海外でポスドクをしよう―滞在編(1)

博士の日常
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皆様あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は海外でポスドクの職を得て、実際に現地に出向くまでのことについて書きました。今月からは、現地での研究や生活についての経験をシェアしたいと思います。なお、以前にも申し上げたように、筆者はオーストラリアで海外ポスドク生活を送りましたため、オーストラリアの生活と研究環境に基づく経験をシェアすることになります。その点はご承知おきください。

初回では、現地で新生活を始める際に、生活環境を整えることや職場との契約の話をしましょう。

新しい土地で生活を始める際には、まずは公的手続き、住所、銀行、携帯電話の手続きを済ませないといけません。

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公的手続きには何が必要かを理解しよう

公的手続きは通常はビザ関連と戸籍関連のものがあります。到着直後の手続きは戸籍関連のものが多いです。オーストラリアの場合は、日本のように外国人登録制度(戸籍手続きに該当する)があるわけではありませんので、到着直後に市役所などの行政機関で行う手続きはありません。他の国に行かれるかたは、必ず出発前に現地の規定の下調べを行っておいてください。

ビザに関しては、到着直後よりも、期限到来の際に手続きが必要な場合が多いです。たとえば滞在期間は3年の予定でも、ビザは1年更新のものしかもらえない可能性もあります。その際にはビザの期限が切れる前に手続きを行わないといけません。この点は非常に重要で、うっかり期限をすぎると国外追放などの事態に陥ることすらあります(筆者の先輩の実話です)。この点に関しては、自分のビザの内容、期限、更新に必要な書類と時間などを入念に調べ、理解しておく必要あります。

住所、銀行、携帯電話の3点に関しては、まずは携帯電話の番号を獲得して、次に他の2つに取り掛かった方がスムーズです。

まずプリペイド式の携帯電話番号を入手する

現代社会では携帯電話無しにはなにもできません。さまざまな契約や登録手続きには必ず携帯番号が必要になります。また、現地での情報をネットで調べたり、職場の人と連絡を取ったりするためにも携帯電話は欠かせません。そのため、短期的に使用する目的でも結構ですので、まずは携帯電話番号を入手しましょう。その際にはプリペイド式の携帯電話用SIMカードをおすすめします。プリペイド式のSIMは入手が簡単であり、支払い用の口座などを必要としません。

オーストラリアではプリペイド式の携帯電話SIMカードの取り扱いも多く、空港・街角やコンビニでもすぐに入手できます。毎月定額の料金で国内の電話かけ放題と一定量の通信が可能であり、支払いは口座払い・クレジットカード払いの他、チャージ用のカードを買う形式でも可能です。他の国でも同様のケースは多く、少なくとも旅行者向けのプリペイド携帯SIMカードを空港で入手できます。場合によっては、日本から出発する前に購入できる場合もあります。

携帯用SIMカードを購入する際には、いくつかの点をチェックする必要があります。

まずはもちろん料金やネット通信の容量です。

次に、そのカードが通信専用なのか、それとも通話・SMSの使用が可能なのかを必ず確認し、後者を購入するようにしてください。なぜなら、さまざまな登録手続きを行うと、SMSや電話による二段階認証や手続きが必要である場合も多いからです。

最後にSIMカードに使用期限や他の制限があるかどうかも必ず確認してください。特に空港などで入手できる旅行者向けSIMカードでは、通信専用だったり、一定の期限までしか利用できなかったりするケースが多く、注意が必要です。

職場の住所を登録に使用できる、ただしあらかじめに確認を

携帯電話番号を入手したら、住所と銀行の問題を解決したいところですが、住所の問題は「どこに住むか」の問題と「どこを住所登録用の情報として使うか」に分けることができます。住居探しのアドバイスについては、以前の連載の最終回に書きましたので、ここでは割愛します。

ここでは、住居探しがまだ一段落していない段階で、銀行などの手続きを行わないといけない場合にどうするかについて話します。ポスドクとして現地に向かうみなさんにとっては、解決法は非常に簡単です。そう、職場の住所を使えば良いのです。

ただし、この住所には銀行のキャッシュカードなどの重要な郵便物が送られてくることを忘れないでください。職場で郵便物がどのように扱われているか、具体的にどのように住所を書けば確実に自分の手元に郵便物が届くかについて、あらかじめ職場に確認しておくと安心です。

また、プライベートな郵便物が職場に届くのは、安全性の問題も含めいろいろとトラブルの原因になります。住まい探しがひと段落したら、住所変更手続きをして、自宅に届くようにしましょう。

