「採用をしても会社とのミスマッチですぐに人が辞めてしまう」「候補者に声をかけるのが遅くなり他社に優秀な人材を取られてしまう」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。
こうした悩みを解決する方法の1つが、リクルーターの導入です。リクルーターがいれば候補者をより深く理解できるようになるため、採用で悩んでいる会社は導入を検討してみましょう。
この記事では、リクルーターの意味や役割、リクルーターを導入するメリットとデメリットについて解説します。採用フローを見直し、優秀な人材確保に努めましょう。
目次
リクルーターとは?
リクルーターとは、面接以外の場で入社を希望する候補者と直接コンタクトを取る社員のことです。新卒採用においては、学生と同じ学校を卒業した社員がリクルーターになることが多いです。
リクルーターは多くの企業で導入されており、株式会社ディスコが行った調査によると、リクルーターと接触した経験のある学生は文系の場合約半分となっています。
引用:株式会社ディスコ
リクルーターが昨今注目されているのは、従来の採用方法だけでは候補者の絞り込みや確保が困難になってきているためです。直接優秀な人材に声をかけ、会社への理解を深めてもらうことで最適な人材を確保しようとする会社は、今後も多く出てくるでしょう。
リク面とは?
リクルーターが実施するのが、リクルーター面談、通称リク面と呼ばれるものです。リク面には複数の種類があり、どういった方法で面談を進めるかは各企業に委ねられています。
ここからはリク面の種類3つについて解説するので、理解を深めるためぜひ読んでみてください。
説明会
まずは、会社説明を目的としたリク面です。1人の候補者に対し1人以上のリクルーターがついて説明をすることもありますが、複数の候補者を集めることも少なくありません。
説明会を目的としたリク面では、質疑応答の時間を設けながらカジュアルな雰囲気で会社の説明を行います。大規模な説明会では伝えにくい情報もカジュアルなリク面では話しやすいので、候補者が会社のリアルな雰囲気を知れる場になるでしょう。
スカウト
候補者の早期スカウトを目的としたリク面も、少なくありません。スカウト目的のリク面では、候補者に過去の実績や人柄を聞き、会社に最適な人材かどうか見極めます。
応募者や説明会参加者から良い人材を選びスカウトするのもおすすめですが、就活・転職サイトのスカウト機能を活用するのも良いでしょう。会社への応募意思がまだない候補者にも積極的に声をかけ、採用のチャンスを高めてください。
面接
リク面ではリクルーターが面接官となり、面接を行うこともあります。面接として扱われるリク面はカフェなどカジュアルな場で行われますが、内容としては正式な面接です。
そのため、リク面で高い評価を得た候補者に対しては採用フローを減らし最終選考に進ませる、といった企業も存在します。
リク面における面接の評価をどこまで反映させるかは会社次第ですが、優秀な人材を短期間に確保するなら大幅な採用フロー短縮も検討しましょう。
リクルーターの役割
採用をスムーズに進めてくれるリクルーターですが、具体的にどのような役割を担っているのでしょうか。
ここからはリクルーターの役割や担当する業務について解説するので、ぜひ参考にしてください。
候補者の情報を詳しく知る
リクルーターは候補者と直接話すことにより、候補者の情報をより詳しく知ることができます。カジュアルな場で話すことでお互いに本音を出しやすいので、候補者側も会社についてより深く理解できるでしょう。
また、リクルーターが声をかけるのは企業側が求める人物像に近い候補者に限られます。そのため、リクルーターを使い優秀な人材の囲い込みをすれば、質の高い母集団を形成することにもつながります。
リク面をしても採用につながらないケースもありますが、直接候補者と会うことで候補者側から会社への関心も高まるため、リクルーターの役割は大きいでしょう。
候補者と面談を行う
リクルーターには面談という形で候補者と接触する役割があります。リクルーターが行う面談は正式な面接とは異なるため、就活解禁以前でも候補者と接触することが可能です。
また、面談の印象が良ければ採用フローの省略も検討できます。人事以外の人間がリクルーターを務める場合は、面接官としての役割も果たす必要があるでしょう。
内定辞退を防止する
内定辞退を防止する目的でも、リクルーターは活躍します。せっかく内定を出しても、内定辞退が多く必要な人材を確保できないと悩む人事の方は少なくないでしょう。
