研究者のパートナー事情

博士の日常
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 生涯のパートナーがどこの誰になるか、それはどの人にとっても気になる話です。

 少し前に某SNS上で、「学会で研究者同士が出会って結婚するなどまやかしだ」というつぶやきがなされ、研究者界隈で盛り上がっていました。既婚者たちは「うちはまさに学会で出会ったよ」とつい反例を挙げてしまいますが、おそらく元の呟きをした方は、実際に学会で未来のパートナーに出会った例があるのかないのかを問いたいのではなかったのでしょう。

 研究者という道を進む上で、若手のうちは不安定な雇用状況に伴う収入と住居地の不確実な状況に向き合わないといけません。その不確実性は、自ずと人生計画のうち最重要な部分の一つである「パートナー選択」にも影響してきます。自分はこの先どこに出会いを求めるべきか、そもそもパートナーに出会うことができるかどうかについて、不安を抱くのも無理がありません。

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統計データを例に見る研究者の結婚事情

 2020年に行われた日本学術会議第一部総合ジェンダー分科会の「人文社会科学領域における男女共同参画推進のための諸検討に関する記録」の付録5では、「研究者たちの家族事情にみるジェンダー構造」では、人文社会系の男女研究者合計2960名の婚姻・家庭構成についての調査結果が示されています。自然科学系の研究者は対象外という点についてはご留意ください。

参考リンク:https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/

 こちらで示されているデータの中では、研究者は男女ともにやや晩婚の傾向がありながらも、40代前半ではいずれも69%前後が結婚しています(図5-2 年齢階級別・男女別にみた婚姻状態)。ただし、それ以降の年齢層では、男性の既婚率が上昇し、逆に女性の既婚率がやや下落するという傾向がみられています。データは現時点の研究者の年齢層を反映していることを踏まえれば、40代およびそれ以下のデータがより今の時代の若手〜中堅研究者の現状を反映している、というふうに理解してよいと思います。

 少し楽観的な解釈をすると、人文社会系では、少なくとも2/3くらいの方は若手〜中堅の段階でパートナーを見つけることができるということです。確率で言えば小さくはないですので、希望を持ち続けてもよいでしょう。

 一方、結婚する相手の職業に関しては、男性研究者と女性研究者の間で大きな違いがありました(図 5-5 男女別にみた配偶者職業)。いずれにおいても研究職と民間企業・官公庁で仕事しているパートナーを持つ人の割合は多いですが、男性研究者では専業主婦の妻を持つ方が1/3以上いることに対して、女性研究者は共働き夫婦が多く、その中でも研究職の相手の割合は男性研究者に比べると多い傾向があります。

 こちらのデータでは、出会った時点での相手の職種を調査しているわけではありませんので、男性研究者と結婚して専業主婦になった方のなかで、どれほど元研究者がいるかについてはわかりません。

 全体的な傾向を考えると、同業者同士の出会いは、研究者にとってパートナーを見つけるチャンスにつながると思われます。特に女性研究者にとっては、自分のキャリアと研究に理解を持つ可能性の大きい研究者は、パートナーとして大きなポテンシャルを持っているかもしれません。

筆者が観察した周囲の実例

 統計データで全体像を把握しましたが、やっぱり「実際のところみんなどうしているか」について知りたいところですよね。筆者自身や、周囲の研究者を観察したパートナーとの出会いの事例を、いくつか挙げてみたいと思います。

研究者同士・研究関連カップルの場合

筆者が観察している中では、研究者同士のカップルは珍しくありません。その中でも、同じ分野や近隣分野から結成されたカップルの方が多くみられます。これには、いくつかのパターンがみられます。

同じ研究室/大学出身

 そもそも同じ研究室出身でカップルになるのは、よく見られるパターンです。院生時代から互いをよく知っていることや、互いに接する機会が圧倒的に多いことは、大きなアドバンテージになり得ます。だが一方では、互いを知りすぎて恋愛感情が湧かないことや、互いのソーシャルネットワークが重なりすぎたせいで周囲の目が邪魔になることや、長く時間を共にした末に逆にすれ違いが生じてしまうこともあり得ます。一長一短としか言いようがありません。

 筆者がお世話になった先生や、仲の良い先輩の中に、このパターンのカップルが見られています。それらの方を観察している限りでは、他者の目を気にしすぎず、イキイキと関係性を楽しめる人や、互いの研究者としての価値を高め合うことに喜びを感じる人なら、このパターンは合っているように思えます。

