「SNSで採用ができるって本当?」「ソーシャルリクルーティングをやってみたいけれど、何から始めたらいいのか」など、SNSを使った採用について関心を持つ企業が増えています。
SNSは人々にとって当たり前の存在であり、若い世代では就職活動に使う場合も多くなっています。
良い人材と出会う場を増やすためにも、ソーシャルリクルーティングの方法や注意点、コツを知って役立てましょう。
この記事ではそれぞれについて、詳しく解説しています。
目次
SNSを使った採用が広まった背景
今までは採用といえば、「採用媒体に求人を出す」「就職イベントに出展する」などが主な手法でしたが、近年ではSNSの活用も注目されています。
なぜ、こうした潮流ができたのでしょうか?
要因として、2つの事柄を解説します。
個人の発信力が高まった
2010年代から、TwitterやInstagramなど、個人が手軽に発信できるツールが広まりました。
SNSを利用することで、個人の発信力は飛躍的に高まったと言えます。
発信力の高さはビジネスにおいても重要であり、採用の場でも発信力の高い企業は注目されます。
求人に関しても、積極的な発信が求められるのです。
SNS利用者の中でも、ミレニアル世代はインターネットの使用そのものにも慣れています。
身近なWebサービスを使った採用にも、抵抗がない方が多いのです。
公式アカウントを運用する企業が増えた
ライトなコンテンツを頻繁に投稿しやすいSNSは、ホームページや公式ブログ記事とは違った見せ方が可能で、企業の魅力を多角的に伝えられます。
また、消費者やユーザーと距離が近いメリットを活かし、フレンドリーなコミュニケーションを演出して、採用の枠を超えたブランディング戦略にも活用できます。
人材不足が盛んに指摘されるようになり、採用が困難になる中では、SNSを採用チャネルの1つとして機能させることも重要です。
ソーシャルリクルーティングの良い点
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を始める企業が増えているのは、こうした背景に加えて、次にご紹介する利点があるからです。
従来の手法とは違い、「採用広報としても機能し、企業の認知度がアップする」といったメリットも豊富にあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
候補者の人柄がわかりやすい
SNSは、ユーザーの人柄がわかりやすいツールです。
身近な出来事や物の考え方、家庭の話や趣味などから、仕事以外の側面が見えてくることもあります。
履歴書や職務経歴書では、人柄まではなかなか伝わりません。
また、日常的な態度は面接で伝わりきらないこともあるものです。
候補者を採用したら、会社で毎日を一緒に過ごすことになります。
人物像を理解できれば、「この人は自社にカルチャーフィットしそうかな?」といった判断にも役立ち、非常に便利です。
若手人材の採用に適している
SNSを活用するユーザー層は幅広いものの、ソーシャルリクルーティングと相性がいいのは若手人材です。
先述したように、ミレニアル世代を中心とした若い方は、SNSを使ったコミュニケーションにも慣れています。
最も効果が期待できるのは、新卒採用です。
学生は就職活動においても、仲間とSNSで情報の収集・交換をすることがあるため、有益な情報を得られるSNSは学生にとってメリットがあります。
SNSを使った発信で学生との距離を縮めるのは、若年層に効果的なアプローチだと言えるでしょう。
情報が拡散されやすい
SNSには、投稿に「いいね」を押して好意や賛同を表したり、「シェア」をして情報を拡散したりできる機能があります。
1クリックで簡単に共有できることから、コンテンツをより多くのユーザーに届けることが可能です。
これまでリーチできなかった層に対しても、情報を提供できる可能性を持つことから、情報の拡散力に期待できます。
企業のブランディングに繋がる
ソーシャルリクルーティングは、企業のブランディングにも役立つ手法です。
SNSを使った定期的な発信をしていれば、その分だけユーザーとの接点が増えるため、認知度アップに繋がります。
広告や媒体掲載よりもコストがかからないため、成功すれば費用対効果も大きいと感じられます。
印象付けに役立ち、かつリアルな情報を打ち出しやすいのはSNSの強みです。
ブランディングしながら採用活動を進めることで、採用の母集団の形成もされやすい特徴があります。