内定後の辞退理由として大きいのは、会社とのコミュニケーション不足です。内定辞退を防ぐには、入社前までに企業と内定者が密にコミュニケーションを取る必要があるでしょう。
リクルーターはもともと内定者と関わりを持っているため、内定後も候補者とこまめに連絡を取れば入社前の不安を取り除けます。リクルーターは候補者とのコミュニケーションを取ることで、内定辞退を防ぐことが可能です。
リクルーター導入のメリット
様々な役割を果たすリクルーターですが、リクルーター導入には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからはリクルーターを採用に導入するメリットを3つ解説するので、ぜひ採用フローの検討に役立ててください。
人材に直接アプローチできる
リクルーターは企業が求める人材に直接アプローチできるので、効率的に採用活動を進められます。大規模な説明会を開いても、企業と合わない人材が多数応募してくるケースもあり、いちいち面接をしていると時間のロスになるケースは少なくありません。
一方、リクルーターがいれば企業側が気になる候補者と直接交流できるため、欲しい人材にピンポイントで会社のアピールができるでしょう。
また、直接候補者と話すことで候補者の入社意欲を詳しく知れるので、入社意欲の高い候補者に絞ったアピールが可能です。入社可能性を踏まえて内定を出せば、内定辞退をある程度防げるでしょう。
早い段階から候補者を絞れる
リクルーターは早い時点で候補者と交流できるため、優秀な人材を早期に囲い込めます。リクルーターが行うのは面談であり、面接とは異なるため新卒採用解禁以前でも直接コンタクトを取ることが可能です。
まだ入社先を決めていない候補者に早い段階で声をかけることで、会社の存在を強くアピールできます。リクルーターの印象が良ければ、候補者の入社意欲が上がり早い段階で内定承諾をしてくれるケースもあるでしょう。
昨今は売り手市場であり、多数の企業が優秀な人材を取り合っている状態です。少しでも早く優秀な人材に声をかけ、会社の存在を知ってもらいましょう。
カジュアルにコミュニケーションが取れる
リクルーターは候補者とカジュアルにコミュニケーションが取れるため、お互いの理解が深まりやすくなります。
一般的な面接では、候補者も会社側も建前で話すことも多く、お互いの実態について深く知ることは難しいです。一方、リクルーターはカジュアルな場で候補者と話すため本音を出せるチャンスが増え、ミスマッチ防止につながります。
また、候補者と直接話すなかで就職活動・転職活動に対するトレンドを知ることも可能です。求職者側の考え方を知り、採用活動全般に活かしましょう。
リクルーター導入のデメリット・注意点
リクルーターを導入すれば早期に優秀な候補者を確保することができます。しかし、リクルーター制度を導入するうえでは、デメリット・注意点も意識しておかなければいけません。
そこでここからは、リクルーターのデメリット3つを解説するので、ぜひ事前に確認してください。
リクルーターの質で会社の印象が決まる
リクルーターは候補者に強い印象を残すため、リクルーターとのミスマッチが会社全体へのマイナスイメージにつながる可能性があるでしょう。
リクルーターは候補者と長い時間、直接話します。印象の良いリクルーターなら会社への印象も良くなり、入社意欲もアップするでしょう。一方、リクルーターの質が低く候補者に失礼な態度を取ってしまった場合、その時点で入社を避ける候補者も少なくありません。
リクルーターの質は、そのまま会社の印象になります。リクルーター選定の際は候補者との関わり方について細かく指導する必要があるでしょう。
他の業務に支障が出る可能性がある
リクルーターの多くは人事以外の社員であるため、リクルーターとしての活動が他の業務を圧迫する可能性があります。リクルーターとしての活動が通常業務に悪影響を及ぼす場合、リクルーター制度に対する社内からの印象は悪くなるでしょう。
また、通常業務が忙しい場合、そもそもリクルーターという役割を引き受けてくれる社員がほとんどいないかもしれません。リクルーター制度を導入する前に、各部署の忙しさなどをリサーチしておきましょう。
少数の候補者にしか対応できない
リクルーターの人数には限りがあるため、リクルーター制度を導入しても接触できるのは少数の候補者のみとなります。
