企業の人事に代わって採用の企画・施策を展開していく「採用代行」。
近年では、フリーランスとして個人で採用代行をする人も増えてきました。
実は、フリーランスの採用代行を利用することには多くのメリットがあり、企業とフリーランス人材のマッチングサービスも複数あるのです。
この記事では、そうしたフリーランスによる採用代行の特徴を中心に、法人との違いにも触れながらご紹介します。
目次
採用代行とは何か
採用代行とは、企業の人事に代わって採用をする仕事です。
RPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、採用計画の立案から、採用チャネルの選定、各種チャネルや応募者の対応など、採用の全般を担います。
採用に特化したプロに任せられる安心感があり、外部で活躍している人の知見を取り入れることで、社内の人間だけでは気づけない発見も得られるサービスです。
また、採用のアウトソーシングによって人事は他の仕事に専念できるとも言えます。
今までは採用代行と言えば、主に法人によるサービス提供を指しましたが、近年ではフリーランスや個人事業主が提案するケースも増えました。
個人の場合は、「フリーランス人事」とも言い、企業の人事を経て独立した人や、人事部で働きながら副業・複業として、空き時間にフリーランスをしている人も多いようです。
採用代行をフリーランスに委託するメリット
大切な採用の業務をアウトソーシングする、しかもフリーランスに委託するのはどうなのだろう? と、フリーランスの活用に懸念がある人事担当の方もいるかもしれません。
フリーランスに委託するメリットは実に豊富です。具体的に4つ見てみましょう。
法人よりも安価に依頼できることがある
採用代行を法人に依頼するにあたって、ネックになりやすいのが費用です。その点、フリーランスの方が安く発注できる場合、コストを抑えられます。
人事の社員を採用するのと比較し、固定費がかからないのもメリットです。ただし、個人だからといって足元を見るような行為は好ましくないため、双方が納得できる価格で契約を結びましょう。
柔軟な対応をお願いしやすい
フリーランスの採用代行は、会社にマッチする柔軟な対応をしてくれることがあります。
たとえば、次のような依頼です。
- 社内に常駐していてほしい
- 採用以外の人事業務もお願いしたい
- 契約時間を独自に指定したい
法人の採用代行では上記のような依頼をしても、社内の仕組みや都合上、難しいと断られることがあるのです。
自社に寄り添った対応をしてくれるフリーランスとタッグを組めば、採用の成功率・効果のアップも期待できます。
スポットで案件の依頼ができる
会社によっては、いつも求人を出しているわけではないため、必要なときだけフリーランス人事に業務委託をしたいと思うかもしれません。
その点、スポットで依頼をしやすいフリーランスには利があります。
採用代行の法人と契約すると、採用ニーズがそれほど高くないときにも、料金が発生する場合が少なくありません。無駄なコストをかけなくて済む面も、フリーランス活用のメリットです。
対応者の経歴やスキルがわかりやすい
法人では、実際にどのようなスタッフが人事として活躍するかは、案件が始まるまでわからないケースもあります。
チームで業務にあたる場合もあり、その顔ぶれは未知数です。
一方で、フリーランスは個人で活動しているため、どんな経歴やスキルを持っているかをわかった上で契約できます。
自社との相性も事前に見極められるため、マッチした人材をピンポイントで登用したいときにも最適です。
採用代行をフリーランスに委託するデメリット
メリットが多いと思えるフリーランスですが、個人だからこそ思わぬ落とし穴があります。
活用にあたっては、デメリットの理解も必要です。
対応者の質にばらつきがある
フリーランスの採用代行は、誰に頼んでもクオリティに納得できるかというと、決してそうとは言えません。
人材によって、満足できる品質を担保できるかどうかが左右されてしまいます。
加えて、それまで人事部の優秀な社員だったとしても、独立して同じようにできるとは限りません。
フリーランスにはフリーランスとしての、個人で事業をおこなうスキルが求められるためです。
「期待して採用代行を依頼したけど、思ったほどではなかった」「仕事が遅くて困る」など、期待はずれになる場合もないとは言いきれません。
採用側の増員は難しい
フリーランスの採用代行は、基本的に1名体制が多いものです。もし、採用をもっと強化したいと思っても、1人の力だけでは限度があります。
優秀な人材ならあれもこれもお願いしたいと思いがちですが、リソース面で難しい場合があることも心得なくてはなりません。
違法で事業をしている可能性がある
採用代行は、職業安定法によると「第三者が企業に人を紹介する」点で委託募集にあたります。そのため、有料職業紹介事業者としての認可や、労働局の許可が必要です。
依頼したフリーランスがそのような免許を持っていない場合、思わぬトラブルになりかねません。
個人との契約は、そうしたリスクの考慮が必要です。
フリーランスと法人の採用代行の違い
では、フリーランスと法人の採用代行は、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
