「新入社員が入ってもすぐに辞めてしまう」「新入社員のパフォーマンスをうまく発揮させることができない」とお悩みではないですか。新卒採用において、ミスマッチが起きてしまうと悩む人事の方は少なくありません。
新卒採用でミスマッチが起こる原因は、新入社員・会社相互の理解不足にあります。また、入社前後のフォローが足りないことも、早期退職の大きな原因となっているでしょう。
この記事では、新卒採用におけるミスマッチの原因と解決方法、入社3年以内に辞めてしまう新入社員の割合について解説します。ミスマッチの原因を知り、有効な対策を立てましょう。
目次
新卒採用におけるミスマッチの原因
新卒採用においてミスマッチが起こることは少なくありません。ミスマッチの原因は、どのようなところにあるのでしょうか。
ここからは新卒採用におけるミスマッチの原因を解説するので、対策作りに役立ててください。
就活生が企業の悪い面を把握していない
就活生が事前に会社の悪い面を知らず、入社後にミスマッチを感じるケースはたくさんあります。
企業は優秀な人材を獲得するため、会社の良い面ばかりを伝え、労働条件や職場の雰囲気を詳しく伝えないことも多いでしょう。そのため、情報不足の就活生は曖昧な状態で入社先を決めてしまい、ミスマッチが起こるのです。
また、就活生側から労働条件について詳しく聞きにくいという問題もあるでしょう。「労働条件について詳しく聞くと落とされる」と考えている就活生も多いため、詳しく質問できないまま入社することになるのです。
就活生側が良い面ばかりを伝えている
就活生側も、自分を採用してもらうために良い面しか伝えないことも多いです。
自分の実績を誇張して表現したり、コミュニケーション能力が高いと思わせるエピソードを用意したりして、自分を良く見せようと考える就活生はたくさんいます。
そうした就活生の誇張をうまく見抜くことができれば最適な人材確保に繋がりますが、就活生の実態を100%知るのは不可能です。そのため企業側の求める人材に合わない学生が入社してしまい、ミスマッチが起こりやすくなります。
実際の労働条件が事前説明と違う
企業側が事前に説明していた労働環境と、実際の労働環境が異なることで退職を選択する新人は多いでしょう。
企業側は多くの学生に応募してもらうため、残業が多くても「部署によっては定時帰宅できる」「残業は自分の裁量でコントロールできる」などと伝えがちです。
また、職場の雰囲気が多少悪くても「活気ある職場で活躍できる」「新人の意見も聞いてもらえる」と表現することもあるでしょう。
そうした状況では就活生は企業の実態を知らないまま入社してしまい、「事前に聞いていた話と違う」という気持ちから退職を選択するのです。
面接時の印象を重視しすぎている
面接時の印象を重視するあまり、就活生のスキルや実績を詳しく知らないまま採用してしまうケースもあります。新卒の就活において面接は非常に大切ですが、数十分の面接で分かることはほんの少しです。
就活生は数多くのセミナーなどに通い、自分をうまく表現する方法やテクニックを身につけています。スキルや実績がなくても、面接時の印象を良くして就活を有利に進めようと考える就活生は少なくありません。
新卒採用において、面接時の印象だけを見て就活生を判断するのは避けましょう。
学歴や資格ばかりを見ている
学歴や資格ばかりを重視した結果、会社のカルチャーと合わない人材しか採用できないケースもあります。学歴や資格は応募者の努力や能力を示す基準ではありますが、全てではありません。
学歴が高く、難易度の高い資格を持っていてもコミュニケーション能力に問題がある学生もいますし、やる気のない学生がいる可能性もあります。
会社で長く働いてもらうには、会社のカルチャーとマッチした人材を採用することが大切です。学歴や資格だけではその人の性格を見ることができないため、新卒採用のミスマッチにつながるでしょう。
入社前後のフォローが足りない
新入社員と会社がマッチしていても、入社前後のフォローが足りず新入社員の不安につながることもあります。ベストな会社を選べたと思っていても、多くの新入社員はどうしても今後の業務や人間関係に不安を感じるものです。
入社前に適切にコミュニケーションを取らなければ、不安な状態が続き内定辞退につながる可能性は高いでしょう。
また、入社後もフォローが必要です。新入社員は、慣れない業務で失敗をしてしまうこともあります。そのようなとき、上司や先輩がフォローをしなければ「人間関係が悪い会社なんだ」「自分を育てる気がない会社なのかな」と感じ、早期離職する新入社員も多いでしょう。
入社3年以内に辞める新人の割合とは?