学会で出会う同業者

 ありそうでない、というのがこのパターンです。筆者自身がこのパターンに当てはまりますが、知り合いの中で他にこのパターンに当てはまる方は、あまり多くありません。その理由を考えてみると、おそらく学会という場はプロフェッショナルな交流を行う場では、出会いや恋愛を求めるモードになれない、もしくはなってはいけないと思っている、という可能性はあります。実際、真面目に発表しているところで「下心」を持って近寄られると、大変失礼に感じてしまう人も少なくないでしょう。

 そのため、学会は大学という垣根を超えてさまざまな人に出会う絶好なチャンスではありますが、プロフェッショナルな側面から他者と接すべき時間を弁えるのは、忘れてはいけません。一研究者、一人間として相手を評価し、「研究友達」を作るきっかけとして学会を活用するのは、正しい使い方になるでしょう。

 それでは、学会は出会いの場として全く役に立たないのではないか、と言いたくなる方もいるかもしれません。しかし学会は真面目な学術発表の時間のほかにも、懇親会や休憩タイムなどの楽しく交流する時間もあります。固い研究の話だけではなく、研究生活の細かい情報の交換や、趣味の話を語り合うチャンスもたくさんあります。また、若手だけを集めた交流会などといった、より年齢の近い人と気軽に交流できる場が用意されている場合もあり、他の人とグッと距離を縮めるチャンスも潜んでいます。

広い意味での研究繋がり

 もう少し広い意味での「研究繋がり」のパターンとして、研究者と大学職員がカップルになることや、全く分野が違う研究者とたまたま意気投合することもあります。特に前者に関しては珍しいものではなく、事務職と教員、事務職と院生の組み合わせは、筆者はいずれも実際に見聞きしています。この場合、互いの仕事内容に対する理解があるため、生活中のミスコミュニケーションは起きにくいように見えます。

 また、後者に関して筆者が知っている例としては、共通の趣味をきっかけに知り合った研究者カップルがあります。そのカップルは、お互い全く異なる研究を行っていらっしゃいますが、研究者としての思考パターンが共通しているため、コミュニケーションが非常にうまくいっています。そして、相手の研究内容は自分には全くわからないため、知的刺激をもたらし、相手の魅力の向上にも繋がっているようにみえます。

他の組み合わせの場合

専門職や芸術家

 意外に多いのは、研究者と他の専門職がカップルとなるパターンです。たとえば、筆者が知る範囲だけでも複数の研究者が芸術家をパートナーに持っています。特定のテーマに情熱を注ぐことができる人同士では、より分かり合えるのかもしれません。

ド定番:同級生・サークル(趣味グループ)

 研究者に限らず、世の中のカップルの出会いパターンの中でも上位に入ると思われるのが「過去の同級生や、サークルでの出会い」でしょう。学部生時代の同級生はよく見られるのですが、高校生またはそれ以前の繋がりで再会し、結婚に至った例もあります。

 サークルに関しては、学部時代のサークルで知り合った人同士のカップルは多いですが、そのほかにも院生時代またはポスドク時代で加入したサークルで同じ大学の人と知り合った場合や、学外の趣味グループに加入したことで良い出会いにつながった例もあります。

意外に成功している婚活

 研究者で婚活パーティに参加したりして、真剣に婚活を行うことは、なぜかあまり想像されないようです。しかし実際のところ、それによって幸せな結婚生活にたどり着いた人は珍しくありません。いまでは婚活にもさまざまなスタイルがありますので、ご自分が受け入れやすいものを探して、積極的にトライするのは悪くない選択肢かもしれません。任期付きポストの場合は、将来の見通しが不安定であることが婚活にとってマイナスポイントになる可能性があります。しかし、意外にうまくマッチングする場合もありますので、希望を持ち続けることは重要です。

 これらの他にも、たくさんの出会いのパターンがありますが、ここで全部羅列することは控えます。若手研究者にとって、将来の仕事の見通しが立たないことによって、他の人生計画も影響されがちですが、上記のように多様なチャンスが存在していることを忘れないでいただきたいと思います。特に最近はフルリモートワークが可能である仕事も増えましたので、転職しても相手が一緒に行動してくれる可能性も若干増えました。皆さんが、最高の人生のパートナーと出会えることを願っています。

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[文責・LY / 博士(文学)]

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