就活生に興味を持ってもらうための入り口であり、就活生との最初のタッチポイントとなる会社説明会。とりあえず幅広く説明会に行ってみて、その後のステップに進むかどうかを決めるという就活生も少なくないでしょう。
会社説明会を経たうえで学生に応募してもらい、選考フローに乗ることがほとんどであるため、、いかにターゲット層の就活生に興味を持ってもらい、取りこぼさずに選考に進んでもらえるかというところは新卒採用における最初の大きな分岐点となります。
会社説明会において、どのような印象を学生に残せるかが勝負となると言えるでしょう。
目次
就活生が会社説明会で求めるものは
冒頭でも記述したとおり、その後の選考に進んでもらえるかどうかの分かれ道となる会社説明会ですが、そもそも会社説明会の目的は何でしょうか。
会社説明会は文字通り、就活生に自社の理解を深めてもらうために話すことが目的となります。ただし、自社についての理解を深めてもらうだけでなく、最終的には就活生に自社にエントリーしたい!と思ってもらうというゴールがその先にあるはずです。
そのため、会社に興味をもって選考に進んでもらうためにも、企業が発信したい情報を一方的に発信するのではなく、就活生が求めている内容がどんなものかを理解した上での情報発信を行う必要があると言えます。
当たり前のことに思われるかもしれませんが、就活生が会社説明会に何を求めているのかを踏まえずず、自社を知ってもらいたいばかりに「企業理念」「業界」「商品・製品」などについて一方的に説明し尽くしてしまうような会社説明会になってしまっている企業様も少なくないのではないでしょうか。
それでは、就活生が会社説明会において求めている情報とはなんでしょうか。
リサーチデータや実際に企業が行っている会社説明会の例をもとに、今一度『就活生はどんな情報を求めているのか?』を考え、会社説明会を構成し直すことが必要かもしれません。
就活生が不満に感じる会社説明会の特徴
人材サービス会社の調査によると、就活生が会社説明会で「聞きたかった内容」と「聞いた内容」には一部でギャップが生じているという結果が出ています。
人材サービス会社が2021年04月に公表した資料(p.47)によると、個別企業セミナーで聞きたかった内容として「具体的な仕事内容」「社風・社内の雰囲気」「企業が求める能力・人材像」が高い票数を獲得していることが分かります。
求職者が「聞きたかった内容」と「聞いた内容」で特に大きな差があったのは「企業理念」。続いて「入社後のキャリアモデル」「入社後の待遇」「詳しい業界説明」「製品・商品について」の項目でした。
各割合の差を見ると、「企業理念」「詳しい業界説明」「製品・商品について」は”聞きたかったわけではないけど聞いた内容”、「入社後のキャリアモデル」「入社後の待遇」については”聞きたかったけど聞けなかった内容”であると言えます。
まずはこのようなギャップを埋めてあげられるような情報の取捨選択が、就活生目線に立った会社説明会の第一歩となります。
会社説明会であまり求められていない「企業理念」「詳しい業界説明」「製品・商品について」などの情報は、就活生自身がインターネットで調べれば理解できるような情報になるため、知りたければ自ら取りに行けるように自社のホームページや採用サイトに掲載しておき、説明会の中でのボリュームはあまり割かず、就活生が知りたいと思っている情報、つまり「ここでしか得られない情報」をいかに就活生に魅力的に伝えるかがポイントになると言えます。
就活生が面白いと感じる会社説明会の特徴
一般的に、人から何らかの話を聞く際、面白いと感じる話と、そうでない話の違いはなんでしょう。それは、「自分にとって利益のある情報であるか否か」ではないでしょうか。
会社説明会で伝える内容を、「この会社説明会に参加したからこそ得られた有益な情報」であると就活生に感じてもらう必要があるのです。
もちろん、情報の種類、質によって大きく差が出てくる部分ではありますが、その情報を伝える人や伝え方を工夫することによっても、満足度をある程度コントロールすることが可能です。
いくつか例を見ていきましょう。
実際に働く姿が想像できる
まず一つ目に、実際にこの会社で自分が働く姿がイメージできることが挙げられます。
まだ社会を経験したことの学生にとって、「会社で働く」ことはほとんど未知の世界です。
人間は自分が想像できないものは怖いと感じ、シャットアウトしてしまう傾向があるため、就活生に拒否反応を抱かせないためにも、”もしも自分がこの会社で働いたら”をなるべく具体的にイメージさせてあげることが重要になります。
