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宇宙技術開発株式会社 第一事業部 宇宙システム技術部 先端技術開発グノレ一プ 相模原所属 名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理専攻 宇宙物理学 (X線) 分野 出身

2014/10/29 掲載

「将来を見据えて、目的をもった学生生活を」

大学院時代の研究内容を教えてください

所属していた研究室では、次期X線天文衛星に搭載するX線望遠鏡の開発を行っており、 修士論文の研究としては完成したX線望遠鏡の地上での機器較正試験を実施し、その結果をまとめました。
このX線望遠鏡は、円周方向に3分割した1/3円錐形で厚みが200μmのアルミの基盤に、数Åの膜厚で反射膜を成膜した反射鏡が、 同心円状(バームクーヘンのような構造)に213層積まれたものが、2段に重ねられた構造をしています。
修士論文の内容としては、主に完成後のX線望遠鏡の機器較正試験の試験手順や試験結果をまとめましたが、 研究としてはその前段階の個々の反射鏡の測定から望遠鏡の組み上げにも参加しました。特に反射鏡は望遠鏡1台当たり1278枚も積層されるので、 これを1枚ずつ測定するのは非常に大変でした。結果的に全ての反射鏡の測定は時間的にできませんでしたが、できるだけ多くの反射鏡を測定するために、 研究室の他の院生や学部生と協力して、毎日のように測定を行っていました。
日々の実験の繰り返しからは、膨大なデータを解析するためのプログラミング技術や同じような解析結果から 一部の異常や欠陥を発見する観察力を得ることができたと思います。 これらの技術は、現在の業務でも大いに役立っており、今では非常に良い経験ができたので大学院に進学して良かったと常々感じております。

就職活動はどのようにされたかお教えください

業務風景 就職活動は、宇宙業界だけに絞って行いました。
ただ、宇宙業界に絞ってしまうとかなり数が限られてしまうので、宇宙に少しでも関連する企業も含めて、 企業研究を行いました。私の場合は、学部生の時に就職活動経験がありましたので、宇宙業界の情報は元々ありましたが、 大学院に入学して初めて就職活動を行う人は、できれば研究が比較的忙しくない早い時期から情報収集をしておくことをおすすめします。 特に、様々な業界が集まる就活イベントでもよいですが、宇宙に関連する企業だけが集まった就活イベントが毎年開催されており、 宇宙業界を目指す学生間のコミュニケーションの場としても最適だと思います。
採用面接は、個人的には学部生の時よりも大分楽でした。というのも、学部生の就職活動を行った時点ではまだ研究室に所属していなかったので、 アピールポイントがアルバイトやサークルなどのありきたりなエピソードしかありませんでしたが、院生になると実験や解析など研究活動で様々な経験が得られるので、 その分アピールポイントとして話せるエピソードが豊富で面接官の興味を引きやすかったからです。
私の経験から、就職活動について何かアドバイスするとしたら、「採用面接で自分をアピールするためにも、 積極的に実験・解析など研究活動を行い、様々な経験を得よう」だと思います。

現在はどのような業務を行っていますか?

業務風景 一言で言えば、科学衛星の運用支援を行っています。
現在担当している衛星は、「太陽観測衛星ひので(SOLAR-B)」、「X線天文衛星すざく(ASTRO-E2)」、「惑星分光観測衛星ひさき(SPRINT-A)」です。 各衛星で、担当業務の範囲は異なりますので最も業務範囲が広いSOLAR-Bの業務を紹介します。
SOLAR-Bの主な業務は、観測計画の作成、地上局アンテナのスケジューリング、パスの運用です。
観測計画の作成では、毎日開催されるSOLAR-Bの各観測機器の担当者が参加するDaily Meetingの進行を実施し、そこで決定した観測計画に基づき、観測のタイムラインを作成します。
地上局アンテナのスケジューリングでは、国内・海外局から使用する局を選定し、スケジュールを作成します。
地上局アンテナとは、衛星が観測したデータを地上へダウンロードするため(もしくは衛星へコマンド(指令)を送信するため)に使用するアンテナのことで、 国内だけでなく海外の機関が所有する地上局も使用しています。
SOLAR-Bの場合、一日に世界中で約50もの局を使用しているので、データの蓄積量を考慮してスケジューリングをしないとデータの欠損 (衛星に蓄積できるデータ量には、上限があるため蓄積し続けると古いデータが上書きされる)に繋がってしまう重要な業務です。
パスの運用では、地上局アンテナを使用して衛星と交信するパスの運用を実施し、 衛星の状態監視やコマンドの送信を行います。各パスの運用時間は、衛星の軌道高度によりますがSOLAR-Bの場合、 約10分間しかありません。限られた時間で、必要なコマンドを正確に送信するために常に緊張感を持って運用を実施しなければなりません。
以上のように、科学衛星の運用を多岐にわたり支えています。

業務のやりがいや、大変なことをお教えください

日常業務の風景 業務のやりがいとしてモチベーションになっているのは、宇宙開発に携わっているということです。
弊社の特徴の一つは、どの部署に配属されても必ず宇宙開発に関わる業務であるということです。 これは他の企業にはあまりない特徴で、宇宙開発に関わる仕事がしたいと思っていた私にとって、入社当初からとてもわくわくした気持ちでいっぱいでした。
特に現在業務を担当している科学衛星の運用支援では、リアルタイムの衛星の運用状況を知ることができ、また最新の研究とその成果を肌で感じることが出来る、 とても刺激的な環境で業務を行っています。ただ、刺激的な環境というのは、楽しいことばかりではなく自身にとっては重圧にもなります。 最先端の天文学研究を行う現場で業務を行っているので、周りの衛星運用に携わる方々のレベルが非常に高く、自己成長していかなければついていけなくなってしまいます。 そのため、業務内容以上の勉強も日々行っています。

大学院生へのメッセージをお願いします

社会人になると、3年・5年後の自分がどうなっているかを意識して業務に励むようによくアドバイスを受けます。
要するに自身のキャリアプランを考えることで、今の業務にどのような姿勢で取り組めばよいかを考えるということですが、 これは社会人だけでなく学生も同じことが言えると思います。
学生も、目の前の研究活動ももちろん大事ですが、数年先の自分が何をしているかを常に意識して学生生活を送ってほしいと思います。 例えば、修士の学生だと博士課程に進学しているのか、もしくは一般企業に就職しているのか、もし就職しているならどんな業界で働いているのかなど、 数年後の自分が何をしているかを一度想像してみてください。
就職活動の時期になったら考えようと、後回しにしていると必ず周りに遅れをとります。 研究活動も、ただ黙々と実験をこなすだけではよい成果は得られません。 学生生活も同じで、黙々と研究活動や部活動、アルバイトをこなすのではなく、将来を見据えて目的をもって行動することで、 今後の学生生活に対してどのような姿勢で取り組むべきかが見えてくると思います。

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