猫の手よりもアウトソーシング #ポスドク総研

ポスドク総研
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(本記事は2021年7月6日に更新されました)

いよいよ2021年後半に突入しましたね。大学教職員の方々にとっては、期末が近づいてきました。通常にも増して忙殺され、授業準備に採点に学務に雑務に明け暮れる毎日…せっかく科研費を獲得したのに、研究が思うように進まず、猫の手も借りたくなっている方もいるのではないでしょうか?

 

そんな中で考えていただきたいのが、アウトソーシングです。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

アウトソーシングとは

横文字にするとかっこよく聞こえるかもしれませんが、簡単にいうと業務の一部を外部委託または外部発注することであり、特段に新しい概念というわけでもありません。近年では、情報学分野をはじめとする産業界においてアウトソーシングは活発になってきており、またその対象が業務単体委託から部門委託まで拡大するといった変化もあり、アウトソーシングという概念が改めて脚光を浴びることになりました。

一方、研究界隈では、例えば生物学の研究者がDNAシークエンス・サービスを外部の会社に委託するといったアウトソーシングは日常的に行われてきました。他にはリサーチ・アシスタントや研究補佐者を雇用し、一部の業務を分担してもらう形式が取られることも多くなっています。

 

何のためのアウトソーシングか

 

上のDNAシークエンス・サービスの例のように、自分の研究室にだけ調達するにはコストがかかりすぎるような、高価な機材が必要な分析をアウトソーシングすることは、よく見られるアウトソーシングの形です。この場合、アウトソーシングは設備投資などのコストをコントロールすることにつながります。

一方、リサーチ・アシスタント雇用のような場合は、金銭的コストを支払うことで比較的に単純な作業をやってもらい、研究者自身の時間と体力を買うタイプのアウトソーシングになります。限られた研究時間の中、いかに時間を効率よく利用し、研究の着想・論文の執筆・科研費申請書の作成といった他者に代え難い仕事内容に時間リソースを投入できるかが重要になってきます。そのため、時間と体力の節約に繋がるアウトソーシングは積極的に行われるべきだと、筆者は考えています。

 

例えばオンライン実験を行いたいと考えている研究者がいるとします。自分で勉強すれば2週間程度で会得することができるかもしれませんが、日常業務をこなしながらその時間を取るのはとても大変になります。それよりも、プログラム言語に長けている人に数万円で外注して、自分は科研申請書や論文執筆に打ち込む方が、より生産的かもしれません。

 

プログラミングはまだ「大きな仕事」の部類に入ります。研究者の日常には他の細々とした仕事も満ち溢れています。例えば文章の校正・参考文献資料の収集と選別・データの初歩的な整理などがあります。

 

「こんなことくらいは自分でできる」と思う人もいるかもしれませんが、できるかどうかの問題ではなく、そこに時間と体力を取られることが「割に合うかどうか」の問題です。研究費が全く足りていない若手研究者なら体力勝負に出ざるを得ないこともあると思いますが、多少の研究費の余裕があるときには「金で解決できる問題は全て無問題」(中国の流行語)に従い、「お金で解決できない問題」に集中するのも一つの選択肢になります。

 

ただし、多少の経費上の余裕はあっても、ポスドクや長期で研究補佐者を雇うほどの財源がない場合も多々あります。その際には、単発または短期間のアウトソーシングの依頼を出すことになりますが、その対象となるのは学生やフリーランスの方になります。

 

「面倒くささ」に打ち勝つ

 

筆者の観察に偏りがあるかもしれませんが、日本の研究者は欧米の研究者ほどアウトソーシングに積極的ではないように見えます。それには研究費の潤沢さの違いや「研究とは何か」に関する哲学の違いなど、さまざまな理由があると考えられますが、大半は「面倒くさい」の一言にまとめられてしまいます。

以下ではその「面倒くささ」に何が含まれるか、そしてどういった対策が可能であるかについて述べます。

 

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人を探すのが面倒くさい

 アウトソーシングをしない理由について、「誰にお願いできるかわからない」「一から教えるのが大変すぎて自分でやった方が速い」などの意見はよく耳にします。つまり、取引コストが高いのです。研究という専門性が高く、個々の仕事の要求内容も千差万別である領域では、なおさら適任者を探すのが大変になります。

