- 「採用活動におけるKPIとはなんだろうか?」
- 「なぜ設定する必要があるのだろうか?」
- 「どのように設定、運用すればよいのだろうか?」
上記のような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
採用活動においてKPIを設定するのは当然ながら重要です。実施しなければ人材の確保やレベルが安定しません。
経験だけに基づいて進められがちな採用活動ですが、やはり定量的な観察は必要となるでしょう。そこで本記事では以下について解説します。
- 採用活動におけるKPIの定義
- 設定の必要性やメリット
- 具体的な運用方法やポイント
KPIを導入し、定量的な根拠に基づいた採用活動を進めましょう。
目次
採用活動の分野におけるKPIとは?
まずは採用活動の分野におけるKPIがどのようなものか理解しておきましょう。ここでは特に重要な以下3点を解説します。
- 採用活動のKPI
- KGIは最終目標(採用人数)を意味する
- 採用活動におけるKPI一例
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
採用活動のKPIとは?
そもそもKPIとは「Key Performance Indicators」、重要な業績評価の指標を意味します。こと採用活動では、「応募者を多く獲得すること」「採用にかかる費用をおさえること」などが該当するでしょう。
それを踏まえたうえで採用活動では以下のようなKPIが利用されます。
- 応募者数
- 内定辞退率
- 面接合格率
- 先行通過率
- 早期離職率
- 採用単価
- 内定数
- 入社配属後のパフォーマンス
これらをクリアした先に後ほど解説する最終目標(KGI)の達成があるわけです。
もちろんKPIは明確でなければいけません。そうでなければ組織全体で具体的な施策を打ち出すことができないからです。
たとえば「早期離職率を10%以下にする」などと、誰が見ても解釈が変わらない形で設定するのがよいでしょう。
KGIは最終目標(採用人数)を意味する
KGIとは「Key Goal Indicator」、つまり「経営目標達成指標」を指します。要するに最終目標のことで採用活動であれば採用する人数を示すことが大半です。
KGIはKPIをクリアすることで必然的に達成されます。つまり、求められるKPIに対して何をするかが重要です。
KGIはKPIと同様に、誰が見ても解釈が変わらない内容であることが前提となります。「今年度はエンジニアを10名採用する」などと、期限を切り、数字で設定するようにしましょう。
採用活動でKPIを設定する必要性とメリット
「採用活動にはKPIを」としきりに言われ、また本記事ではそれを強く推奨しています。なぜそのように言われるかというと、KPI設定には以下の必要性とメリットがあるからです。
- 採用活動業務効率化される
- 目標達成までのステップが明確化される
- よい人材を確保しやすくなる
- 採用活動における改善点を見つけられる
- 関係者の果たすべきミッションが明確化される
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
採用活動が業務効率化される
採用活動でKPIを設定する最大のメリットは業務が効率化されることにあります。
新しい人材を確保しようと思っても、数字としての目標や基準がなければ的外れなアクションが増えるでしょう。
たとえばもう十分に候補者数が集まっているのに求人広告を打つ、といった無駄な施策と費用の発生が懸念されます。
しかしKPIがわかっていれば、適切にアクションすることが可能です。
全員が明確な目標数値を追いかけるので行動にも統一感が出て、つまりは採用活動が業務効率化されます。もちろんそれはコストやリソースを削減することにつながるものです。
目標達成までのステップが明確化される
目標達成までのステップが明確化されるのもKPIとKGIを設定することのメリットです。
そもそも採用活動は、担当者の経験や感性など、あいまいな基準で行われがち。もちろん経験則から来る判断は重要ですが、採用活動という大きなプロジェクトをそれだけで乗り切るのは現実的ではありません。
