工学部で就職と大学院進学、メリットが大きいのはどっち?人気の職種も紹介

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工学部の学部生の方は、就職と大学院進学のどちらを選ぶか迷うこともあるのではないでしょうか。また、就職する際に大学院に行っていないことでどのような職種に就けるかも気になると思います。就職を考えるのなら、文系就職が可能かどうかもあらかじめ調べておきたいところです。

そこで今回は、工学部の学部生向けに就職と進学それぞれのメリット・デメリットや人気の就職先などを紹介します。進路に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

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工学部の大学院進学率

文部科学省が2021年に実施した「学校基本調査」によれば、令和3年(2021年)3月に大学を卒業したのは計58.4万人で、その内6.3万人が進学しています。学部卒業生全体の進学率は11%ということになります。
一方、卒業した工学部生は8.7万人でその内進学したのは3.2万人です。進学率に直すと37%であり、工学部の進学率が高いことがわかります。中でも応用化学関係、金属工学関係、繊維工学関係、船舶工学関係学科では進学率が50%を超えており、繊維工学関係学科の進学率は63%に上ります。

このように、工学部の大学院進学率は大学の卒業者全体と比較してかなり高いことがわかります。

参照:文部科学省 「学校基本調査

就職と大学院進学、どちらが有利?

工学部の学生が進路を考える際にまず決めておきたいのは、就職と大学院進学のどちらを選ぶかということです。就職の場合ビジネススキルを早期に身につけることができて、経済面でも安定しているでしょう。一方で大学院進学すれば研究分野を深められて、高い学歴が得られることがメリットです。

それぞれのメリット・デメリットを詳しく紹介するので、参考にしていただきながら自身がどちらに合っているか検討してみてください。

大学院に進学するメリット

大学院に進学するメリットは研究を深められることや、研究職に就きやすくなることがあげられます。それぞれのメリットを詳しく見てみましょう。

・研究を深められる

大学院に進学すると、学部で専攻していた分野をより深いところまで学べるようになります。自身でテーマを考えて一つの研究に時間をかけられるので、専門分野を突き詰めるのが好きな人は大学院進学に向いているでしょう。

・研究職の就職に有利

大学院に進むと、その後の就活の際に研究職のポストに就きやすくなります。学部卒より大学院修了者の方が高いスキルを持っていて、専門性が評価されやすいためです。将来的に研究職に就きたいと考えているなら、大学院に進学するのも一つの手でしょう。

・学部卒に比べると就職後の待遇がいい

学部卒で社会人になる場合と大学院修了後の場合では、企業における待遇が違います。一般的には院修了者の基本給の方が学部卒よりは高いので、就職後の待遇が良くなると考えられます。

大学院に進学するデメリット

一方で大学院に進学すると経済的負担が増える、社会人としての経験が積めないといったデメリットもあります。それぞれの項目を詳しく解説します。

・経済的負担がかかる

大学院に通うとどうしても学費がかかるため、就職と比べると経済的負担が大きくなります。奨学金などをもらえればそこまで大きな負担にはならないかもしれませんが、とくに私立の大学院では金額も高額になるため、進学するなら資金があることが前提です。

・社会人としての経験が積めない

2つ目のデメリットは、学部卒に比べて社会人経験が乏しいことです。大学院を修了したあとは20代中盤くらいの年齢になる人が多いでしょうから、他の学部卒の社会人と比べられてしまうこともあるかもしれません。

・就職先の選択肢が狭まる

大学院に進学するということは、特定の分野の専門性を高めるということです。それは同時に、就職先の選択肢を狭めることにもなります。大抵の場合は開発職や研究職など、専門職に就くことになるでしょう。まったく新しい分野には行きにくくなるのが、大学院進学のデメリットです。

学部卒で就職するメリット

学部卒で就職する場合は、収入が得られることや社会人としてのスキルを身につけられることが主なメリットになります。各項目をそれぞれ見てみましょう。

・収入を得られる

学部卒で就職すれば、大学院に進むよりも経済面では余裕が生まれます。大学院で学ぶと金銭面に親に頼る必要が出てきますが、就職する場合は自分で生活費を賄えばいいので、経済的にも自立できるでしょう。

・社会人経験が積める

もう1つのメリットは社会人経験が積めることです。新人として企業に入社した際には、人事担当や先輩社員がビジネスマナーなどを教えてくれることがほとんどです。そのためビジネスマナーや仕事をするうえで必要なスキルを早々に身につけられて、その後のキャリアアップにも役に立ちます。

・大学院進学への道も残されている

学部卒で就職するとしても、上手くいかない場合は大学院進学という道も残されています。とりあえず学部卒で専門分野に関わる企業に就職して、知識を付けたら再度大学院に進むことも可能です。

