「求職者からの応募がなかなか集まらず悩んでいる」、「自社の知名度が低く応募先として意識してもらえない」などの悩みを抱える企業は少なくないでしょう。
そこでおすすめなのが、採用動画の作成です。訴求力の高い採用動画を作れば、会社の魅力が効率的に伝わり関心を持ってもらいやすくなります。しかし、動画を作ったことのない会社にとっては初の挑戦であり、不安な点もたくさんあるでしょう。
そこでこの記事では、採用動画の詳細とメリット、採用動画の作り方を丁寧に解説します。SNS別に採用動画を作る際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
採用動画とは?
採用動画とは、企業の商品や事業、自社で働く社員などにスポットを当て、動画形式で会社のイメージを分かりやすく紹介するものです。採用動画には次のような種類があります。
- 商品紹介動画
- 事業紹介動画
- 社員密着動画
- 社員インタビュー動画
- 職場紹介動画
さまざまな種類がありますが、採用に活用できる企業動画は、幅広く「採用動画」と言えるでしょう。どのような採用動画を作るかは、自社で詳しく話し合って決める必要があります。自社のイメージをうまくアピールできるコンテンツを考え、動画を作りましょう。
動画による訴求が中心となっている現代、採用動画は企業に欠かせない存在です。動画の影響力が高まっているいま、採用動画を作ることには大きな意義があるでしょう。
採用動画を活用するメリット
採用動画の作成には多くの時間・労力がかかりますが、大きなメリットも期待できます。採用動画を活用するメリットには、次のとおりです。
- 自社のリアルな雰囲気を訴求できる
- 短い時間でたくさんの情報を発信できる
- 動画慣れした若い世代を取り込める
一番のメリットは、聴覚・視覚に訴求でき、視聴者の印象に残りやすいことです。「動画」という形式をとることで、文章や音声よりも自社の雰囲気や魅力を伝えやすいのです。
せっかく会社に入ってもらっても、会社のカルチャーと合わず短期離職する人材は少なくありません。しかし、職場の雰囲気や上司の人柄、会社のカルチャーが分かるカジュアルな動画を作成すれば、リアルなイメージが伝わり、ミスマッチの低減が期待できます。
また、一度作成した採用動画はSNSを含め、さまざまなシーンで活用できます。力を入れて採用動画を作れば、いずれ会社の大きな資産となるでしょう。
採用動画作成前に必要な準備
採用動画を自社で作成する場合、さまざまな準備が必要です。準備不足のまま動画撮影をスタートするとスケジュール通りに撮影が進まず、採用時期に間に合わない恐れもあります。
そこでここからは動画撮影に必要なアイテムや人材、事前にしておくべき準備について解説します。スムーズに動画撮影を開始できるよう、早めに準備しておくと安心です。
撮影機材
動画撮影には、専用の機材が必要です。簡単な動画であれば手持ちのスマートフォンやタブレットでも作成できますが、クオリティの高い動画を撮るなら専用の機材がおすすめです。
スマートフォンなどの撮影ツールに加え、以下の3つを用意しておきましょう。
- 三脚
- マイク
- 照明
また、撮影ツール(カメラ)には次のような種類があります。
- 一眼レフ
- ビデオカメラ
- コンパクトデジタルカメラ
- アクションカメラ
- スマートフォンカメラ
最近のスマートフォンであれば、1台で動画撮影から編集までできる高機能なものも少なくありません。しかし、より高クオリティな採用動画を作成するなら、動画撮影に特化した一眼レフやビデオカメラを検討してもよいでしょう。
PCなどで動画を見るにあたり、必要な解像度はHD〜2K程度です。新しく撮影機材を購入する際は、ぜひ参考にしてください。
編集用デバイス・アプリ
編集をせずに動画を流す「一発撮り」という手法もありますが、企業の公式として発信する採用動画では編集してから発表するのが一般的です。
カメラで撮影した動画を編集できるツールにはさまざまな種類があり、中には無料で利用できるものもあります。予算が限られている場合や初めて採用動画を作成する場合は、こうした無料ツールを検討するのもよいでしょう。
編集ツールの中にもさまざまな種類があり、作る動画の特性によって使うべきツールは異なります。ただ、無料であれは複数ダウンロードしても費用面で負担にならないため、迷ったらまずは気になる無料ソフトで使用感を試してみましょう。
動画出演する社員
採用動画で必須なのが、動画に出演してくれる社員・または経営陣です。とくに社員インタビューを中心にして動画を作成する場合、会社のイメージや伝えたいメッセージに沿った社員を選ぶのも重要なポイントです。
毎日活き活きと前向きに働く社員をピックアップし、スケジュール調整をおこなってください。
また、会社の目標や経営方針を伝えるなら、経営陣自らが会社について語る動画を作成するのも効果的です。ただし、経営陣のスケジュール確保は非常に難しいため、事前にしっかりと計画を定め、早い段階で連絡を取ってください。
会社のイメージを伝えるため、取引先や顧客など外部の方を呼ぶ場合も慎重な準備が必要です。採用動画に出演してもらいたい旨を早めに伝え、出演相手の要望にはなるべく応えましょう。
