DX化が進む昨今では、エンジニアの需要が高まっています。
一方でエンジニアは不足傾向にあり、多くの企業が採用に苦戦しています。
また、せっかく採用しても、ミスマッチが生じてしまったというケースも少なくありません。
そこでこの記事では、エンジニアとのミスマッチが起こる原因と、その具体策についてお伝えします。
今後エンジニアの採用を検討している方は、ぜひお役立てください。
目次
エンジニアの採用が難しい理由
まずは、エンジニアの採用が難しい理由について、4つの側面から解説していきます。
IT業界の変化が激しい
常に変化が必要な業界であることが、エンジニアの人材不足を引き起こすひとつの原因になっています。
エンジニアが現在持っている技術は、この先もずっと使えると決まっているわけではありません。
そのため、エンジニアが現在持っている技術が自社にとって必要なスキルであるかどうかを事前に判断するのが難しく、求めているエンジニア像に合う人材に出会える確率も高くはありません。
売り手市場で採用競争が激しい
ITエンジニアは人手不足が続いており、今後も売り手市場になることが予測されています。
ITエンジニアの不足数は、2030年には最大で79万人まで膨れあがるというデータも出ています。
今後はさらに、企業間での獲得競争が激しくなる可能性があるため、エンジニアの採用は困難になっているといえるでしょう。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)
採用手段が多様化している
エンジニア採用の手法が多様化していることも、ミスマッチが起こる要因の一つです。
現在の採用市場では、左記のダイレクトリクルーティングの他に、リファラル採用などさまざまな採用方法が活用されるようになっています。
また、企業側だけでなく、求職者もSNSやネットを駆使して情報収集を行っています。
特に優秀なエンジニアほど、企業のリサーチを徹底的に行った上で条件を比較して求人に応募する傾向が考えられます。
求人チャネルが多様化したことで従来的な求人広告の反響が相対的に少なくなり、エンジニア採用の難しさにつながっているのです。
エンジニア採用でミスマッチが起こる原因とは
売り手市場の中でせっかく獲得した人材なので、どうしてミスマッチが起こってしまうのでしょうか。
そのような失敗を起こさないように、ここではミスマッチが起こる4つのポイントをご紹介します。
求人、求職情報が届いていない
まず一つ目は、情報の入手が困難になっていることです。
情報過多の時代では、前述の通り求人チャネルが多様化しており、エンジニア側からしても適切な情報を整理しにくくなっています。
情報を手に入れるのが難しい市場は、ミスマッチが起こりやすいと考えられています。
エンジニアを求める企業としては、「欲しい人材に対して、どのようなアプローチ方法が適切か」という側面に注意しなければいけません。
企業側と求職者側の希望がずれている
自社が出している求人が、市場のニーズにあった求職条件になっているでしょうか。
ここの認識がずれていると、ミスマッチが起こりやすくなってしまいます。
企業側の都合ばかりで賃金・年齢、雇用形態を考えてしまうと、求職者側のニーズにはなかなか合いません。
ミスマッチが多くなり、応募者は少なくなるという負の連鎖が発生するので、市場の相場はしっかり調査して求職者ニーズを考えましょう。
面接での相互理解が足りない
面接時の理解度も重要な要因です。
企業と応募者側の認識がずれていたり、理解が深まっていないまま採用してしまうとミスマッチにつながる可能性があります。
昨今ではオンライン面接も増えてきましたが、人間性を判断するためにも、一度は必ず直接対面での面接を行うのがおすすめです。
誤解を招くような掲載情報
自社の良い部分だけを掲載したり、わかりにくい情報を載せたりするとミスマッチが起こりやすくなります。
掲載する情報は、デメリットも含めた実情を正しく伝えることが重要です。
入社してから「労働時間が異なっていた」「聞かされていない業務も担当することになった」などの認識相違が生まれてしまうと、ミスマッチに繋がる可能性が高くなるので注意が必要です。
エンジニア採用でミスマッチを防ぐ対策
ITエンジニアの採用は難しく、せっかく採用できてもミスマッチが起こってしまう可能性もあります。
それでは、どのような点に注意すれば、エンジニアのミスマッチは防げるのでしょうか。
ここでは4つのポイントに絞って具体策を解説します。
求人情報を見直す
「誤解を招くような掲載情報」でもお伝えしましたが、求人情報が適切に発信されているかどうかは重要な検討点です。
求人情報は、その企業の第一印象にもなります。
掲載する情報と、実際の入社後の環境に乖離を生まないことを意識しましょう。
以下に、注意すべき内容をまとめました。
- 募集の背景を伝えているか
- 労働条件は実際の環境と相違がないか
- 求める人物像を明確に伝えているか
- 現場社員から見て内容に違和感はないか
これらの点に意識して、求人情報を見直すことが大事です。
4つ目の項目にある「現場社員からの目線」も重要です。
採用担当者だけの考えにならないように、広い視点から検討されることをおすすめします。
