT業界に在籍するエンジニアが高齢化しているのも問題です。
経済産業省の「IT人材等育成支援のための調査分析事業」によれば、50代以上の人材は現在23.1%、2030年には27%まで伸びるとのこと。
つまり、4人に1人以上が50代という分布になります。一方で中堅層は減少64.2%から48.8%まで減少します。
つまり将来性のある人材が激減し、経験とパフォーマンスの総合値が最も高い中堅層は少なくなるというわけです。
高い成果を残せる人材は、より不足するでしょう。若いエンジニアの割合は当然ながら増えてきますが、彼らが戦力としてカウントできるまで時間がかかります。また若い段階から目覚ましい成果を挙げられるケースは限られています。
参考文献:IT人材等育成支援のための調査分析事業
IT業界やエンジニアに対するネガティブイメージ
IT業界やエンジニアに対するネガティブイメージも不足の原因として挙げられるでしょう。人によって違いはありますが、おおむね以下の側面を感じる人材は多いものです。
- エンジニアはとにかく薄給
- 長時間労働で、ワークライフバランスが成立しない
- 納期前の徹夜や泊まり込み
などのエピソードが広く知られています。もちろん、すべての企業がブラックな環境にあるわけではありません。しかし一つひとつのエピソードが強烈すぎて、業界全体へのネガティブイメージを形成されるに至りました。
ブラック企業を連想させることは、エンジニア不足に拍車をかけます。
別にブラックなのが嘘ではなく、本当にひどい労働条件を突きつけていた企業があったのも事実。ある意味で当然の疑いであり、これをどのように払拭できるかがひとつのポイントとなるでしょう。
新人が戦力になるまで相当な時間がかかる
新人が戦力になるまで相当な時間がかかるのも、エンジニア不足の要因です。
エンジニアとして一人立ちするまで、社内教育はもちろんプログラミングスクール通学や独学などの努力が求められます。戦力になるころには離脱するケースも少なくありません。
能力的にピークの中堅層は、今後減少する見込みです。そして戦力としてはまだ数えづらい20代前半の人材が増加する見込み。
つまりすでに人材を戦力化するまで相当な時間がかかることで、全盛期を過ぎたベテランとまだ第一線には立たせられない若手ばかりになる、という可能性が考えられます。
少子高齢化による人材の減少
日本全体での少子高齢化による人材の減少も、エンジニア不足の要因も挙げられます。
そもそも少子高齢化によって採用する候補が少なければ、人材難になるのは当たり前の話です。しかも、全ての子供がエンジニアを選ぶわけではありません。
むしろフリーランスやインフルエンサーなど、新しい働き方や職業が注目されています。こういったことからエンジニアの不足が加速しているわけです。
深刻なエンジニア不足に対して企業が取るべき対応と方向性
本記事を読んで、あるいは読む前から深刻なエンジニア不足に課題を感じている人は多いでしょう。しかし、企業側でもできる対応、対策は多々あります。
具体的には以下の方法が考えられるでしょう。
- エンジニアの育成を内製化する
- エンジニア・IT業界のネガティブイメージを払拭する
- ダイバーシティで新しい人材を獲得する
- ニューノーマルの働き方を受容する
今までどおりのエンジニアチーム構築を再現し続けるのは、確かに難しくなるでしょう。しかしさ上記のような方法を用いて、エンジニアを確保して不足に備えることは可能です。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
エンジニアの育成を内製化する
エンジニアの育成を内製化することで不足に対応できます。外部から採用するのではなく、社内から人材を開発できるのであれば、採用市場で他社と競合しないで済みます。
一度エンジニアの育成方針を確定すれば、安定して人材を供給することが可能です。また最初から自社で働くことを前提にカリキュラムを構成できるので、よりフィット感のある人材でチームを仕上げられます。
育成を内製できるようになるまで、大きなハードルがありますが、実現できた時のメリットは計り知れません。各種研修やトレーニングサービスを用いて、達成できないか検討してみましょう。
エンジニア・IT業界のネガティブイメージを払拭する
エンジニア不足を解消するには、少なくとも自社でのネガティブイメージは払拭したいところです。現状では、以下のような問題に対して懸念が広がっています。
- 給与の向上
- 有給取得
- 残業の削減
これらについて、少なくとも自社には無関係であることを発信しなければいけません。具体的には採用サイトで実際の働き方を発信するなどの施策が考えられるでしょう。またインタビュー動画を掲載するなどの方法で信用を獲得することも可能です。
それでもエンジニア・IT業界は、納期前などにはシビアなスケジュールを強制される部分があります。完全にホワイトな状態にするのはかなり厳しいミッション。
エンジニア本人もその点はある程度受容するので、完璧なイメージチェンジにこだわる必要はありません。
ダイバーシティで新しい人材を獲得する
ダイバーシティで新しい人為を獲得するのも重要です。日本出身者へのこだわりを捨てて、海外出身、高卒者、専門学校出身者などを獲得しましょう。
そうすることでエンジニアの人数自体は揃えやすくなります。大卒・院卒でなければスキルが不足すると決まっているわけではありません。
もちろん理系・大学院卒業者は頼りになりますが、たとえば高卒者でも高いスキルを持っている人材は多いもの。海外に目を向ければ、ジャパニーズドリームを叶えるため、高いモチベーションを持つ発展途上国出身のエンジニアも少なくありません。
もちろん日本人で揃えたくなる気持ちはわかりますが、著しい不足が予測されるなかではダイバーシティに新しい人材を獲得することが大切です。
ニューノーマルの働き方を受容する
ニューノーマルな働き方を受容するのも、エンジニアの不足を解決するうえで有効な手段です。自宅勤務やリモートワーク、フレックスタイムなどを受け入れる必要があるでしょう。
働き方が柔軟になれば、もちろん志望者も多くなります。ニューノーマルの働き方を受容し、フレキシブルな企業体制を整えましょう。
ただし、リモートワークやフレックスタイムを導入するに新しい規則と教育、そしてツールが必要です。移行する際は十分に準備しましょう。
まとめ:将来のエンジニア不足に今から備える
近年ではエンジニア不足の問題が、あちこちで聞かれるようになりました。結論から言えばこれは事実であり、2030年には79万人もの人材が不足するという調査も出ています。
そうでなくとも現時点で「エンジニア1人に7つの求人がある」など、異常な売り手市場が形成されています。企業としてはどのようにして人材を確保するか、選択を迫られていると言えるでしょう。
しかしエンジニア不足が顕著でも、まだまだ対策する方法は多々あります。本記事では紹介したとおり以下の手法は検討したいところです。
- エンジニアの育成を内製化する
- エンジニア・IT業界のネガティブイメージを払拭する
- ダイバーシティで新しい人材を獲得する
- ニューノーマルの働き方を受容する
今までのエンジニアチームのあり方とはずいぶん異なるかもしれません。しかし上記のように時代に合わせて人材確保の手法を変えていくことで、エンジニア不足に備えることが可能です。
ぜひ早い段階から新しい採用スタンスを確立しましょう。
そうはいってもやはり、日本人の優秀な人材は一定数確保する必要があります。アカリクは、理系学部や大学院に在籍する新卒人材と、優良企業のマッチングを手がけるプラットフォーム。15万人以上のデータベースを持っており、数多くの候補からフィットする人物にアプローチできます。
登録者のうち9割近くがMARCH以上の学歴を有しており、ポテンシャルも安定。
理系、大学院の出身者はプログラミングとの相性もよく、ぜひとも積極的に採用したいところ。日本人の人材を確保する場合は、ぜひアカリクをご利用ください。