加えて、転職潜在層にアプローチできる点でも優れた方法です。
ソーシャルリクルーティングの懸念点
さまざまなメリットのあるソーシャルリクルーティングでも、懸念点やリスクについて把握しておかないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
SNSは人々にとって身近なツールだからこそ、他の採用チャネルとは異なる意識の持ち方が求められます。
また、ソーシャルリクルーティングだけで採用が完結する企業は、ほとんどありません。
実際には、求人掲載や人材紹介などをメインに使いながら、サブ的な立ち位置でSNS採用を実施する企業も少なくないのです。
導入を検討する上では、SNS採用の注意すべき点も理解しておきましょう。
運用に工数がかかる
採用のためにSNSを始めたものの、なかなか活用できない事例もあります。
- 運用に手間がかかって更新が滞る
- アカウントだけがあり、ほぼ動いていない状況
「定期的な投稿をするのが大変」「担当者が忙しくて更新できない」「ネタがなくなり、マンネリ化してしまう」などは、SNSを運用する担当者によくある悩みです。
SNSのプラットフォームを使った候補者のリサーチも、簡単なようで意外と工数がかかります。
ソーシャルリクルーティングはコストをかけずに始められますが、継続的に投稿をしたり、リサーチしたりする労力がかかるのです。
炎上や騒動のリスク管理が必要
SNSで最も恐れるべきは、炎上や騒動のリスクがともなうことです。
たった1つの何気ない投稿が物議を醸し、ネットニュースに掲載されたり、お詫びや訂正などの対応に追われたりするケースは後を絶ちません。
一度の騒動でもマイナスイメージが付き、企業のブランディングに影響を及ぼします。
正しく運用できていれば問題ありませんが、何かトラブルがあったときの対応が大変です。
ソーシャルリクルーティングは、運用側にネットリテラシーが求められる施策と言えます。
候補者が嘘をついているかもしれない
SNSで魅力的な候補者を見つけられたとしても、年齢や経歴が真実であるかどうかは確かめてみないとわかりません。
インターネットでは自分をよく見せるために、いくらでも誇張や詐称ができます。
「実際に会ってみたらイメージと全然違った」「選考を進めていったが、嘘の経歴が発覚して採用取り消しになった」などのハプニングにも注意が必要です。
表面的な印象を信じすぎることにも気をつけてください。
SNSを使った採用の始め方
SNS採用を始める上では、ここまでにお伝えした良い点と懸念点について、それぞれ正しく理解することが大切です。
両方を踏まえて、ソーシャルリクルーティングの企画を進めていきましょう。
以下の5ステップを参考に、準備を始めてみてください。
1. オフィシャルアカウントを用意する
まずは、企業や人事のアカウントを作成しましょう。
自社でオウンドメディアを運用していれば、メディアの名義で作るのも1つの手です。
主なSNSについては、次の通りです。
Twitter(ツイッター)
Twitterは、メールアドレスや電話番号があればすぐに始められます。
国内の利用ユーザー数は4,500万人を超えてい流ため、拡散が期待できるツールです。
オリジナリティのあるコンテンツや魅力的なキャラクター、個性的な投稿は注目されやすく、話題性を高められます。
ビジネス向けにアカウントを運用しているユーザーもいるため、候補者探しにも便利です。
Facebook(フェイスブック)
Facebookは原則として実名で登録するため、情報に信頼性があります。
学歴や交友関係も閲覧でき、候補者のバックグラウンドをよく理解できるSNSです。
Facebookページを作れば、ページの投稿をそのまま広告として出せます。
また、Facebookが提供する広告マネージャを活用すれば、さらに多様な広告を作成できる点もメリットです。
Instagram(インスタグラム)
Instagramは写真や動画を活用して、企業の魅力を視覚的に訴求できます。
採用に限らず、企業の全体的なブランディングにも適したSNSです。
近年で流行している「リール動画」は、スマートフォンの全画面を占有する大きなサイズの動画で、映像による訴求をしたいときにぴったりです。
LINE公式アカウント
「TwitterやFacebookのようにオープンなアカウントはなくても、LINEならやっている」といったユーザーもいます。