しかしKPIを持つことで目標達成までのステップで定性的・定量的に見えるようになります。
よい人材を確保しやすくなる
採用活動でKPIを設定すればよい人材を確保しやすくなるでしょう。そもそもKPIやKGIを設定して追いかけることは、掲げた目標を速やかに達成することが目的です。
しかもその目標には期限が切られ、さらに定量的な基準が設けられます。もちろんそこで「自社にフィットする優秀な人材を確保したい」というビジョンを反映させれば、そこに対して明確な施策を見出すことが可能です。
つまりKPIやKGIの設定により、自社にとって優秀な、わかりやすくいえばよい人材を確保しやすくなるといえるでしょう。
採用活動における改善点を見つけられる
採用活動における改善点を見つけ、継続的に改善できるのもポイントです。KPIを設定したからといって、毎回かならず達成できるわけではありません。
しかし何がどの程度未達だったのか理解すれば、どこを改善すべきかある程度見えてきます。毎年これを繰り返すことで採用活動は少しずつ最適化されるでしょう。
関係者の果たすべきミッションが明確化される
関係者の果たすべきミッションが明確化されるのも大きいでしょう。
KPIを設定すれば、おのずと誰が何を達成すべきなのか見えてきます。たとえば「今年は理系の人材を20人採用する」なら、求人広告関係者はそれに基づいて出稿先を考えるのがタスクだとすぐに把握できるでしょう。
このように関係者それぞれがミッションを把握して実行できるのがKPI設定によるメリットのひとつです。
採用活動におけるKPIの設定手順と運用方法
採用活動におけるKPIの設定手順と運用方法は、企業や状況で異なります。ただ、ベースとしてはおおむね以下のとおりです。
- KGIから決める
- 各種採用フローを作成する
- 「歩留まり率」を決定する
- KPIを決める
- リアルタイムでKPIを追いかけて必要があれば改善する
KPIを設定するにはまずKGIから逆算して考えておく必要があります。そこから明確なKPIを設定して、PDCAサイクルに乗るのが基本です。
KGIから決める
まず採用活動におけるKGIから決めましょう。「採用人数」と「人材のレベル」を考えるとスムーズに決定できます。
採用人数の考え方はシンプルで、「次のビジョンをクリアするために、何人が必要か」を考えましょう。もちろんその段階では異動や退職、産休についても考慮する必要があります。
人材のレベルについては求めるスキルの水準や経験を明確化しましょう。また即戦力が欲しいのか、それとも将来性を重視するのかといった観点から考えるのも重要です。
上記のように採用人数と人材のレベルを考えれば、おのずと「どんな人物を何人取るべきなのか」がKGIとして現れます。
各種採用フローを作成する
KGIが決まったら、各種の採用フローを決定しましょう。ここではまだ明確なKPIについては議論しません。
KGIがあれば、少なくとも「どの採用フローが適切か」は判断することが可能です。ここで重要なのは、オーソドックスな方法だけではなく新しい手法も検討すること。
現在ではリファラル採用やダイレクトリクルーティングなど、新しい採用フローが一般化しています。これらを活用すればより効率よくKGIにたどり着けるかもしれません。
既存の方法にこだわらず、柔軟な姿勢で新しいものを取り入れていきましょう。
「歩留まり率」を決定する
採用フローが決まったら次は「歩留まり率」を決定します。
ここでいう歩留まりの定義は、それぞれの採用ステップ(グループディスカッション・一次面接など)に参加した人数割合のこと。もっとわかりやすくいえば「離脱せずに次の選考へ進んだ人数」です。
歩留まり率は「次の選考へ進んだ人数」÷「全体の参加人数」×100で求められます。
KGIから逆算すると、各採用フローの各ステップにて、どの程度歩留まりさせる必要があるかわかるはずです。それを上記計算式に当てはめて数字と歩留まり率として割り出しましょう。
KPIを決める
ここでようやくKPIの設定を実施する段階に入ります。KGIから逆算してKPIとして小分けしていきましょう。
採用活動の場合は、採用ステップごとでKPIを設定するのが基本です。
