新卒説明会で行うプレゼンのコツは?就活生に好印象を与える取り組みを紹介

新卒説明会を行うとなった時、どうしたら就活生に興味をもってもらえるかが気になりますよね。Web上の評判を見ると「つまらない」「内容がおもしろい」等様々な就活生の意見があります。どんな内容にしたら就活生の心をつかめるのでしょうか。今回はそのコツを紹介します。 

新卒採用で説明会はなぜ必要?

日本の新卒採用は原則として新卒一括採用です。

「ジョブ型採用」という言葉も盛んに出ていますが、本来的な意味での「ジョブ型採用」の企業は日本ではとても少ないのが現状です。
そのため「ある程度職種を限定したとしても将来的に他職種への転換可能性がある」
というのが現在も日本の新卒採用の特徴です。

となると就活生は応募先を選ぶときに仕事軸だけでなく、会社軸で選ぶ必要性が出てくるのです。
そのため「自分に合っている会社か」というイメージを具体化する場が必要となります。
それこそが新卒説明会という場になります。

就活生が新卒説明会に求めている内容は?

就活生が新卒説明会で知りたいことは大きく分けると以下になります。

  • 会社の今後の方向性
  • 会社が大切にしていること
  • 働く場所や雰囲気
  • 自分が任される仕事内容
  • 選考内容

説明会に参加するということはそれだけで就活生も時間を使うことになります。
その労力を用いて、Web上で検索すればわかる情報だけの提供となると、「この新卒説明会はつまらない」と思われ、満足度は著しく下がってしまいます。

あくまで「その場に来ないと得られない生の情報」を盛り込むことが大切です。

就活生の心をつかむプレゼンのコツ

就活生のほとんどは複数の企業の説明会に参加します。

調査結果を見ると、企業説明会やセミナーに参加した回数は「10~19社」が約27%で最多、次いで「1~9社」が約26%です。

※出典:令和2年度 就活生の就職・採用活動開始時期等に関する調査報告書(内閣府)

https://www5.cao.go.jp/keizai1/gakuseichosa/pdf/20201130houkokusyo_1.pdf

就活生の多くが複数の企業の説明会に参加する中で自社の内容を「記憶」してもらうことが大切になります。
ここでポイントになるのが「記憶しやすい」ことと「興味関心を持ってもらう」ことです。

ではどうすれば良いのか見ていきましょう。 

伝えたい内容を簡潔に伝える

人間の脳は、4±1桁、数字は3~5桁、言葉は3~5文字ならば、記憶にとどめることができます。これはマジカルナンバー理論といわれるものです。

プレゼンの内容を5文字程度で表すのは難しいですが、伝える項目は3つ、最大でも5つにすると良いでしょう。

たとえば「弊社の特徴」として3つあげる、といった形です。

その上で各項目のコメントを文章にせず短くします。
コメントの事例をみてみましょう。

悪い例)中期経営計画(概要):令和元年度から令和3年度
良い例)3年後の私たち

どちらがぱっと見て記憶に残るか?というと一目瞭然です。

ポイントは

  • 覚える部分がすくない
  • ひらがなが多く見やすい
  • 考える部分がない(令和元年度から令和3年度だと計算する必要がある)

ということです。

この点を意識して項目の説明を作りましょう。

ストーリー性を持たせる

人が興味を持つのは、「親近感」と「好意」です。好意は個々人によるので事前把握が難しいです。
そのため「親近感」に着目しましょう。

どんなに良い製品・サービスでもスペックを説明されただけでは親近感は感じられません。
一つのサービスを生み出すのには物語があるはずです。
こんな失敗があり、その結果こんなところで活かされているなど。
実際に起きたことをリアルに話すことで「疑似体験」ができ、就活生が「親近感」を感じられるようになるのです。

会社概要に載っていない情報を含める

説明会の場に来たからこそ得られる情報がある、ということが就活生の「興味関心」を引き、「得をした」という気持ちを呼び起こします。
知っている事ばかりでは、この新卒説明会はつまらない、という印象になってしまいます。

具体的にどんな話を盛り込めば良いのでしょうか。

1つ目は「失敗談」です。

どうしても自社をよく見せたくなりますが、「全部良いこと」の説明は少し嘘くさいですよね?
目標を掲げて仕事に取り組む中で苦労や失敗はあるはずです。新入社員時代の失敗や業務の中で上手くいかなかったことなど、あえて恥ずかしいことを話してみましょう。それが「親近感」を呼び起こします。

2つ目は、「ここだけ話」です。

「実はこんなことあった」等、参加したからこそ得られる情報があるというのは特別感もあり記憶に残りやすくなります。
しかし、内容が毎回一緒になってしまうと、就活生同士の情報交換で「また言ってる」「ネタではないか」という疑心を持たれてしまうので注意が必要です。

