ある非常勤講師の授業オンライン化にまつわる試行錯誤 その4

博士の日常
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オンラインにおける「顔出し」について考える

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって始まった大学授業のオンライン化も3年目。オンライン授業がメインのまま在学期間を終える学生も増えてきたことになります。

 多くの大学では、ゼミや実験科目など、少人数のクラスは対面での授業を再開していますが、大人数の講義はオンラインでの展開が続いているようです。数百人規模のクラスを担当している非常勤講師としては、来年度からはそろそろ全面再開となるか…大学毎の今後の方針が気になっているところです。

 オンライン授業に使われるシステムやデバイスは、この3年の間にどんどん進化しており、オンライン化がはじまった2020年度当初と比較すると、短期間でだいぶ利便性が増しました。

 便利になっていくのは嬉しいことですが、更新される機能に対応した授業展開がどこまで可能か、学生と教員の試行錯誤は続きます。

オンライン授業に対する価値観の変化

 突然オンライン化が始まった2020年度と比較すると、オンライン授業に対する学生の反応は、だいぶポジティブなものに変わってきた印象があります。

 以前は、大学生なのにキャンパスに立ち入ることも許されないという状況に、フラストレーションの高まりや、アイデンティティのゆらぎを感じている様子がみてとれたのですが、対面授業も再開されているなかでのオンライン授業という選択肢は、むしろ歓迎されている向きもあるようです。

 動画コンテンツの「倍速視聴」が社会現象として話題になっていますが、オンデマンド授業の場合、講義動画も倍速再生や早送りができるということで、都合に合わせた受講ができることはメリットと捉えられるようになってきました。

すべての授業がオンラインとなると不満も出てきますが、オフラインとオンラインの併用を想定し、バランスを考えながら履修科目を決めていくという受講スタイルがすでに確立されているようにも見えます。

今後、もしも完全に対面授業に戻していくとなると、それはそれで問題が出てくるかもしれません。

コロナ禍で変化する身だしなみのマナー

 大学の授業にかぎらず、リモート勤務の普及やマスク着用習慣の定着により、「身だしなみ」にまつわるマナーや価値観は変わってきています。

 外出の際には、顔の大部分がマスクで隠れますし、オンライン会議システムを使う場合もフィルター機能を使えばメイクは不要という場面も増えました。ここ数年で、化粧品購買行動には大きな変化があったという調査結果も出ているそうです。

<参考情報>
・新型コロナ禍に影響された化粧品出荷、2021年の状況は?(経済産業省:2022年1月)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220105hitokoto.html
・新型コロナで変化した化粧品業界の動向を調査 化粧品業界の調査レポートまとめ(マナミナ 2022年7月)
https://manamina.valuesccg.com/articles/1800

 一方で、オンライン会議の機会が増えたことにより、今まで以上に自分の顔と向き合う時間が長くなり、カメラ映りを気にし、歯列矯正やメンズメイクの需要に広がりが出ている等、美容に関心を持つ人が多くなってきたという指摘もあります。

 オンライン授業もオンライン学会も、最初こそはありあわせの機材でこなしていましたが、だんだんと本格的な機材を導入する人が増えてきました。わたしの周りでも、高音質の集音マイクやノイズカットヘッドフォンのほか、高画質カメラ、LED照明、撮影用の背景カーテン等、ビジュアルを重視したツールを導入した方を見かけます。

 わたし自身は、オンライン授業やオンライン学会発表の際、スライドの内容に気を取られて自身の映りについては正直、二の次にしてしまってきたきらいがあります。オンデマンド授業の場合は、そもそも自分の顔を映すことなく授業ビデオを作成した回もありました。

 外見至上主義(ルッキズム)への批判という世間の流れもあり、外見はさほど重要ではない、と考えていたところもあります。しかし改めて考えてみると「他者に対して外見による価値判断をしない」ということと、「自身の外見について気にしない」ということは、別の問題といえます。

また、「気にしない」という言葉の捉え方にもよるのですが、

自分の容姿の良し悪しについて「こだわったり、心配しない」

という姿勢は時に有効ですが、

自分の姿を見られること、もしくは見せるか否かという問題そのものについて「軽視したり、疎かにする」

というスタンスは、ちょっと違っていたのではないかな、と反省する部分もあります。

オンライン授業にも慣れ、目も肥えてきた(?)受講生と良好な関係をつくるためにも、ビジュアルにも工夫が必要だと最近は感じています。

講義動画に講師の顔出しは必要か

 オンライン授業の初年度は、データ容量の削減をかなり重視していました。予告なくオンライン化してしまったことにより、携帯電話の通信容量が足りずに速度制限がはいってしまう学生がいたり、大学のサーバーがダウンしてしまうという例も聞いていたためです。

 講義動画を作成する際は、紙芝居のようなシンプルなスライドに音声を入れる形にし、エフェクトやアニメーションを入れることも極力避けていました。なので、自身が映るカメラをあえてオンにするのは、最初と再度の挨拶の時だけで、基本はオフにしていました。

 しかし、今では学生は全員、オンライン授業を想定してインターネット回線を契約していますし、アップロード・ダウンロード時のファイルの圧縮など、互いにリテラシーも向上してきました。データ容量が少ないことよりも、学生が退屈しない動画、倍速再生や早送りをされても内容が印象に残る動画にする工夫のほうが重要になってきました。

 そのなかで、講師の「顔出し」というのもひとつの要素になるのかもしれないということに、最近考えが至りました。

マスク着用で互いの顔の一部が隠れてしまう対面に対し、マスクなしで表情が見せられるということは、逆にオンラインのアドバンテージにもなりえます。

 対面で会う機会が全くない関係を結ぶ中で、一方通行になりがちな授業の配信が、文章や声だけで行われるよりも、顔がわかる人物からの発信であるほうが、親近感をいだきやすく、結果的に授業へのコミットメントも上がるような気もするのです。

 特にわたしは担当授業がオンデマンド対応なこともあって、受講生のなかには生身の人間を相手にしているという感覚が薄れている人もいるのではないかな、と思うようなことがあります。

オンラインメッセージで、挨拶や署名なしで、自己都合による質問や一方的な要求を送ってくる学生や、こちらからの返信には全く無反応という学生がわずかながらいます。たまたまそういった主義の方がいたというだけのことかもしれませんし、システムの使い方に不慣れだった可能性もあります。必ずしも非対面であることが理由だとは限りませんが、こういった学生とのやり取りで講師の方が特定の学生に対して抱く印象についても、やはり面識の有無でかわってきます。

互いに直接会って話せれば、多少なりとも相手の性格や人間性を感じることができるものが、オンラインのみの授業展開では講師と受講生との間での関係を築くのが困難であることを改めて感じています。

聞き手としてのカメラオン、オフの使い分け

 リアルタイムでオンライン会議システムを使った授業をする場合、学生側のカメラもオンにして顔を出すことを求める先生方もいます。出欠や授業態度の確認の意味もありますが、講師側としても聴衆の顔が見えている方が話しやすいのです。

 オンラインのシンポジウムや研究大会などでも、発表者を独りにしないよう、発表を聞いている間、聴衆の代表として進行役やコーディネーターもカメラをオンにしたままにするという方針がとられることもあります。

 そう考えると、オンラインにおけるカメラのオン・オフの問題は、授業などで自身が話者となる時だけでなく、オンラインシンポジウムなどで聴者となるときにも意識するべき課題といえそうです。

[文責:子育てポスドク]

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