そのために有効な方法として、単に事業の説明をするだけではなく、以下のような情報を盛り込むことが考えられます。
・職種ごとまたは新入社員の1日の仕事のスケジュール
・実際にプロジェクトを行う上での職種ごとの動き方
またその際、成功体験や綺麗な話だけではなく、苦労したことや直面した困難など、仕事のリアルな部分を交えた説明を行うことで、就活生は実際に働くイメージを抱きやすくなります。
就活生が話を聞いて、いかにリアルに自分事化できるかを意識することがポイントです。
会社概要に載っていない情報を得られる
続いてのポイントは、会社説明会に参加して、「ここでしか得られない情報が得られた」と感じてもらえるかどうか。
先述の通り、自社のホームページや採用サイトなどに掲載されている、インターネットで調べればわかるような情報を聞きたいと思っている就活生は少数です。
わざわざ参加するのには、会社説明会に参加したからこそ得られる有益な情報を得たいという思いがあるからです。
特に「社風・社内の雰囲気」などの人にまつわる情報は、インターネットやパンフレットなどでは分からないため、特に重視すべき内容といえるでしょう。
その代表的なものが、「現場の先輩社員の生の声」でしょう。
ここでも先ほどと同様、「リアルに」伝えることがポイントとなってきます。
というのも、ポジティブな情報はもちろん就活生にとって魅力的ですが、仕事をする上で、ポジティブな感情だけでないことは就活生も理解しています。
綺麗な情報だけを伝えられると、「果たして本当なんだろうか」と疑わしく思えてくるのが人間の本能ではないでしょうか。
例えば一方的に情報を渡すだけでなく、先輩社員が就活生の質問に答えていくような、参加型の形を取ることによって、よりリアルな情報を伝えられるだけでなく、就活生の印象にも残りやすいでしょう。
学生が楽しめる内容が盛り込まれている
続いて、就活生が楽しめる内容が盛り込まれているかどうかというポイント。
ほとんどの就活生は就活期間中にいくつもの会社説明会に参加します。
いくら良質な情報を伝えられたとしても、インパクトに欠け、他企業の会社説明会に上書きされてしまっては意味がありません。
数ある会社説明会の中で埋もれてしまわないためには、「タメになった」だけでなく、「楽しかった」という感情を持ち帰ってもらうことも重要です。
楽しめる会社説明会の内容例として、
・業務や事業内容を踏まえたグループワークなど、ゲーム性のあるコンテンツを盛り込む
・動画を見せたり現場社員をアサインしたりすることで、実際に働いている自分をイメージしやすくする
・プロダクトを実際に触ってもらいつつ開発した際の話をするなど、他で体験できないコンテンツを用意する
などが挙げられます。
ただし、必ずしもこれらの方法が全ての企業に当てはまるわけではなく、全ての要素をふんだんに盛り込むことが正解とも限りません。重要なのは、それぞれの企業が伝えたい内容に沿った表現方法を選び、正しく理解してもらえるような組み立てができていること。こちらは常に念頭に置いておく必要があります。
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参加した就活生に「参加してよかった」「楽しかった」と思ってもらえるような会社説明会にするためには、前述の就活生が知りたい情報を盛り込んだ上で、さらに就活生の印象に残るような魅力的なコンテンツを用意する必要があります。
そのために抑えておくべきポイントを以下で紹介します。
グループワーク
ひとつ目は、会社説明会にグループワークを組み込むことです。
一方的に話を聞くだけではなく、参加型のグループワークを行うことによって就活生を飽きさせないことができ、さらには企業側としても、就活生のグループワークでの立ち回りの様子で、求めている人材か否かのひとつの判断材料を得ることも可能です。
ただし、あくまで会社説明会であるため、ただ単にグループワークを行うだけではなく、グループワークを行うことによって就活生が持ち帰ることができる情報を提供する必要があります。
そのため、グループワークを行うことで
・会社情報や会社の歴史が知れるようなワーク
・実際の仕事のプロセスを体験できるようなワーク
・就活に役立つ自己分析などができるワーク
・これから社会に出る上で知っておくべき市場環境が理解できるワーク
など、ワークの組み立て自体も非常に重要となってきます。
先輩社員との座談会
前述の人材サービス会社のリサーチにおいて、会社説明会で知りたいこととして「社風・社内の雰囲気」について知ってもらうためには、現場にいる先輩社員から直接話を聞くことが良い方法です。