たとえばKGIが「10名の人材を入社させること」だとしましょう。しかし採用から入社への歩留まり率が50%だとします。ならば20名の人材に対して内定を出すKPIがなければつじつまが合いません。
そして最終面接での合格率が80%だとします。となると25人に最終面接を実施すれば、20名に対して内定を出すことが可能です。
というように「採用決定」から逆戻りして、辻褄が合うようにKPIを設定していきましょう。
リアルタイムでKPIを追いかけて必要があれば改善する
KPIが決まったら実際に採用活動を進め、リアルタイムで数字を追いかけましょう。もしKPIやKGIとズレているなら、その段階で何かしらの対策を取る必要があります。
たとえば母集団の数が足りないなら、追加で求人を出して調整することが可能です。
注意して欲しいのは選考フローが進めば進むほど、改善しづらくなること。最終面接直前で「歩留まり率が低い」と気づいても、そこから歩留まりを高める手法はないか、あったとしてもやや強引なものになりがち。
KPIと現実に相違が生まれたら、なるべく早く対策することが重要です。
採用活動でのKPI運用における注意点とポイント
採用活動でのKPI運用は決して簡単なものではありません。少し気を抜くと空中分解し、本来の効果が得られなくなります。
そういったケースを避けるためには、以下3点は最低限注意しましょう。
- 数字を正しく認識できるようにする
- KPIの進捗に沿ったアクションを実施する
- PDCAを毎年回し続ける
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
数字を正しく認識できるようにする
採用活動において数字を正しく認識できるようになるのが、採用活動では重要となります。割り出したKGIやKPIは、関係者全体で共有し、共通の目標であることを意識しましょう。また各種指標が何を意味しているかも、正しく理解する必要があります。たとえば「歩留まり率」の定義を履き違える関係者が出てくるかもしれません。
管理している数字が何を意味しているのか正確に把握し、間違いのない施策を打ち出せるようにしましょう。
KPIの進捗に沿ったアクションを実施する
KPIの進捗に沿ったアクションを取ることも大切です。先ほども触れましたが、採用活動を進めているとKPIと現実が相違する場面はかならず訪れます。
そういった場合にはKPIに合わせて現実がフィットするようにアクションすることが重要です。
もちろんKPIより上振れた場合にも、何らかのアクションが必要となるケースはあるでしょう。たとえば選考通過率が高すぎるなら、そもそもの面接方法や選考基準に欠陥があるかもしれません。
常にKPIを観察して問題点を認識し、適切なアクションが取れるようにしましょう。
PDCAを毎年回し続ける
採用活動でKPI運用を実施するならPDCAサイクルを毎年周回することが大切です。
これにより継続的に自社の採用力を成長させることが可能となります。
毎年、かならずKPIとKGIを達成できるとは限りません。それは来年もしくは今後に向けてPDCAサイクルを回すチャンスです。
KGIやKPIの運用が一年で終わってしまうのはもったいないこと。ぜひその運用から得られたヒントを来年に活かしましょう。
まとめ:KPIで定量的な分析に基づいた採用活動を
本記事では採用活動のKPIの定義やメリットについて解説しました。もう一度重要な部分をおさらいしておきましょう。
- 採用活動におけるKPIは人材のレベルや採用人数を達成するためのもの
- 応募者数や面接合格率などの指標が使われる
- KPIを設定すると効率的によい人材を獲得できる
- やるべきことや各関係者のミッションも明確になる
- 採用活動におけるKPIを設定するには、KGIの設定からスタート
- その後採用フローや歩留まり率を決定し、KPIへと落とし込む
- KPI運用は1年で終わりではなく、毎年実施してPDCAサイクルを回す
担当者の経験値や感性に依存しがちな採用活動。もちろんそれが悪いわけではありませんが、そうはいっても明確な目標を立てて現実に即した施策を打ち出すことは大切です。
ぜひKPIを設定し、経験値や感性だけではなく、ロジックや計算に基づいた採用活動を進めましょう。