せっかく会社に入ったものの、3年以内で辞めてしまう新人の数は案外多いです。厚生労働省の調査によると、平成30年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、高卒の場合で36.9%、大卒の場合で31.2%です。
業界別のデータを見ると、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」は高卒で3年以内に離職した人の割合が5割を超えており、非常に高い状態だと言えるでしょう。
対して離職率が低いのは「医療、福祉 」「小売業」ですが、それでも3割を超えています。
また、事業規模別に見ると、事業所規模が5人以内の会社では、3年以内の離職率が高卒で61.9%、大卒で56.3%と高い状況です。事業所の規模が大きくなるほど、3年以内に辞める新人の割合は減っていきます。
しかし、1,000人を超える大企業であっても、高卒の3年以内離職率は25.6%、大卒の場合で24.7%となっており、人数としては多いと言えるでしょう。
そのため、新人が3年以内に辞めてしまうケースは決して珍しくないと言えます。そのなかで少しでも離職者を減らすため、対策を行う必要があるでしょう。
参考:厚生労働省
新卒採用のミスマッチで起こる企業のデメリット
新卒採用でミスマッチが起こり、短期離職に繋がってしまうと、さまざまなデメリットが発生します。企業側に発生するデメリットとしては、次のようなものがあります。
- 採用コストをかけた意味がなくなる
- 育成に欠けたコストが無駄になる
- 予定より人員が不足してしまう
- 再び人員を採用するのにコストがかかる
また、短期離職が多いと会社のイメージダウンにつながる可能性が高いです。「新卒がすぐ辞める会社には問題があるのではないか」「労働環境が悪いのではないか」と疑われ、翌年度の志望者も減ってしまうでしょう。
新卒採用した社員の離職率が高い状態にある場合、今後の採用のためにも早急な対策が必要です。
新卒採用のミスマッチを防ぐポイント
新卒採用のミスマッチを防ぐには、情報を開示し、就活生を深く理解することが大切です。
ここからは新卒採用のミスマッチを防げる有効な対策を解説するので、ぜひ参考にしてください。
会社の情報を可能な限り開示する
ミスマッチを防ぐため、良い点も悪い点も含め会社の情報は丁寧に開示しましょう。就活生が事前に会社の実態を知れば、自分に合う会社かどうか正しく判断できます。
また、会社の悪い点を開示することで、「この会社は情報を正直に伝えてくれる会社なんだ」と分かり、就活生からの信頼も得られるでしょう。面接や説明会では、就活生からの答えにくい質問にもしっかり返答し、会社の実態を伝えてください。
会社の悪い面を伝える場合は、悪い点を改善するための施策も合わせて話しましょう。改善策を話すことで学生の不安を払拭し、志望度が落ちないよう意識してください。
説明会やインターンの実施する
説明会やインターンを積極的に実施し、会社について理解する機会を増やすことで、新卒採用のミスマッチは減るでしょう。説明会やインターンでは、業務を口頭で伝えるだけでなく、実際に現場で働く社員と話す機会を用意して、雰囲気を伝えることが大切です。
また、説明会やインターンに参加し、会社の事情を知っている就活生と積極的に面接することで、ミスマッチの可能性を減らせます。資格や学歴だけでなく、説明会やインターンの参加履歴もしっかり確認しましょう。
適性検査を導入する
新入社員のスキルが会社と合わない場合、適性検査の導入がおすすめです。コミュニケーション能力やプレゼン能力も大切ですが、面接時の印象ばかりを重視した採用では、適切なスキルを持った人材が採用できません。
基本的な学力を調べる適性検査や、性格診断を導入することで、求める人材を確保しましょう。受験者に向いている組織や仕事が分かるSPIを使えば、候補者の特徴や能力を客観的に知ることができます。SPIを元に面接時の質問を変え、候補者への理解を深めましょう。
求める人物像を細かく決めておく
新卒採用を行う際は、求める人物像を細かく決め、人事の間で共有しましょう。会社の求める人物像が曖昧なままだと、面接時の印象に左右され適切な人材が採用できません。
客観的にチェックできる基準を作り、面接官の間で共有することで会社の事業に合う人材を採用しましょう。
どのような人材を採用すれば良いかわからない場合、自社の社員に性格診断を受けてもらい、会社のカルチャーをデータで分析するのがおすすめです。
在籍している社員に近い性格の就活生を採用すれば、カルチャー面でのミスマッチは減らすことができるでしょう。
コミュニケーションを充実させる
内定辞退、短期離職を減らすには入社前後のコミュニケーションが重要です。新入社員は入社前にも入社後にも、大きな不安を抱えています。内定を出したあと、何の連絡もしない状況では新入社員の不安が高まり、離職につながるでしょう。
就活生に内定を出したあとは、リクルーターなどを通じてこまめに連絡し、入社前の不安を取り除くようにしましょう。また、余裕がある場合は内定者懇親会を行い、会社の雰囲気をつかんでもらうことも大切です。
新入社員へのフォローは、入社後も行いましょう。業務を教えて放置するだけではなく、不安なことはないか、分からないことはないか上司や先輩が逐一確認し、会社に慣れるまでしっかり見守ってください。
まとめ:新卒採用者の離職を防ぎ優秀な人材を確保しよう
コストをかけて採用した新人が早期に退職してしまうのは、会社にとって大きな損失です。新卒採用者の離職を防いで育成し、事業の発展に貢献してもらいましょう。
新卒採用者の離職を減らすには、必要な情報の提示、求める人物像の絞り込み、充実したコミュニケーションが大切です。自社にできることから対策を始め、少しでも離職者を減らしましょう。
どうしても離職者が減らない場合、採用方法に問題があるのかもしれません。自社の採用方法が会社のカルチャーに合っているか確認し、複数の採用方法で人材を獲得してください。