プレゼンテーターによってここだけ話を変えるなど、変化させることも意識しましょう。

図や写真、動画を使って視覚的に訴える

図を多く使うことで記憶がしやすくなります。

使うときのポイントは3つです。

1. たくさんの色を使わない
  カラフルなにすればするほど、何を伝えたいものかわからなくなってしまいます。
  色は使っても3色以内で濃淡で差をつけましょう。

2. 1つのスライドに図や写真は2つ程度まで
  こちらもたくさんの図や写真が並ぶとポイントがぼやけてしまします。
  本当に伝えたいことに絞って図は大きく少なくしましょう。

3. 動画は短く(3分以内程度)
  音楽や音声が入ると臨場感が湧き効果的です。
  動画が長くなりすぎると飽きやすくなります。
  「短すぎる」と思うくらいがちょうどよいです。

なお、視覚に訴えることが効果的な理由は画像優位性効果に基づきます。

例えばプレゼンテーションをして、それを聞いた相手が100%理解できたと仮定します。
そのあとの記憶に残る率が、文字のプレゼンだと10%なのに対して、図を用いると65%になるというもの、これが画像優位性効果です。

そのため文字を少なく、視覚へ訴えることを意識しましょう。

一方的に話すのはNG

「双方向コミュニケーション」を意識しましょう。

意見を聞く、クイズ形式にしてみるなど、就活生が説明会に参加する場にすることで、その場の一体感が出て心理的距離が近づきます。
聞いている就活生の反応や表情をしっかり見て、場合によっては説明の途中でも質問を投げかけたり意見を促したりして、就活生が「能動的に」参加する場にしましょう。

新卒説明会は現場社員を巻き込むのがポイント

「どんな人」と「どんな風に」働くのかは就活生にとって、決断の大きなポイントになります。そのため、実際に働いている社員に登壇していただきましょう。

新規事業経験や、異動をした経験のある方、育児休暇を取得して復職した方や副業をしている方などがお勧めです。
就活生にとって「人事以外の現場の方がどんな風に働いているのか」「どんな働き方ができるのか」を知ることは重要です。
実際に働いている社員の協力をいただきながら、よりリアルな情報提供をしましょう。

現場で活躍する先輩社員との座談会を開催

では現場社員の方に協力を仰いで参加いただいたとして、座談会をどんな場にするのが就活生にとって良いでしょうか。

社員同士はどのようなコミュニケーションをとっているのかを目の当たりにすると「〇〇な社風」と就活生に雰囲気が伝わります。そのため社員数名との座談会形式が効果的です。
座談会をする際には、違う部署/職位の社員を複数名1チームに入れることも大切です。社員間の関係性を体感してもらうことができ、「社風」をつかんでもらうことができるのです。

質問しやすい雰囲気づくりが重要

参加する社員の雰囲気が悪かったり冷たかったりすると質問ができず、就活生に対してむしろ悪印象を与えてしまうことがあります。

大切なのは次の2つです。

  • 質問を受ける時は真剣に質問者を見る
  • 自分の部署(職務)の質問でなくても、「自分事」として受け止め回答をする

質問を受けるときこそしっかり質問者の目を見て真剣に聞くことは徹底すると良いでしょう。
就活生に対する社員の態度は、そのまま会社の社員に対する態度のイメージとなるので、この点は事前にしっかり意識をして準備しましょう。
またどうしても質問が出なかった時に備え「質問例」もいくつか準備しておくと場が活性化しやすくなるでしょう。

新卒説明会のアンケートにいれるべき設問の事例

アンケートを作成する上で重要なポイントは2つです。

  • 質問の意図を明確にする
  • ネガティブな内容でも意見を聞く姿勢があることを伝える

これを踏まえて会社として把握したい内容を整理しましょう。

観点としては以下の2つです。

1. 説明会自体のブラッシュアップ
内容の満足度や理解度、運営に関する評価などを聞くと良いでしょう。
質問事例を紹介してみます。

よくある質問で「もっと説明会で聞きたかった内容」があります。
これが良くないアンケートということではないのですが、より良くするために次のように変更してみはいかがでしょうか?

