研究室における”ウェット”と”ドライ”の概念とは。選ぶならどっち?

アカリクコラム
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理系の学生、特に研究室に所属するようになると、ウェットとドライという言葉を耳にする機会が増えるのではないでしょうか。

言葉から何となくイメージをすることはできますが、正確な意味をご存知でしょうか。

また、まだ研究室選びの段階の方はイメージを持つことすら難しいかもしれません。

そこで本記事では、研究におけるウェットとドライについて詳しく解説し、研究領域を理解する手助けになればと思います。

ウェット、またはドライ研究を進めることで将来どのような職業に就けるのかも紹介していくので、研究室選びに迷っている方もぜひ参考にして将来のことを考えるきっかけにしてみてください。

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ウェットとドライの違い

ウェットとドライという言葉は、一般的に聞きなれない言葉ではありますが、理系の世界、特にバイオインフォマティクスやシステムバイオロジーの分野ではよく使われる言葉です。

そもそもウェットとドライという言葉が使われ始めたのは、2000年以降に活発になったヒトゲノム計画により、バイオインフォマティクスという学問が新たに発足したことに始まります。

この分野の中で、実験をする部分をウェット、コンピューターだけの解析や実験をする部分をドライ、と呼ぶようになりました。

研究室自体を「ウェットラボ」「ドライラボ」と言ったり、自分がどちらの研究室に所属しているかで「ウェット系研究者」「ドライ系研究者」と自己紹介の際に使われる時もあります。

そのような際に、ウェットとドライの違いを認識していることは相手の研究を理解する上で非常に重要になってきますので、ここでしっかり理解していきましょう。

ウェット研究について

まずはウェット研究の方から詳しく紹介したいと思います。

ウェットという言葉は、水を使う研究を連想させます。

そのイメージの通り、ウェット研究とは実際にヒトが細胞や微生物などを扱って生物学的な実験を行う領域を表しています。

方法としては、世の中の生命現象からある仮説を立て、それを証明するために1つ1つ実験を行い全体像を明らかにしていくという流れをとるためとても時間がかかります。

それに加えて実験がない日にも動物や細胞のお世話をする手間や、生物にも好調・不調の波があるためそれによる困難も発生します。

また、ウェット研究は手作業で行われることも多いため、それが原因で再現性の低さや研究効率の低下も課題として挙げられます。

しかしながら、細胞や動物を用いて実際の生命現象を扱い、機序を明らかにする事ができるため、とても夢のある分野であると考えています。

ドライ研究について

一方でドライ研究では、水を使わずに机の上だけの操作で実験が済んでしまいます。

研究対象としてはフィールド調査やアンケート調査の結果を主に扱います。

ドライ研究の場合は、一般的に長期間の介入は困難であるため、例えば質問票を用いて食事や運動と、その時の健康を記録しておき、コンピューターを使用してこれらの影響を解析する、という研究方法となります。

細胞などの生きているモノを扱わないため、それらに実験を左右されるウェット研究と比べると比較的個人の時間に合わせて研究を行える事が特徴的だと言えます。

しかしながら、得られたデータの中で原因と結果の関係を明らかにできる一方で、その作用機序を明らかにすることは難しいという特徴もあります。

ウェット・ドライラボからの一般的な就職先

ここまではウェット研究、ドライ研究について詳しく紹介してきました。

それでは、このような研究を続けた学生や研究者の方は将来的にどの様な就職先に就く事ができるのでしょうか。

前提として、理系の学生は修士課程に進学することが多く、そこから博士課程に進む学生も一定数いる事が挙げられます。

修士課程まで修了する事ができれば、大学院における先端の研究活動や論文発表経験を通して得られる「複雑な情報をコンピューターを用いて処理し、自分の力で解析できる充分な能力」を様々な分野から高く評価されることが多くあります。

ウェット研究室の学生の特徴的な就職先としては、専門的な知識を活かした製薬系企業での研究職、医療関連会社、化学メーカー、食品メーカー、化粧品メーカーなど、生物に関わる分野の企業に就職できる機会が多くあります。

一方で、ドライ研究室の学生においては、情報処理技術や論理的思考力を特に評価されてIT企業やコンサルティング会社に就職する方も多くいます。

また、修士課程に進学しても個人の個性に合わせて総合職に就く場合もあります。

その際にも、銀行や保険会社において情報処理能力を評価され、システム周りの仕事を任せてもらえる機会も増えるようです。

この様にウェット研究、ドライ研究どちらを選ぶかで就職に有利な企業も変わってくるため、研究室を選ぶ際には自身の将来のことも考慮できると、より自分に合った研究室選択を行うことができるでしょう。

いま求められている人材とは?

上記では、ウェット研究、またはドライ研究を行うことでより就活に有利になる職業を紹介しました。

それでは一般的に、大部分が属しているバイオインフォマティクス領域ではどの様な人材が求められているのでしょうか。

佐藤ら(2014) によれば、2013年に行われたアンケート調査で、バイオインフォマティクス領域に関わっている企業や大学の260名の回答者から得られた結果では、92 %もの人がバイオインフォマティクス系人材が不足しているとの回答を選択をしています。

その中でも特に不足しているのは「自分でウェットの研究開発を行い、新しい情報技術、DB、アルゴリズムを開発できる」タイプの人材であり、次いで「自分で生物の問題を発見し、定式化し、必要に応じて新規のアルゴリズム、情報技術やDBを開発し、問題を解くことができる」、「研究者と協力してプログラムを作り、支援的な研究開発ができる」というタイプの人材が求められているということでした。

これらの結果から言えることは、現在ウェット系・ドライ系人材は確実に需要があり、中でもウェット・ドライの両方の知識を持っている研究者がとても重宝されるということです。

このことを頭の片隅におき、できるだけ両方の知識を身につけられるように今後の研究活動の中でも意識していきましょう。

参考:佐藤恵子・白木澤佳子・高木利久・藤 博幸(2014)「わが国におけるバイオインフォマティクス人材を取り巻く現状」情報管理  p. 782-789

まとめ

ここまでウェット研究、ドライ研究とそれが活かされる職業領域について詳しく紹介してきました。

本記事の要点としては以下の通りです。

・ウェット研究では生物実験を行い生命現象を明らかにする。

・ドライ研究はコンピューターを用いてデータを解析する。

・バイオ領域ではウェット系、及びドライ系人材が求められており、特に両者の知識を持っている研究者はとても重宝される。

現代においてはどちらか一方だけの実験では不十分であることも多く、実際の研究ではウェットの結果をドライで解析する、またはドライで得られた成果をウェットで活用する、という事が頻繁に行われています。

どちらか一方だけできれば良いということではなく、研究を効率よく進めるためには両者のことを理解しておく必要があります。

現在研究を行っている方や、特にこれから研究室選びを行う学生の方は、これらのことも意識して今後の研究活動を行い、自身の理想の将来像に少しでも近づいていきましょう。

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