研究者はどんな生活をしているのか?

博士の日常

研究者、特に大学院生やポスドクは普段どのような生活をしているのでしょうか。忙しいのか、はたまた意外にゆったりとしたスケジュールで過ごしているのでしょうか?このコラムでは、私の大学院生時代(M1)~ポスドク時代を振り返って、どのようなスケジュールで日々を過ごしていたのか、ご紹介します。ちなみに、私は心理学分野の中でも、実験心理学と呼ばれる「ヒトを対象とした実験」を行いデータを収集する分野に属しています。日々の過ごし方は、分野によって大きく異なりますので(分野内でも異なりますが)、これが全てではないことはどうかご承知おきください。

大学院生(M1)の頃

大学院生なりたてほやほやのM1の頃は、様々な希望にあふれておりました。また、研究活動に専念できる嬉しさや、幅広い分野に興味があったことから、積極的に他の大学のゼミに参加したり、研究会に行ったりしておりました。平日はこのような感じのスケジュールでした。

【平日午前~夕方】

・授業:大学院にも数は少ないですが授業があります。統計の授業は途端にレベルが上がって四苦八苦していた記憶があります。また、学部との違いとして、集中講義として様々な先生が来てくれるのはとても嬉しかったです。

・実験の準備、実験の実施:実験心理学では、実験をしないとデータが取れず、データが取れないと何もできないので、多くの時間を実験準備と実験実施に費やします。実験の準備としては、実験の装置を取りそろえたり、実験プログラムを作ったり、募集掲示板にポスターを貼って実験参加者を募ることが挙げられます。運良く実験参加者が見つかった場合は、お出迎えして実験を実施し、気持ちよくおかえりいただくようにします。

・TA(ティーチングアシスタント):M1は全員実験実習のTAをやることになっており、週2回・2コマの実習の時間は学生が集まる教室でひかえておき、先生の代わりに実習の進行をサポートします。実験実習では毎週学生からレポートが提出されるため、これを1週間で添削し返却する、というアシスタントらしい仕事も課せられます。私も同じように学生時代は実習を受けてTAのお世話になったので、逆の立場になることで、TAの大変さと、育ててもらって今その立場に自分がいるという誇らしさを感じながらTAをやっていたことを思い出します。

・ゼミ:小さなゼミでしたが、今やっている研究のデータをみんなで見て解釈したり、関係する論文の紹介をしたり、雑談をしたりなど、ゆったりしたゼミでした(よそのゼミはピリピリした雰囲気であることも多いようでした)。

【夕方】

・論文コピー:18時を過ぎると学部生が皆帰って静かになるので、空いている図書室で論文を探して空いているコピー機をゆっくり使うようにしていました。最近は論文雑誌からコピーをとる、ということもめっきり無くなってしまいましたね。

・帰宅:特にすることがなければ晩ごはんまでに帰ります。

【休日】

・研究室に来て作業:土日も特にすることが無ければ、研究室に来て作業を進めます。学部生もおらず、院生も少ないので静かでとても捗ります。

・研究会・学会にいく:週末には研究会・学会が開催されることがあり、興味があるものの場合は出かけます。京都大学の言語学研究会に片道2時間半かけて参加していたこともありました。見るもの全てが新しくて、楽しかったです。

大学院時代は修士から博士に移った後も同じような過ごし方をしていました。

ポスドク(産総研)の頃

以下は博士取得後、テクニカルスタッフとして働いていたときのスケジュールです。

【午前】

・9時までに到着:9時から実験が始まるので、9時までに滑り込むように出勤します。つくば駅から自転車を飛ばすと10分くらいで産総研には着けます。

・実験:所属するラボでは午前・午後の2回、2時間半~3時間の実験を毎日行っており、その実験の実施を担当します。自分の実験と同じように、実験参加者のお出迎えから実験説明・実施・後片付けや次回の準備を手際よくこなします。

・お昼:1時間ほどお昼です。お昼を食べながら論文を読んだりスケジュールの確認をします。

【午後】

・実験:13時からこの日2回目の実験を実施します。午後は眠いので、実験参加者と共に睡魔に耐えます。

・データ回収・分析・明日の確認・掃除:実験が終わったら、様々な雑務を片付けます。データがきちんと取れているか確認したり、必要な書類を補充したり、ゴミ出しに行ったりします。時間が余ったり参加者の都合で実験が無くなった場合は、自分の実験の準備をしたり、学会発表の準備や書き物をして過ごします。17:45が定時ですので、戸締まりをして颯爽と帰ります。

このお仕事は週3で行っており、他の平日はまた別のところで仕事をしていました。実験に携わっていること自体は楽しかったのですが、自分の実験や作業の時間があまり取れず、悩ましい時期でした。ただ、考える時間は多かったので、この頃に同人誌を作るという活動を始めた記憶があります。

皆さんの想像する大学院生・ポスドク像と似ていたでしょうか、全く違ったでしょうか?
私はどちらかというとゆとりがあった方だと思います(ので、世間の大学院生・ポスドクたちは、もっと忙しい日々を過ごしているはずです)。自分で自発的に動かない以上は、特に何も起きないのが大学院生以降ですので、是非アクティブに動いてみることをおすすめします。

[文責・平田 佐智子(博士(学術))]

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