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日本ぺイン卜 ホールディングス株式会社 理学系研究科 化学専攻 有機合成化学分野 出身

2015/02/24 掲載

視野を広げ、新しい世界を発見しよう。

大学院時代の研究内容を教えてください

大学院では有機合成化学の研究室に所属し、新しい反応活性種生成法の探索、これを利用した環状骨格構築に向けた新しい合成手法の開発、さらにはこの合成手法を利用することによる天然物中心骨格の合成法検討を行っていました。

具体的に述べますと、世の中の天然物には窒素原子を含む環状化合物が中心骨格となっているものが数多くありますが、この環状窒素化合物をオキシム誘導体を一電子還元させて発生させたアルキリデンアミニルラジカルを用いて合成する方法の探索をしていました。この際、ラジカルの発生手法は既存の方法で行うのではなく、これまでに知られていない手法を発見することがミッションでした。さらに、これをアルカロイドの骨格合成に応用するなどの検討も行っていました。

正直言いますと、大学院の研究のスタートは先輩の残した研究の継続でした。しかし、論文をまとめるにあたり、やはりそれだけでは内容が薄く、別の反応活性種生成法を探索することになりました。すでに修了年になっており、時間がない中でいろいろと調べ、これまでの知見と併せて仮説を創出し、その仮説検証実験を行い、結果を基にまた仮説を立てというサイクルを繰り返して、なんとか新しい活性種生成法を見出すことができました。何もない中から素反応を開発していくという経験は、当時は苦しく大変な思いでいっぱいでしたが、その中で培った経験は研究の進め方、考え方は会社での研究開発において大いに役立っています。

就職活動はどのようにされたかお教えください

業務風景 学生時代は有機合成の研究をしていたので、それを活かせる分野に就職したいと考え、化学業界全般を研究していました。研究室の他学生には、教授に紹介してもらった企業を受験していた人も多くいましたが、私は教授のネットワークを利用せず、自分で探しました。

業界研究の方法としては、研究室の教授にいろいろ相談したり、先輩のアドバイスを受けたり。それをもとに、「どの企業に行けば有機合成の技術を活かせるんだろう?」という観点で、インターネット検索をしていました。各企業のことについては、まずはWebサイトの製品情報や研究開発情報から調べていきました。学生時代にやっていた研究とぴったり同じ、というところはなかなかないので、自分はその分野のどこにおもしろさを感じるかを考えながら研究を進めました。そうやって研究するなかで、関心を抱いた企業の1社が、日本ペイントでした。
いま思い返せば、就職活動中は必要以上に「有機合成」にこだわってましたね。大学で学んできたことに縛られていたのかもしれません。それで日本ペイントに入社し、ふたを開けてみたら、畑違いの「顔料分散」や「金属ナノ粒子」の調製をやっているのですから、おもしろいものです。自分なりのこだわりや仕事観を持つことは大事かもしれませんが、視野はあくまでも広く、というのが前提にあるといいと思います。

現在はどのような業務を行っていますか?

業務風景 ひとことで言うと「先行塗料開発」です。商品につながる新技術の開発を行う開発研究所に所属しており、実際に市場と向き合って塗料開発を行っている事業部の一歩先を見据えて、1〜3年後に商品化ステージに入る塗料を開発することをミッションとしています。
そこで私が担当しているのは、水性の自動車用・工業用塗料原色(塗料の色をつける材料)の研究開発です。いろいろ手がけてはいるのですが、その中でも特に大きなテーマになっているのが、「水性原色の統合」 です。塗料の世界はかなり奥深くて、たとえば「黒」とひと口に言っても「青っぽい黒」と「赤っぽい黒」などいろいろあるのです。今は、その「いろいろ」を作り出すための原色があふれている状態。それらを、色も性能も良い原色に作り上げてまとめていくことにより、日本ペイントのスタンダード原色にしていこうという試みを行っています。その過程には、これまで溶剤系原色にしかなかった色を、溶剤を使わず環境にやさしい水性塗料に使用する水性原色でも表現できるようにしたり、あるいはこれから求められてくる次世代塗料に合った原色を生み出したりといった開発も行っています。
こうした検討を進めながら、どうすれば顔料を安定に分散することができるかというメカニズムの解析や、最終塗膜になっていく過程での顔料の挙動などを調べる、それが私の仕事です。

業務のやりがいや、大変なことをお教えください

日常業務の風景 私が扱っている「原色」は、日本ペイントのほとんどすべての塗料に入っている原材料なので、それを作る責任の重さを感じています。
一方で、すべての事業部で使う原色の元となる理論を、自分たちの手で作り上げることができるところに、非常に大きなやりがいを見出しています。実は、原色は「色」だけでなく、「外観」にも大きな影響を及ぼすので、「塗膜外観〜塗膜形成」の基本となる部分の真理を追究していることになります。顔料分散の理論をかためてその真理をつかむことができれば、日本ペイントの大きな力になることはまちがいありません。と、少し大きなことを言ってみたものの、真理解明については実はまだほんの入り口に立ったところです。現在、各種データをとりそろえて蓄積している最中で、これからそのデータとにらめっこをしながら、謎めく原色の真理が潜む深い深い底へと下りていかなければなりません。あと1年? 2年?何年かかるか今はまだ見当もつきませんが、確実に一歩ずつ、近づいていきたいと思っています。そして近い将来、「日本ペイントといえばコレ!」と言われるような新たな色材や技術を創り出すことができればうれしいですね。

大学院生へのメッセージをお願いします

日常業務の風景 就職活動の期間は、自分をじっくり見直す期間でもあります。いろいろな会社を調べたり、説明会を聞きに行ったり、もちろん学校での研究もしなくてはいけない、と大忙しだと思いますが、大切なのは、「周囲に流されないこと」です。生きているなかで、なかなか自分を見直すという機会はありません。この際、じっくり振り返ってみてください。それがきっと面接や今後に良い影響を及ぼすことになると思います。

そして先程も述べましたが、自分なりのこだわりや仕事観を持つことは大事ですが、「視野はあくまでも広く」、ということを心にとどめておいてください。技術系の学生は得てして、自分の学生時代の研究テーマを活かせる方がいいと考えるものです。私もそうでした。でも、もっと広い視野で仕事をとらえた方がいい。それが、就活を通して得た私の答えでした。就職してからの時間の方が、学生時代よりもずっとずっと長いんです。だとすれば、会社に入ってから取り組んでいることの方が詳しくなり、それが自分の専門になっていくかもしれないですよね?最終的に、「色の世界もおもしろそうだな」と日本ペイントに飛び込んだ私でしたが、その奥の深さにいまではすっかりと魅せられています。視野を広げることで、よりおもしろい世界が発見できるなら、それはそれで正解なのではないでしょうか。

それでは就職活動、頑張ってください!
皆さんが自分の歩む道を見つけられるようお祈りしています。

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