リクルーターを使えば、候補者と密にコミュニケーションを取ることが可能です。しかし、多くの候補者と会えずなかなか会社にマッチした人材に出会えないケースもあるでしょう。
また、少数の候補者にターゲットを絞りすぎると、その候補者が内定を断った場合に他の候補者を採用しにくくなります。柔軟に採用活動を進めるため、リクルーター以外の方法でも採用を進めておきましょう。
リクルーター制度をスムーズに導入するポイント
リクルーターを導入し採用を成功させるには、社内での準備が大切です。
ここからはリクルーター制度を導入するうえで大切なポイントを5つ紹介するので、スムーズな制度導入に活かしてください。
リクルーター制度を社内に告知する
リクルーター制度を導入するなら、まずは制度を社内に告知しましょう。リクルーター制度の導入には、社員の協力が必須です。制度を導入する目的やメリットを知ってもらい、可能であれば社員自ら協力を申し出ることができるような環境を作りましょう。
とくに重要なのは、リクルーターを担ってくれる中堅・若手層の上司にリクルーター制度を理解してもらうことです。リクルーターとして働くことで通常業務に影響が出る可能性を踏まえ、先に管理職のみを集めた説明会を行っても良いでしょう。
社内の理解を深め、スムーズな制度導入を目指しましょう。
リクルーター制度のルールを決める
リクルーター制度を導入するなら、リクルーター間で共有されるルールを決めておきましょう。リクルーターの面談は勤務時間外や休日に行われることも多いため、給与はどのように設定するのか決めておく必要があります。
また、リクルーター面談時の飲食費申請についても事前に話し合っておきましょう。リクルーターが気軽に経費を申請できるよう、社内で制度を整えておくことが重要です。
そして、どこまでをリクルーターの業務内容とするのかも決める必要があります。リクルーターは面談だけをする場合もありますが、内定後も候補者と定期的な連絡や交流をすることも少なくありません。
リクルーターにどこまでの役割が必要なのか、話し合いで決定しましょう。
フォロー制度を整える
リクルーター制度では、リクルーターに対するフォロー体制も重要になります。制度を導入したばかりの状況では、リクルーターも不安を感じることが多いです。「自分が本当に採用に関わって良いのか」「採用の責任を持てるのか」と悩んでしまう社員もいるでしょう。
そこで必要なのが、リクルーターのフォローです。リクルーターが活躍している間は、些細なトラブルもすぐに相談できる体制を整え、安心して活動に専念してもらいましょう。
また、リクルーターの質は会社の印象を大きく左右します。リクルーターのミスが信用問題に発展しないよう、リクルーター以外の社員も積極的にトラブル解決に向けて動けるようにしてください。
最適なリクルーターを選定・育成する
リクルーターに関するルール決めが終わったら、リクルーターを選出・育成しましょう。リクルーターには、候補者と年齢の近い若手社員を選ぶ会社が多いです。一方で、会社の将来や経営について深く話せる中堅社員・ベテラン社員を選出することもよいでしょう。
通常業務の忙しさも踏まえ、自社のアピールに最適な人材を選んでください。
選出したリクルーターはそのまま面談してもらうのではなく、育成期間を用意しましょう。どのような観点で人材をチェックすれば良いか、候補者と話すときはどのような点に気をつければ良いか伝え、リクルーターの質を上げることも重要です。
他の採用方法も併用する
リクルーター制度にはデメリットもあるため、必要に応じて他の採用方法も検討しましょう。リクルーター制度の導入により、会社とマッチする人材を早期に囲い込むことも可能です。
しかし、多くの候補者にアプローチするのは難しいので、人数を確保したい場合は不利になります。
リクルーター制度を導入する際はリクルーターのみに頼るのではなく、就活サイトでの情報公開や大規模な説明会など、募集の幅を広げる採用方法も導入しましょう。
まとめ:リクルーター制度を導入し採用成功に繋げよう
リクルーターを導入すれば、優秀な人材が早期確保できるだけでなく、候補者についての理解が深まるため入社後のミスマッチ防止にもつながります。
現在の採用方法でなかなか優秀な人材確保ができない場合、リクルーターの導入を検討すべきでしょう。ただし、リクルーター制度の導入には準備が必要です。しっかりと時間をかけてリクルーター制度を社内に周知し、候補者から好感を持たれる最適な人材を選出しましょう。