仕組みとコストの両面から、それぞれ見ていきましょう。
仕組みの違い
法人の採用代行サービスでは、契約の成立後、案件に先方の担当者がアサインされます。
営業やコンサルタントと、採用の担当者はたいてい異なるものです。
一方でフリーランスの場合は、依頼したい個人と直接の契約を結ぶ形となります。
コストの違い
法人では費用のプラン形式が主に3通りあります。
求める成果によって、個別に見積もりを出す場合もあるようです。
- 定額制:サービス内容に応じたパッケージプランの形式
- 成果報酬型:面接や内定が決まったときに課金される形式
- 従量課金型:「スカウト代行」「媒体掲載」など項目ごとに料金が発生し、人材の要件や契約期間によっても変動する形式
会社にもよりますが、充実した採用活動のためには、月額50〜70万円前後が必要だと言われています。
採用プロセスの一部だけを依頼するのであれば、月額5万円ほどの金額からでも可能です。
フリーランスの場合、価格の設定は人によってまちまちとなっています。多くは月額で業務委託費を取っており、月20〜30万が相場です。
優秀なフリーランスを見極めるポイント
せっかく採用代行を依頼するなら、優秀なフリーランスを見つけて発注したいものです。
スキルの高さを見極めるために、注目すべき点をお伝えします。
実績の有無とその内容
フリーランスに依頼するにあたって、最重要とも言えるのが実績です。採用の取引件数や業務歴、成功率などをよくヒアリングしてみてください。
また、実績があればその内容もしっかりチェックしましょう。たとえば、自社の業界や採用したい職種の実績があるかはとても大切です。
レスポンスの速さ
レスポンスが速いかどうかは、スキルや意欲を見極める上で大切なポイントです。
とりわけ採用においては、求人に応募があったときや、応募者からメッセージがあったときに、どれだけ素早く動けるかが肝です。
迅速な対応は、応募者から見て信頼性アップに繋がる上、他の企業との競争に勝つための必須オペレーションにもなります。
代行費の妥当性
できるだけコストを抑えたいと思っていても、代行費が相場よりも極端に安いなら注意が必要です。
経験や実績がともなわない駆け出しのフリーランス人材が、実績づくりのために低価格にしている可能性もあります。
プロに依頼したいなら、それなりの対価が必要です。いい加減な仕事をされて苦労することがないように、費用の妥当性もチェックしましょう。
採用代行ができるフリーランスを見つける方法
「これから採用代行の利用を始めてみたい」「採用代行をしているフリーランスを見つけたい」と思ったなら、専用のプラットフォームで探すのが最も効率の良い方法です。
大手のクラウドソーシングも便利ですが、ここでは採用代行に特化したフリーランスを見つけるのに適したサービスを、3つご紹介します。
corner works(コーナーワークス)
株式会社コーナーが運営するconer worksは、「プロ人事とオンラインで出会えるマッチングサービス」として2021年にリリースされたものです。
人材・採用の領域に特化したフリーランスが登録しており、契約が成立するまでは費用がかからないため、無料でフリーランス人材を探せます。
利用できるサービスは次の3つです。
- フリーランス人事を探してオファーができる「スカウトサービス」
- CORNER専属のコンサルタントがマッチングをサポートする「エージェントサービス」
- 無料で無制限に求人を掲載できる「オンラインマッチングサービス」
初期費用や求人掲載が0円でできるため、利用を始めやすい点も魅力的です。
人事プロパートナーズ
株式会社Hajimariが提供する人事プロパートナーズは、フリーランス人事の紹介サービスです。
主にフリーランス人材の支援といった視点で作られたサービスで、個人にフレキシブルな働き方や、やりがいのある案件を紹介するスタンスです。
企業に対しては、まず導入コンサルティングで人事の課題をすり合わせ、その上で解決に適した人材の要件を定義します。
マッチする登録者の提案があり、面談を経て契約成立となる流れです。
転職市場にはいない、優秀なフリーランス人材に出会えるかもしれません。
Warisプロフェッショナル(ワリスプロフェッショナル)
株式会社Warisが提供するWarisプロフェッショナルは、フリーランス人材の中でも女性に絞ったマッチングサービスです。
人事のほかにも総務・経理・広報といったバックオフィス関連をカバーし、事務系総合職のフリーランス女性が登録しています。
家庭と両立しながら働く優秀なフリーランス女性が多く、なかなか市場にはいない人材とマッチングしやすいでしょう。
バックオフィス部門の人材不足に悩んでいるスタートアップ企業にもおすすめです。
まとめ:フリーランスに採用代行を依頼してみよう!
フリーランスの採用代行は、コストや柔軟性の面で、法人にはないメリットを持ち合わせています。
優秀さを見極めるポイントを押さえた上で、マッチングサービスを活用しながら良い人材を探してみましょう。
働き方の多様化に合わせて、こうしたユニークな人材はどんどん増えてきています。自社にぴったりのパートナーを見つけて、充実した採用活動を目指してみてください。