学部卒で就職するデメリット

学部卒で就職すると研究職に就きづらいこと、大学院修了者より専門性が低いことなどが不利な点になります。学部卒で就職するデメリットを解説します。

・研究職に就きづらい

研究職に就きたいと思っていても、学部卒では難しいと言わざるを得ません。研究職には高度なスキルが求められるので、そもそも大学院修了を応募条件に設けている企業もあります。研究職にこだわるのなら、大学院進学を検討しましょう。

・大学院修了者に比べると専門性が低い

学部卒のほうが一般的に専門性が低いので、技術職などの就活も不利になる可能性があります。大学院生も応募しているポストでは、学部生だと落とされてしまうかもしれません。

・大学院修了者よりも給料が安い

学部卒よりも大学院修了者の基本給は高く設定される傾向にあるので、給与面では不満に感じてしまうことも考えられます。金額としては月数万円程度の違いですが、長い目で見ると大きな金額の差がつくでしょう。

工学系出身者に人気の業界

ここでは工学系出身者に人気の業界をご紹介します。

建設

主に建造物を作る企業です。

建設業界は下請け構造になっており、ゼネラルコントラクター(ゼネコン)と呼ばれる企業がプロジェクトを統括し、サブゼネコンや工務店が施工を行います。

また、マリンコントラクター(マリコン)と呼ばれる港湾や海底トンネル工事などを専門に扱う建設会社も存在します。

この業界の企業としては、鹿島建設、清水建設、竹中工務店、鴻池組、フジタなどが有名です。

食品・医薬品メーカー

缶詰や調味料、パンや油脂などといった食料品や医薬品、試薬を製造する企業です。ここ数年の感染症の流行で注目を集めた業界です。
この業界の企業としては武田薬品工業、アステラス製薬、日本新薬、ゼリア新薬工業などが挙げられます。

化学メーカー

主に石油を原料として様々な素材を生産する企業です。

化学製品は身近なところで活躍しており、化学メーカーといっても最終製品は多岐に渡ります。

プラスチック、ゴム、ビニールなど石油化学製品のメーカーや石けんや洗剤、ろうそくメーカー、さらには化粧品や医薬品、試薬の製造メーカーが含まれます。

旭化成、大鵬薬品、花王などが有名です。

電機・電子・精密機器・OAメーカー

家電製品や空調、配線器具や変圧器のメーカーです。
近年では中国や韓国など海外メーカーとの競争も激しくなっていますが、日本の技術力が高く評価されてきた業界です。
このページをご覧のデバイスを作っているのもこの業界です。

有名企業としては、シャープや富士通、パイオニア、富士電機などが挙げられます。

自動車・輸送機器メーカー

自動車やバイク、鉄道車両、船舶や航空機の製造業界です。

車やバイクが好きで志望する人も多いようです。

本田技研工業(ホンダ)やトヨタ自動車、川崎重工業、三菱重工業などが有名です。

電気・ガス・エネルギー

電気やガスなどのエネルギーを作ったり販売を行う企業です。
エネルギーそのものは目に見えないので意識することは少ないかもしれませんが、身近な企業です。2016年に電力、2017年には都市ガスの小売りが自由化され、環境が大きく変化している業界です。

業界の企業として、大阪ガスや東京電力、昭和シェル石油、国際石油開発帝石などが挙げられます。

ゴム・セラミック・紙

ゴム・セラミック製品や紙製品のメーカーです。

ゴムやガラスは自動車として使われる割合が多く、環境規制や電気自動車の登場などにより転換期を迎えているといえるでしょう。
セラミックスはパソコンやスマートフォンに使われている半導体にも使われています。

この業界の企業としては、日本板硝子、日本特殊陶業、太平洋セメント、京セラなどが挙げられます。

鉄鋼、非鉄金属

製鉄・製鋼や鋼材メーカーや銅・亜鉛・アルミニウムの精練、加工メーカー、電線・ケーブルのメーカーなどです。

また、これらの鋳物メーカーも含まれます。

日本製鉄(旧 新日鉄住金)や三菱マテリアル、UACJ、フジクラなどが挙げられます。

IT・通信

インターネットや電話を扱う企業です。

スマートフォンの急速な普及により近年規模が大きくなっている業界です。
感染症の流行により、家庭でのインターネットやクラウドサービスの需要も増えています。
今後、5Gの普及やIoT、eSIMなどをキーワードにさらなる変革が予測されます。

また、ITの分野ではソフトウェアやインターネットサービスを扱う企業があります。

これらの業界の企業としてはNTTやIBM、マイクロソフト、ぐるなびなどがあります。

工学系出身者に人気の職種

工学系出身者に人気の職種は研究職、エンジニア、生産管理、建築士などです。人気の職種について詳しく見ていきましょう。

研究職

工学部の学生に人気が高いのは研究職です。一般的に企業の研究職は基礎研究と応用研究のどちらかを進めることになります。

基礎研究はまだ発明されていないものを生み出すような仕事、応用研究は基礎研究で出された結果をもとに、社会にどのような形で還元していくのかを考える仕事です。

社会人になっても自身が専攻している分野を深められて、人々の役に立つためやりがいも大きい仕事といえます。

ただ数ある職種の中で特に高い人気を誇るため、他の院生も応募してくることが予想され、競争率は高いことがネックです。専門性が重視されるため、大学院進学をすることが研究職に近づく一歩といえるでしょう。