「自分が説明会を企画するならどんな内容を入れますか?」

このように「何」という情報の過不足だけでなく、「どのように聞きたい」「全く違う体験を求めている」等、就活生が自社に対して要望していることを聞くことが出来ます。

2. 今後の採用選考の進め方の把握
次のステップをスムーズに進めるための内容を盛り込みましょう。
学生時代頑張ったこと、自己PRなどを記載してもらってもよいと思います。

他にも選考に対する要望(オンラインが良い、時期の希望など)も事前に確認しておくことがお勧めです。
しかし、昨今はスマホで就活を行う就活生も多いので、質問の数や入力数を減らす工夫も大切です。相反するようですがスマホでの「入力のしやすさ」も意識しましょう。
アンケートはスマホだとどう見えるのか、操作しやすいのかを必ず確認しておきましょう。

拡大するオンライン説明会を活用しよう

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、オンラインでのイベントが増加しています。

ここではそのオンライン説明会について触れてみます。

オンライン説明会とは

オンライン説明会とはその名の通りWeb上で開催される説明会のことで、スマホやPCを通してどこからでも参加できるものです。

学業との両立に不安を感じる学生が多い中、限られた時間で応募先の情報を集め選択する就活生に対して手軽に情報を提供し意欲喚起ができるオンライン説明会は効率的な手段といえるでしょう。

オンライン説明会のメリット

オンライン説明会のメリットは2つです。

1. 就活生にとっての移動時間・費用の削減
移動費用やアルバイト時間減少による収入減は就活生にとって大きな悩みの1つです。
説明会をオンラインにすることで移動時間とコストがかからず、就活生にとっての大きな悩みを解消できます。
また距離の問題で今まで参加できなかった地方・海外在住の学生の参加が促せます。

2. 企業にとっての会場費用・運営工数の削減
企業にとっても同じことが言えます。オフライン開催となると会場設営、受付準備、その他運営などの工数・費用が掛かります。
配布資料や物品準備費用も参加者が増えればかなりのコストとなるでしょう。
オンラインの場合、Web上で完結できるためこれらの工数・費用の削減ができるのです。

では次にオンライン説明会を2つの種類に分けてメリットを見てみましょう。

  • ライブ型説明会

「双方コミュニケーションが可能」であることです。
就活生の反応を見ながら内容を変えたり、就活生に自由にチャットなどで発言してもらったりすることでコミュニケーションが活発化し理解促進や応募喚起が実現できます。

  • オンデマンド型説明会。

オンデマンド型説明怪のメリットは「繰り返し見ることが出来る」ことです。
一度、参加したがよくわからなかった、選考に進んだ後に面接準備のため復習したい、といったとき再度見ることが出来ます。
そのため選考中でも会社理解を深めることが出来、最終的に就活生の意思決定を後押しすることができるのです。

オンライン説明会のデメリット

ライブ型でもオンデマンド型でも共通でデメリットが2つあります。

1. 就活生とのコミュニケーションがとりにくくなる
ライブ型で「コミュニケーションが取れる」とはお伝えしましたが、オフラインの説明会と比べるとどうしてもコミュニケーションがとりにくくなります。
就活生が画像をOFFにしてしまうと顔が見えず反応がわかりにくいこともあるでしょう。
気軽に参加できるが故に途中退出も発生しやすくなります。

2. 体験型コンテンツや物品提供での理解促進がしにくい
オフライン説明会では自社の製品を手に持ったり、実際に使ってもらうことができましたがオンライン説明会では基本的にできません。
そのため就活生に「リアル感」が伝わりにくいということが起こるのです。
「飲食を交える場」や「自社製品やノベルティの配布によるPR」もできないため他社との差別化がしにくかったり、動機付けが弱くなったりすることが起こりえます。

オンライン説明会を行う上での注意すべき点

1. 就活生が参加・体感できるコンテンツを準備する
オンラインだからこそ気軽に参加でき、今まで参加しなかった就活生に自社の魅力を伝えるチャンスがあります。
できる限りオンラインでもリアルに状況が伝わる内容を盛り込んだり、動画や360度カメラでの撮影映像を入れる、音楽を入れる等臨場感がでるように工夫をしたりするとよいでしょう。
チャットを有効活用し、開催中でも質問や意見、感想を自由に発信でき回答するような体制にしましょう。

2. ライブ型とオンデマンド型は用途によって使い分ける
ライブ型だからこそできることとオンデマンド型だからできることは違います。
それぞれのメリットに合わせて伝える内容やコンテンツを変えましょう。
例えば「よくある質問」などに含まれる選考に関する情報や福利厚生に関する情報提供。
このようなあとから何度も見る可能性があるコンテンツはオンデマンド型にする、といった工夫が大切です。

まとめ

新卒説明会について色々とお伝えしました。

ポイントをまとめると次の4点です。

  • 就活生に興味を持ってもらう内容で
  • わかりやすく、端的に、発言しやすい場に
  • 人事だけでなく現場社員も巻き込む
  • オンライン説明会も有効活用

新卒説明会に参加する就活生が仮に入社には至らずともファンになってもらうこと、これが大切です。
新卒説明会の後「良い会社と知り合えたな」と就活生に思ってもらえるような新卒説明会を設計してみてください。