研究できる「場」の多様性を知ろう!ライフサイエンス分野の博士が語るベンチャー企業の面白さ【前編】

インタビュー
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ご自身の専門分野を活かし研究を続けるためには、「アカデミック・ポスト」か「大手企業の研究職」しかない、なんて考えてはいませんか? 基礎研究(ライフサイエンス分野)のバックグラウンドを活かし、高校教員からバイオベンチャーへと転職され、研究員として活躍中の髙山和也様に「博士の視点から見たベンチャー企業の面白さ」についてお話を伺いました。

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髙山和也氏プロフィール:広島大学 博士(理学)。熊本信愛女学院高校 常勤講師を経て、Craif株式会社(当時、Icaria株式会社)に入社。現在はライフサイエンス分野での研究員とラボマネージャーを兼務している。

今回の取材にご協力いただいた、髙山様のご所属先であるCraif株式会社https://craif.com/)は「疾患を早期発見し、治療を最適化する」事をミッションに掲げており、尿中エクソソームをバイオマーカーとしたがんの早期発見事業、並びに患者層別化による創薬支援を主力事業とする企業です。

前編では髙山様のご来歴や現在のご所属先でのお仕事などについてお伺いしました。

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ライフサイエンスの基礎研究から教員に、 そしてベンチャー企業の研究員へ

髙山様のご経歴と現在のお仕事について教えてください。

広島大学で博士後期課程を修了し、博士(理学)を取得しました。博士課程在学中にも就職活動はしていましたが、学位取得が遅れたため、いったん実家の熊本に帰って学校教員をしました。その後転職活動をしてIcaria株式会社(現Craif株式会社)へ入社しまして、現在は研究員とラボマネージャーを兼務してます。

博士課程ではどのような研究をされていたのですか?

元々は理学研究科にいて、ずっと基礎中の基礎のような研究をしてきました。あまり注目されない遺伝子がどのような働きをしているか、などです。「発生生物学」というものが中心で、ゼブラフィッシュという魚を使って遺伝子の役割を調べていました。

アカリクのサービスを利用するに至った経緯をを教えてください

博士のとき、イベントに参加するために登録したのが最初です。学生時代から知っていましたが本格的に利用したのは学校教員から転職するときです。教員の仕事は時間的な拘束がきつかったので、転職活動に割ける時間はとても少ないです。そこで専門の研究分野などについてヒアリングをベースに企業を紹介していただけるとのことで、「アカリク転職エージェント」で面談を依頼しました。面談の時間も、こちらに融通をきかせて組んでいただいたことを覚えています。

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Craifはエクソソーム捕捉技術をプラットフォームにした事業を行う名古屋大学発ベンチャー

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貴社について企業理念や事業内容などを教えてください

Craifの企業理念は「人々が天寿を全うする社会の実現」で、エクソソーム捕捉技術をプラットフォームにした事業を行う名古屋大学発ベンチャーです。既存のがん診断は定期検診や早期発見が難しいという課題があり、当社では高精度で痛みの少ない手法を開発することで課題の解決に取り組んでいます。

エクソソームとは、核酸やタンパク質など体の中で重要な働きをする物質を運ぶ媒体で、特に中に含まれるmiRNA(マイクロRNA)は遺伝子の発現を調節しており、疾患と深く関連しているためバイオマーカーとして注目されています。Craifには酸化亜鉛のナノワイヤーを用いてエクソソームを抽出するコア技術がありまして、これによって尿からエクソソームを高効率に収集し、miRNAを分析することで非侵襲的にがんの早期発見を行うことができます。

エクソソーム抽出デバイス(イメージ)

エクソソーム抽出デバイス(イメージ)

以前は「Icaria」として事業を進めてきましたが、日本にとどまることなく世界に技術を届けていくために、企業名を2020年6月に変更いたしました。この「Craif」という社名は、日本を象徴する鶴(crane)と人生(life)を組み合わせたものです。

<関連プレスリリース>
■国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)における「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」に採択 ~尿検査による超高精度早期がん診断の開発を加速~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000041883.html

■尿検査によるがんの早期発見を目指すIcaria株式会社が、シリーズAの資金調達を実施。同時に、社名を「Craif株式会社(クライフ)」に変更。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000041883.html

髙山様の研究チームや現場の雰囲気をお伺いできますか

Craifの研究拠点は名古屋にありまして、研究開発部はライフサイエンスとデバイス、解析で部門が分かれています。研究員が5名、テクニシャンが6名という構成です。私以外の研究員のバックグラウンドですが、博士が4名、修士は1名となっていまして、アカデミアや企業からの転職がほとんどです。

企業というよりは研究室っぽい雰囲気は強いのですが、いわゆる研究室よりも会話のテーマが多様だと思います。テーマは話す相手によって変わってくるわけですが、それは皆それぞれが異なるものの専門家だからという背景があります。

デバイス部門の方とライフサイエンス部門では遺伝子やエクソソームに対しての視点が異なります。デバイスの人だと「どのような構造のデバイスを作れば捕捉や脱離ができるのか」、「捕捉の効率を上げるにはどうしたらよいのか」、「どういう素材が捕捉に適している物質なのか」といった話になるんです。

それがライフサイエンスの人だと同じものについて話していても「からだの中でどういう機能をもつ物質なのか」、「どういう仕組で分泌されている物質なのか」といった話になります。ライフサイエンス部門には他にもう一名いるのですが、私とは専門分野がまた異なっているので観点が違いますね。

現在のお仕事のやりがいについて教えてください 

やはり一番、やりがいを感じるのは研究ができていることです。大学院での研究は、いま担当している分野がライフサイエンスなので、もちろん経験や知識や実験スキルが十分にいかされています。

前職は化学と生物を教える高校の理科の教諭でしたので、バックグラウンドを活かした仕事ではありましたが、実験や研究活動をしたいという気持ちは常にありました。研究というのは、「誰も知らないことを自分の実験によって明らかにしていく」ということです。サービスや技術は出来上がっているものの、私自身の実験で改善の余地がまだまだありますので、そこにもやりがいを感じています。

でも実は研究以外のところにもやりがいを感じています。これはアカデミアに残っていたら、経験できなかったことです。ベンチャーに就職したことで研究以外のところでも他のスタッフとコミュニケーションをとって進めていく必要があり、それが自分の今の仕事のやりがいに繋がっています。

技術担当者に指示を出したり、またサービス展開の方針についてビジネスサイドの方と直接議論したり、アカデミアでは話すことができない方々と話し合いながら実験を組んでいくことができる。入社したてはそのようなことが初めてだったので、難しかったり悩んだりもしました。高校教諭としてのコミュニケーション経験が、自身の知識を皆さんと共有する技術として、現職でも活かされていると感じます。

今は自分のこれまでのバックグラウンドが確実に活かせていますし、他の方も様々な分野での専門家です。その中でしっかりと自身の見解を発言してサービスを作っていくということは、難しいながらもとても魅力を感じている点です。

後編に続く

(インタビューアー:株式会社アカリク 大山未方・吉野宏志)

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