博士・ポスドク 仮面座談会 Vol.5

interview
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前回の続きとして、今回の4人のお話の最終回となる第五回は
「これから博士に進む君たちへ」をお届けします!

数学さん 数学系専攻 博士課程

医学さん 医学系専攻 博士課程

芸術さん 芸術学系専攻 博士課程

環境さん 環境系専攻 博士課程

博士へ進むことを考えている方へ

芸術さん:これは文系の人向けなんですが、博士にはすぐに進学しなくてもいいってことを伝えたいですね。文系は研究費を取ってくるというやり方じゃなくても、自分で何とかしようと思えばなんとでもなるところがある。たとえば学校の先生として教壇に立ちながら研究をするとか、そういうキャリアを経て研究者になった方も多くいるのだから、一度就職をしてあらためて考えてみるというのもいいと思います。

数学さん:「勉強が好きだから博士に進む」という考えは危険だからやめた方がいいと思います。研究では成果というアウトプットを求められるから、インプットである勉強とは本質的に違うんです。インプットが好きなだけだと、成果が出せない時に「自分はなんでこんなことをやっているんだろう?何の意味があるんだろう?」とか、様々なプレッシャーに押しつぶされて精神的にやられてしまうんじゃないかな。自分でメンタル管理ができて、モチベーションを保てる人じゃなければ博士には進むべきではないと思う。

芸術さん:結局、研究を続けていく上では、敵は誰でもなく自分自身なんですよね…。確かに博士での研究は自分をしっかり持っていなければ務まらないと思う。勉強ができるとか優秀であるというのはもちろん大事だけど、自分はこうありたいとか、こういうメッセージを伝えたいとか、そういうことをしっかりと持っていて欲しい。修士までは学びの場というのかな、先生が与えてくれる材料をもとに受け身でもやっていけるけど、博士は違う。自ら情報を取ってきて、研究の方向性を決め、発信をしていく場だという自覚を持って欲しい。

数学さん:もし、成果が出ないスランプに陥った時には、研究とは関係なくてもいいから、何かお手軽で成果が出しやすいことをやるといいと思う。それもあって、私は趣味の作曲をよくしていたんです。他にも体を鍛えるとか、ちょっとした幸せを感じる瞬間とかを作るのも大事ですね。

医学さん:私は、研究がうまくいかないことを人だとか環境のせいにして欲しくはないですね。私自身、修士の時に研究室の雰囲気や人間関係がよくなかったのですが、人間いろんな個性や価値観があるのだと思えるようになってちょっと楽になりました。ただでさえ研究の世界は狭いのだから、それを認められないとものすごく辛いと思います。自分の捉え方次第でプラスにもマイナスにも変わっていくんじゃないかな。

環境さん:確かにその通りなんだけど、研究のために我慢しろというのとはちょっと当てはまらない部分もあるよね。私の周りでは指導教員によるアカハラやセクハラなんかの話もあって、博士の研究成果を教授が持って行くとか、結構えげつないことが行われているし。

医学さん:あー、私も知り合いの女の子から、先生に体を触られたって話を聞きました。尊敬していたしジェントルマンだっただけにショックでしたね…それ以来、その先生を気持ち悪いと思うようになってしまいました。

環境さん:結局、教授も人間なんだよ。決して絶対的な存在なんかじゃない。研究は狭い世界だから教授の存在は確かに大きいけれど、そんなのはそこだけのものだから。もっといろんな世界を見て、おかしいことはおかしいと言えるようになって欲しいな。博士くらいになるとサイエンスが自立してくるから、アカハラでもセクハラでも、いざとなれば教授と戦ってもいいと思う。もし力でねじ伏せてくるようなら研究室を移ればいいのだし。

数学さん:博士だと周りを見ない人が多いけど、広い視野を持った方がいい。自分にはこれしかないという追い込み方をすると、ちょっと研究でつまづいた時に受け身が取れなくなっちゃうから。可能な限り研究以外のいろんな道を見た方がいいと思います。

環境さん:研究ってつくづくギャンブルみたいなものなんだなーと思う。私はたまたま修士で面白い発見をして、そのまま博士まで突き進んできたけれど、「当たるか当たらないかわからないギャンブルを一生続けるの?」ということも考える必要があるのかなとは思う。だから研究ではなく別の道を選択することも、決して逃げではないと思う。

芸術さん:そうそう、もし博士に進学してから就職しようとしても、それは決して無理なことではなく、世の中にはちゃんと自分自身を評価してくれる企業がたくさんあるということも伝えたいですね。私は30過ぎて学部生の子たちと混じって就活をし、研究とは無関係なところに就職することになりましたが、選考では自分自身の価値観や個性、意欲といったものを評価してもらえましたし。もちろんはじめからダメなところもありましたけどね…たとえば、提出した履歴書を見た瞬間に、面接官の目が明らかに変わるっていうんですかね、「あ、この人引いているなー」っていうのがわかることがありましたし(笑)もしやってみたいことがあるなら、そんなことにめげずに思いっきりチャレンジして欲しいですね。


大変興味深いお話の数々、ありがとうございました!
今回お話いただいた4名の方の座談会はここまでとなります。

今後もアカリクでは定期的に仮面座談会を実施いたしますので、ご興味のある方は是非ご参加をお願いします!!

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