求職者の興味を惹く採用動画の作り方
限られた時間の中で採用動画を作るなら、効果の高い動画をなるべく短期間で仕上げることが重要です。
ここからは、自社で採用動画を仕上げる場合の基本的な手順を解説します。手順をチーム内で共有しスケジュールをしっかりと定めましょう。
動画のターゲットを決める
まずは誰をターゲットにして動画を作成するか決めましょう。新卒か中途か、といった大きな枠組みだけでなく、どのような情報を求め、どのような目的で採用動画を視聴するのかも推測する必要があります。
動画のターゲットの具体性が高まるほど、会社が求める人材に効果的な採用動画を作成できます。年齢や性別、職場に求めていることやプライベートの過ごし方など、細かい点までターゲットのイメージを絞り込み、チームで共有してください。
動画の内容を決定する
チーム内で、動画の内容について話し合いましょう。ターゲットの求める情報は必ず入れるよう意識し、見る人を飽きさせないコンテンツ作りを目指してください。
ある程度動画の内容が決まったら、この段階で、どのような社員が出演すべきか話し合います。動画に出演する社員は、会社の顔となる重要な存在です。求職者にポジティブなイメージを持たせるような社員を選任しましょう。
また、ターゲットと近い境遇にある社員に出演してもらうのも効果的です。たとえば新卒向けの採用動画であれば入社1~2年目の社員に出演してもらうことで、入社後のイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
動画の撮影を行う
決定した企画に沿って動画撮影を行います。気になる箇所は何度か撮り直し、編集時に調整しましょう。
完成した採用動画は、5分程度が理想的です。もちろん撮影後に編集ができるため、撮影時間を5分にする必要はありませんが、撮影時間があまりに長すぎると、5分にまとめるのが困難になります。
必要なシーンごとに目安となる撮影時間を決めておくと、スムーズに進むでしょう。
動画を編集する
撮影した動画をただ流すだけだと単調になり見る側も飽きてしまうため、BGMを入れる、エフェクトを入れるなどして編集しましょう。
ただし、演出に凝りすぎると逆に分かりにくい動画に仕上がる可能性があります。多くの動画で使われている手法は、シーンとシーンとそのままつなぎ合わせる「カット」です。初めての動画作成なら、この「カット」を中心にして必要なシーンを切り貼りしましょう。
動画を公開する
できた動画は、最適なプラットフォームで公開します。プラットフォームによって動画のアップロード方法や観た人からの評価方法が異なるため、各プラットフォームの特徴を把握したうえで公開してください。
採用動画の効果を高めるポイント
時間をかけて作った採用動画の効果を、さらに高めたいと考える企業は少なくないでしょう。訴求力の高い動画は会社の資産となり、翌年以降も採用に関するさまざまな場面で活用できます。
そこでここからは、採用動画の効果をより高めるためのコツ・ポイントを紹介します。動画を公開するプラットフォームの解説も行うため、ぜひ参考にしてください。
ターゲットに沿ったプラットフォームで公開する
動画を公開できるプラットフォームは数多くありますが、ターゲットに適した場所で後悔することが大切です。自社の求める人物像に合ったプラットフォームで最適な採用動画を公開すれば、動画がもたらす効果はさらに高まります。
ここからは、代表的なプラットフォームごとにユーザーの特徴を紹介するので、ぜひチェックしてください。
自社公式サイト
自社公式サイト内の採用関連ページで動画を公開する方法です。企業公式サイトを訪れるくらい自社に興味を持ってくれている求職者が、主なターゲットです。
自社に強い興味を持ってくれている求職者は、複数の動画や長時間(5分以上)の動画もしっかりと観てくれる傾向があります。採用動画の数が増えすぎてしまった時や、伝えたいことが多く動画が長くなってしまった場合には、自社公式サイトを中心に活用しましょう。
求人サイト
求人サイトの中には、動画の添付が可能なところもあります。求人サイトに動画を掲載すれば、まだ会社のことを知らない多くの求職者にチェックしてもらえるため、知名度アップ効果は高いでしょう。
応募のきっかけとなるような短時間のイメージ動画を作り、採用動画として活用してください。
YoutubeなどのSNS
Youtubeなど動画をアップロードできるSNSは非常に訴求力が高く、多くのユーザー間で共有されれば年齢・性別問わず幅広い層に動画を見てもらえます。
ただし、SNSには日々多くの動画が投稿されているため、他の投稿に埋もれ求職者に動画を見てもらえない可能性もあるでしょう。
SNSを使うなら、求職者の関心を惹けるような面白いタイトルを考える、「就活」「インターン」「採用」など関連するタグを付ける、といった工夫が必要になります。
採用説明会
自社の採用説明会に来てくれるのは、自社への関心が非常に高い求職者なので、少し長め(5分以上)の動画もしっかりと見てもらえます。