そのような層にアプローチするには、企業が情報発信をできる「LINE公式アカウント」のサービスがおすすめです。
コミュニケーションに便利で、ホーム画面にさまざまなコンテンツやボタンも配置できます。
LinkedIn(リンクトイン)
LinkedInは、アメリカで生まれた世界最大級ビジネスSNSです。
一般ユーザーも利用するTwitterやInstagramとは異なり、ビジネス向けに特化していることが特徴です。
外資系のユーザーが多く、海外の人材とも繋がれます。
2.企業や採用に関する情報を発信する
アカウントを作成したら、さっそく情報を発信しましょう。
主な内容には以下の例が挙げられますが、基本的に何でも構いません。
- 今日の社内の出来事
- 社員メンバー紹介
- 商品やサービスのリリース情報
- 業界に関するコラム
- 事業に関連のあるニュースの紹介
- 求人のお知らせ
- 担当者の人柄がわかるつぶやき(趣味の話、好きなものなど)
ハッシュタグを付けてまとめを作ったり、フォロワーにもタグを使って発信してもらったりすれば、相互的なコミュニケーションが生まれます。
3.候補者を検索する
SNSのプラットフォーム上に、採用したい候補者がいないか探しましょう。
フォローやいいねをしてくれた人がいれば、直接アタックしてみるも良いでしょう。
検索を駆使して、求める人材にマッチしそうなユーザーを探すのも定期的に行いましょう。
「Ruby エンジニア」「理系 院卒 エンジニア」など、求める条件で検索するとヒットしやすくなります。
4.メッセージを送ってアプローチする
接点を持ちたい候補者を見つけられたら、メッセージ機能を使ってアタックしましょう。
内容は、カジュアルなオンライン面談や説明会の案内、セミナーやミートアップの案内など何でも構いません。
まずは直接的な接点を作ることを目標にしましょう。
SNS採用を始めてすぐは、ペルソナを絞りすぎず、少しでも良いと思った人物に積極的なアプローチをしていくのも良いことです。
経験値を貯め、PDCAを回していくことでノウハウが蓄積されます。
5.発信や候補者探しを繰り返す
SNS採用は、短期的な施策ではありません。
一度作ったアカウントは消さない限り残り続けるため、継続的な発信が大切です。
候補者のリサーチもこまめに行い、定期的に巡回しましょう。
新たな候補が見つかる可能性があります。
ソーシャルリクルーティングを成功させるコツ
ソーシャルリクルーティングを施策の1つとして運用する上で役立つ、成功させるためのコツをお伝えします。
心構えとしての側面もありますので、心に留めてみてください。
情報をオープンにする
開示できる情報は、できるだけオープンに掲載しましょう。
SNSは、通常の求人広告やコーポレートサイトでは表現できないような、社外との距離を縮めるコンテンツを発信しやすいツールです。
せっかく始めても、SNSらしい発信ができていなければ、SNSの良さを十分に活かせているとは言えません。
特に、近年では採用のフィールドにおいて、透明性へのニーズが高まっています。
「応募前に会社のことをよく知りたい」「会社の内情について正しく把握したい」といった要求があるのです。
ただでさえ、オンラインで顔の見えない交流は警戒されがちです。
求職者に安心感を与えるためにも、情報のオープンさは意識しましょう。
すぐに成果が出なくても焦らない
ソーシャルリクルーティングは、一朝一夕で結果が出る施策ではありません。
投稿やリサーチを続けてもなかなか候補者と出会えなかったり、接点を作れても選考には結び付かなかったりすると、SNS採用の意欲が低下するかもしれません。
SNS採用は、あくまでも採用チャネルの1つとして捉えましょう。
求職者の流入経路が増え、ブランディングにも利用できるだけで、十分な価値があります。
短絡的な成果を求めようとせず、まずは「運用すること」を1番のミッションとし、「運用の仕組みを作る」だけでも素晴らしいことです。
まとめ:SNSを採用に取り入れて、ソーシャルリクルーティングを活用しよう!
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)は、ソフトなコンテンツを手軽に発信しやすく、転職潜在層にもアプローチできる有効な手段です。
コストもかからず便利ですが、工数やインターネットトラブルには気を付けて活用する必要があります。
リスクを踏まえて正しく活用し、長期的な目線で採用の成果をアップさせましょう。