内定から入社後のフォローを充実させる
入社後にのフォローは、ミスマッチによる早期退職の予防になる効果があります。
ミスマッチが起こると雇用者はストレスや不安を抱えてしまうので、一定期間のフォローは心がけるようにしましょう。
具体的なフォローの内容としては、
・入社後に定期的な面談を行う
・転職者向けの研修を行う
・転職者用の相談窓口を設ける
などが挙げられます。
また入社前から内定者のフォローを始めることで、内定辞退率を少なくする効果も見込めます。
お試し入社やインターン制度を検討する
入社する前に実際の業務を経験してもらうことも有効です。
お試し入社をしてもらうことによって前述した認識の相違を解消できるだけでなく、社内の人とコミュニケーションを図ることで、入社後も円滑な業務をこなすことが可能になります。
お試し入社や長期インターンシップを行う際には、「貢献できた」という充実感を与えられる機会の提供が重要になります。
また、お試し入社から実際の採用になった場合は、求職者の意向が上がってきたタイミングで選考を提案することもポイントです。
選考前から企業の文化や業務内容を理解しているので、入社を決めてくれる可能性が高くなり、反対にミスマッチが原因で退社する可能性は低くなります。
採用方法を見直す
そもそもの採用方法を見直すということも検討すべきポイントです。
これまで多くの採用活動は、求人情報を出して応募を待つという「守り」の体制でした。
しかし、企業側から自社が求める人材を探してアプローチする手法を取ることによって、買い手と売り手のニーズがマッチする可能性が高まります。
その手法の一つがダイレクトリクルーティングです。
次のセクションでは、ミスマッチが起こりにくい採用手法例として、ダイレクトリクルーティングについて深掘りしていきます。
エンジニア採用でミスマッチが起こりにくい採用方法は?
ミスマッチを防ぐ対策の一つに、採用方法を見直すということがあります。
その例として、ここではダイレクトリクルーティングを活用するメリットをお伝えします。
反対にデメリットについても解説しますので、採用活動の見直しを検討されている方は参考にしてください。
直接アプローチができるダイレクトリクルーティング
そもそもダイレクトリクルーティングとは、企業側が求職者に対して直接アプローチをかける手法のことです。
求人を出して待っているだけの採用方法では、企業が求める人物像に出会える確率は低くなってしまいます。
しかし、企業自らが最初に選定を行うことで、企業目線での条件相違は発生しにくくなります。
あとは求職者に対して適切な情報を共有し、オファーを承諾してもらえるように交渉します。
直接コミュニケーションをとるので双方の理解が深まり、前述していたミスマッチが起こる原因の対策になるのがダイレクトリクルーティングです。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ミスマッチを防ぐという利点の他に、ダイレクトリクルーティングには採用コストを削減できるというメリットもあります。
一般的に採用活動のコストは、求人の広告掲載費用や、人材紹介エージェントの成果報酬費用が発生します。
しかし、ダイレクトリクルーティングは、SNSなどを活用する場合、特別な費用はかかりません。
「求人広告」や「人材紹介」に比べると、コストを抑えた採用活動を行える可能性があるのもメリットの一つです。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
一方で、ダイレクトリクルーティングにはデメリットも存在します。
例えば、運用するためには工数が多くかかってしまうというのはその例です。
ダイレクトリクルーティンを行うには、まず自社が求めているスキルや経験を基準に、対象となるエンジニアをデータベースから検索します。
候補となるエンジニアが見つかったら、一斉メールではなく一人ひとりに合わせたスカウト文章を作成する必要があります。
そこで返信があれば個別でスケジュールを調整。
面接にいたるまでにも一人ひとりに対して対応していくことになるので、求人を待つ採用に比べると手間を時間がかかる点は注意が必要です。
採用担当者の負担が大きくなってしまう可能性がありますので、もしダイレクトリクルーティングを検討する際は、リソースが十分に確保できるかを確認しましょう。
まとめ:原因を理解してエンジニア採用のミスマッチを防ぎましょう
この記事では、エンジニア採用のミスマッチが起こる原因と、その対策について解説しました。
エンジニアの採用は難しくなっており、このような状況は今後も続くことが予測されています。
エンジニアのミスマッチが起こってしまう原因としては、適切な情報を発信できていないことや、そもそも情報自体が求職者へ届いていないことを挙げました。
対策としては、お試し入社をしてもらうことや、求人情報を見直すことが効果的です。
また、採用活動の一環として、ダイレクトリクルーティングなど別の手法を検討するのも効果的です。
まずは情報の整理を行い、自社にどのような人材が必要なのか、市場はどのようなニーズを持っているのかを知るところからはじめましょう。