設計・開発及び機械エンジニア

工学部の学生の中には、設計や開発、機械エンジニアになる人も多くいます。名前の通り製品の設計・開発を行ったり、機械を動かすためにメンテナンスなどを行う仕事です。機械エンジニアと一言でいっても仕事内容や扱う製品はさまざまです。

たとえば車や電車などの交通機関から、パソコンやサーバーなどの電子機器まで多岐にわたります。自分が整備したものが社会で役に立っているのを見られて、達成感を感じられる仕事でもあるでしょう。設計から携われる場合は、一から考案したものが世の中に出ていくことも期待できます。

生産管理・品質管理

生産管理・品質管理の仕事も工学部の学生に人気の仕事です。工場など商品を製造している現場を管理しつつ、品質の高いものを社会に出すための計画を行います。一見地味な仕事に思えますが、サービスの提供に関わっている根幹となる重要な仕事でもあるのです。

また生産管理・品質管理の仕事では顧客の要望に基づいて、納期通りにサービスを納品することも求められます。発注された数どおりに商品を製造して、問題なく納品するためには生産管理担当の協力が欠かせません。生産数が多い大きなプロジェクトを終えたあとなどは、達成感を感じられることもあるでしょう。

セールスエンジニア・サービスエンジニア

工学部出身の場合、セールスエンジニアやサービスエンジニアになるのも一つの選択肢です。顧客との接点が多く、人との関わりがあるため技術力とコミュニケーションスキルが問われます。たとえばセールスエンジニアの場合は、営業に同行してクライアントとの商談に参加し、技術的な質問について回答します。

サービスエンジニアは提供中のサービスの運用・保守を行うことが中心で、セールスエンジニアと同様に顧客との会話を通じて、ニーズをくみ取って迅速に対応することが必要です。人と関わるのが好きな人や、コミュニケーション能力に自信がある人は検討してみてください。

プログラマー・システムエンジニア

工学部の学生にとって、プログラマーやシステムエンジニアも人気の職種の一つです。ソフトウェアの開発や、サービスの全体設計を構成するのが主な仕事です。プログラマーやシステムエンジニアはもくもくと仕事をこなす必要があり、一つのものを作り上げることが好きな人に向いています。

プログラム言語を使ってシステム開発などをするので、在学中にそうした技術的な知識を習得した人なら、プログラマーなどの仕事はやりやすいと考えられます。デジタル化が進みシステムエンジニアは需要が高まっているので、転職などもしやすい可能性が高いです。

建築士

工学部出身の学生は建築士になる人も多いです。建築士とは、住居やビルなどを建設する際に安全面や法律面に考慮して図面を設計する役割を果たします。自分が設計したものが形になるため、やりがいが大きい仕事ともいえるでしょう。

ただ建築士になるためには国家資格が必要なので、就職するためには勉強に励む必要があります。資格を取ればキャリアを築く際に有利なので、学部で建築関係に携わってきた人は検討してみてください。

工学系出身者でも専門外就職は可能?

工学部卒でも専門分野以外の業界に就職することは可能です。特に文系の学部から入社する人が多い業界では重宝されることも多いです。理系の学生は、研究を重ねて論理的思考や一つのことに打ち込むスキルを既に身につけているという観点から評価されることが多いようです。

それらのスキルは仕事をするうえでも役に立ち、もくもくと取り組めてロジカルに業務を進められるのは大きな武器になります。一般的には理系よりも文系の学部からの就職が多いコンサルタントや営業職などでは、数字やデータを扱うことも多く、工学部出身であることが強みになるでしょう。

工学部だからといって自分の専門分野にこだわらず、他分野の業界も見てみることが内定をもらうためのポイントです。自分の能力を活かせそうな業界を見つけて、積極的に応募してみてください。

まとめ

工学部の学部生に向けて就職と大学院進学どちらがいいか、人気の職種はどんなものがあるかを解説しました。内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

・大学院進学のメリットは専門性を高められて、研究職の就活に有利なこと

・大学院進学のデメリットは経済面の負担が大きいことと、就活の選択肢が狭まること

・学部卒で就職するメリットは、社会経験を早期に積めて後から大学院進学も可能なこと

・学部卒で就職するデメリットは、専門性が低く技術職や研究職の応募は不利になること

・工学部に人気の職種は研究職、生産管理・品質管理、エンジニア、建築士などがある

それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、どちらが向いているのかよく検討しましょう。必要であれば文系就職も視野に入れながら、納得できる道を探してください。

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著者プロフィール

アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

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