銀行口座と銀行システムの違いについて

電話番号と住所の問題が解決され、ようやく銀行手続きに入ります。手続きの際には、パスポートやビザの情報を忘れずに持参しましょう。また、近年では脱税防止の国間協力が進んでいるため、日本での税務情報を照合するためにマイナンバーを求められる可能性もあるそうです。その情報も手元に用意しておくと、求められた時に対応がスムーズかもしれません。

口座をどの銀行で作るかに関しては、国や地域それぞれの事情はあると思いますが、最初はなるべく全国で展開されている大きな銀行で、職場や生活圏の近くにATMや支店があるところが良いでしょう。例えばオーストラリアでは「big 4」と呼ばれる最大の4つの銀行のどれかで口座を作っておけば確実です。さらに、月々の口座維持費用などの細かい点では銀行ごとの特色があり、銀行のスマホアプリやネットバンクの使いやすさもまちまちですので、余裕がある場合はそれらの情報も比較してみましょう。

他には、現地の銀行システムは日本のシステムとは違うところもあるので、それを理解しておくと尚良いです。例えばオーストラリアの銀行は、どれもATM手数料を徴収せず、「通帳」というものが存在しません。毎月の取引明細は日本でのクレジットカード明細と似たような形で提供され、郵送もしくはオンラインで提供されます。また、多くの銀行では口座を維持するために毎月数ドルの「口座維持費」を徴収します。ただし毎月一定額の取引がある場合で免除されるケースもあります。

早めにクレジットカードを作るためには

 海外ではキャッシュレス決済が主流な国も多く、クレジットカードまたはデビットカードがないといろいろと不便です。銀行が発行するカードにデビット機能がつくものも多いと思いますが、念のため作る前に確認しましょう。

銀行自社ブランドのクレジットカードを口座と一緒に作れることもあるので、それも確認してみましょう。その際には、収入証明として過去何回分かの給与明細の提出を求められることもありますが、入国早々にそんなものがあるわけがありません。しかしポスドク職の契約書もしくはoffer letter(内定書に該当する)に給与レベルが明記されていれば、エビデンスの代わりとして受け入れられる可能性も高いので、積極的に担当者に聞いてみましょう。

銀行や政府機関などで英語または現地語での交流に不安がある場合は、先方にそのことを伝え、日本語がわかるスタッフもしくは通訳サービスによる対応が可能かどうかも確認してみると良いでしょう。移民が多い国ではそのような対応に慣れているところも多いです。

仕事の契約や福利厚生制度の違いに関して

現地に入り、雇用開始期間が近づけば、仕事の契約手続きを始めることができます。具体的な進め方は機関それぞれですが、筆者当時は人事担当の方からメールでいくつかのPDFファイルを送られ、契約書の中の指定箇所に電子サインを入れて返送しただけで、手続きが完了しました。

海外は日本に比べてペーパーレス化が非常に進んでおり、リモートで手続きを済ますことも多いという印象です。そのため、Adobe Acrobat ProなどのPDF編集ソフトが手元にあると便利かもしれません。

日本では仕事の契約を行うと同時に、医療保険や年金などの福利厚生制度の手続きも一緒に行われますが、海外ではそうとは限りません。オーストラリアでは年金は自分で手続きを行い、かつ積み立てた年金の運用の仕方を自分で決定することが求められます。また、医療保険に関しては、国民には一律の無料医療制度がある一方、外国人は各自で商業医療保険を契約しなければなりません。これらの制度上の違いに関して、戸惑うのも当然でしょう。各国の決まりや事情があるので、積極的に情報を集め、積極的に担当者に尋ねることが一番確実な道かもしれません。その際には、恥ずかしがらずに尋ね、謙虚に聞くことが重要でしょう。

筆者の印象では、日本の事務手続き担当者の多くは非常に丁寧に指示や説明を出してくれるのに対して、海外の事務担当の方はそこまで細かくフォローしてくれるとは限りません。例えば当時筆者が契約を行う際には、契約書の他にもたくさんの書類をもらいました。しかしそれらについて特別な説明があるわけではなく、その上書類に使用されるような英語にあまり慣れていなかったため、何が何だかさっぱりわからない状態でした。書類の内容や扱い方について一つずつ調べるために時間と精神力を大量に費やし、大変疲れてしまった記憶があります。できれば、恥ずかしがらずに、人事担当または周囲の同僚に対して質問を投げかけるようにしてみましょう。

次回は、海外の職場に対する第一印象などについて話したいと思います。またお会いしましょう。

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[文責・LY / 博士(文学)]

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