 

学生や知り合いの研究者をたどるなど、人間関係ネットワークを通して候補者を見つけるのは一つの手段です。また、必要なスキルを明確にした上で、必要な仕事内容を明文化(マニュアル化)することも、適切な人を見つけたり、その後のコミュニケーションをスムーズにしたりすることにつながります。

 

事務手続きが面倒くさい

大学に限らず、日本における諸般の事務手続きは理不尽なほど面倒くさく、時としては研究進行の大きな妨げになり得ます。特に昨今では科研費の不正使用に対する警戒心が強いです。

 

一方で、「細々とした仕事」とアウトソーシングする際には、取引相手が企業などではなく、個人となることが多く、より一層事務手続きが大変です。特に単発なアウトソーシングでは、下手すると手続きの方が時間がかかってしまうという事態にもなり得ます。

 

そのため、アウトソーシングするための適切な候補者を見つけたとしても、事務手続きで挫折するといった、大変もったいない状況になってしまうこともしばしば見られます。

 

クラウドソーシングが助けになるかもしれない

 

以上の状況に対して、人的資本の活用に変革をもたらしたクラウドソーシングサービスが一つの助けになるかもしれません。

クラウドソーシングサービスは、仕事の受注者と発注者を繋げるオンラインプラットフォームであり、オンライン上で仕事が完結する働き方を可能とするものです。日本で代表的なサービスとして、ランサーズやクラウドワークスなどが挙げられます。これらのプラットフォーム上では、発注者は細分化された仕事を提示し受注者の募集を行い、受注者(フリーランサー)は自分のスキルなどに合わせて仕事を選び受注することができます。

 

受注者登録をした人が持つスキルはさまざまですが、IT・プログラミング関連やデザイン関連のスペシャリストは多数登録されています。また、母集団が大きいため、多少マニアックなスキルでも意外と応募者を見つけることができますので、アウトソーシング先に困ることがあったら、一つの選択肢として考慮する価値はあります。

 

クラウドソーシングサービスのもう一つの利点は、プラットフォームが仲介することによって、「ちゃんとした書類」が提供されることです。つまり、発注・支払い・納品のプロセスが全てプラットフォーム上で完結され、見積書・納品書・領収書が自動に発行されるという利点があります。

 

契約双方はあくまでも受注者個人と発注者になりますが、個別に仕事を依頼するよりはきちんとしたプロセスになると思われます。もちろん、機関の経費使用に適しているかどうかは、各自で問い合わせていただくしかありませんが、ゼロから業務委託手続きを進めるよりは面倒くささが減るかもしれません。このシステムを活用し、人間関係ネットワークを通してスキルなどを把握している相手を指定して発注することによって、事務手続きの簡略化を図ることも、可能かもしれません。

 

もちろんクラウドソーシングサービスにもさまざまな問題があります。例えばオンラインで全てが完結されるため、受注者と発注者が十分コミュニケーションを取れない点や、互いの信頼関係を築きにくい点が問題視されています。また、不特定多数の人向けに募集をかけ、その応募者をスクリーニングすること自体も時間を要します。いかに短所を回避し利点を発揮するかは、各発注者の腕の見せどころかもしれません。いずれにしても、選択肢が増えることは悪いことではないと思います。

 

フリーランスという自由

 

アウトソーシングは発注者にとって有利であるだけではなく、受注者にとっても良いことにつながる可能性があります。アウトソーシングされる仕事は時間・内容が定められているタスク型が多いため、継続雇用よりもフリーランスや「単発バイト」に近い形になりやすいです。

 

これを主たる収入源とする場合には不安定で好ましく思われないことも多いですが、逆に、学生や副業を行える人、産後・育児期などのライフステージの過渡期にいる人にとっては、都合の良い選択肢になる場合もあります。特に専門スキルを持ちながらさまざまな原因で研究職についていない人や、十分な収入を得ていない人にとっては、専門スキルを発揮することができ、柔軟で自由な仕事スタイルで働くことができ、かつ副収入を得ることにもつながります。この場合、アウトソーシングする側と受注する側がWin-Winの関係に達することができます。

 

皆さんに、良い「猫の手」が見つかりますように。

 

[文責・LY / 博士(文学)]

 

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