一方で、SNSで使うような1分程度の動画を採用説明会で流すと、「もっと説明が欲しい」といった不満につながるかもしれません。採用説明会には、会社のイメージや商品・サービス、社員の雰囲気など幅広いコンテンツについて、総合的に魅力を伝える動画が向いているでしょう。
自社の魅力を洗い出し差別化する
動画作成の際は、他者との差別化が大切です。動画の影響力が大きな現在、採用動画を作成する企業も増加しています。こうした状況下で、自社の動画をより印象的に仕上げるには、他社にはない魅力をアピールすることが効果的です。
動画作成の前に、他社と比べ自社にはどのような魅力があるか洗い出し、それが最大限伝わるような構成を作ることが重要です。担当チームだけで自社ならではの魅力がわからない場合、社員にアンケートを取るのも良いでしょう。
リアルな雰囲気を大切にする
採用動画作成の際は、会社のリアルな雰囲気を出すよう意識しましょう。昨今、とくに新卒の学生は「働きやすさ」を重視しており、会社の雰囲気も細かくチェックしています。
株式会社L100が2022年に行った調査によると、2023年度卒業の就活生が企業選びで重視するポイントについて、次のようなランキングになりました。
- 働きやすさ(40.3%)
- 仕事のやりがい(24.3%)
- 福利厚生の充実(7.7%)
以上の結果から、職場の環境、働きやすさについてリアルな状況を伝えることで、求職者への訴求力は高くなると言えるでしょう。社員インタビューなどを行い、会社のリアルな雰囲気を伝えるのがおすすめです。
出典:株式会社L100 2023年度卒業の就活生が企業を選ぶ上で最も重視するポイントの調査結果
採用動画の事例を確認しよう
他社との差別化も重要ですが、担当チームでできあがりイメージを共有するため、他社がどのような採用動画を作っているのかチェックすることも大切です。
ここからは3社の採用動画とその特徴をそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
RFA digital brains株式会社
IT業界におけるコンサルティング・マーケティング支援を行うRFA digital brains株式会社では、4分と短い動画の中で、「尖ったヤツだけやってこい」と求める人物像を明確に打ち出しています。
また、現代的なショットとカメラワークでおしゃれなイメージを演出し、仕事に「かっこよさ」「やりがい」を求める若い求職者に強い印象を残していると言えるでしょう。
どのような人材が欲しいか明確に決まっていれば、短くても効果的にターゲットに訴求できる動画ができあがります。採用動画作成の際は、求める人物像を明確にしておきましょう。
参考:RFA digital brains株式会社|採用動画「尖ったヤツだけやってこい」
株式会社博報堂DYホールディングス
広告代理店として高い知名度を誇っている株式会社博報堂DYホールディングスも、採用動画に力を入れています。株式会社博報堂DYホールディングスがYoutubeに投稿したのは、「絶対に本音で話さざるを得ない説明会」。
会社説明会に登壇する社員には知らせず、その社員と関係の深い人物をゲストに呼ぶことで、建前ではない本音を引き出せる構成になっています。
社員の本音を知りたい、働き方の実態を把握したい、と考える求職者は少なくありません。このように社員のリアルを伝える動画を作れば、より深い情報を求める若い世代の興味を惹けるでしょう。
参考:博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ合同採用事務局 絶対に本音で話さざるを得ない説明会
ユアマイスター株式会社
出典:ユアマイスター株式会社
サービスECプラットフォーム「ユアマイスター(YOURMYSTAR)」を運営するユアマイスター株式会社。代表取締役自らが会社のビジョンについて語ることで、企業の目標や今後のビジョンについてより深く理解できる採用動画をYoutubeに投稿しています。
動画は4分程度と短めですが、代表取締役だけでなく社員が自らの仕事について語るシーンも用意されており、充実した内容になっていると言えるでしょう。
事業内容や今後のビジョンについて分かりやすくまとめた動画は求人サイトやSNSなど、さまざまなプラットフォームで効果的に活用できます。会社全体のイメージを伝える動画を作りたいなら、ぜひ参考にしてください。
参考:ユアマイスター(YOURMYSTAR) 【一緒に働く仲間募集!】総額23億の資金調達を実施したユアマイスターがこれから進む未来★代表取締役星野貴之メッセージ
まとめ:採用動画の作り方を学び応募者を増やそう
採用動画の作り方を把握し、自社に合った採用動画を作成すれば効率的に自社の存在をアピールできます。また、会社のリアルな雰囲気を伝えることで、採用時のミスマッチ防止にもつながるため、動画を使い積極的な情報発信を行ってください。
近年では、採用動画を公開できるさまざまなプラットフォームが整備されています。それぞれのプラットフォームに適した動画を作成することで、動画の効果をさらに高められます。
ただし、質の高い採用動画をすべて自社で制作するには、多くの時間・コストがかかります。予算に余裕がある場合や動画作成のノウハウが少ない場合、一部の工程を外注するなどして効率的に進めましょう。