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仮面座談会 Season4 Vol.4 「ライフ系研究者のキャリアプラン」

アカリク 仮面座談会 生物・医学・薬学・農学編 vol.4 〜ライフ系研究者のキャリアプラン〜

今回は皆さんそれぞれの今後のキャリアプランについて語っていただきました。

―「仕事としての研究」、その現実―

医学さん:博士課程に進学したお2人は、研究者として大学に残る道を選択することは考えなかったんですか?

生物学さん

生物学さん:たしかに、大学に専任のポストを得て自分の研究室を持ち、好きな研究をしながら学生や院生を指導する生活はとても魅力的だと思います。実際、研究室の先生たちは楽しそうにしていますからね(笑)。でも大学の専任の席が空く可能性はとても低いし、その空席が自分にまわってくる可能性となると更に低くなる。本気でポストを狙うのであれば、修士の頃から「知りたいことを知る」ために研究をするのではなく「業績を積み上げる」ために研究をする気概が必要になる。本当に興味のある研究はポストを得てからやればいいと割り切る覚悟がいります。ぼくは「知りたいことを知る」ための研究を優先してきたので、今から大学に残ることを目指すのは正直かなり難しいと思いますね。

薬学さん:ぼくも生物学さんと同じく、あくまでも「自分の知りたいことを知る」ために研究をしてきました。そもそもぼくの夢は「薬を作ること」であって「大学の教授になること」ではありませんからね。それに実際に研究で食べていくとなると、自分の関心にのみ従っていれば良いというわけにもいかなくなってくる。

生物学さん:たとえば、製薬会社と薬学さんの所属する研究室が提携して新薬開発のための産学協同プロジェクトを組むというのはそれなりに現実味のある話ではあると思うんです。ただ、薬学さんがこの種のプロジェクトを主導できる立場を大学内で獲得するまでにはとても長い時間がかかる。それなら製薬会社に就職した方が薬学さんが本来やりたかった「薬を作ること」にいち早くたどりつけると思うんです。だから大学にこだわる必要はあまりない。

薬学さん

薬学さん:おっしゃる通りです。実際にプロジェクトを動かせるポジションを得るまでが本当に厳しいんですよね。また、国から研究予算を獲得するために「この研究をすれば、このような素晴らしい成果が出る可能性がある」と、あえて分かりやすいストーリーラインを引いてプレゼンすることを研究者の仕事として要求される局面もある。そういうところにも違和感があって大学に残ることがすべてではないと思うようになりました。

医学さん:私の先輩にも大学でポストを得ようとしている方がいます。その先輩の人生はまさに実験一筋。論文の投稿や留学の準備に追われて本当に大変そうで、私にはとても真似できないなと思います。

―キャリアプランについて―

生物学さん:ぼくの専門に直接関わる就職先というと、例えば虫よけスプレーを作る企業や農薬を扱う化学メーカー、コアなところでは網戸や蚊帳といった防虫素材を扱うメーカーが挙げられます。蚊帳は現在の日本ではほぼ使用されないですが、海外ではかなり注目されています。蚊に刺されることが命に関わる危険となるような地域では蚊に怯えずに安眠できる空間を確保するのはとても重要な課題なので、世界的に見れば日本の蚊帳技術の需要はまだあるんですね。それでも今挙げたような業種での求人はとても少ないです。ぼくの研究室でも昆虫が関連する企業に入った人はあまりいません。学部全体で考えると食品メーカーに進む人が多い。地方自治体の農業職に就く場合もありますね。でもぼくは自分の専門を生かすことにはこだわらず、様々な職種にチャレンジしてみるつもりです。IT系やコンサルタント、webデザイン系の求人にも応募しています。「なぜお前がこの業種にいる!?」と周囲に驚かれるような意外性のある道を進んでみたいですね。

医学さん

医学さん:私は製薬会社の臨床開発職とCRO(医薬品の開発業務委託機関)に絞って考えています。食べることが好きなので食品系も考えたんですが、食品会社は食に関わる小さな喜びを提供することを目標とするところだと考えたとき、私の目指すものとずれるなと感じたんです。私はやはり「命」に関わり、その重みを実感しながら働いていける仕事に就きたいです。また人と関わりたいという気持ちが強いので、研究ではなく臨床開発を選びました。

薬学さん:ぼくも医学さんと同じく製薬会社の臨床開発職を志望しています。研究の世界に入ってみて国内外での素晴らしい成果を沢山目にしました。そのときに、自分で研究する以上にこれらの成果を医薬品として実用化し、社会に提供する仕事に関わりたいと思うようになりました。元々「良い薬をつくって、病気で苦しむ人たちを治してあげたい」という気持ちが強いので、研究ではなく患者さんの顔がじかに見える臨床開発に携わりたいです。

農学さん:私は研究職と農業指導員の道を考えています。自分の探究心に導かれるがまま結果を突き詰めていきたいという気持ちがあるので、やはり研究職には興味があります。その一方で、農業指導員という立場で今まで学んできた農業についての専門的な知識を具体的に生かしたいとも考えています。指導員になって、農家をはじめとした農業に関わる人たちに自分の知識を伝えると同時に、彼らとの交流を通して更に新しい知識を吸収していければなお良いですし。農業指導員というと農協に入り公務員として働くイメージが強いかもしれませんが、民間でも種苗会社のブリーダーや、農薬系の企業で自社製品の機能を証明する指導員として採用される道もあります。「農業指導員」という名前ではなくても実質は指導員としての仕事を任されている場合もあるので、色々な企業に話を聞きに行っています。



いかがでしたか。 皆さんそれぞれの希望に向かって着実に歩みを進められているようですね。 最終回では博士課程への進学について、そして「もし 人生をやり直したとしたら、また大学院に進学するかどうか」について語っていただきます。

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