会社説明会の段階で先輩社員との座談会など、現場で働く社員との接点を設けることで、人と紐づいた会社の印象を与えることが可能です。
就活生にとって、どのような人たちとどのような雰囲気の中働くことになるのかという情報は、もしかしたら業務内容に並ぶくらい会社を決めるにあたって非常に重要な要素となっているかもしれません。社員の雰囲気はもちろん、社員同士の関係性も自分がこの組織で働くイメージをもつために必要な要素となります。
そこで、例えば社員を一人ではなく複数人交えた座談会を設けるという方法が挙げられますが、これは社員同士の関係性や会社内の雰囲気を伝えることができるため、非常に有効な方法と言えます。
さらに就活生にとっては一回の座談会で会える社員の数が増えることになるので、その分企業や社員への理解も深まり、その会社の印象が残りやすくなります。
工夫を凝らした事例
また、「会社の雰囲気」や会社の魅力をより知ってもらうために、企業の色を出せるようなユニークな選考を行い、就活生を惹きつけている企業もあります。
ここでは、工夫を凝らした会社説明会の例をいくつか紹介いたします。
①ファーストリテイリング|通年採用
ファーストリテイリング傘下のユニクロでは通年採用を取り入れており、新卒の場合、なんと大学1年生から応募を受け入れています。入社日数ヶ月前のエントリー期限以外は指定のスケジュールがないため、個人の好きなタイミングで応募できるというもの。
選考の通過から3年以内であればいつでも最終面接を受けられる「ユニクロパスポート」の発行により、留学や部活動などで就職活動を行う時間が限られている学生にも選考参加の機会を広げるという意図があるようです。
参考:https://www.fastretailing.com/employment/ja/fastretailing/jp/graduate/recruit/allyear/
②東急エージェンシー|顔採用
生まれつきの容姿で採用を決める「顔採用」への批判にうまく乗っかる形で「これがホントの、顔採用」と東急エージェンシーが打ち出したユニークな選考方法。
これは何も容姿の美醜で採用を決めるのではなく、同社が独自に開発したシステムを使ってWeb上で就活生の顔の分析をおこなうもので、結果に応じてさまざまな「就活支援特典」を抽選によりプレゼントするという内容です。
ちなみに、この選考で使用される顔分析システムでは、Webカメラを通じて就活生の顔を「のんびり顔」「心配性顔」「せっかち顔」「よくばり顔」「こだわり顔」の5つの顔に分類。それぞれの顔に対して、「のんびり顔」の人には「エントリーシートの〆切に1週間のロスタイム」、「心配性顔」の人には「面接5分延長戦」、「せっかち顔」の人には「エントリーシート設問の1週間先行公開」、「よくばり顔」の人には「面接を独り占め」、「こだわり顔」の人には「面接官を写真で逆指名」といったユニークな特典が用意されました。
参考:https://ciraf.jp/works/kao/
③面白法人カヤック|「いちゲー採用」
面白法人カヤックは、Webサイトやアプリなどのデジタルコンテンツを制作している企業。「エゴサーチ採用」など、毎年ユニークな採用活動をおこなっています。
部活やサークル、アルバイトで得られた経験を評価するのと同様に、ゲームで培った発想力や問題解決力が仕事にも活かせるのではないかと注目し、PlayStationとのコラボレーションで実現したのが、こちらの採用方法。
エントリー方法として「プラチナトロフィー選考」「ゲーム履歴書選考」「協力プレイ選考」の3通りがあり、それぞれユーモアが溢れた、ゲーム開発会社ならではの方法となっています。
まとめ
会社説明会は、就活生に興味を持ってもらうための入り口であり、参加した就活生に「参加してよかった」「楽しかった」と思ってもらえるかどうかが今後の採用活動を成功させる鍵となります。また、就活生にとって満足度の高い会社説明会にするためには、就活生が知りたい情報を盛り込んだ上で、さらに就活生の印象に残るような魅力的なコンテンツを用意しうましょう。
就活生が面白いと感じる会社説明会の特徴として、
①実際に働く姿が想像できる
②会社概要で載っていない情報を得られる
③学生が楽しめる内容が盛り込まれている
が挙げられ、これらを意識したコンテンツ作りが必要です。
ただし、必ずしもこれらの方法が数ある企業に当てはまるわけではなく、重要なのは、それぞれの企業が伝えたい内容に沿った表現方法を選び、正しく理解してもらえるような組み立てができていること。
就活生にとって面白いと思ってもらえる会社説明会で自社へのエントリーを増やしましょう。